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スピッツが全曲解説『ひみつスタジオ』 コナン主題歌は「本当にドキドキした」

スピッツが全曲解説『ひみつスタジオ』 コナン主題歌は「本当にドキドキした」

スピッツの草野マサムネ(Vo./Gt.)、三輪テツヤ(Gt.)、田村明浩(Ba.)、﨑山龍男(Dr.)がニューアルバム『ひみつスタジオ』の全曲解説した。

スピッツのメンバー全員がコメントで登場したのは、J-WAVEで放送された番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。オンエアは5月18日(木)。

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ニューアルバム収録曲をスピッツメンバーが解説!

スピッツは5月17日にニューアルバム『ひみつスタジオ』をリリース。このアルバムの収録曲について、全曲メンバーが解説した。



(1)i-O(修理のうた)

草野:『i-O』は「アイ・オー」と呼んでいます。ジャケットのロボットの名前がi-Oっていう。この曲はほぼ最後にできたので。でも最後にできたけどなかなかいい感じで仕上がったという意味で。いちばん新しい曲を1曲目に聴いてもらおうっていう。

三輪:これ1曲目かなってなんとなく思ったけどね。

田村:(三輪)テツヤがもうプッシュしたよね。

三輪:いつも(草野)マサムネがアルバムを作ってる最後のほうにすごいいい曲を持ってくるのね。全部いいの前提として。でも「もうこれで」と思うときに、それ以上のものがくる。その1曲が今回は『i-O』だったんだよね。俺の中では。

草野:最後のほうに出てくる曲って、なんか足りなかったものを埋めるためにっていう感じもあるから、それが作りやすさに繋がってるかもね。ちょっとこういうゆったりした曲ないなって思って。「修理」っていう言葉も象徴的というか。いろんなものの不具合とかが世の中で出てきていて、特にコロナ禍で。それをまた修理しながらやっていきましょうっていう歌だと思います。

(2)跳べ

草野:これは2年半前くらいに録ったんだっけ。

三輪:今思えば最初のセッションかな。『紫の夜を越えて』だけ録るのはもったいないから、もう1曲録ろうかってノリで(笑)。

草野:せっかくスタジオを押さえてるから。まだ本当にコロナ禍だったよね。

三輪:みんな半笑いでやってたから。うれしくて。

草野:そういうハジけた感じが出てると思います。

三輪:そういう意味ではこの演奏はこのときしかできないから、ライブで大丈夫かなみたいな。

田村:1曲目はそれこそアルバムの1曲目用に作られた曲なんだけど、この『跳べ』はそういうの全くなく、バンドで合わせたら楽しいんじゃないかっていうだけでやったレコーディングだからね。

(3)大好物

草野:(主題歌を担当した劇場版)『きのう何食べた?』の作品ありきで台本を読ませていただいて、イメージを膨らませて(作りました)。テーマがあるとすごくイメージがしやすいですよね。曲作ってると。自由に何でも作ってくださいって言われると意外と難しくて。これに合う感じでとか言われたほうがやりやすいタイプではありますね。素っ気ない言い方になると「クライアントの要望にお応えする」みたいな(笑)。でも意外と好きに作って大丈夫ですって言ってもらえることが多いんですけど、元になる作品があるとイメージしやすいですよね。しかも素敵な作品だったので。原作の漫画も読みましたし。

(4)美しい鰭

草野:(劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』の主題歌を依頼されて)マジでって思って。

三輪:本当に発表されるまでドキドキしたもんね。大丈夫かって。この曲が受け入れられるかなって。

田村:流れ的に、東京事変、BUMP OF CHICKENだったから、そういう流れで「俺ら?」って感じだった。

草野:やっぱりB'zとかのイメージが強いから。コナンの映画館で流れるっていうイメージを浮かべてたから、ドラムの音とかはけっこうこだわって。パンって響いてほしいって。映画館に観に行ったんですよ。コナンのTシャツ着て(笑)。

