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「上手に話をするコツ」「外国語を学ぶ意義」サッシャ&ノイハウス萌菜が獨協大学で出張講義

「上手に話をするコツ」「外国語を学ぶ意義」サッシャ&ノイハウス萌菜が獨協大学で出張講義

J-WAVEの番組『STEP ONE』のナビゲーターを務めるサッシャ、ノイハウス萌菜が12月21日、「出張講義」と称したトークイベントを獨協大学で開催した。獨協大学は、サッシャの出身校だ。

出張講義では、国際的に活躍する人材になるためにはどんなことが求められているかなど、これから世の中に出て活躍したいという夢を持つ学生に向けてトーク。また、番組の中では2人が気になる海外ニュースをお伝えするコーナー「CHINTAI GLOBAL BEATS」があり、番組を届ける上で意識していることも語られた。ここでは、その様子の一部をお届けする。

外国語を学ぶ意義とは?

グローバル社会で活躍できる人材になるためには、外国語で自分の考えや情報を相手に伝え、折衝、交渉ができる運用力が求められる。出張講義が行われた教室には、英語、フランス語、ドイツ語など外国語を専攻する学生も多く集まった。

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サッシャはドイツ・フランクフルト出身、小学4年生から日本育ち、そして獨協大学出身であり、日本語、ドイツ語、英語を話せるトリリンガル。そこでサッシャは言語を学ぶことの重要性を、学生に向け説いた。

サッシャ:言葉というのは、まず喋るための道具です。その一方で、言葉を知れば自分と他者との違いを知ることができるし、同じであることを感じるきっかけになる。そして言葉を学ぶということは、世界各国の文化を知るということだと思います。

世界では2023年になった今でも争いがなくならないけれど、お互いのことを理解しないからこそ、争いは勃発します。その上で、お互いを理解するためには、やはり言語を把握していないとならないんですね。

みんなが各国の言語・文化を理解していれば、人間に対し、恐怖心はなくなっていきます。情報化社会になり、共通言語の英語を話せる人が増えて、言葉の壁は取り除かれつつあり、紛争自体も昔に比べたら少なくなってきています。そういう意味でも、多くの言葉を扱える人は世界にとって貴重な人材です。“言葉を学ぶ”という意識ではなく“文化を学ぶ”、その先に道具としての言葉があると考えてくれるとうれしいと思います。

イギリス育ちでドイツ人と日本人のハーフであるノイハウス萌菜も、多言語を学ぶことで世界のカルチャーの成り立ちを知ることができると、実感を語る。

ノイハウス萌菜:言語はあらゆる分野の入り口になると思っています。例えば、食事、音楽など、さまざまな物事の成り立ちが、言語を学ぶことで見えてきます。そして言語を学ぶことで、いろんな道に進むことができます。私も大学生の頃は自分自身がこの先どんなキャリアに進むのか、わからなかったけれど、言語は社会のさまざまな入り口になると考えて欲しいと思います。

「記事の構成」にトーク力を上げるヒントがある!?

そんな社会では多くの職種で否が応でもコミュニケーション能力が求められるだろう。そういう意味でも言語は「入口」となるが、特別講義の中では、コミュニケーション力に悩む学生から、J-WAVEナビゲーターとして活躍する2人に「上手に話をするコツは?」という質問が投げかけられた。

ノイハウス萌菜:本当は私も話すことが苦手なんです。すごくシャイですし、まさか喋ることを生業にするなんて思っていませんでした。(質問を投げかけた学生と)同じように順序立てて話すことを意識したこともありますけど、かといって意識し過ぎてしまうと、パッションというか、本当に伝えたいことが置き去りになってしまいます。

まずはうまく話すことよりも“相手に伝えたい気持ち”を大切にしてください。それさえあれば、相手もしっかり理解しようと努めてくれます。仕事でも、聞いてほしいという熱量さえあれば、相手は耳を傾けてくれるはずです。上手に話すコツは、私も模索中ではありますが、最近はそんな風に思えるようになりました。

一方、サッシャは新聞やネットにおける「記事の構成」からの学びに言及した。

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サッシャ:例えば新聞やネットニュースの記事を読むことでも、トーク力を向上させることができます。話しというのは大きくわけて、オチを最初に言うか、最後に言うかの二択です。新聞を読むと、必ずタイトルがありますよね。つまりそれが「オチ」です。そして、その下に2行程度のリードがある。これがこの記事内で、2番目に伝えたいことです。そのような構造を理解することで、話を順序立てて説明する訓練になるわけです。

日頃、スマホを見る中で「このネット記事はどういう風に文章を組み立てているんだろう」と理解しようと努めることで、話の構成力が自然と身につきます。私自身もまだまだではありますが、「CHINTAI GLOBAL BEATS」で取り扱っているニュースからも、人に情報を伝える技術を学んでいます。普段からそういうことを意識しながら、情報に接することで、物事を伝える技術は格段に向上していくと思います。

