小説家の燃え殻が、青春時代に衝撃を受けたバンドや、最近注目するアーティスト、自身がナビゲーターを務めるラジオ番組について語った。
前回に続き燃え殻が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談議を繰り広げる番組だ。オンエアは3月10日(金)。
【前回の記事】BE:FIRST・LEOに感じた“プロとしての凄み” ライブ後の衝撃を小説家・燃え殻が語る
燃え殻:ブルーハーツの詞が沁みて。たとえば小沢健二さんとかとはまた違う、いろんなものを削いで削いで残った言葉をオーディエンスの人たちが受け取ったときに、さらにその言葉が強度を増して深みが出るみたいな、そういうような詞で。それは小沢健二さんとは真逆かもしれないですけど。世代というのもあり、ここから自分が大人になる不安とか、今自分のいる場所の苛立ちとか、そういうものを代弁してくれる人って勝手に思っていました。
クリスに「甲本ヒロトさんとお会いしたことあります?」と訊かれた燃え殻は「まったくないです」と答える。
燃え殻:尊敬しすぎてお会いしたくない人っていませんか?
クリス:その気持ちはわかります。でも甲本さんは会ってもやっぱりって思うと思う。ステージのペルソナと全然違いますけど、普段はすごく穏やかでシャイな方で。でもこれだけステージでぶち切れる人はたぶん穏やかなんだろうなって(笑)。
燃え殻:自分が高校生のときに甲本さんを見ていて、長生きしてほしいって思ってたんですよ。外見も変わらず音楽はずっと新しいものを出しながら支持されていて、ずっといろんな人たちに影響を与えるものを出していて、本当に強度が強い曲や詞を出してくれてる人なんだなと思って。高校のときに長生きしてほしいって思ったものとはまた違う、すごく強度が強いアーティストだったと思いました。
クリス:じゃあ、けっこうパンクとか好きだったんですか?
燃え殻:そうですね。世代なんですけど、その頃のものが好きで、パンクかはわからないけど、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTとか、その辺の音楽を雑多にですけど聴いてましたね。
クリス:バンドブームっていうと『イカ天』全盛期みたいな感じですよね。
燃え殻:そうですね。BLANKEY JET CITYとかちょうどそういうものを大音量で聴いて、母親から「いい加減にしなさい」って怒られるような時期だったかなって思います。
燃え殻:僕は最近、さらささんというアーティストを知って。ずっと震えているような声と詞の世界観を聴いていると、自分が深夜にラジオ番組を持たせていただいているっていうのもそうなんですけど、真夜中にいろんなことがあって家に帰ってきて、うつ伏せでベッドに沈むようにして寝るときに聴きたい音楽って、さらささんの声だなって思って大好きなんです。
クリス:すごくピュアというか、いそうでいないタイプなんですよね。
燃え殻:詞も独特なんですけど、この周波数というか曲、声という音が、1日終わってどんどんエンプティみたいになっているところに沁みるみたいな感じですね。
【関連記事】さらさが「Amber」で表現した“自分らしさ”とは
前回、小沢健二の詞を写経のように書いていた過去を明かした燃え殻に、クリスがこんな質問を投げかける。
クリス:燃え殻さんは曲を聴いているときに歌詞が入ってくるのか、それとも読んだほうが詞が入ってくるのか。
燃え殻:読んだほうが入ってきますね。曲を聴いているときってメロディや声に魅了されてしまうんですけど、詞をそのあとに読むと「こういうことを歌っていたのか」とか。もしくはメロディ関係なく、その詞の世界がもう1つの楽しみに思いますね。
クリス:文字って面白いですよね。情報を得る文字と、詞のような部分だと、言霊ってよく言うけど、文字自体が何か宿すような感じもありますしね。
燃え殻:小説を書いたりエッセイを書いたりって、余分なこととは言いませんけど、その情景とかいろいろなものを表現できるんです。でもメロディもある楽曲の詞って最小限の言葉で世界観とか情景を伝えるので、1つ1つの言葉が強かったり、その言葉を入れることによって突然景色が見えるみたいな。たくさんの言葉を使って見える景色ってもちろんあると思うんですけど、最小限の言葉を使って見える景色に僕はめちゃくちゃ興味があります。
クリス:ナビゲーターをやられていてどうですか?