三輪:そうそう、アピールしてね(笑)。

草野:そしたら曲が入ってくるときの﨑ちゃん(﨑山)のドラムのフィルインが「この音、正解だったな」って思ったし、その辺はよかったなって思います。

(5)さびしくなかった

草野:クリント・イーストウッドが監督の『ヒア アフター』っていう映画があって、超能力者を描いている話なんですけど、超能力者がゆえに子どもとか友だちがいないんですよ。いろいろ見えちゃうから。みんな気味悪がって友だちにならないんですけど、この人はさみしい人だっていうのを描く象徴的なシーンが、いつも1人でご飯を食べてるってシーンで、それをちょっとイメージしながら書いて。

田村:それを聞いてたらレコーディングも変わってたかも。

草野:そうだったと思った。

三輪:それならレコーディング前に1人でご飯食べたのに。みんな背を向けて。

草野:冷たいおにぎりをね。1人でご飯を食べてもさみしいと思わなかったりもするんですけど、その映画で1人でご飯を食べてる主人公を見ると、なんかさみしそうだなって思ったから。

三輪:取り方によってこの歌詞もかなりグッとくるからね。

(6)オバケのロックバンド

三輪:今日はボーカルがみんな来てるよ(※この曲はスピッツ史上初めてメンバー4人全員がそれぞれメインボーカルを務めている)。

草野:勢揃い。

三輪:初めてだもん、長く音楽活動してクレジットに「ボーカル」って載るのは。だいたい「バックコーラス」とかだから。

草野:めざせSMAPでしょ。

三輪:ドリフです。だいたい俺たちから言ったんじゃないんだよ。マサムネが「これ歌ってもらうよ」って、マサムネの中でやることになってて。その中で俺たちが少しでも歌いやすいようにとかね。

田村:草野が歌うには低いのね。

草野:そうそう。

三輪:歌詞も各パートのわかりやすいように。

草野:一人ひとりオバケになってもらって。『怪物くん』みたいな感じで(笑)。フランケンシュタイン、ドラキュラ、オオカミ男みたいな。

﨑山:歌を録るときにマサムネがいろいろアドバイスしてくれたんだよ(笑)。

草野:そうだっけ。

﨑山:あんまり音程にとらわれないでとかいろいろ言ってくれて、楽しくやりました。

(7)手鞠

草野:これは(前作)『見っけ』のときからアイデアとしては出してたのかな。雰囲気は『見っけ』とは違うかなってことで先延ばしになって、今回録れたという曲で。歌詞はとっても今のスピッツっぽいかなってなんとなく。イメージですけど。1番と2番で、群れになじめない自分と、でも1人は嫌だなっていう自分の相反する部分とか、そういうのってコロナ禍だとさらによくわかったりして。賑やかなときはなんか群れになじめないなって思って、コロナ禍だと1人だと嫌だなって思ってる。わがままな心になってるっていうかね。

(8)未来未来

三輪:すごくハードロックな曲だなって思ったけどね。

草野:朝倉さやさんという民謡の歌い手さんに(ゲストボーカルを)お願いして。本物はすごかったですよ。スタジオで聴いて「うわー」って。本物だって思って。

三輪:民謡なんだけど、ボーカルスタイルがハードロックじゃんって、盛り上がったよね。

草野:最初、いろいろサンプリングして遊んでたりしてたんですけど、自分の作ったリズムパターンにいろんな音を乗っけたりして、その中の1つに民謡の声とか入れた曲もあって。これおもしろいなって思ったけどなかなか1つの曲のアイデアとして固まらなかったんですよね。ここにきてもう1回挑戦してみようって思って固めたんですけど。民謡を入れるんだったらサンプリングじゃなくて、ちゃんと歌ってもらったほうがパワーはあるんじゃないかなって。朝倉さやさんがスピッツの曲をカバーして歌ってくれている動画とかあげてくれてたので、たぶん断らないだろうと(笑)。オファーしても受けてくれるんじゃないかなって思って。

(9)紫の夜を越えて

草野:今回のアルバムでは1番古い曲で、『news23』のエンディングに使っていただくってことで。2020年の後半に作ってたんだよね。この夜は必ず明けるよねっていう感じの歌にしたいなって。よくないニュースも流れるだろうし、社会情勢だったり、政治だったり、大谷(翔平)くんのホームランのシーンとかいろいろあるところで、どこで流れても大丈夫なタフな曲にもしたかったし。でもアルバムはここから始まってるっていう感じかも。

