編集者・岡本 仁が、韓国の旅エピソードを語り、グルメやアートのおすすめスポットを紹介した。
岡本が登場したのは、ゲストにさまざまな国での旅の思い出を聞く、J-WAVEの番組『ANA WORLD AIR CURRENT』(ナビゲーター:葉加瀬太郎)。ここでは、8月16日(土)にオンエアした内容をテキストで紹介する。
番組は、Spotifyなどのポッドキャストでも聴くことができる。
・ポッドキャストページ
旅のスタイルは、ある程度の目標を定めるものの、基本的に「散歩」だという。岡本は思い出深い海外旅として、韓国を挙げた。ソウルは2023年の秋に1週間滞在して以来、半年に一度足を運んでいると語る。
岡本:ソウルに住んでいる韓国人の若い友人がいまして、彼とは東京でも何度か会っていたんですね。彼から「編集に関するトークをソウルでしてほしい」という連絡がきまして、現地の若い人たちの前で話す機会をいただきました。そのときに、せっかくだから1週間ぐらい滞在したいということで、どのエリアに泊まったらいいのか相談したのがはじまりですね。それですっかりハマっちゃいました。
葉加瀬:そこからもう4回も行かれているそうですね。
岡本:先月も行っていました(笑)。
葉加瀬:そうですか(笑)! ずばり、韓国・ソウルの魅力は何ですか?
岡本:ソウルの街を歩いていると、特に東京の街に似ているなと感じるんですね。だけど、看板とかメニューは韓国語で書かれていますから、全然わからない。そして、街を歩いている人たちの外見も違わないけれど、しゃべっている言葉も全然わからないわけです。アメリカとかヨーロッパに行けば、すぐに「自分は完全に異邦人だ」と外見からわかるじゃないですか。でも韓国はそうじゃなくて、同じような人たちがまったく別なかたちで活動している。まるでパラレルワールドに迷い込んでしまったような感覚になるんですよ。
葉加瀬:なるほど。
岡本:わからないなりに回っていると、似ているけど違うし、違うけど似ている。だけど、活力はソウルのほうがあるような気がして。そのエネルギーにやられちゃうというか、それを感じたいのがいちばんの理由かもしれないです。
葉加瀬:僕は20年ほど行っていないんですけど、そのときもエネルギーみたいなものは東京よりも熱いというか、混沌としたものを感じました。
岡本:しゃべっている言葉も響きが早いというか、怒っているように聴こえるときも多いんですよね。言いたいことをズバッと言う人たちなんだろうなと感じて、そういう動きに自分が刺激を受けるんですよ。
葉加瀬:僕も同じ感覚を得たと思います。K-POPにしても、いつのころからか力とスピード感を持って世界に進出していますよね。日本のファンもK-POPを中心に聴いている世代はとても多いと思います。K-POPにしても映画にしても、国がサポートする力が大きいですよね。
岡本:そうですね。明らかにマーケットを世界に見据えて音楽や映画を作っている人たちがほとんどだと感じます。
岡本:ホテルから歩いて5分もかからないところに、プゴクだけを出している「ムギョドン・プゴグッチッ」というお店があるんですよ。ご飯とスープと小皿、キムチ類はテーブルにセットされているんですね。そこにいちばん行っていると思います。
葉加瀬:干しダラのスープは韓国の人たちにとっては、定番の朝ごはんなんでしょうか?
岡本:どうやら二日酔いに効くらしいんですよ(笑)。ドラマを観ていても、韓国の人って焼酎をグッと飲むじゃないですか。そういう人たちが二日酔いを抑えるために食べていると聞きました。ちなみに、僕は二日酔いだから通っているわけではないです(笑)。
葉加瀬:そうですか(笑)。ベーカリーのおすすめはありますか?
岡本:たまたま入ったベーカリーカフェのパンがすごくおいしくて。いまの韓国は「塩パン」がブームなんですね。塩パンのあんバターサンドもありました。コーヒーも紅茶もおいしいですし、そこも朝ごはんでよく行きますね。
夜時間によく食べるのは、韓国の代表的な麺料理「カルグクス」とスープ料理の「マンドゥック」だという。
岡本:ここもホテルに近いので、全然グルメではないですよね(笑)。
葉加瀬:いわゆる小さな、地元の人が使うローカルな食堂にスッと入っても、びっくりするぐらいおいしいものに出会えますよね。
岡本:僕もそう思います。辛くないものもありますし、辛いものも食べているうちに「この辛さが大事なんだな」と思えるんですよね。
葉加瀬:辛さの裏側のうまみがあるよね! そういう食事がすごく多いですよね。
岡本:お店のメニューはすいとんが3、4種類と小さい麦飯がついてきて、テーブルにある大根の葉っぱのキムチとコチュジャンをよく混ぜて食べるのですが、すごくおいしいです。
葉加瀬:おいしそうだなあ。ちなみに、さっきのマンドゥックっていうのはどういう料理なんですか?
