俳優・松田美由紀が、多岐にわたるクリエイティブ活動や、他界した夫・松田優作について語った。聞き手は、クリエイティブディレクターの高崎卓馬。
松田が登場したのは、9月1日(金)に放送されたJ-WAVEの番組『BITS&BOBS TOKYO』(ナビゲーター:高崎卓馬)。
松田:私の夫の松田優作は三十数年前に死んじゃったんですけど、伝説の俳優と言われていまして、死んじゃっているのに、いろいろなお仕事をいただくんです。写真集だとかDVDだとかエキシビションだとかコマーシャルだとか、いろいろなお仕事をいただいて。実はそれの影武者を私がやっています。
高崎:影武者?
松田:デザインとか全部作っているんです。
高崎:いま初めて知りました。
松田:コマーシャルも横について作ったり、エキシビションの本も。一番私が頑張ったやつでは、『松田優作全集』(幻冬舎)という本がありまして、4年かけて1冊の本を作りました。
高崎:デザインも編集も中身も。
松田:全部です。「ヤフオク!」から優作のいろいろなものを集めるところまで。あとはテレビ局の倉庫に行って写真を全部フィルムで探したり。だからちょっと「この人、大丈夫?」みたいな(笑)。
高崎:(笑)。
松田:それだけ優作に対しての愛が深かったので、人に任せられなかったんですね。
高崎:そうですよね。ご自分じゃないと。
松田:それでたまたま私にその才能があったのかなと思うんです。優作の全集を作ってから、なにかそういうクリエイティブなエネルギーみたいなものがブワーッと膨らんで。そこから写真もやりだして。
高崎:すごい。
松田:フリーペーパーの編集長をやったり。俳優は表向きのちょろっとした顔で、実はいろいろなことをやってきているんです。
高崎:「やりなさい」と言われているような気がしません? 優作さんが「やってごらん」と言っている感じが。
松田:というか、優作が私の才能を拾ってくれたのかなって。松田優作という人はもういまの時代だったら知らない人も多いと思いますが、すごく特別な人でした。優作のことを仕事にすると、私のレベルが何段階も上がるんです。自分のためだけのことだったら大して上がらないんだけど、優作のことにスイッチが入るとボンボンボンボンってステージが上がるというか。すごく不思議で。
高崎:不思議な感覚なんですか?
松田:不思議な感覚です。だからいわゆる自分の作品を作り出そうと思うと、自分のなかのレベルは実はあまり大したことがなくて。でも優作が前に立っていると、私がすごく成長するんですよ。
高崎:すごいなあ。
松田:それで人が変わっちゃうんです、私が。
高崎:普段ものを作る仕事をしているんですけど「自分が尊敬する人と仕事をしなさい」と昔よく先輩に言われていて。そうすると必然的に背伸びをする。背伸びをしているとちゃんと自分の背が伸びるから、とにかく自分がいつかやってみたい人とか、自分が憧れた人に頑張って食らいつけと言われました。その感じでしょうか。
松田:たぶん愛だと思うんです。優作は早くに、40歳で亡くなっちゃったわけで。でもずっと優作の影響がものすごく私にとって強くて。優作の作品をやっていると愛が続くんですね。変な言い方だけど、一緒にものを作っている感じがあって、そばにいる感じ。だからすごく楽しいし、すごく幸せなんですよ。だから仕事のようで仕事ではない、不思議な感じかな。
高崎:すごいなあ。全部やられていたというのは知りませんでした。
松田:もう何十年間。『松田優作全集』から始まって。
高崎:本を作るといろいろなことができるというか、写真だったりとか、いろいろなところに広がってきますよね。
松田:最初『松田優作全集』を作るときに、デザイナーの人が何人も候補にあがりました。それで「いや、この人じゃないです」と言って、最終的に「じゃあどうするんですか?」と言われて「私がやります」と。そうしたら「美由紀さんは俳優さんで、そんなのなにもできないですよ」と言われて。私はMacも触れなくて、なにもできなくて、切り貼りしていったんです。
高崎:でも一番いいかもしれない。
松田:そうしたら根負けして「じゃあオペレーターの人をつけるのでやってください」と言われて、そこから本当に3、4年かかりました。大作中の大作で、編集部もそれだけ付き合ってくれて、本当にありがとうございましたって。パチンコの台も私がデザインしているんですよ(笑)。
高崎:(笑)。
松田:優作の『探偵物語』のパチンコの台も実は私が作っているんですね。パチンコ会社の人とずっと打ち合わせして作ったりしてやっていて。本当に面白いんです。そのときはさすがにMacとかイラストレーターとかそういうことをわかっていないとプロの人に言えないということがわかって、学校に入りました。
高崎:えー! すごい。
松田:その勉強をやりながらパチンコ台を作っていたんです。「生徒なのにパチンコ台作ってるってなんなんですか」みたいな感じでやったりして(笑)。
制作秘話を明かした松田は、9月8日(金)の同番組でも引き続きトークを繰り広げる。オンエアは25:00-25:30。
松田が登場したのは、9月1日(金)に放送されたJ-WAVEの番組『BITS&BOBS TOKYO』(ナビゲーター:高崎卓馬)。
再生は2023年9月8日28時59分まで
「松田優作の影武者」
松田は俳優のほかにも写真家、映像監督、歌手など多岐にわたって活動。そのきっかけについて語った。松田:私の夫の松田優作は三十数年前に死んじゃったんですけど、伝説の俳優と言われていまして、死んじゃっているのに、いろいろなお仕事をいただくんです。写真集だとかDVDだとかエキシビションだとかコマーシャルだとか、いろいろなお仕事をいただいて。実はそれの影武者を私がやっています。
高崎:影武者?
