正面から音楽と向き合うのは「レコードくらいの時間配分が理想」 スカート・澤部 渡が語る

澤部 渡（スカート）が、アナログの魅力とおすすめのアナログ盤の楽曲を語った。

澤部が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『RADIO DONUTS』（ナビゲーター：渡辺 祐・山田玲奈）のワンコーナー「MELLOW MORNING」。このコーナーでは毎月アナログ好きのゲストをセレクターとして迎え、毎週1枚ずつチョイスしたおすすめのアナログ盤をオンエアする。6月のセレクターを澤部が務めている。ここでは6月10日（土）のオンエアの模様をお届けする。

朝の番組なので、爽やかな楽曲をチョイス

澤部がチョイスした今週のアナログ盤は、ゾンビーズの編集盤『Time Of The Zombies』。

澤部：これは僕が高校生のときに、池袋にあるココナッツディスクで買いました。これはコンピレーションアルバムみたいになってまして、シングル曲を中心に未発表曲も入ってるA面と、B面には当時手に入りづらかった『Odessey and Oracle』っていうアルバムがまるっと入っているんです。『Odessey and Oracle』は今はだいぶ手に入りやすくなってるんですけど、高校生の頃はたぶんちゃんとしたアナログの再発とかもなかったはずで、当時『Odessey and Oracle』を聴こうと思ったら『Time Of The Zombies』くらいしかなかったんです。値段は2000円くらいだったんですけど、高校生からしたら大金で、勇気を出して買ったのをすごく覚えてます。

次に、澤部が選んだのは、『Odessey and Oracle』の1曲目に収録されている『Care Of Cell 44』。朝に相応しい爽やかな曲としてセレクトしたという。 澤部：朝の番組ですので爽やかな曲をと思って『Care Of Cell 44』にしました。とっても美しい曲なんですけど、やはり冒頭のピアノの気持ちよさですね。これはメロトロンという楽器を使っていて、ビートルズの『Strawberry Fields Forever』でも有名なんですけど、メロトロンはいわゆるサンプリングに似た手法の鍵盤楽器です。フルートの音色とか、人の声やオーケストラの音なんかがサンプリングされていて、このオーケストラの音を使ってメロトロンが奏でる音に非常にグッときちゃうんです。朝にきっと合うだろうと思って選曲しました。

人間の集中力なんて、アナログ片面くらい

同曲のアナログ音源が番組でオンエアされると、渡辺は当時のレコード購入の思い出について語った。

渡辺：ゾンビーズは1961年結成で、ビートルズやローリング・ストーンズと同時期のバンドということになります。この『Odessey and Oracle』というアルバムは1968年のリリースで、ゾンビーズの代表作と言われています。それがさらにコンピレーションアルバムになって、いろんなシングルとかも入って『Time Of The Zombies』という2枚組LPになって1974年にリリースされ、のちに高校生の澤部さんがそれをゲットしたということになりますね。当時の高校生にとってレコードを買うというのはもう必死ですよね。2枚あって「どっち？」って迷ってなかなか買えなかったりして、一人っ子とかお金持ちの友だちの家に行って「これ買わない？」って相談したりとかね（笑）。大変だったんですよ、作戦を立てて。

最後に、オンエア日の6月10日が「時の記念日」であることにちなんで、澤部のレコードを聴く時間について訊いた。

澤部：自分にとってアナログ盤で音楽を聴く行為は、正面から音と向き合うとアナログレコードの片面分くらいが人間の集中力なんてせいぜい（限界）だ、と思うわけで。興が乗れば両面通して聴ける程度の感覚だと僕は思っていて、今みたいに流し聞きもいいんですけど、ガッツリ向き合うとレコードくらいの時間配分が僕は理想だと思ってます。自分にとってレコードとは、手間がかかる分、愛おしいもので、時間をかけた分だけ自分に見返りがあることもある（笑）、そういうものだと思っています。

澤部 渡（スカート）の最新情報は、公式サイトまで。

『RADIO DONUTS』のワンコーナー「MELLOW MORNING」は、アナログレコードから流れる「良い音」でゆったり過ごす、至福の朝時間をお届けする。放送は8時30分ごろから。