岡本:水餃子みたいなもので、すごく澄んだスープに入っているので見た目もきれいですし、すごくおいしいです。あとは「コチュティギム」という、大きな唐辛子の中に肉を詰めて、それを揚げて天ぷらにする料理もすごくおいしかったです。
葉加瀬:素敵。メニューが読めなくても、隣のテーブルの人が食べているのを見て「あれをください」って頼むのも楽しいですよね。
岡本:そうですね。あと、最近はハングルで書いてあるメニューを写真で撮ると日本語になるアプリがあるじゃないですか。ああいう便利なものがあるので、食べることには困らないです。
岡本:キム・スグンという、韓国人の建築家がいるんですが、この方は日本の吉村順三さんのお弟子さんなんですね。建築でもたくさんの作品を残しているのですが、『空間』という芸術雑誌も作っていまして。その編集部として使っていた建物の一部を改装して、美術館にしているんです。
葉加瀬:へええ!
岡本:建物自体も面白いですし、コレクションも素晴らしいです。見せ方もすごく面白くて、お風呂場に作品が置いてあったりするんですよ(笑)。行くたびに驚くところですね。そして、ここにもすごくおいしいベーカリーカフェが併設されています。
葉加瀬:なるほど! そして、「国立現代美術館」はいちばん中心的な場所ですか?
岡本:そうですね。ものすごく大きな美術館です。この前やっていた展示は若い観客がいっぱいいて、全然観られませんでした(笑)。韓国の現代美術作家の作品を積極的に紹介する場所らしいのですが、60年代、70年代の映像作家の方が作った短編映画なども上映していたんですね。それを観て「こんな人たちがいたんだ」と驚きました。隣の国で、お互いに気になる存在だったはずなのに、その情報はほぼなかったよなって思いましたね。
葉加瀬:そうだねえ。歴史的背景からも分断されている時期が長いんですよね。
岡本:そういうことをいまになって知れることがまずうれしいので、美術館や民俗博物館によく行きます。
岡本:展示スペースが4つぐらいあるんですよ。どれも異なる建築家が建てていて、どこに入っても面白いです。もともと、サムスンの会長が韓国の古い芸術、書だったり器を集めていて、それを展示する棟もあって、そこも素晴らしいです。
葉加瀬:いいですね!
岡本:行くと2~3時間ずっといる感じです。僕が最初に行ったときは、フィリップ・パレーノという現代美術作家の個展をやっていたんですね。それを観たくて行ったんですけど、どうやら全部観ていなかったと、帰国してから気付いたんですよ(笑)。
葉加瀬:それぐらい大規模な展示をやっている場所なんですね。
岡本:あとは、アモーレという化粧品メーカーがありまして、アモーレパシフィックがやっている美術館も素晴らしかったです。
葉加瀬:韓国って現代美術が元気ですよね。
岡本:そうですね。現代美術って大きいスペースで観ないと、そのよさがわからない作品が多いじゃないですか。なので、現代美術作家の個展を観に行くと、ようやくその人の本当の魅力がわかったような気持ちになります。
岡本 仁の最新情報はInstagramの公式アカウント(@manincafe)まで。
葉加瀬太郎がゲストの旅のエピソードを聞くJ-WAVE『ANA WORLD AIR CURRENT』は、毎週土曜の19時からオンエア。
radikoでは、8月23日(月)28時頃まで再生可能だ。
岡本が登場したのは、ゲストにさまざまな国での旅の思い出を聞く、J-WAVEの番組『ANA WORLD AIR CURRENT』(ナビゲーター:葉加瀬太郎)。ここでは、8月16日(土)にオンエアした内容をテキストで紹介する。
番組は、Spotifyなどのポッドキャストでも聴くことができる。
・ポッドキャストページ
活力に満ちたソウルを足繫く訪問
岡本 仁は1954年生まれ、北海道出身。マガジンハウスにて『BRUTUS』『relax』『ku:nel』などの雑誌編集に携わったのちに、2009年よりものづくりの会社「ランドスケープ・プロダクツ」に加わる。現在は、本や雑誌のほか、音楽イベントのプロデュースや、美術館で作品展示の監修をするなど、編集の枠を拡大して活躍している。旅のスタイルは、ある程度の目標を定めるものの、基本的に「散歩」だという。岡本は思い出深い海外旅として、韓国を挙げた。ソウルは2023年の秋に1週間滞在して以来、半年に一度足を運んでいると語る。
岡本:ソウルに住んでいる韓国人の若い友人がいまして、彼とは東京でも何度か会っていたんですね。彼から「編集に関するトークをソウルでしてほしい」という連絡がきまして、現地の若い人たちの前で話す機会をいただきました。そのときに、せっかくだから1週間ぐらい滞在したいということで、どのエリアに泊まったらいいのか相談したのがはじまりですね。それですっかりハマっちゃいました。
葉加瀬:そこからもう4回も行かれているそうですね。
岡本:先月も行っていました(笑)。
葉加瀬:そうですか(笑)! ずばり、韓国・ソウルの魅力は何ですか?
