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「イラッとする自慢話」と「ハッピーになる自慢話」の違いはなんだろう? “哲学対話”で考える

「イラッとする自慢話」と「ハッピーになる自慢話」の違いはなんだろう? “哲学対話”で考える

「自慢話は人を刺激するのはなぜ?」をテーマに哲学対話をおこなった。

この内容をお届けしたのは、長井優希乃がナビゲートするJ-WAVEの番組『PEOPLE’S ROASTERY』。多彩なゲストとのトーク、世界のミュージックシーンから集めた心地よい音楽をお届けする。「MY FIELD NOTE」のコーナーでは、長井と曜日別のさまざまなジャンルの人々が好奇心を刺激する。6月26日(水)のオンエアの模様をテキストで紹介。

2024年7月3日28時まで

みんなが幸せな気持ちになる自慢もある?

「MY FIELD NOTE」では、日替わりでさまざまなゲストが出演。水曜日は「哲学」をテーマに、哲学研究者の永井玲衣さんとトークを進行。日々のモヤモヤに立ち止まり、誰かと一緒にグルグル考える「哲学対話」をおこなう。

哲学対話には、3つの約束事を設定。

1:よく聞くこと
2:自分の言葉で話す
3:「人それぞれ」で諦めない


今回の問いは「自慢話は人を刺激するのはなぜ?」だ。まず長井が、「幸せをシェアする」タイプの自慢話について話す。

長井:以前、中学校の先生をして、人生初の担任をやったことがあるんですね。初めての保護者会のときに何かテーマを設定したほうがいいと、いつも保護者が盛り上がっている先生がアドバイスをくれたんです。「うちの子ども自慢は楽しくて盛り上がったよ」と言ってくれて、私も真似することにしたんですよ。

永井:それはいい!

長井:保護者の方は普段、なかなか「この子はこんなところがいいんです」と言う機会がないからか、超盛り上がりました。みんなが幸せを感じられる時間になりますし、聞くのも楽しいんですよね。

永井:ほっこりするし私も聞きたいなって思いました。でも、それって「うちの子自慢」だから、“私”の自慢じゃないですよね。たとえば「私って本当に発想力があるんですよね」と言ったら、SNSの場だと炎上する可能性がある。他にも、一見自虐っぽく見せて「私って本当におっちょこちょいで人に助けられてばっかりなんです」って書くと「愛されアピールかよ!」みたいな反応が来ますよね。

長井:よく燃えてる!

永井:すごく嫌われますよね。みんな自慢に心が刺激されちゃうのかな。

長井:たとえば「聞いて聞いて。私の発想ってすごくない?」だったらあまり嫌な感じがしないかも?

永井:たしかに。

自慢したいことがある場合、ストレートに伝えるほうが相手に不快感を持たせにくいのではないか、と長井は考える。

長井:とはいえ、ストレートに「僕は学歴がすごいんだ」と言ったら微妙かもしれない。「ハーバード大学に受かったんだよね」と言ったら拍手を送るかもしれないけど、そのときの拍手は努力に対してなのかな?

永井:自慢に対してよりも「大変ご苦労なさったんですね」の拍手かもしれないですね。

自慢話を不快に感じる原因を考える

続けてふたりは、自慢が不快に感じるかどうかの線引き、自慢の定義について考える。

永井:私はあまりブランドに興味がないんですけど、たとえば「ブランド物のバッグを買っちゃった」と自慢されたときに、「羨ましいでしょう?」というアピールに嫌な感じがするのかも。

長井:ちょっとマウントを取りたい自慢のときですね。たとえば、さっきの子ども自慢にしても「うちの子は〇〇大学に合格したけどそちらはまだでしょう?」と言われたら嫌ですよね。相手を下に見るための自慢って“真の自慢”じゃないって思っちゃう(笑)。

永井:真の自慢っておもしろいいですね。私が嫌なのって、自分が望んでいない競争に参加させられる自慢なんですよ。「玲ちゃんもこのブランドが欲しいでしょう?」と思われているのが嫌です。

長井:そういうことか。

永井:自慢は常に競争を前提とするのか、それとも優希乃さんが言ってくれたようなハピネスをシェアするものなのか。ただ、幸せのシェアって「嬉しさ報告」じゃないですか?

長井:たしかに! それって自慢ではない?

永井:わかんない。どっちが真の自慢なんだろう?

長井:のど自慢は?

永井:あれはハピネスシェアでしょ(笑)。

長井:のど自慢、大好き(笑)。じゃあ、「〇〇自慢」とは言うけれど、私が自慢だと思っていたことはハピネスシェアだったのか。

永井:競争が前提になっちゃうのかな。いい自慢もありそうな気がするんだけどなあ。

長井:ワンちゃんがかわいいっていう自慢って基本的に最高じゃないですか。でも、もしかしたらマウントのための自慢もあるのかも? 何にせよ、テーマがワンちゃんだろうが物だろうが、そこに“マウント感”があると嫌だってこと。みんな自慢が嫌じゃなくて、マウントが嫌なの。

永井:それのほうが適切な気がする!

長井:でも、いい刺激もありませんか? たとえば「この前、世界一周してきたけどめっちゃ楽しかった!」だと、ある一面からすると自慢になりますよね。だけど、それを聞いて「私も世界一周しよう!」といい影響を受ける場合もある。人によって自慢の捉え方って違うかもしれない。

永井:そうなのよ。本人はそのつもりがなくても自慢と捉えられてしまうこともある。(自慢かどうかは)受け手が決めるの? 発信者が決めるの?

自慢が“失敗”に終わるのはどんなケース?

リスナーから寄せられたメッセージでは、自慢の「成功」と「失敗」についての意見が寄せられた。

リスナー:よくないほうの自慢話は聞き手に嫉妬や羨望の感情を抱かせたら成功で、興味がないと思わせたら失敗ということになるのでしょうか? そうだとすると、自慢話はどちらに転んでもいい結果にならないと思います。しかし、それでも人は自慢話してしまうというところにモヤモヤさせられるのかなと考えました。

永井:自慢の成功と失敗って面白い観点ですね。マウントを取ってくる嫌な感じの自慢をする人は、反応が薄いと自慢が失敗したってことになるんですね。

長井:もっと興味がある自慢をしなきゃって思っちゃうのかな?

永井:それはそれで大変(笑)。

改めてふたりは、自慢話だと感じる条件について考える。

永井:自慢ってどこで決まるんだろう?

長井:相手がそう思っていなくても、嫉妬の心を抱いてしまったときが自慢になってしまう? 言葉の性質が変わってしまうこと? 自慢ってなんて難しいんだ。

永井:面白い問いだなあ。

長井:ハピネスシェア系自慢はどんどんしてほしいし、していきたい!

J-WAVE『PEOPLE'S ROASTERY』のワンコーナー「MY FIELD NOTE」では、曜日別で登場するゲストが人々の好奇心を刺激する。放送は月曜~木曜の14時ごろから。

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2024年7月3日28時59分まで

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番組情報
PEOPLE'S ROASTERY
月・火・水・木曜
13:00-16:00