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大自然の中の「お菓子屋」さんがすごかった! ラ コリーナ近江八幡による、100年後も見据えた取り組みとは

大自然の中の「お菓子屋」さんがすごかった! ラ コリーナ近江八幡による、100年後も見据えた取り組みとは

滋賀県近江八幡には、大自然に囲まれた「お菓子屋さん」がある。1872年創業の老舗和菓子店「たねや」と、たねやの洋菓子部門からスタートした洋菓子店「クラブハリエ」のフラッグシップ店として2015年にオープンした、「ラ コリーナ近江八幡」だ。

J-WAVEでは、山の日である8月11日、「自然と人間の共生と調和」をテーマにした特別番組「J-WAVE HOLIDAY SPECIAL MEISUI presents A DROP INTO THE FUTURE 2023」をオンエア。番組の中で、ナビゲーターの浦浜アリサがラ コリーナ近江八幡を取材した。同所の魅力や、SDGsの取り組みを、浦浜とともに取材に訪れた番組ディレクターがレポートする。(J-WAVE NEWS編集部)

バームクーヘン「1本焼き」の販売や、伝統の「木型」の展示も

「ラ コリーナ近江八幡」は、自らの施設を「ここはお菓子屋さん」と表現する。だが、単に和菓子・洋菓子のショップとカフェがあるだけではなく、「自然に学ぶ」をコンセプトに、SDGsにも繋がる様々な取り組みに励んでいるという。「お菓子屋さん」のSDGsへの取り組みとはどのようなものだろうか?浦浜アリサが取材した。

念のためもう一度お伝えしておこう。ここは「お菓子屋さん」だ。

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案内いただいのは、ラ コリーナ近江八幡の広報、青木志歩さん。エントランスのドアをくぐり店内へ。浦浜は「甘くて最高に幸せな香りで満ちている」と歓喜。建物を見て「ここはお菓子屋さん」と言われたときに感じた期待が、より高まる。

まずは扉を入ってすぐ右手の洋菓子店クラブハリエへ。嗅覚を刺激されたあとに、視覚に飛び込んできたのは、巨大なバームクーヘン。

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浦浜:バームクーヘンが一番理想的な大きいスタイルで展示されている!
青木:丸太と呼んでいます。バームクーヘンは「一本焼き」もご用意させていただいているんです。縁起のいいお菓子なので、最近は結婚式、お誕生日などにご注文いただいています。
浦浜:1本まるまるでお買い上げになる方も?
青木:います。
浦浜:なんて幸せな重さなんだろう。

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バームクーヘンの誘惑を振り切って「クラブハリエ」の反対側(エントランス入って左側)にある和菓子の「たねや」に向かう浦浜。

和の雰囲気の空間の一角に、印象的な壁の装飾が……。

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青木:壁一面に、昔から使っていたお菓子の木型を展示しております。大きな鯛の木型とか。
浦浜:そうか、これ木型か! めでたいの鯛ですね。


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青木:この木型も職人さんが作ってくださっています。最近は木型を使うお菓子屋さんもだんだん少なくなってきて、木型を作る職人さんも、今、日本でどんどん減ってきてしまっていて。和菓子の文化を語るには欠かせないポイントの一つですので、ラ コリーナに展示して見ていただいて知っていただくきっかけになればなという形でディスプレイしております。

インパクト大! 成長していく「草屋根」

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洋菓子、和菓子、目も心も奪われてしまう魅惑の空間、ラ コリーナ近江八幡。その雰囲気を盛り上げてくれるのが、インパクト大な緑に覆われた屋根だ。青木さんによると、職人が芝を貼っているのだという。

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青木:「草屋根」と、私たちは呼んでいます。ラ コリーナ近江八幡の背後には八幡山がありますので、「八幡山を借景に近江八幡の景色を楽しんでいただけるようなお店にしたい」という思いが、コンセプトにあります。

緑によって、建物内が涼しいというメリットもあるとか。また、“見せかけのグリーン”ではないため、自然の変化も楽しめる。

青木:最初は芝がすごくきれいに整っていたんですけど、鳥や虫がいろんな植物の種を持ってきたので、いろんな植物がニョキニョキ生えているユニークな見た目になりました。いつどんな季節に来ても楽しんでいただけるような表情豊かなお店になっています。
浦浜:オープンした2015年が完成形じゃなく、まだ育ってるんですね。
青木:そうです。

青木さんはラ コリーナ近江八幡について、このようにも語っていた

青木:ここは、訪れるたび新しい発見に出会える場所。草におおわれた建物や森への小道。田んぼの小さな生き物など、あなただけのお気に入りのラ コリーナを見つけてください。

手作業で田植えも…「学びの田んぼ」とは?

青木さんが言及した「田んぼ」を、浦浜も見学した。店内の見学に続いて、浦浜はエントランスの反対側にある扉から外に出ると、大きな田んぼが広がっている。

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ここからはラ コリーナ近江八幡広報室リーダーの高曽津弥さんに御案内いただいた。

浦浜:まず最初の疑問。なぜいきなり田んぼが?
高曽:実際に、うるち米の食べられるお米を育てています。皆さんが普段召し上がる白米です。
浦浜:じゃあこの米は、たねやさんの和菓子作りに使われているお米とは別ということなんですか?
高曽:そうです。私たちが作物を育てる大切さ、この苦労を知るという大変さ、原材料を知るための“学びの田んぼ”です。

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浦浜は「トンボだ!」と歓声を上げる。自然がありのままに活かされた環境の中で、苗作りから田植えまでも従業員が行っているという。

高曽:春に1本1本、手で田植えをして、秋にはみんなで鎌を持って稲刈りもします。
浦浜:収穫まで、しかも釜を持って……ってことは手作業?
高曽:手作業です。苦労を知るための学びの田んぼなんです。自分たちがお菓子を売る前に、どんな材料が使われているかを知るとともに、無農薬で育てるので、「この近江八幡の町からオーガニックを広げていきたい」という思いもございます。

