歌人・穂村 弘が短歌の魅力や、短歌の作り方について語った。
穂村が登場したのは、11月5日(水)放送のJ-WAVE『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)内、あらゆる世界の本質にインサイトしていくコーナー「MORNING INSIGHT」だ。
別所はまず、穂村に朝の過ごし方について訊いた。
別所:穂村さんは、朝どのようにお過ごしですか?
穂村:夜型で(笑)。わりと朝まで起きているので。
別所:じゃあ、朝起きるというのはお昼ぐらいですか?
穂村:朝、妻が起きてきたら一緒に公園まで散歩して、それから寝たりします。
別所:ゆったりした朝ですね。じゃあ、朝は絶対にこれをするっていうルーティンのようなものはないですか?
穂村:夏から秋までは、毎日、公園までお散歩を。
別所:奥様が主導で?
穂村:そうですね。カイツブリが卵を孵すのを見るんだって言って。応援に行ってました(笑)。
別所:心のゆとりというか、豊かさを感じます。
別所:俵 万智さんとは同世代なんですよね。口語体を巧みに使って、その時代のリアルを描き出した作品で熱烈な支持を集め、短歌界に大きな影響を与えています。短歌以外にもさまざまな分野で活躍されていますけども、こちらは自然と広がっていったのでしょうか?
穂村:最初は短歌から始めて、感じたことをそのまま書いていたんですが、エッセイや評論を依頼されるようになって、自分で自分を翻訳するみたいな感じで広がっていきました。
別所:いわゆる、創作という意味で使う脳としては同じなんでしょうか?
穂村:たぶん同じで、カルピスの原液かカルピスウォーターか、みたいな感じだと思います(笑)。
別所:源泉は一緒ということで。素敵な表現ですね! 穂村さんは短歌の世界をどう捉えていらっしゃいますか?
穂村:「1000年以上生きている巨大な生き物」みたいなイメージですかね。一つひとつの短歌は短くて、短歌を作る人は次々と生まれては死んでいく。だけど、短歌は1300年ぐらい前からいままでずっとあるから、まるで“ドラゴン”のように見える。鱗1枚1枚が自分たち、みたいな感覚ですね。
別所:短歌は脈々と日本のなかで育まれ、継承されております。
「短歌を作ってきてよかったこと」を問われた穂村は、「過ぎ去って忘れていく“いま”を真空パックのように保存できる」と回答した。
穂村:記憶では忘れたことが、短歌としては5・7・5・7・7のなかでパックされて残っている感覚です。
別所:しかも、鮮度が増している感じもありますよね。
穂村:衰えないというか、強烈なラップ的な(笑)。そのなかでは時間が止まるんですよね。
別所:以前は、『短歌という爆弾 今すぐ歌人になりたいあなたのために』(小学館)という本も出されていますけども、どうしたら短歌ってできるのでしょうか?
穂村:たとえば、知り合いの短歌で「子どもの椅子をひっくり返したら裏に米粒が張り付いていた」みたいなのがあるんですよ。普通、椅子の裏って見ないじゃないですか。でも、子どもの椅子って小さいから、ひっくり返したら米粒が付いていて。生活全体というか、子どもがいるわちゃわちゃした空間が、米粒ひとつで象徴されているんですね。私の母が死んだとき、葬式を終えて家に帰ってトイレに入ったら、便座が下りていたんですよ。私と父と母しかいなかったから、便座が下りていたってことは、母がそこにいたってことなんですね。それを見て、明日からは父と僕だけで、便座が上げっぱなしになるなと思ったんです。(普段から)見ているものが特別な意味を持つことがあるんですよね。
別所:それをすくい取るというか、見つけるのが(難しい)。僕らの生活のなかにもきっとあるんでしょうね。
穂村:ハッとしますよね。
別所:情景が浮かんできますね。
穂村:そうですね。短歌は「叙述ではなく描写しろ」と習いました。
番組では、『短歌のガチャポン、もう一回』に登場する短歌の一部を紹介し、穂村と別所がそれぞれの歌にコメントする場面もあった。
穂村 弘の最新情報はX公式アカウント(@homurahiroshi)まで。
『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』のコーナー「MORNING INSIGHT」では、あらゆる世界の本質にインサイトしていく。放送は月曜~木曜の8時35分ごろから。
穂村が登場したのは、11月5日(水)放送のJ-WAVE『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)内、あらゆる世界の本質にインサイトしていくコーナー「MORNING INSIGHT」だ。
心の豊かさを感じる、穂村の“朝の過ごし方”
穂村 弘は1962年、北海道生まれ。1990年に歌集『シンジケート』でデビューし、その後『短歌の友人』で伊藤整文学賞、『鳥肌が』で講談社エッセイ賞、『水中翼船炎上中』で若山牧水賞を受賞している。歌集やエッセイ集のほか、詩集、対談集、評論集、絵本、翻訳など、幅広い分野で多くの著書を発表している。別所はまず、穂村に朝の過ごし方について訊いた。
別所:穂村さんは、朝どのようにお過ごしですか?
