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「“インディロックの歩み”に重要なバンドだった」 ヴァンパイア・ウィークエンドの凄さとは?

「“インディロックの歩み”に重要なバンドだった」 ヴァンパイア・ウィークエンドの凄さとは?

4月5日(金)に5年ぶりとなる待望のニューアルバム『Only God Was Above Us』をリリースするヴァンパイア・ウィークエンド(Vampire Weekend)の魅力について妹沢奈美さんが解説。ASIAN KUNG-FU GENERATION・後藤正文もメッセージを寄せた。

ヴァンパイア・ウィークエンドを特集したのは、4月2日(火)に放送されたJ-WAVE『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。音楽を愛する全ての人と作り上げる(超)進化型音楽番組だ。

【SONAR MUSICは番組公式LINEでも情報発信中】

トーク音声の再生は2024年4月9日まで

彼らの登場なくしてインディロックの歩みは進まなかった

ヴァンパイア・ウィークエンドはアメリカ・コロンビア大学在学中の2006年にエズラ・クーニグ(Vo./Gt.)、ロスタム・バトマングリ(Key./Vo.)、クリス・バイオ(Ba.)、クリストファー・トムソン(Dr.)の4名で結成したロックバンド。早くから注目を集め、激しい争奪戦の末にXL Recordingsというインディレーベルと契約。2008年『Vampire Weekend』でデビューして全米・全英チャートでいずれもトップ20入りを果たす。その後、期待が高まる2作目『Contra』で全米チャート1位を獲得。このときにはグラミー賞にもノミネートされている。

2013年には3作目の『Modern Vampires of the City』をリリース。この作品でグラミー賞の最優秀オルタナティブ・ミュージック・アルバム賞を受賞。さらにインディロックバンド史上初となる2作連続全米1位の快挙を成し遂げた。2016年には結成メンバーであるバンドの中心人物であるロスタム・バトマングリ(Key./Vo.)が脱退を発表。その後、メジャーレーベルに移籍し、2019年に『Father Of The Bride』をリリースした。この作品でも全米チャート1位を獲得したほか、この作品でもグラミー賞の最優秀オルタナティブ・ミュージック・アルバム賞を受賞。またグラミー賞の4大主要部門と言われる最優秀アルバム賞にもノミネートされるほど評価をされている。

そんなヴァンパイア・ウィークエンドは4月5日(金)に5年ぶりとなる待望のニューアルバム『Only God Was Above Us』をリリース。

あっこゴリラ:もう世界的なスターなんですね。

妹沢:特にイギリスはインディギターロックにとても嗅覚が強いというか、いいものを発見する力が長けている国なので、イギリスでもすごく人気ですし、フランスのインディファンと話すと「ヨーロッパでも人気だよ」と熱く語られるほど人気があります。

あっこゴリラ:どこかイギリスのバンドみたいなイメージが強いんですよね。でもアメリカのバンドだったんだって(思いました)。

妹沢:すごくわかります。

ここでASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文のメッセージを紹介。ヴァンパイア・ウィークエンドの過去作で特に気になる1曲として『A-Punk』をセレクトした。



後藤:思わず、くるりも楽曲で引用するような、あのイントロはすごいですよね。心が持って行かれるというか。彼らの登場なくしてインディロックの歩みって進まなかったところもあると思うので重要なバンドだと思っています。

後藤の「インディロックの歩みに重要なバンドだった」との言葉を聞いて、妹沢さんは「まさしくその通り」とうなずく。

妹沢:この曲もそうですけど、彼らはロックの真面目さというより、ふっと何かをずらすというかユーモアがあるというか、そういう音楽ってしばらくアメリカのロックシーンに現れていなかったんですよね。イギリスではアークティック・モンキーズが2005年くらいに出てきて雰囲気が変わったんですけど、アメリカではまだだったんです。そこでヴァンパイア・ウィークエンドが出てきていろんなことが変わり始めました。

これは聴くべき! ヴァンパイア・ウィークエンドの3曲

続いて、妹沢さんもヴァンパイア・ウィークエンドの必聴曲を紹介。まずは、デビューアルバム『Vampire Weekend』収録の『Oxford Comma』をセレクトした。



妹沢:ヴァンパイア・ウィークエンドの結成はコロンビア大学という超有名大学なんですけど、リリース当時は卒業していて、メンバーはそれぞれ別々の仕事に就いていたんですね。エズラは中学校の英語の先生、日本で言うと国語の先生をしていました。英語では「A, B, C, and D」みたいな感じで書くときに、Cとandの間にコンマを入れるんですね。それを「オックスフォードコンマ」って言うみたいなんです。