岡本:ソウルの街を歩いていると、特に東京の街に似ているなと感じるんですね。だけど、看板とかメニューは韓国語で書かれていますから、全然わからない。そして、街を歩いている人たちの外見も違わないけれど、しゃべっている言葉も全然わからないわけです。アメリカとかヨーロッパに行けば、すぐに「自分は完全に異邦人だ」と外見からわかるじゃないですか。でも韓国はそうじゃなくて、同じような人たちがまったく別なかたちで活動している。まるでパラレルワールドに迷い込んでしまったような感覚になるんですよ。
葉加瀬:なるほど。
岡本:わからないなりに回っていると、似ているけど違うし、違うけど似ている。だけど、活力はソウルのほうがあるような気がして。そのエネルギーにやられちゃうというか、それを感じたいのがいちばんの理由かもしれないです。
葉加瀬:僕は20年ほど行っていないんですけど、そのときもエネルギーみたいなものは東京よりも熱いというか、混沌としたものを感じました。
岡本:しゃべっている言葉も響きが早いというか、怒っているように聴こえるときも多いんですよね。言いたいことをズバッと言う人たちなんだろうなと感じて、そういう動きに自分が刺激を受けるんですよ。
葉加瀬:僕も同じ感覚を得たと思います。K-POPにしても、いつのころからか力とスピード感を持って世界に進出していますよね。日本のファンもK-POPを中心に聴いている世代はとても多いと思います。K-POPにしても映画にしても、国がサポートする力が大きいですよね。
岡本:そうですね。明らかにマーケットを世界に見据えて音楽や映画を作っている人たちがほとんどだと感じます。
韓国でよく食べる朝ごはんは「プゴク」
岡本から、韓国の絶品グルメを聞いた。ソウルを訪れた際によく食べるのは、干しダラのスープ料理「プゴク」だという。岡本:ホテルから歩いて5分もかからないところに、プゴクだけを出している「ムギョドン・プゴグッチッ」というお店があるんですよ。ご飯とスープと小皿、キムチ類はテーブルにセットされているんですね。そこにいちばん行っていると思います。
葉加瀬:干しダラのスープは韓国の人たちにとっては、定番の朝ごはんなんでしょうか?
岡本:どうやら二日酔いに効くらしいんですよ(笑)。ドラマを観ていても、韓国の人って焼酎をグッと飲むじゃないですか。そういう人たちが二日酔いを抑えるために食べていると聞きました。ちなみに、僕は二日酔いだから通っているわけではないです(笑)。
葉加瀬:そうですか(笑)。ベーカリーのおすすめはありますか?
岡本:たまたま入ったベーカリーカフェのパンがすごくおいしくて。いまの韓国は「塩パン」がブームなんですね。塩パンのあんバターサンドもありました。コーヒーも紅茶もおいしいですし、そこも朝ごはんでよく行きますね。
夜時間によく食べるのは、韓国の代表的な麺料理「カルグクス」とスープ料理の「マンドゥック」だという。
岡本:ここもホテルに近いので、全然グルメではないですよね(笑)。
葉加瀬:いわゆる小さな、地元の人が使うローカルな食堂にスッと入っても、びっくりするぐらいおいしいものに出会えますよね。
岡本:僕もそう思います。辛くないものもありますし、辛いものも食べているうちに「この辛さが大事なんだな」と思えるんですよね。
葉加瀬:辛さの裏側のうまみがあるよね! そういう食事がすごく多いですよね。
デジタルの力を使って韓国語メニューを把握
岡本は、ほかにもソウルのおすすめグルメスポットを紹介。キョンボックン(朝鮮王朝の王宮)の西側に位置するソチョンでは、絶品のすいとんが味わえる飲食店があるという。岡本:お店のメニューはすいとんが3、4種類と小さい麦飯がついてきて、テーブルにある大根の葉っぱのキムチとコチュジャンをよく混ぜて食べるのですが、すごくおいしいです。
葉加瀬:おいしそうだなあ。ちなみに、さっきのマンドゥックっていうのはどういう料理なんですか?
