小学生が気づいた「未来のために重要な4つの“つ”」とは? 東京、イギリス、滋賀の生徒がSDGsの学びを発表

SDGs達成に向けて、私たちにできることは何なのか――。東京・イギリス・滋賀の小学生グループが持続可能な開発目標と向き合い、それぞれの取り組みを発表するオンラインワークショップがこのほど、東京・青山のITOCHU SDGs STUDIOを拠点に行われた。

ワークショップの模様の一部は、9月23日(金)放送の特別番組『J-WAVE SPECIAL ITOCHU CHILDREN ARE THE FUTURE』内で紹介された。同番組は「次世代、そして子どもたちの未来」について、ゲストや小学生と一緒に考えていくスペシャルプログラムで、ナビゲーターはノイハウス萌菜と山中タイキが務めた。
この番組は現在、PodcastやYouTubeでも配信中。ここではテキストで紹介する。

【Podcastはコチラ】https://www.j-wave.co.jp/podcasts/

東京の小学生が重要だと感じた「4つの『つ』」

ワークショップには、港区立青山小学校(東京都)、豊郷町立豊郷小学校(滋賀県)、Hazelwood School(イギリス)の小学生グループが参加した。テーマは「私たちの夢中なSDGs」。三つの学校の生徒たちがそれぞれ、17つあるSDGsのどの目標に取り組み、どんな活動をしているのかについて、各校の生徒たち自らがプレゼンテーションをしていった。

一校目は青山小学校。同校4年生のグループは6番目のゴール「安全な水とトイレを世界中に」に向けて、「私たちの水を守りたい」と題した活動を展開し、水についての理解を深めるべく、東京都水道局やサントリーの担当者に話を聞いたという。それだけでなく、東京都の水源林である、あきる野市・みなと区民の森にて環境学習を実施。そこで得た学び・気づきを、他の青山小学校の生徒たちに対し、Web会議ツールを用いて伝えたそうだ。一方、同校6年生のグループは「海ゴミ問題」の現状を他生徒にシェアしつつ、ゴミ拾い活動にも着手したという。
こうした活動内容を列挙したうえで、生徒の一人は「私たちがSDGsを学び感じたことは『繋げる』『伝える』『繋がる』『続ける』ことの大切さです。この4つの『つ』は、自分たちの未来のために必要なことだと思いました」と説き、「まだまだ課題はありますが、私たちはこれからも世界と繋がり、問題を伝え、SDGs達成に向けての取り組みを繋げていきたいと思います」とまとめた。

山中は、この「4つの『つ』」について「わかりやすいワードが出てくると覚えていられる」と評し、「僕も、4つの『つ』大切にします」と生徒たちに約束した。

英国の小学校では「ジェンダー平等」と向き合った施策も

二校目「Hazelwood School」の生徒たちによる発表内容は、ノイハウスが要約・和訳して紹介した。ノイハウスによると、同校では学校全体として17つのSDGsを知ることから始め、最後に地域のコミュニティから審査員を招いてプレゼンテーションをするという前提のもと、学年ごとに特色ある取り組みを行っているという。発表されたプレゼンは合計20個。ある学年では、足踏み式のシャワーを開発し、必要な分だけお湯を出して無駄を削減することに成功したそうだ。また別の学年では、5番目のゴール「ジェンダー平等を実現しよう」に着目。生徒たちが性別に縛られることなく着たい服を自由に選べる環境にしたいとの思いから、女子生徒用ズボンのオプションを増やすよう学校側に働きかけ、実現に至ったらしい。

滋賀の小学校では、琵琶湖の自然を守る取り組みを実施

三校目の豊郷小学校では、「環境に優しい学校へ」をテーマにした学習を4年生~6年生の各学年で実践しているという。まず4年生は、滋賀県の高取山を訪れ「緑のダム」に関する知見を深めたそう。「緑のダム」とは、豊かな森林にダムのように水を貯めておく機能があることを指した言葉。生徒たちは、木を植えたり増やしたりしていき、森林減少を食い止めることが、SDGsにおける12「つくる責任 つかう責任」、13「気候変動に具体的な対策を」、15「陸の豊かさも守ろう」の目標達成に繋がることを学んだ、と話していた。

5年生は、豊郷小学校の近くにある琵琶湖を舞台に学習船「うみのこ」を使った1泊2日の宿泊体験型学習を受ける「フローティングスクール」に参加。その後、琵琶湖を守っていくために一人ひとりが無理なくできることは何なのかを考えた結果、学校の校庭を清掃し、ごみを減らすという14番目のゴール「海の豊かさを守ろう」を意識したプロジェクトを立案したとのことだ。
6年生は「ポイ捨てをなくして環境に優しい学校へ」とスローガンを掲げ、新たにゴミ箱を設置する予定だという。そのゴミ箱には、「猫派? 犬派?」などの問いかけ文を明記し、少しでもゴミ箱に注意を向けるような工夫を施すとも。

こうした多彩な取り組みを通じて、「日々の生活の中でもSDGsを通して様々なことを考えるようになりました」と児童の一人は述べた。また、別の児童は「自然環境としての琵琶湖だけではなく、山、川、里、湖、海の繋がりと、そこにある人の営みまでを含めた象徴の琵琶湖を守っていくために、できることをこれからも取り組み続けていきます」と宣言していた。

全ての学校の発表を聞き終え、ノイハウスは「すごいですね、今の学校。学ぶということもそうですし、子どもが自分で何を勉強したいか、選んでいく感じがすごく印象的でした」と感想を述べた。一方の山中は「自分でリサーチし、そこに飛び込んで体験をして『どうなっているのかな』と考え、その次の解決策を作った、実際にプロダクトを制作したなんてお話もありましたし。さらに、地域に繋がるアクションを起こしたりしていたのが非常に素敵でしたね」と称賛した。

パックンマックンのパックン、久保田智子を招いてのトークも

ワークショップのほか、ゲストを招いてのトークセッションも行われた。1組目のゲストは、お笑いコンビ「パックンマックン」のパックンことパトリック・ハーラン。二児の父であるとともに、子育てに関する本も出しているパックン。母子家庭育ちで経済的には貧しいながらも精神的には豊かだったという少年時代のエピソードや、子育てにおいて大切にしていることなどを語った。
2組目のゲストは、TBSの元アナウンサーで報道記者の久保田智子さん。2019年1月に特別養子縁組制度を利用し、当時生後4日目の女児・ハナちゃん(仮名)の母となった。現在3歳9カ月になるハナちゃんとの生活や、特別養子縁組制度を利用するにあたっての不安や葛藤、家族でどのような話し合いが行われたのかなどを語った。
(構成=小島浩平)
番組情報
J-WAVE SPECIAL ITOCHU CHILDREN ARE THE FUTURE
2022年09月23日(金・祝)
18:00-19:55

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