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曽我部恵一が思う自由とは「一歩一歩、おびえながらも進んでいくこと」

曽我部恵一が思う自由とは「一歩一歩、おびえながらも進んでいくこと」

シンガーソングライター・曽我部恵一が、新曲の制作エピソードや人生の転機について語った。

曽我部が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『BLUE IN GREEN』(ナビゲーター:甲斐まりか)のワンコーナー「LIFE WITH GROOVE」。ここでは1月21日(土)のオンエアをテキストで紹介する。

一発録りのよさは“やわらかさ”

曽我部がボーカルとギターを担当するサニーデイ・サービスは、2022年11月にアルバム『DOKI DOKI』をリリース。ソロとしては、シングル『カモン!/東京ぐらし』を1月6日にリリースした。『カモン!』は江崎グリコ「ビスコ」のウェブCMとして書き下ろされた楽曲だ。

甲斐:どちらも散歩をしているときに聴きたくなる曲でした。『カモン!』は愛おしさを、『東京ぐらし』は人間が感じている切なさをテーマに書いているのかなと思いました。

曽我部:どちらも生活のなかで思うようなことを書きました。『カモン!』は昼で、『東京ぐらし』は夜って感じかなあ。

甲斐:どういうきっかけで生まれたんですか?

曽我部:『カモン!』は歌詞にも出てくるんですけど、10巻ある漫画の1巻だけが見つからなくて。絶対に持っていたはずなんですけど。1巻が出てこなくって誰に訊いても「知りませんよ」って言われちゃって。失くした僕の漫画の1巻は、ひょっとしたらどこかの街の古本屋の店先で100円コーナーに並べられたりしていて、天気がいいから本が輝いているような、そういう絵がバッと浮かんで(歌詞を)書きました。

甲斐:最初の歌詞は日常から引っ張り出した言葉だったんですね。

曽我部:そう。まだ1巻は出てこないよ。

甲斐:そろそろ買ったほうがいいかもしれないですね(笑)。『東京ぐらし』はどういうきっかけで?

曽我部:月がきれいな夜があって、それで「Yellow Moon」みたいな言葉が出てくる曲を作りたいなって思ってなんとなく歌っていたらできた曲です。

甲斐:Yellow Moonは色が濃く見える黄色い月ですよね。なぜその言葉を?

曽我部:月が大きく見えるときってありますよね。そういうときってちょっと気持ちが不思議ですよね。

甲斐:パワーを感じますよね。

曽我部:数学的なことで、ビルの近くにあるから大きく見えるんだよって言われるけど、もっと神秘的な何かがある気がしちゃうでしょう? 月を見て思うことは実はいろいろあって、そういうなかでできた曲って感じです。

甲斐:どちらの曲も日常からきているんですね。今回、伊賀 航さん、北山ゆう子さん、エマーソン北村さんが参加された一発録りだったとお聞きしました。一発録りだとより生っぽさが出るのでしょうか?

曽我部:出る! 一発録りってマイクの前にみんなが楽器を持って並んで、せーので演奏して終わりなんですよ。普通の、多い作り方はオケに歌を重ねていくんですけど、そうすると何回も録り直しができるし、うまくもできるんです。ただ、最初にあった緊張感とか未完成な部分とかがなくなっていくんですよ。僕は完成する前の、形になる前の“やわらかさ”みたいなものが好きだから、そうやって録ろうと思ったんです。

甲斐:やわらかさを活かす一発録りだったんですね。みなさんもぜひそこに注目しながら聴いてみてください。

曽我部が考える自由とは?

曽我部にとって、人生の転機となった出来事は何だったのだろう?

曽我部:一番大きいのは、結婚をして子どもができて家族を持ったことかな。結婚と子どもができるのがほぼ同時だったのと、20代からやっていたバンドを1回休止して1人になったんですね。それが1つの転機だったかな。30歳のとき。

甲斐:自分の生活がガラリと変わったんですね。やっぱり家族の存在って大きいですか?

曽我部:うん。それまでは24時間音楽って感じだったんですけど、奥さんがいて子どもがいて自分がいて、自分はこれからどうやって生きていこうかって改めて考えたんですね。

甲斐:音楽と家族の両立を考えたということですか?

曽我部:そうそう。バンドがあったときはバンドの音楽を作っていればよかったんだけど、1人になったときにどんな音楽を歌えるのかなってすごく不安で新鮮だったんです。自分は1人になったときに歌手として何かできるのかなって。すべてがフレッシュで手探りで、自分のやり方で一歩ずつ進めた感じ。家族と一緒にやり始めたって感じかな。

甲斐:1人になると自分の作りたいものを自由に作れるアーティストは多いと思うんですけど、そういう楽しさもありましたか?

曽我部:うん。自分のやり方を見つけていく、やっていくのが結局、自由だと思うんですよ。自由って謳歌するものだっていうイメージがあるけど、そうでもなくって。一歩一歩、おびえながらも進んでいくことが自由なんだろうなってことがそのときに体感できたかな。

甲斐:そう思われてから、書く言葉とか歌詞は変わってきましたか?

曽我部:変わってきました。自分の言葉で自分のことを歌うっていう、シンプルなことなんですけど、それができないと。人前で自分のことを歌うんだから、ちゃんと自分自身を見つめるのがすごく大事だなと思いましたね。

甲斐:自分と向き合うってなかなかできないですよね。

曽我部:でもそれが僕らの仕事だから。自分を表現したものを見てもらって聴いてもらって、受け取った人も元気がもらえるとかね。僕もいろんな音楽を聴くとき、誰かの表現を見るときはそういう勇気や元気をもらったりするから、自分もそうでなきゃいけないなって気がする。なかなか自分を見つめるのってパワーがいるんだけど、頑張ってやっていこうとは思っています。

サニーデイ・サービスは、2月10日(金)東京・LINE CUBE SHIBUYA公演を皮切りに、全国ツアー「サニーデイ・サービス TOUR 2023」を開催予定。詳細は公式サイトまで。

『BLUE IN GREEN』ワンコーナー「LIFE WITH GROOVE」では、ゲストの今を形作った出会いや体験を訊く。放送時間は12時55分ごろから。

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