岡本:水餃子みたいなもので、すごく澄んだスープに入っているので見た目もきれいですし、すごくおいしいです。あとは「コチュティギム」という、大きな唐辛子の中に肉を詰めて、それを揚げて天ぷらにする料理もすごくおいしかったです。
葉加瀬:素敵。メニューが読めなくても、隣のテーブルの人が食べているのを見て「あれをください」って頼むのも楽しいですよね。
岡本:そうですね。あと、最近はハングルで書いてあるメニューを写真で撮ると日本語になるアプリがあるじゃないですか。ああいう便利なものがあるので、食べることには困らないです。
現代美術が韓国の若者たちに人気
続いて、岡本は韓国の印象的だったアートスポットを振り返る。まずは「アラリオミュージアム」を紹介。岡本:キム・スグンという、韓国人の建築家がいるんですが、この方は日本の吉村順三さんのお弟子さんなんですね。建築でもたくさんの作品を残しているのですが、『空間』という芸術雑誌も作っていまして。その編集部として使っていた建物の一部を改装して、美術館にしているんです。
葉加瀬:へええ!
岡本:建物自体も面白いですし、コレクションも素晴らしいです。見せ方もすごく面白くて、お風呂場に作品が置いてあったりするんですよ(笑)。行くたびに驚くところですね。そして、ここにもすごくおいしいベーカリーカフェが併設されています。
葉加瀬:なるほど! そして、「国立現代美術館」はいちばん中心的な場所ですか?
岡本:そうですね。ものすごく大きな美術館です。この前やっていた展示は若い観客がいっぱいいて、全然観られませんでした(笑)。韓国の現代美術作家の作品を積極的に紹介する場所らしいのですが、60年代、70年代の映像作家の方が作った短編映画なども上映していたんですね。それを観て「こんな人たちがいたんだ」と驚きました。隣の国で、お互いに気になる存在だったはずなのに、その情報はほぼなかったよなって思いましたね。
葉加瀬:そうだねえ。歴史的背景からも分断されている時期が長いんですよね。
岡本:そういうことをいまになって知れることがまずうれしいので、美術館や民俗博物館によく行きます。
大企業が運営する美術館は広大
岡本は「財閥系や大企業が運営する美術館はとても素晴らしい」と紹介し、そのなかでも特におすすめなのが、「サムスン美術館 Leeum」だという。岡本:展示スペースが4つぐらいあるんですよ。どれも異なる建築家が建てていて、どこに入っても面白いです。もともと、サムスンの会長が韓国の古い芸術、書だったり器を集めていて、それを展示する棟もあって、そこも素晴らしいです。
葉加瀬:いいですね!
岡本:行くと2~3時間ずっといる感じです。僕が最初に行ったときは、フィリップ・パレーノという現代美術作家の個展をやっていたんですね。それを観たくて行ったんですけど、どうやら全部観ていなかったと、帰国してから気付いたんですよ(笑)。
葉加瀬:それぐらい大規模な展示をやっている場所なんですね。
岡本:あとは、アモーレという化粧品メーカーがありまして、アモーレパシフィックがやっている美術館も素晴らしかったです。
葉加瀬:韓国って現代美術が元気ですよね。
岡本:そうですね。現代美術って大きいスペースで観ないと、そのよさがわからない作品が多いじゃないですか。なので、現代美術作家の個展を観に行くと、ようやくその人の本当の魅力がわかったような気持ちになります。
岡本 仁の最新情報はInstagramの公式アカウント(@manincafe)まで。
葉加瀬太郎がゲストの旅のエピソードを聞くJ-WAVE『ANA WORLD AIR CURRENT』は、毎週土曜の19時からオンエア。
radikoでは、8月23日(月)28時頃まで再生可能だ。
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2025年8月23日28時59分まで
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番組情報
- ANA WORLD AIR CURRENT
-
毎週土曜19:00-19:54