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「sio」鳥羽周作シェフ、センスを磨くために。“心地よくないもの”をインプットするのも重要

「sio」鳥羽周作シェフ、センスを磨くために。“心地よくないもの”をインプットするのも重要

フレンチレストラン「sio」のオーナーシェフ・鳥羽周作さんが、自宅の本棚の中身を語り、人生に影響を与えた一節を紹介した。

鳥羽さんが登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『ACROSS THE SKY』(ナビゲーター:小川紗良)のワンコーナー「DAIWA HOUSE MY BOOKSHELF」。4月16日(日)のオンエアをテキストで紹介。

さまざまなジャンルの書籍が納められた本棚

鳥羽周作さんは小学校の教員を経て、31歳で料理人に転向。2018年にオープンした代々木上原「sio」は、ミシュランガイド東京2020から4年連続一つ星を獲得している。業態の異なる8つの飲食店も運営しており、ほかにも書籍、YouTube、SNSなどでのレシピ発信、フードプロデュースなど、多岐にわたって「おいしい」を届けるため活動している。まず小川は、鳥羽さんの本棚の写真をチェックした。

小川:いろんなジャンルの本があるなと思ったんですけども、左のほうに固まっている英語の本は何ですか?

鳥羽:家具の本です。僕はもともと建築や家具が好きなので、そこらへんのラインナップがちょっとあったりしていますね。

小川:お店の「sio」も家具をこだわれていたりするじゃないですか。そういうのも本からヒントを得ているのでしょうか?

鳥羽:そうですね。家具とか建築とか、空間を大事にしています。写っているのは本棚の一部で、実家にまだまだいっぱいあります。本が好きなんですよね。

小川:漫画もありますね。『BLUE GIANT』(小学館)は、まさに今映画が公開されていますね。

鳥羽:みんなから「(主人公に)似ているから読んだほうがいいよ」とすごく言われました(笑)。

小川:そうなんですか! 漫画はジャズのお話ですよね?

鳥羽:そうです。このあいだもデザイナーのすごい方が来たときに、『BLUE GIANT』に出てくる奴みたいだなと言われたりしました。「俺、そういう風に見えてんだな」と思ったりしましたね(笑 )。

小川:愛されていますね(笑)。広末涼子さんの本もあるのが気になっています。

鳥羽:昔からファンなんですよ。

小川:本当に幅広いですけども、普段読むのもジャンルに捉われない感じですか?

鳥羽:そうですね。カルチャーの本も好きですし、料理の歴史はちゃんと勉強したいなと思っているんですよ。道元から利休にいったり、北大路魯山人の本を読んだりとか。基本的に文字を読むのは苦手じゃないんで、時間があるときは読むようにしています。

小川:もともとは教員をやられていたんですもんね。それもビックリしたんですよね。

鳥羽:キャリアとしてはおもしろいかもしれないですね。

小川:教員をやられていたことが、今も料理の世界で繋がったりすることはありますか?

鳥羽:やっぱり、何かを伝えていくという作業ですごく大事な部分があるんですよね。伝え方の手段としてのテクニカルな部分だったり、たくさんの人と会う際に経験として意味のあるものになっているんじゃないかなと思いますね。

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村上春樹が綴る作品の世界観が好き

鳥羽さんが最近読んだ本のなかで本棚に残したいと思った一冊は、村上春樹の新刊『街とその不確かな壁』(新潮社)だという。

鳥羽:ずっと昔から村上春樹さんの本は読んでいて、6年ぶりの新作なんですよ。

小川:4月13日に発売されたばかりですね。今は途中まで読まれているのですか?

鳥羽:そうですね。『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(新潮社)よりちょっと前のお話で、ずっと読んでいるとその文脈がわかったりするんですよね。ファンとしては待望の一冊だなと思っています。

小川:村上春樹さんの小説の、どんなところが鳥羽さんはお好きなんですか?

鳥羽:出てくるキャラクターが僕と正反対なんですよね。僕はわりと社交的な人間だと思われがちなんですけど、出てくる主人公って自分の世界観があって、わりとそこを深く掘り下げてくれるんですけど、そこがまったく自分にはない部分なんですよ。憧れみたいな部分と、一種の落ち着く場所を本に対して求めている感じがあると思いますね。

小川:鳥羽さんは本当にお忙しそうなので、本を読む時間はどこにあるんだろうと思っているのですが、読書の時間はちゃんと設けていらっしゃるのですか?

鳥羽:はい。(空き時間は)Netflixを観るか本を読むかですね。なかなか読む時間がとれないときもあるんですけど、寝る前とかに意識的にとるようにしていますね。

小川:いいですね。ずっと仕事だと息詰まるから、切り替えとして大事なんですかね。

鳥羽:そうですね。漫画も読み始めたら朝まで読んじゃうみたいな、ハマると集中して読んじゃうところがあります。

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センスを磨くためには努力の積み重ねが重要

鳥羽さんは、人生に影響を与えた一節として、アートディレクター・水野 学の書籍『センスは知識からはじまる』(朝日新聞出版)を挙げた。

「センスを磨くには、あらゆることに気がつく几帳面さ、人が見ていないところに気がつける観察力が必要です。よいセンスを身につけることも、維持することも、向上することも、研鑽が必要です」

小川:どういった本なのでしょうか?

鳥羽:センスとはどういうものかといった話や、どういう風にセンスを身につけるのか書いてある本です。くまモンをデザインされた方なんですけども、うちのレストランのロゴはだいたい水野 学さんに作っていただいています。僕にとってのメンター的な、非常に尊敬している方です。一流の方とお会いする機会があるなかで、センスがある方は本当に細かいところを気にしているんですよね。なので、この一節が気になった感じです。

小川:センスと聞くとどうしても生まれ持つというイメージがありますけども、研鑽していくものなんだっていうのがこの一節から感じますよね。

鳥羽:はい。以前、水野さんが「センスって、その場所その場所で適切なものを選べる力でもある」とお話をされていて。そういう意味では、いろんな物事を知らないとその場所に合わせたものを提案できないと思うんですね。まず物を知るっていうのは非常に大事だなと思うので、日々のなかで触れたり目にするものを注意深く観察してインプットできるようにするってのは心がけていますね。

小川:本当に。どこに“センスの源”が転がっているかわからないですからね。特に食事はセンスの集合体というか、盛り付け、器、空間、いろんなことが必要じゃないですか。そこのセンスを磨いていくために、鳥羽さんはどんなことをされているのですか?

鳥羽:僕としては心地いいものを大事にしている一方で、「この椅子座りにくいな」みたいな、心地よくないものも日々のなかでインプットするようにしています。細かいところを感じ取れるようなアンテナを張れるよう、毎日心がけているところはありますね。

鳥羽周作さんのドキュメンタリー映画『sio 100年続く、店のはじまり』は4月21日(金)から公開予定。詳細は公式ホームページまで。

『ACROSS THE SKY』のワンコーナー「DAIWA HOUSE MY BOOKSHELF」では、本棚からゲストのクリエイティヴを探る。オンエアは10時5分頃から。

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