浦浜:どこまでもアナログにこだわってらっしゃる、愛情、すごく感じます。
高曽:今年は暑いですし、もしかしたら、たくさん実らないかもしれないです。また、秋よりも、もう少し早く稲刈りをしないといけないかもしれません。それが日曜日であっても営業中であっても、変わらず(稲刈りをします)。私たちは作物の成長とともに作業を進めていきます。お客様の中に、もし一緒にできる方がいらっしゃったら参加いただけたりもします。
浦浜:それ参加できた方、めちゃくちゃラッキーですよね。

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浦浜:もう一つ伺いたかったんですけど、たねやさん、クラブハリエさんは、持続可能なお菓子作りをされていると伺いました。どういったアクションを起こされているんですか?

高曽:洋菓子ですと、今まではバームクーヘンの(丸太の)端っこは、お客様のお手元に商品として届かない部分でしたが、見直しました。端までお客様に食べていただけるよう、職人が端までしっかり製品として焼くことで、捨てられるものを1グラムでも減らしたいという、そんな取り組みを洋菓子ではスタートしています。和菓子は、容器のプラスチック製品をアルミに変えたり、ペットボトルの入れ物を瓶に変えたりと、リサイクル可能なものに変えたりという取り組みをしております。

お話を伺いながら歩いていると、水路の脇で子供たちが声を上げていた。そこには生き物の姿が。

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夏休みの自由研究がこの場所でできてしまいそうなくらいの自然環境。ラ コリーナ近江八幡は、豊かな自然がある里山そのものだ。

バームクーヘン作りが見学できる

ここで、放送ではお伝えしきれなかった場所をひとつ。ラ コリーナ近江八幡に来たら欠かせない場所、メインショップとは別の建物の中に、バームクーヘンが”できるところ”を見学できるバームクーヘン専門店「バームファクトリー」がある。「あの丸太はこのように製造されているのか!」という驚きを感じられるはずだ。

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浦浜が取材で楽しみにしていたことの一つに、ラ コリーナ近江八幡内のカフェでの食事がある。お菓子も食事も、食材にこだわりがあるからだ。

取材を実施した日は、平日にも関わらず多くの一般客が訪れていた。そこで、カフェではなく、従業員のみなさんの休憩スペースをお借りすることに。従業員用というと更衣室に併設されたような簡素なスペースが頭に浮かぶが、ゆっくり過ごせる雰囲気のいい空間だ。マイボトルで水分補給ができるよう、浄水器も設置されている。これは「自然と共生する」というラ コリーナ近江八幡の想いに共感した浄水器メーカー・メイスイが提供した、特別仕様の冷水機だとか。

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浦浜がランチでいただいたのは、ラ コリーナ近江八幡内のカステラ専門店「栗百本」の人気メニュー「カステラたまごのオムライス」。

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浦浜:みんな大好きオムライス! ソースがクリアで、爽やかなトマトが乗っています。香りも和風だしの、すごいいい香り。
高曽:カステラショップ専門店の、原材料が(カステラと)同じ新鮮な卵を使わせていただいています。また中は白米ではなくて、ケチャップライスでもなく、古代米の赤米黒米を使ったごはんで食感もありますが、あっさりとお召し上がりいただけます。
浦浜:卵と和風だしをしっかりすくって……いただきます。

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浦浜:優しい味。めちゃめちゃ沁みますね。スープの割合も多めなので、後味さっぱりです。

100年後には森が…植樹ツアーも開催

心とお腹を満たされた浦浜アリサ。再び取材モードで高曽さんにお話を伺った。

浦浜:本当にたくさんのお客様で賑わっている施設ですね。今後の展望も含めて、ラ コリーナを通じて伝えたいことはありますか?
高曽:私たちの取り組みのひとつに、ガイトが敷地内を案内する「ラ コリーナツアー」があります。また、一緒に森づくりをしていただくというプロジェクトもありまして、このラ コリーナ近江八幡が50年後には林に、100年後には森になるような植樹ツアーも一緒に開催しております。
浦浜:私たちも一緒に! なにそれ、めちゃくちゃ楽しい!
高曽:この先もずっとずっとつながるようなラ コリーナ近江八幡の取り組みとして、学んでいきながら、お客様にも一緒に体感してもらえたらなと思います。

冒頭で紹介した、「ここはお菓子屋さんです」という言葉から想像できないほど、さまざまな取り組みを日常的に行うラ コリーナ近江八幡。日常的だからこそ、「ここは●●をしているお菓子屋さんです」ではなく、「ここはお菓子屋さんです」と言い切れるのだろう。

本文で紹介したことの他にも、お買い物をしに行くだけでは気が付かない様々な秘密・工夫があるラ コリーナ近江八幡。30分と60分のガイドツアー、植樹体験の出来る森づくり体験ツアーに参加するのも、思い出深い体験になるはずだ。

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店舗情報

ラ コリーナ近江八幡
滋賀県近江八幡市北之庄町615-1
営業時間 9:00-18:00(フードコート10:00-17:00)
アクセス:車の場合 名神高速道路 八日市IC 蒲生スマートIC 竜王ICから、いずれも30分。
電車/バスの場合 東海道新幹線米原駅>30分>JR琵琶湖線近江八幡駅>バス10分
公式HP https://taneya.jp/la_collina/
ラ コリーナツアー https://taneya.jp/la_collina/guide/tour/ ※要予約

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番組情報
J-WAVE HOLIDAY SPECIAL MEISUI presents A DROP INTO THE FUTURE 2023
2023年8月11日(金・祝)
9:00-17:55