燃え殻:最近ちょっと楽しくなってきました(笑)。緊張しますし、自分の今までやってきたものを書くこととかとはまったく違う筋肉を使うというか。慣れたとは言えないですけど、そこに集ってくれるメールやリスナーの方、そういうようなものが少しずつわかってきて、同じ時間を共有してるっていう。僕は深夜ラジオが大好きだったんで、そういうような時間に自分も参加できているような気がして、最近ちょっと楽しいです。
クリス:深夜放送って独特の雰囲気というか独特の領域ですからね。他の時間帯にはない魔力みたいなものがありますから。
燃え殻:ありますよね。みんなで秘密を共有しているみたいな。
クリス:そうなんですよ。
燃え殻:みんなで内緒で待ち合わせしてるみたいな感じがあって、僕はラジオの深夜放送が大好きですね。まだ誰かが起きてるとか、人の声が聞こえると安眠効果があるというか安心効果があるというか、とっても弛緩するというか。そういうのを僕は経験したことがあるので、そういう番組になったらいいなって思っています。
最後に「今後やっていきたいことは?」とクリスが質問した。
燃え殻:僕はテレビの仕事を20年続けたんですけど、今やってる仕事を長く続けてみたいなって思います。いろいろなことをやるっていうのももちろんあるんですけど、今やっている仕事を長くやることによっていろいろな人たちと安心してつながれたりすることが人生の経験上あるので、ものを書くというのはすごく難しいんですけど、長く続けられるような作家になれるように頑張りたいなってちょっと思います。
燃え殻の最新情報は、オフィシャルTwitterまで。
番組の公式サイトに過去ゲストのトーク内容をアーカイブ。オンエアで扱った音楽の情報も掲載している。
・過去ゲストのアーカイブページ
https://www.j-wave.co.jp/original/otoajito/archives.html
『SAPPORO BEER OTOAJITO』では、毎週さまざまなゲストを迎えてお酒を飲みながら音楽トークを繰り広げる。放送は毎週金曜23時から。
前回に続き燃え殻が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談議を繰り広げる番組だ。オンエアは3月10日(金)。
【前回の記事】BE:FIRST・LEOに感じた“プロとしての凄み” ライブ後の衝撃を小説家・燃え殻が語る
すごく強度が強いアーティストだと思った
青春時代はバンドブームだったと振り返る燃え殻。その中でもTHE BLUE HEARTSが「衝撃的に好きだった」と話す。燃え殻:ブルーハーツの詞が沁みて。たとえば小沢健二さんとかとはまた違う、いろんなものを削いで削いで残った言葉をオーディエンスの人たちが受け取ったときに、さらにその言葉が強度を増して深みが出るみたいな、そういうような詞で。それは小沢健二さんとは真逆かもしれないですけど。世代というのもあり、ここから自分が大人になる不安とか、今自分のいる場所の苛立ちとか、そういうものを代弁してくれる人って勝手に思っていました。
クリスに「甲本ヒロトさんとお会いしたことあります?」と訊かれた燃え殻は「まったくないです」と答える。
燃え殻:尊敬しすぎてお会いしたくない人っていませんか?
クリス:その気持ちはわかります。でも甲本さんは会ってもやっぱりって思うと思う。ステージのペルソナと全然違いますけど、普段はすごく穏やかでシャイな方で。でもこれだけステージでぶち切れる人はたぶん穏やかなんだろうなって(笑)。
燃え殻:自分が高校生のときに甲本さんを見ていて、長生きしてほしいって思ってたんですよ。外見も変わらず音楽はずっと新しいものを出しながら支持されていて、ずっといろんな人たちに影響を与えるものを出していて、本当に強度が強い曲や詞を出してくれてる人なんだなと思って。高校のときに長生きしてほしいって思ったものとはまた違う、すごく強度が強いアーティストだったと思いました。
クリス:じゃあ、けっこうパンクとか好きだったんですか?
