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海外で「チップを払いたくない人」が増加中? その背景を考察

(画像素材:PIXTA)

海外で「チップを払いたくない人」が増加中? その背景を考察

J-WAVEの番組『STEP ONE』には、気になる海外ニュースをお伝えする「CHINTAI GLOBAL BEATS」というコーナーがある。ここでは2023年1月にオンエアされた同コーナーから、イチオシトピックを紹介する。

【オンエア:20223年1月31日(火)/ナビゲート:サッシャ、小林涼子】

チップの金額は10%~20%とけっこう高い

この日、取り上げたのは、AP通信による「海外でチップ払いたくない人が増えてきた?」という内容の記事だ。

サッシャ:日本だとあまりチップに馴染みがないけど、海外に行くと求められたりするので、日本で慣れていると「え? さらに払うの?」と困りますよね。

小林:「けっこうお高いな」という印象です。

サッシャ:国によってもパーセンテージが違います。僕のふるさとのドイツに行くと大体10パーセントぐらい。アメリカだと20パーセントだったりするときに本当にビックリします。

小林:ハワイに行ったときとかに20パーセントで、もうすでにクレジットカードの明細のところに入っていて訊き返したことがあります(笑)。

サッシャ:このチップは日本の感覚でいったら「そもそもなんで払うの?」みたいなところがありますよね。海外でもここにきて「私、払いたくない」という人が増えてきたというのが今回の話題です。SNSにたとえば「コーヒー1杯とかパン屋さんとかでなんでチップを払うの?」という不満の投稿が増えてきているらしいです。「お医者さんとか歯医者さんとかでは別にチップを払ってないのに、なんでコーヒー1杯を買っているのに払うの?」みたいなことを感じている人も増えてきたみたいです。

小林:あとは「オンラインで買った場合は?」とか。

サッシャ:オンラインの場合は、たとえば海外だとウーバーは個人の人がタクシーをやっているときは、降りたあとにチップを1ドル~1.5ドルとか、あとからプラスできるのはあります。

チップへの疑問は、電子マネーの導入が背景に

西洋社会を中心に以前からあるチップの歴史。コロナ初期には客足の減ったレストランに対して、あえてチップをはずむ人も出てきたのだとか。しかしその盛り上がりがひと段落すると、チップに疑問を持つ人が増えてきたという。

サッシャ:記事によると、背景はどうもいろいろあるんですけど、電子マネーが1つの大きな理由になるということです。これは当然そうですよね、現金だったらたとえば900円のお買い物ですとなったら1000円渡して「おつりはいらないぜ」ってできるじゃないですか。

小林:かっこいい(笑)。

サッシャ:電子マネーで「ピピッ」と払ったときにどうするの? みたいな。

小林:ピッタリ払えますよね。

サッシャ:900円と言われたときに「1000円でピピッしてください」みたいな。ちょっと面倒くさいし言いにくいですよね、というのが1つ。それが理由でお店がチップを勝手に上乗せするケースがけっこう増えてきたんです。

小林:そうなんですね。

サッシャ:インクルーデッド(チップ込み)にしていると。それで「え? 20パーセント分のサービス受けてないんですけど。なんで(チップはこちらの)気持ちなのに店側に指定されるの?」という不満がけっこう増えてきました。

「誰にチップを払ったか」があいまいになる事情も

また、サッシャは電子マネー化に加えて「情勢の変化」を理由に挙げた。

サッシャ:もともとウェイターさんなどは給料が低めで、最低賃金よりも低い場合もあったりするみたいなんです。それで(ウェイターが)チップで稼ごうとすると、お店側にしてみるとサービスの質が上がります。「頑張った人にはいっぱいお金をあげるよ」ということなんですが、これって反対に言えば「お金を払わないとちゃんとしたサービスできませんよ」ということじゃないですか。日本は別にお金をもらわなくてもちゃんとサービスをする国民です。だから日本は恐らく世界的にも珍しい意識の国というか、制度としてのチップを必要としない国だと思います。やっぱりどうしても“にんじん”が必要というかね。

小林:まあ、そうですよね。

サッシャ:昔はレストランやカフェに行くとウェイターさんがバックを持っていて、そこに売り上げを入れていました。売り上げをあとで引いて残った現金が自分のチップとして残るんです。ところが電子マネーになるとどうなるかというと、お客さんがチップを誰に払ったかがあいまいになる。結局電子マネーでチップを上乗せして払っても……。

小林:一旦、お店側の利益になってしまう。

サッシャ:それをチップ分だけあとで従業員に等分配するというシステムになってきているんですって。そうなると払っている側も「あなたに払っているつもりなのに、みんなに分配されて違うウェイターさんにチップがいくんだったら別に払いたくないな」ということもあるじゃないですか。

小林:私は海外のウーバーを日本から頼んで、友人の誕生日を祝うというのをやったんです。「着いたら私の代わりにハッピーバースデーを歌ってください」というお願いをしたんですが、すごく歌ってくださって。それにはチップを払いたいです。

サッシャ:払いたい!

小林:「私は行けないから私の代わりにお祝いをしてくれてありがとう」とやりたいけど、じゃあハワイで食べたあのインクルーディングされたチップはどうなのかって。同じチップとして考えると確かにちょっと気持ちが違うかも。

サッシャ:「私は20パーセント分のサービスをしたんだから払ってね」と言われても「違うじゃん」みたいな。

小林:「だったかな?」と訊かれると「そうでもないかもな」と思っちゃいます。

サッシャ:電子化が一番大きな理由だとは思うけど「みんなで分配されるんだったら別に最初から値段上げておいてくれたら、それでいいじゃん」という話にもなってきているのかなと思います。

日本のサービスに心のチップを

話題の結論は「海外ではチップへの疑問視が出てきた」ということだったが、2人は日本在住者ならではの結論も出した。

サッシャ:日本は楽だね(笑)。

小林:そうですね。

サッシャ:日本人はサービスする側の意識が高いからというのもあると思います。日本の場合はこういう問題は起きないですからね。

小林:チップって日本で育った私としてはすごく不思議な文化だったんです。当たり前にみんながキチッとしたサービスをおこなっている国だから。海外に行くとやっぱり「日本すごいな」と思う機会が多くて。

サッシャ:そうなんです。お金を払うことによってちゃんとしたサービスをしてくれるのもいいことだけど、逆に言うとお金の量を見てサービスを変えてくる人とかもいるから、それもどうかなというのはあると思います。

小林:ただ、キチッとしたサービスを提供されることに慣れちゃいけないなという気持ちもあります。

サッシャ:それはそう。日本が当たり前だと思っちゃいけないですね。

小林:ちゃんとみんなお給料もらっているから当たり前なんだけど、それ以上にキチッとしたサービスをしてくださる方々に対して感謝。「私たちお客様が神様なんだ」じゃなくて、「ありがとう」という気持ちは、心のなかでチップをちゃんと出せるようなマインドでいたいなと思います。

サッシャ:おっしゃる通りです。むしろ日本のみなさんにチップを送りたいです。

J-WAVE『STEP ONE』のワンコーナー「CHINTAI GLOBAL BEATS」では、番組独自の視点で世界を見渡し、国内ではまだ知られていない話題やニュース、ニューミュージックをお届け。放送は月曜~木曜の12時5分ごろから。

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