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Ovallと亀田誠治がフジロックで対談! レッチリやChara…困難なときに寄り添ってくれた音楽は?

Ovallと亀田誠治がフジロックで対談! レッチリやChara…困難なときに寄り添ってくれた音楽は?

OvallのShingo Suzuki(ba)、mabanua(dr)、関口シンゴ(gt)が、亀田誠治と音楽トークを繰り広げ、自身の人生に影響を与えた楽曲たちをセレクト。また、「FUJI ROCK FESTIVAL」での忘れられないステージについても語った。

Ovallの3人が登場したのは、8月3日(日)放送のJ-WAVE『DEFENDER BLAZE A TRAIL』(ナビゲーター:亀田誠治)。毎回、音楽を愛するゲストを迎え、その人生に寄り添ってきた音楽の話を伺うプログラムだ。

この日の放送は、7月27日(日)に新潟県・苗場スキー場で開催された「FUJI ROCK FESTIVAL '25」での公開収録の模様をオンエアした。ここでは、その内容の一部をテキストで紹介する。

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つらいとき、悔しいときに前向きになれる曲

メンバー全員がソロアーティスト、ミュージシャン、プロデューサーとしても活動するOvall。「FUJI ROCK FESTIVAL」(以下、フジロック)への出演は、今回で7年ぶり3回目となった。

そんなOvallを迎えた『DEFENDER BLAZE A TRAIL』では、ゲストの「困難に立ち向かったときに寄り添ってくれた音楽」を聴きながら、その楽曲にどのようなエピソードがあるのか、話を訊いていった。

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まず、Shingo Suzukiは渡辺美里の『My Revolution』をセレクトした。

渡辺美里【MV】「My Revolution」

Shingo Suzuki:困難というか、「ああ……」みたいなときって誰でもあると思うんですけど、そのときに頭によぎる曲です。

亀田:国民的な曲ですよね。でも、どうして頭によぎるんですかね。

Shingo Suzuki:僕がティーンエイジャーに成り立てのときに、NHKのテレビドラマ『中学生日記』でこの曲が使われていたんです。そこで聴いた瞬間にすごく感動して、その気持ちが体の片隅にいまでもあって。つらいときとか楽しいときとか、悔しいときとかに前向きになれる曲なんですよね。高いモチベーションがよみがえってくるというか。

亀田:感受性が豊かですね。当時の詳しい年齢って覚えています?

Shingo Suzuki:12歳くらいだったと思います。

亀田:それは(心に)きますね。だいたいそれくらいの歳に音楽と出会って、ガツンとくるんですよね。

Shingo Suzuki:エモいんですよ。その記憶が自分の中にあって、多感な時期の記憶がよみがえるんです。
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1986年リリースのこの楽曲は、小室哲哉が作曲を担当。亀田は「この曲が出てきたときの楽曲のインパクトと、渡辺美里さんのアーティストパワーはすごかった」と表現する。

Shingo Suzuki:普遍的ですよね。僕が音楽を始めてから、もう1回好きな曲を深掘りしたときに、小室さんがプロデュースをされたんだっていうところから、どうしてこの曲がグッとくるのかをコードで読み解いたりとか、ちょっとロジカルにイントロがこうだとかコード進行がこうだとか(分析してみたりして)。小室さんの曲って、転調がいいですよね。あと、この曲は歌詞の単語一つひとつが(心に)くるんですよ。

亀田:作詞は川村真澄さんですよね。

『My Revolution』のオンエア中、イントロからShingo Suzukiと亀田による音楽的な解説が繰り広げられ、サビに入るタイミングでは大盛り上がりになるひと幕もあった。

Shingo Suzuki:つい最近も、この曲を聴いてちょっとヒントを得ました。

亀田:何かインスパイアされたってことですか?

