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「読むラジオ」が話題のお笑い芸人・九月、お悩み相談で意識する“抽象化”とは?

「読むラジオ」が話題のお笑い芸人・九月、お悩み相談で意識する“抽象化”とは?

お笑い芸人・九月が、おすすめコントを添えて質問に答える「読むラジオ」について語った。

九月が登場したのは、2月10日(月)放送のJ-WAVEの番組『PEOPLE’S ROASTERY』(ナビゲーター:長井優希乃)のコーナー「MY FIELD NOTE」。長井と曜日別のさまざまなジャンルの人々が好奇心を刺激するコーナーだ。

「読む」ラジオで話題の芸人が登場!

九月は、2019年よりピン芸人の活動をスタート。ライブや、ライブ映像の動画配信、Xのアカウント「九月の『読む』ラジオ」にて寄せられた質問に文字で答えるなど、その活動内容は多岐にわたる。

長井:ライブや配信以外にも、YouTubeチャンネルで「九月の『観る』ラジオ」、エッセイの執筆や学校での講演もされているんですね。九月さんは、もともと教育を学ばれていたんですよね?

九月:そうですね。大学、大学院では教育学部でした。

長井:京都大学教育学部を卒業されて、京都大学大学院教育学の修士課程修了を経て、芸人さんになられたということで、今日はいろいろお伺いしたいと思います。まずはXの「九月の『読む』ラジオ」のお話をしたいです。「読む」ラジオの読者の方々からいろいろなおたよりが届いて、それに答えていらっしゃいますよね。内容はお悩み相談が多いですか?

九月:それが半分と、本当にどうでもいいのが半分みたいな感じですね。

長井:「魚が世界を牛耳っていたらどうなりますか?」みたいなおたより、ありましたね(笑)。

九月:あれは嫌やったわ~(笑)。なんで「もし魚に文明があったら」を考えんとあかんのやろって思いながら(笑)。

長井:おたよりに対して九月さんがけっこうな分量でお返事をして、必ずご自身のコントを添えるんですよね。めちゃくちゃ面白いので、みなさんもぜひ「九月の『読む』ラジオ」を見ていただきたいです。「九月の『読む』ラジオ」は、いつからやっているんですか?

九月:最初に作ったのは2019年ぐらいなんですけど、今の形でやるようになったのは2022年だと思います。

長井:もともとおたよりを集める形式でやろうと思って始められたんですか?

九月:そうですね。ひと昔前に「Ask.fm」っていうSNSが流行っていたのを覚えてます? それをちょっとだけやったんですけどしっくりこなくて、そのなかでコントとかを紹介しながらおたよりも双方向にやる方法があるなと思ったんですね。それでアカウントを作ってやり始めました。

コントのアイデアはどこから得る?

九月がこれまでに生み出してきたコントは約6,000にもおよぶ。コントはどのような着想を得て誕生するのだろうか?

長井:日常のどういうところからコントに至るんでしょうか? たとえば、私は「成人式の市長の挨拶」が好きで、ちょっと泣きそうになりました。

九月:ちゃんと観てくれていてうれしい(笑)。

長井:自分の心に寄り添ってくれたり、涙が出そうになったり、あとは本当にくだらないものがあったりと、いろんなコントがありますよね。アイデアはどこから得ていますか?

九月:人間のまわりにあるものって、全部どうにかしたら面白いだろうと思っているんですね。なので、何を扱うかだけ決めて、あとはこれがどうだったら面白いかみたいなのを、いろんな角度から眺めてみています。

長井:同じものを見ても、そこに面白さを見出せる人と見出せない人がいると思うんです。日常の面白さとか、おかしさにいつ頃から気付きましたか?