仕事において「大変」と「苦痛」は違う

これから社会へと羽ばたいていく学生からは「ラジオの仕事をしていて大変なことはありますか?」という素朴な質問も寄せられた。

サッシャ:たくさんあります。大変だからこそ仕事なんですよ(笑)。ただ、大変と感じるかどうかは自分次第。仕事はなんだって大変なんですけど、楽しいと思えるかどうかが重要で、努力を努力と思わず、仕事に邁進できるかで大きく人生は変わってきます。だからこそ、言い方を変えればある意味大変なことは「ない」から続いているとも言えます。

私は「ツール・ド・フランス」の実況をしているのですが、以前、来日してきた世界のトップ選手に「毎日に200kmは走るのは大変じゃないんですか?」と質問したんです。すると「あなただって好きなことをやっているときは大変じゃないでしょう? 楽しいよ」と言ったんです。信じられなかったけれど、私もラジオを苦痛だと思わなかったことが恵まれているんですよね。

ノイハウス萌菜:私もこれまでいろんな仕事をしてきましたけど、全部大変ではありました。ラジオは3年目でサッシャさんに比べると、まだまだ初期のチャレンジがたくさんある環境ですけど、大変というよりは挑戦と捉えていて。極論、仕事は生きるか、死ぬかの問題ではないし、大変だという思いはあるけれど、乗り越えた後に人間としての成長や楽しみが待っています。

チャレンジは一生与えられるものではないので、今、大変だと思うことは、ありがたいことでもあるんです。ポジティブな意味に聞こえすぎるのは違うのかもですけど(笑)。ただ、仕事はなんでも終われば「やってみてよかったな」と思えるので、まずは楽しさを見出すような意識で働いてみてください。

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サッシャ:そうですね。2人揃って質問にしっかり返せていないかもしれないけれど(笑)、「大変じゃない」と自分に暗示をかけて、楽しむように努力をしているが正解かもしれないですね。

2人のバイブルは?

好きなものを突き詰めた先に今のキャリアを築いているサッシャとノイハウス萌菜に「本や映画などで自身のバイブルになった作品はありますか?」という質問が届けられた。

ノイハウス萌菜:私は、イギリスに住んでいた頃は、日本語の本をあまり読んでなかったんですけど、その中で『14歳からの哲学 考えるための教科書』(著:池田 晶子)という本がバイブルと言えるかな。それを読んで、物事の考える幅が広がっていって、今でもその本は思考をする上での軸になっていると思います。

サッシャ:私はチャールズ・チャップリンの無声映画です。喋らずに伝えるスゴさみたいなものを感じました。2つ目は噺家さんによる落語。音声だけでどう伝えるかという究極の形だと思います。ラジオナビゲーターという視点から見ても勉強になりますね。3つ目は『徹子の部屋』(テレビ朝日系)。徹子さんのインタビューは神です!徹子さんは、すべての資料を揃えておきながら、初めて聞いたリアクションができるんですよね。

それこそ、獨協大学4年生のときに、ゼミ以外の単位は取得していたので、週4で『徹子の部屋』を見ることができていたんですけど(笑)、「徹子さんはスゴい!」と思って以降、ラジオナビゲーターとしてもあの姿を参考にしています。

自分だけの情熱を持ち、あらゆることに関心を持とう

特別講義の最後にはこれから社会に出ていく学生に向けてのアドバイスが2人から贈られた。

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サッシャ:繰り返すようですけど、努力を努力と思ってしまうとあまりよくないと思います。「好きこそものの上手なれ」の精神で自分と他者を比べない。例えば、私はモータースポーツが大好きなんですけど、私よりも詳しい人はごまんといるし、ラジオで言えば例えば音楽も私より詳しい人はいる。どんな分野にも、自分よりスゴい人というのは必ずいるんですね。

でも、情熱というのは指標にはできないんです。“誰よりも好き”という感情は自分自身で大切にしておけばいい。その情熱に関して、誰よりも負けてないという気持ちを持つことが日々の充実に繋がると思います。

ノイハウス萌菜:そういう気持ちを大事にすることで、自分と人を比べることもなくなりますよね。比べ過ぎるとどうしてもつらくなるし、自分らしく生きるためにはどうしたら良いのかを考える方が、成長にも繋がっていくと思います。

「CHINTAI GLOBAL BEATS」では、海外の興味深いニュースを伝えていますが、“日本では取り上げないような話題を”という視点でネタ選びをしています。日頃から新聞やネットの情報でも、広い視点で見ることで、自らの考え方も広がっていくと思います。私もストローをきっかけに環境問題に興味を持ったことで、そこから人生が変わったように感じています。日本で大きく重要視されていない話題でも、極めればその人にとっての長所になるので、ぜひ、さまざまなことに興味を持ってください。この先のご活躍を祈っています。

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<出張講義では、CHINTAIのマスコットキャラクターのチンタイガーも2人の応援に駆けつけてくれた>

出張講義に集まった学生たちは、サッシャ、ノイハウス萌菜の人生経験を踏まえたトークに熱心に耳を傾けていた。単位には繋がらない特別な講義ではあったが、普段の授業とはまた違う意味での有意義な時間となったことだろう。

(取材・文・撮影=中山洋平)

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