Shingo Suzuki:こういう気持ちのシーンを作らなきゃいけない劇伴があったんですよ。そのときにこの気持ちを思い出して、引き出しから引っ張ってきて、イントロのコードを使わせていただいて。小室さん、ありがとうございます。不安がありながらも前向きにいきたいっていうのをこのコードに転換している気がして、それを僕の音楽とさせていただきました。

壁を突き破るために聴く1曲

続いて、関口シンゴはスティーヴィー・レイ・ヴォーンの『Tightrope』を選曲した。

Tightrope

関口:「Tightrope=綱渡り」というタイトルと、曲調もすごくかっこいいんですけど、困難に寄り添ってくれるというよりは、困難を打破するみたいな意味合いで選びました。スティーヴィー・レイ・ヴォーンのギターって、ブルースとかロックとかの壁を突き破るようなものすごく思い切りのいい、人の心にダイレクトに刺さるようなギタープレイなんですよね。スティーヴィー・レイ・ヴォーンの曲は全部好きで、いつも元気をもらっているんですけど、特にこの曲は……ミュージシャンをやってると迷うじゃないですか。自分のスタイルであったりとか。

Shingo Suzuki:ありますな。
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亀田:僕らの音楽に対して迷ったり悩んだりって、1日だけじゃなかったりしますもんね。1カ月とか2カ月とか。どうしようって。

関口:ありますね。大きな悩みもそうですし、目の前のプロデュース仕事のどっちのアレンジの方向で行くかとかもそうだし。自分に自信がなくなるときもありますから、そういうときに壁を突き破るために聴く感じですね。

亀田:(曲を聴きながら)かっこいい!

関口:綱渡りっていうタイトルでブルースだと、もっとスローブルースみたいなのがくるのかなって思いきや、すごくファンキーで明るいんですよ。綱渡りを楽しんでいるような。

亀田:「こんなことくらいあるよ」みたいな。

関口:そう。でも、歌詞はもうちょっと深い感じなんですよ。カラッとしてない。そのコントラストが魅力的な曲だなって思いますね。
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亀田:ギタリストとしてもレイ・ヴォーンに影響を受けてます?

関口:めちゃくちゃ受けてます。

亀田:関口シンゴさんのギターって、すごいおしゃれだし、最近ではチルっていう分野を確立していて。

Shingo Suzuki:でも、初めて会ったころは、スティーヴィー・レイ・ヴォーンのシグネチャーのギターを使っていたんですよ。

関口:それこそ、フジロックに初めて出演した2010年のときは、そのスティーヴィー・レイ・ヴォーンモデルで演奏しました。

亀田:初めてのフジのステージで!

関口:そうなんです。高校生のときに買ったギターで出ました。

亀田:いい話じゃないですか!

関口:先ほど言っていただいたチルとかジャジーとか、いろいろなスタイルで演奏するんですけど、最終的にライブで盛り上がったときには(スティーヴィー・レイ・ヴォーンのような)チョーキングとか思い切りのいい、迷いがない演奏だと思うので、そういうところもレイ・ヴォーンからすごく影響を受けています。
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フジロックでレッチリを見たら

Shingo Suzukiと関口シンゴに「困難に立ち向かったときに寄り添ってくれた音楽」を語ってもらったところで、亀田は3人に「忘れられないフジロックのライブ」について訊いた。

mabanua:いっぱいあるんですけど、僕は高校生のときからフジロックに来てるんですよ。レッチリ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)が『By the Way』を出したときに出演した2002年のフジロックで、僕は新幹線で会場まで来ていたんですけど、レッチリが観たいあまりに(新幹線の終電に間に合わず)帰れなかったんです。結局、埼玉方面に帰るフジロッカーが何人かいて、みんなで割り勘してタクシーで帰りました。
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亀田:いい話!

mabanua:そのときにレッチリを最後まで観るか、頭の1曲だけ観て帰るかって選択だったんですけど、お金と時間を使ったけど、全部観てよかったですね。全部ひっくるめて、いいフジロックだったなって。

亀田:帰りの行程とか仲間も含めてね。では、次はSuzukiさん。

Shingo Suzuki:僕は数年前のゲイリー・クラーク・ジュニアのライブですね。当時、あのギターにやられまくって、ギターのかっこよさはこれだなっていうところに、なんと来日すると知って。なので、自分のギターヒーローを間近で観られた感動と、しかもフジロックですからね!