田村:そうね。この話があって、レコーディングしようかってなったからね。それで『跳べ』も録ろうかってなったから、だからこれは先が見えないっていうか、アルバムをどうしようかってことじゃなかった。

草野:これサビのメロディーとか歌詞が浮かんだのが、駅のエスカレーターに乗ってるときで。みんながコロナ禍だけど出勤しなきゃいけない人が動いているのを見て浮かんだ。今思い出した。「なんか浮かんだ」と思って、人がいないところまで行ってスマホにメロディーと歌詞を入れたりしました。

(10)Sandie

草野:このメロディーのアイデアとかは本当に昔から、20年くらい前からあった曲で、引っ張り出してきて。サンディ・ショーっていうイギリスの60年代に人気だったシンガーの『Tomorrow』って曲のリズムパターンに近いなって思って、「Sandie」って仮タイトルを付けて。ファンクラブツアーで演奏したんですよね。

三輪:やったやった。そのときにお披露目して。

田村:でもレコーディングが終わったあとにしたんだよね。「Sandie」って中盤に録ったんだよね。

草野:そのときのライブではホーンとか入ってなかったから、ホーンアレンジバージョンはこのアルバムで初めて聴いていただけてると思います。ちょっと60年代のイギリスのポップスみたいなイメージかな。

(11)ときめきpart1

草野:タイアップ(※6月9日(金)公開の映画『水は海に向かって流れる』の主題歌)のお話をいただくまで、作品のことを存じ上げなくて。なので初めて原作の漫画を読ませていただいて、シナリオも見せていただいて。決して楽しいお話ではないんですよ。意外とシリアスというか。なのでどうしようかなっていう気持ちもあって、悲しげな曲を浮かべていたんですけど、映画の制作サイドからはポジティブな歌っていう要望もあったので、軌道修正してポジティブ方向にちょっと、さみしげだけどポジティブになれるような感じになっていきました。あと、ソロのバイオリンは初めて共演するかも。ストリングスはありましたけど、葉加瀬太郎さんのコンサートとかを観に行って、ソロのバイオリンもありかもと思って。けっこう、アメリカのプログレのバンドとかってバイオリンが入ってたりするんです。そういうのもイメージがあったし。

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(12)讃歌

草野:メロディーとかのアイデアはけっこう昔からあって、これでもかっていうカノン進行なんですけど。昔から賛美歌を聴くのが好きで。ハーモニーを。なのでそういう曲を1曲やってみたいなっていうイメージもありまして。佐々木詩織さんっていう声のすごくきれいなシンガーの方にお願いして重ねてもらったんですけど、今までスピッツではありそうでなかった曲かもしれないですね。

田村:『賛歌』とか『手鞠』とかをレコーディングしたしたときにアルバムが見えてきたというか。これは彩りの曲なんだろうなって。

草野:『手鞠』も『賛歌』もスピッツならではって感じかもね。ロックっぽい曲ってスピッツじゃなくても聴けたりするんでしょうけど、本当にバラードって曲とか。でも、こういうどっちとも言えないような曲こそがスピッツっぽいかもしれないですね。ゴージャスなように聴こえるけど、本当にシンプルなバンドサウンドでで。女性のコーラス以外は。

(13)めぐりめぐって

草野:これも『跳べ』と一緒でセルフプロデュースで。アップテンポな曲は、もともとスピッツは甘ちゃんのときはそういうバンドだったので、亀田誠治さんのアイデアを仰がなくても自分たちでできるかなってことでやってますけど、この曲も1曲目候補みたいな感じで作ったんです。当初。アルバムの1曲目ではあるんですけど、ライブの1曲目に演奏するような曲のイメージというか、RCサクセションの『よォーこそ』みたいな。みんなよく来てくれたな、みたいな感じを1曲目で歌うっていう曲に憧れもあったので、スピッツっぽいのかはわからないけど、そういう曲への憧れってロックバンドとしてはあるので、そういう曲をいつか作りたいって思ってて今回作ってみました。

Spotifyでは、今回お届けできなかった未公開部分も含むアルバム全曲をインタビューで解説したLiner Voice+ スピッツ「ひみつスタジオ」を公開している。



スピッツの最新情報は、公式サイトまで。

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J-WAVE『SONAR MUSIC』は、月~木の22:00-24:00にオンエア。

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