九月:記憶に残っているもので言うと、小学校1年生のとき、担任の女性の先生が厳しい方だったんですよ。それこそ、『ハリー・ポッター』シリーズのマクゴナガル先生のような。

長井:イメージしやすいです(笑)。

九月:帰りの会か何かのときに、急にその先生が脈絡なく「ちょっと鼻くそが出てきた」と言ったことがあったんですよ。そのときに「鼻くそって言っちゃいけないだろ!」と思ったんですよね(笑)。それを見たときにアリなんだというか、人前で鼻くそと言っていいと思っているんだって感じて。クラスのみんなはその違和感に気付かなかったんですが、僕だけ椅子から転げ落ちるぐらい笑っちゃって心配されたんですよ(笑)。それが原体験ですかね。

悩みの根底には人々の“あるある”がある

多角的な視点による回答で多くの人々から支持を得ている「九月の『読む』ラジオ」。九月が言葉を紡ぐ点で意識していることは何だろう?

長井:お悩みに答えるときに意識していることや気を付けていることはありますか?

九月:“一般化”することを心がけています。恋愛相談と見せかけて実は人間関係全般に言えることだったり、お金がないっていう話のようだけど、生活環境や幸福をどうやって確保するかの話だったりするんですよ。(内容を)一段上げると、いろんな人が読んで共感できる話になるし、本人の生活の領域に踏み込み過ぎなくていいから、全部一段階だけ抽象化する、みたいなことをやってるかも。

長井:なるほど。会ったことのない方のお悩みを聞くのは難しそうだなと思っていたのですが、抽象化されているからこそ、読む人は自分事のように感じるんですね。

九月:そうですね。誰しもの“あるある”になるまでは戻すイメージです。

長井:すごい技術だと思います!

読むだけでラジオのような感覚になれる文体

九月が2023年9月に発売した書籍『走る道化、浮かぶ日常』(祥伝社)は、ぼんやりと感じていた日常生活のなかの違和感を、独自の視点で言葉を当てはめていくエッセイとなっている。

長井:めちゃくちゃ面白かったです。日常のさまざまなことが書いてあるんですけど、たとえば「センスがいいと言われるとちょっと微妙かも」とおっしゃっている章がありましたよね。ゴッホやピカソに対してセンスがいいとは言わないし、センスを褒められたときの気持ちみたいなのって、みんながわかるものだと思うんですよ。読んでいると自分のことを書かれている気持ちになりました。

九月:うれしい!

長井:書いているときはどういう気持ち、どういうモチベーションで書かれていたんですか?

九月:九月が今まで生きてきた、自分の人生の“あるある”を書きつつ、それが人間の“あるある”になっていたらいいなと思いながら書きました。そういう読み方をしていただけるなら、書いてよかったですよ。

長井:先ほど、一段上げるといろんな人が共感できるというお話がありましたけども、この本でもそちらを感じましたね。実は、書くのがすごく速いそうですね?

九月:そうですね。3,000字ぐらいなら約30分で書けますし、のってたら1時間で1万字ぐらい書けます。

長井:すごい。私は九月さんの文章とトークどちらも大好きなのですが、喋っているときと書いているときの違いはありますか?

九月:正直、喋っているときのほうが楽ですよ。文章を褒められるようになったのはあとになってからなので、自分でも書けると思っていなかったんです。たまたま人に褒められるようになって、力を入れるようになりました。

長井:文章を読んでいるとお喋りしている感じもあるんですよね。「九月の『読む』ラジオ」って、たしかにラジオ感があるんですよ。

九月:ラジオだったらいいなと思っているので、うれしいです!

長井:みなさんもぜひエッセイをお手に取ってみてください。ライブのスケジュールは九月さんの公式XYouTubeチャンネル「九月劇場」でご覧いただけますので、そちらもぜひチェックしてください!

J-WAVE『PEOPLE'S ROASTERY』のコーナー「MY FIELD NOTE」では、曜日別で登場するゲストが人々の好奇心を刺激する。放送は月曜~木曜の14時ごろから。

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番組情報
PEOPLE'S ROASTERY
月・火・水・木曜
13:30-16:00