あっこゴリラ:へえ。

妹沢:そういうあまり人が気付かないところをテーマに曲を書いたり、ちょっとひねった知性が光っていた当時の彼らを象徴するような曲だと思います。

続いて、妹沢さんはセカンドアルバム『Contra』の先行シングル『Cousins』を紹介した。



妹沢:この曲は短いフレーズを繰り返す曲なんですけど、最後のサビに行くところの多幸感がすごいんですよね。多幸感とパンクな知性がセカンドアルバムまでヴァンパイア・ウィークエンドにはありましたし、エズラは舌足らずな発音なので、最初のサビに行くところでズキュンとやられてしまいます。

3曲目に妹沢さんはサードアルバム『Modern Vampires of the City』から『Step』を紹介した。



妹沢:サードアルバム『Modern Vampires of the City』は実はちょっと暗いんですよね。最初の2枚のアルバムのポップな感じから、人生の深さとか宗教的な感じとかそういうところに行った曲です。バンドではとても珍しく、ミドルからスローなテンポで、当時エズラの頭の中にあったのが、年齢を重ねることだったんです。そのあたりを丁寧にいい歌詞で歌っている曲です。

あっこゴリラ:聴きどころは?

妹沢:ギターロックは年を重ねても新鮮で美しいものが作れるということを、この曲を聴いて感じました。あと、「親知らずが抜ける」というような象徴的な言葉で年齢を重ねることを歌っているので、ぜひ時間がある方は歌詞も調べながら聴いてほしいですね。

シンプルに、コンパクトに、バンドの冒険心が詰まっている

妹沢さんは、2019年にリリースした4枚目のアルバム『Father Of The Bride』についても言及。このアルバムはバンドにとって特殊な作品だったと語る。2016年のロスタムの脱退を受け、「エズラが自分をある種で証明しなければいけない作品だった」と妹沢さんは話し、このアルバムはほかのメンバーは参加せず、エズラだけで作り上げた作品だと語った。

そして前作から5年、待望のニューアルバム『Only God Was Above Us』が4月5日(金)にリリースとなる。このアルバムのライナーノーツを担当する妹沢さんは今作の聴きどころについてこう語る。

妹沢:エズラが自分のことを証明しないといけなかったという4枚目のアルバム『Father Of The Bride』と比べて、今作は再びヴァンパイア・ウィークエンドが音楽を進化させる方向に帰ってきたような感じの作品だと思いました。特にミックスを凄腕のデイヴ・フリッドマンがやっていまして、ヴァンパイア・ウィークエンドはもともとロックっぽいものはやらないって言ってデビューしたんですけど、デイヴ・フリッドマンといえばギターロックの象徴のようなミキサーなんですよね。

あっこゴリラ:私も大好きです。

妹沢:ロックの音を作れる人とまた仕事をしたいっていうことで、いい意味で方の力が抜けてこういうこともできるようになったのかなって思いました。

ここで再び後藤正文がコメントで登場。すでにリリースされているアルバム収録の先行曲について語った。

後藤:先行曲はどの曲も面白いですね。ヴァンパイア・ウィークエンド印の感じもするし、カリブ音楽からの影響、中南米の音楽の影響みたいな、アメリカ人がアメリカの音楽にただ影響を受けてやったのではないみたいな流れのサウンドを感じます。それもありつつ、彼らの独特な音の汚し方というか、それをボーカルにも感じるし、端々の音も感じていて。きれいにリバーブがかかっているけど鳴っている音は汚れているみたいな不思議なサウンドでした。単にアナログ機材への憧憬もあるのか愛着があるのか、その辺の意図をインタビューとかで読んでみたいなと思いました。新作を待ちきれないって感じです。

番組ではニューアルバムの先行曲『Classical』をオンエアした。



最後に妹沢さんは「今作はボーナストラックを抜かすと全10曲、前作が18曲ととても長かったんですけど、すごくシンプルにコンパクトにヴァンパイア・ウィークエンドの冒険心が詰まっているのでぜひ楽しんでほしい」とリスナーにメッセージを送った。

ヴァンパイア・ウィークエンドの最新情報は、公式サイトまで。

J-WAVE『SONAR MUSIC』は、月~木の22:00-24:00にオンエア。

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2024年4月9日28時59分まで

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番組情報
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月・火・水・木曜
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