燃え殻:そうですね。世代なんですけど、その頃のものが好きで、パンクかはわからないけど、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTとか、その辺の音楽を雑多にですけど聴いてましたね。
クリス:バンドブームっていうと『イカ天』全盛期みたいな感じですよね。
燃え殻:そうですね。BLANKEY JET CITYとかちょうどそういうものを大音量で聴いて、母親から「いい加減にしなさい」って怒られるような時期だったかなって思います。
ベッドに沈むようにして寝るときに聴きたい音楽
燃え殻は最近注目のアーティストとして、湘南出身のシンガーソングライター・さらさを挙げた。さらさ - Amber [Official Music Video]
クリス:すごくピュアというか、いそうでいないタイプなんですよね。
燃え殻:詞も独特なんですけど、この周波数というか曲、声という音が、1日終わってどんどんエンプティみたいになっているところに沁みるみたいな感じですね。
【関連記事】さらさが「Amber」で表現した“自分らしさ”とは
前回、小沢健二の詞を写経のように書いていた過去を明かした燃え殻に、クリスがこんな質問を投げかける。
クリス:燃え殻さんは曲を聴いているときに歌詞が入ってくるのか、それとも読んだほうが詞が入ってくるのか。
燃え殻:読んだほうが入ってきますね。曲を聴いているときってメロディや声に魅了されてしまうんですけど、詞をそのあとに読むと「こういうことを歌っていたのか」とか。もしくはメロディ関係なく、その詞の世界がもう1つの楽しみに思いますね。
クリス:文字って面白いですよね。情報を得る文字と、詞のような部分だと、言霊ってよく言うけど、文字自体が何か宿すような感じもありますしね。
燃え殻:小説を書いたりエッセイを書いたりって、余分なこととは言いませんけど、その情景とかいろいろなものを表現できるんです。でもメロディもある楽曲の詞って最小限の言葉で世界観とか情景を伝えるので、1つ1つの言葉が強かったり、その言葉を入れることによって突然景色が見えるみたいな。たくさんの言葉を使って見える景色ってもちろんあると思うんですけど、最小限の言葉を使って見える景色に僕はめちゃくちゃ興味があります。
深夜ラジオは内緒で待ち合わせしてるみたいな感じ
燃え殻はJ-WAVEで毎週火曜26時から放送の番組『BEFORE DAWN』でナビゲーターを担当して1周年を迎える。クリス:ナビゲーターをやられていてどうですか?
燃え殻:最近ちょっと楽しくなってきました(笑)。緊張しますし、自分の今までやってきたものを書くこととかとはまったく違う筋肉を使うというか。慣れたとは言えないですけど、そこに集ってくれるメールやリスナーの方、そういうようなものが少しずつわかってきて、同じ時間を共有してるっていう。僕は深夜ラジオが大好きだったんで、そういうような時間に自分も参加できているような気がして、最近ちょっと楽しいです。
クリス:深夜放送って独特の雰囲気というか独特の領域ですからね。他の時間帯にはない魔力みたいなものがありますから。
燃え殻:ありますよね。みんなで秘密を共有しているみたいな。
クリス:そうなんですよ。
燃え殻:みんなで内緒で待ち合わせしてるみたいな感じがあって、僕はラジオの深夜放送が大好きですね。まだ誰かが起きてるとか、人の声が聞こえると安眠効果があるというか安心効果があるというか、とっても弛緩するというか。そういうのを僕は経験したことがあるので、そういう番組になったらいいなって思っています。
最後に「今後やっていきたいことは?」とクリスが質問した。
燃え殻:僕はテレビの仕事を20年続けたんですけど、今やってる仕事を長く続けてみたいなって思います。いろいろなことをやるっていうのももちろんあるんですけど、今やっている仕事を長くやることによっていろいろな人たちと安心してつながれたりすることが人生の経験上あるので、ものを書くというのはすごく難しいんですけど、長く続けられるような作家になれるように頑張りたいなってちょっと思います。
燃え殻の最新情報は、オフィシャルTwitterまで。
番組の公式サイトに過去ゲストのトーク内容をアーカイブ。オンエアで扱った音楽の情報も掲載している。
・過去ゲストのアーカイブページ
https://www.j-wave.co.jp/original/otoajito/archives.html
『SAPPORO BEER OTOAJITO』では、毎週さまざまなゲストを迎えてお酒を飲みながら音楽トークを繰り広げる。放送は毎週金曜23時から。
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番組情報
- SAPPORO BEER OTOAJITO
-
毎週金曜23:00-23:30
-
クリス・ペプラー