松田:デザインとか全部作っているんです。
高崎:いま初めて知りました。
松田:コマーシャルも横について作ったり、エキシビションの本も。一番私が頑張ったやつでは、『松田優作全集』(幻冬舎)という本がありまして、4年かけて1冊の本を作りました。
高崎:デザインも編集も中身も。
松田:全部です。「ヤフオク!」から優作のいろいろなものを集めるところまで。あとはテレビ局の倉庫に行って写真を全部フィルムで探したり。だからちょっと「この人、大丈夫?」みたいな(笑)。
高崎:(笑)。
松田:それだけ優作に対しての愛が深かったので、人に任せられなかったんですね。
高崎:そうですよね。ご自分じゃないと。
松田:それでたまたま私にその才能があったのかなと思うんです。優作の全集を作ってから、なにかそういうクリエイティブなエネルギーみたいなものがブワーッと膨らんで。そこから写真もやりだして。
高崎:すごい。
松田:フリーペーパーの編集長をやったり。俳優は表向きのちょろっとした顔で、実はいろいろなことをやってきているんです。
「優作が私の才能を拾ってくれた」
松田は「夫への愛」が活動の原動力なのだと語った。高崎:「やりなさい」と言われているような気がしません? 優作さんが「やってごらん」と言っている感じが。
松田:というか、優作が私の才能を拾ってくれたのかなって。松田優作という人はもういまの時代だったら知らない人も多いと思いますが、すごく特別な人でした。優作のことを仕事にすると、私のレベルが何段階も上がるんです。自分のためだけのことだったら大して上がらないんだけど、優作のことにスイッチが入るとボンボンボンボンってステージが上がるというか。すごく不思議で。
高崎:不思議な感覚なんですか?
松田:不思議な感覚です。だからいわゆる自分の作品を作り出そうと思うと、自分のなかのレベルは実はあまり大したことがなくて。でも優作が前に立っていると、私がすごく成長するんですよ。
高崎:すごいなあ。
松田:それで人が変わっちゃうんです、私が。
高崎:普段ものを作る仕事をしているんですけど「自分が尊敬する人と仕事をしなさい」と昔よく先輩に言われていて。そうすると必然的に背伸びをする。背伸びをしているとちゃんと自分の背が伸びるから、とにかく自分がいつかやってみたい人とか、自分が憧れた人に頑張って食らいつけと言われました。その感じでしょうか。
松田:たぶん愛だと思うんです。優作は早くに、40歳で亡くなっちゃったわけで。でもずっと優作の影響がものすごく私にとって強くて。優作の作品をやっていると愛が続くんですね。変な言い方だけど、一緒にものを作っている感じがあって、そばにいる感じ。だからすごく楽しいし、すごく幸せなんですよ。だから仕事のようで仕事ではない、不思議な感じかな。
高崎:すごいなあ。全部やられていたというのは知りませんでした。
松田:もう何十年間。『松田優作全集』から始まって。
高崎:本を作るといろいろなことができるというか、写真だったりとか、いろいろなところに広がってきますよね。
切り貼りからスタートして、学校にも通った
『松田優作全集』の制作から始まったという松田の新たなクリエイティブ活動だが、当初は手探りの状態だったという。松田:最初『松田優作全集』を作るときに、デザイナーの人が何人も候補にあがりました。それで「いや、この人じゃないです」と言って、最終的に「じゃあどうするんですか?」と言われて「私がやります」と。そうしたら「美由紀さんは俳優さんで、そんなのなにもできないですよ」と言われて。私はMacも触れなくて、なにもできなくて、切り貼りしていったんです。
高崎:でも一番いいかもしれない。
松田:そうしたら根負けして「じゃあオペレーターの人をつけるのでやってください」と言われて、そこから本当に3、4年かかりました。大作中の大作で、編集部もそれだけ付き合ってくれて、本当にありがとうございましたって。パチンコの台も私がデザインしているんですよ(笑)。
高崎:(笑)。
松田:優作の『探偵物語』のパチンコの台も実は私が作っているんですね。パチンコ会社の人とずっと打ち合わせして作ったりしてやっていて。本当に面白いんです。そのときはさすがにMacとかイラストレーターとかそういうことをわかっていないとプロの人に言えないということがわかって、学校に入りました。
高崎:えー! すごい。
松田:その勉強をやりながらパチンコ台を作っていたんです。「生徒なのにパチンコ台作ってるってなんなんですか」みたいな感じでやったりして(笑)。
制作秘話を明かした松田は、9月8日(金)の同番組でも引き続きトークを繰り広げる。オンエアは25:00-25:30。
再生は9月8日(金)のオンエア開始から9月15日(金)の28時59分まで
この記事の続きを読むには、
以下から登録/ログインをしてください。
radikoで聴く
2023年9月8日28時59分まで
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
番組情報
- BITS & BOBS TOKYO
-
毎週金曜25:00-25:30
-
高崎卓馬