亀田:たしかに。

Shingo Suzuki:もう、わーわー言いながらハチャメチャになってましたね(笑)。まわりのミュージシャンも最高にかっこよかったです。その年は自分も演奏する立場で来ていたんですけど、うまく時間があって、ゲイリー・クラーク・ジュニアのステージが終わってスッキリして「よし、いくぞ!」みたいな感じでした。

亀田:やる気も倍増したと。穏やかでいつもやさしいShingo Suzukiさんがハチャメチャにはっちゃけた姿を見てみたかったけどね。
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Shingo Suzuki:ちょっとおかしい状態だったと思います(笑)。フジロックだったからそうなったのもあるかもです(笑)。

亀田:(笑)。関口さんはどうですか?

関口:僕は、いちばん最初にフジに出たときに、コリーヌ・ベイリー・レイが出ていて。すごく好きで。夜のWHITE STAGEに出演していたんですけど、ちょっと雨が降っていたんです。でも、フジロックに行く前に「フジロックは雨でもいいんだよ」って聞いていて、「そんなわけないでしょ」って思ってたんですけど(笑)。でも、本当に雨と照明とコリーヌ・ベイリー・レイの音楽がめちゃくちゃシンクロしていて最高でした。

亀田:それはよさそう! 雨もまたフジロックの醍醐味ということで。

関口:本当にそう思います。
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<フジロック会場内最奥エリア「ORANGE CAFÉ」に構えたDEFENDERブースでの亀田誠治。まさに“フジロックの醍醐味”のようなスコールが降ったあとの一枚>

「いま、楽しまないとどうするんだよ」って

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そして最後に、mabanuaに「困難に立ち向かったときに寄り添ってくれた音楽」を尋ねたところ、Charaの『初恋』をセレクトした。

Chara 『初恋』

mabanua:僕が初めて音楽でご飯を食べられるようになったきっかけがCharaさんなんです。それはアルバム『Dark Candy』を一緒に作ったのがきっかけで。当時、僕はまだバイトもしていて。たまたま、僕が作ったトラックをCharaさんに聴いてもらう機会があって「いいじゃない。一緒にアルバム作りましょう」って言われて作り始めたのが最初でした。やっぱり不安もあれば、叱咤激励もあって。

亀田:叱咤激励!?

mabanua:ありました。それでできたときの「いいじゃない」っていうのも、本当にやってよかったって思える、その波がすごくて。それをすべてCharaさんから教わったなって。音楽を作るのは、そんなにパパっとやって「いいでしょ?」ってすぐに終わるものではないから。

亀田:たしかに。

mabanua:それを体験できるのも若いときなのかなって。この『初恋』は、そういうCharaさんの曲でもあるんですけど、サビの「今を愛する才能を呼び出して」という歌詞がとてもよくて。「明日、会社だな」とか「これ、大丈夫かな」「本当に嫌だな」といった思いとか、たとえば20代の終わりくらいのころに「30代って不安だな」ってなったりすると思うんですけど、そんなことを言っていたら、とある先輩に「30歳になったら、また40歳の不安とかくるよ」って言われて。「今日の不安があって、明日になったらまた明後日の不安が待ってるよ。いま、楽しまないとどうするんだよ」って。明日も仕事の方が多いと思うんですけど、いま、このフジロックを楽しまないで、いま不安がっていたらもったいないじゃんって。

亀田:(公開収録の観客に向かって)ふっきれた! いまから(楽しむん)だよ!

mabanua:そうなんですよ。いま楽しまないでどうするんだって。これはある意味、そうしようと思ってもなかなかできないことなので、いまを愛する才能をみんな持とうよって。

Ovallは6月にニューEP『Silent Storm』をリリース。9月には東京と大阪でビルボードライブ・ツアー「Ovall “Silent Storm” Billboard Live Tour」を開催する。

Ovall『Bloom feat. KIKI』

Ovallの最新情報は、公式サイトまで。
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『DEFENDER BLAZE A TRAIL』では、音楽を愛するゲストを迎え、人生に寄り添ってきた音楽、困難を乗り越えるときに出会った音楽について語り合う。オンエアは毎週日曜21時から。

(撮影=竹内洋平)

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