穂村:夜型で(笑)。わりと朝まで起きているので。
別所:じゃあ、朝起きるというのはお昼ぐらいですか?
穂村:朝、妻が起きてきたら一緒に公園まで散歩して、それから寝たりします。
別所:ゆったりした朝ですね。じゃあ、朝は絶対にこれをするっていうルーティンのようなものはないですか?
穂村:夏から秋までは、毎日、公園までお散歩を。
別所:奥様が主導で?
穂村:そうですね。カイツブリが卵を孵すのを見るんだって言って。応援に行ってました(笑)。
別所:心のゆとりというか、豊かさを感じます。
生きている“いま”を保存する短歌の魅力
短歌にとどまらず、評論集や絵本、翻訳まで手がける穂村。その世界はどのように広がっていったのだろうか。別所:俵 万智さんとは同世代なんですよね。口語体を巧みに使って、その時代のリアルを描き出した作品で熱烈な支持を集め、短歌界に大きな影響を与えています。短歌以外にもさまざまな分野で活躍されていますけども、こちらは自然と広がっていったのでしょうか?
穂村:最初は短歌から始めて、感じたことをそのまま書いていたんですが、エッセイや評論を依頼されるようになって、自分で自分を翻訳するみたいな感じで広がっていきました。
別所:いわゆる、創作という意味で使う脳としては同じなんでしょうか?
穂村:たぶん同じで、カルピスの原液かカルピスウォーターか、みたいな感じだと思います(笑)。
別所:源泉は一緒ということで。素敵な表現ですね! 穂村さんは短歌の世界をどう捉えていらっしゃいますか?
穂村:「1000年以上生きている巨大な生き物」みたいなイメージですかね。一つひとつの短歌は短くて、短歌を作る人は次々と生まれては死んでいく。だけど、短歌は1300年ぐらい前からいままでずっとあるから、まるで“ドラゴン”のように見える。鱗1枚1枚が自分たち、みたいな感覚ですね。
別所:短歌は脈々と日本のなかで育まれ、継承されております。
「短歌を作ってきてよかったこと」を問われた穂村は、「過ぎ去って忘れていく“いま”を真空パックのように保存できる」と回答した。
穂村:記憶では忘れたことが、短歌としては5・7・5・7・7のなかでパックされて残っている感覚です。
別所:しかも、鮮度が増している感じもありますよね。
穂村:衰えないというか、強烈なラップ的な(笑)。そのなかでは時間が止まるんですよね。
100首の短歌を収録した書籍の第2弾を発売
穂村は8月に書籍『短歌のガチャポン、もう一回』(小学館)を発売した。たまたま目にとまり、「いいな」と感じた100首の短歌を集めた1冊だ。2022年に発売され話題を呼んだ前作『短歌のガチャポン』からときを経て、明治から令和までのきらめく短歌を新たに100首掲載している。ページをめくるたびに、ガチャポンを回すような“わくわく”を味わえる1冊となっている。別所:以前は、『短歌という爆弾 今すぐ歌人になりたいあなたのために』(小学館)という本も出されていますけども、どうしたら短歌ってできるのでしょうか?
穂村:たとえば、知り合いの短歌で「子どもの椅子をひっくり返したら裏に米粒が張り付いていた」みたいなのがあるんですよ。普通、椅子の裏って見ないじゃないですか。でも、子どもの椅子って小さいから、ひっくり返したら米粒が付いていて。生活全体というか、子どもがいるわちゃわちゃした空間が、米粒ひとつで象徴されているんですね。私の母が死んだとき、葬式を終えて家に帰ってトイレに入ったら、便座が下りていたんですよ。私と父と母しかいなかったから、便座が下りていたってことは、母がそこにいたってことなんですね。それを見て、明日からは父と僕だけで、便座が上げっぱなしになるなと思ったんです。(普段から)見ているものが特別な意味を持つことがあるんですよね。
別所:それをすくい取るというか、見つけるのが(難しい)。僕らの生活のなかにもきっとあるんでしょうね。
穂村:ハッとしますよね。
別所:情景が浮かんできますね。
穂村:そうですね。短歌は「叙述ではなく描写しろ」と習いました。
番組では、『短歌のガチャポン、もう一回』に登場する短歌の一部を紹介し、穂村と別所がそれぞれの歌にコメントする場面もあった。
穂村 弘の最新情報はX公式アカウント(@homurahiroshi)まで。
『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』のコーナー「MORNING INSIGHT」では、あらゆる世界の本質にインサイトしていく。放送は月曜~木曜の8時35分ごろから。
番組情報
- J-WAVE TOKYO MORNING RADIO
-
月・火・水・木曜6:00-9:00