J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。
2020年12月10日(木)のオンエアでは、ラッパーのDOTAMAがゲストに登場。「君は、THA BLUE HERBを知っているか!?」をテーマにお届けした。
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番組では、そんなTHA BLUE HERBを特集。解説してくれるのは、『フリースタイルダンジョン』ではモンスターとして活躍するなど、MCバトルの世界では誰もが知る存在、ラッパーのDOTAMA。
【THA BLUE HERB『知恵の輪(THIRD HALLUCINATION CHAOS)』を聴く】
あっこゴリラ:DOTAMAさんがTHA BLUE HERBと出会ったのは?
DOTAMA:19年前、DJ KRUSHさんの2000年リリースのMIXCDに収録されていた『知恵の輪』を初めて聴いたとき、“キラキラしてて、なんてかっこいいんだ! ”と衝撃を受けて、当時高校生だったんですけど、それがきっかけでのめり込みました。
あっこゴリラ:そんなカリスマ的な存在でもあるTHA BLUE HERBが、東京で知られるきっかけになったのは?
DOTAMA:先ほどのDJ KRUSHさんのMIXCD『Code4109』に収録されていた『知恵の輪』がヨーロッパのヒットチャートで知られるようになって、逆輸入という形で日本でもじわじわ浸透していきます。そして、1998年に1st album『STILLING,STILL DREAMING』をリリースし、広く知られるようになります。
あっこゴリラ:なるほど~。
DOTAMA:さらに1999年5月、六本木のクラブ「CORE」での伝説的ライブ「藷演武」で、より多くのHIPHOPヘッズに知られることになります。
あっこゴリラ:そんなTHA BLUE HERBが支持されてるのは、どんなところだと思いますか?
DOTAMA:僕は、THA BLUE HERBのビートもラップもライブも全部好きなんですけど、やっぱり「ローカルシーンで活動するHIPHOPアーティスト」の誇りを歌うBOSSの歌詞が最たる魅力かなと思います。矜持やセルフボースト(自己誇示)、あとリリシズム。つまり豊かな、文学的で表現力溢れる情熱的なメッセージの歌詞。そこがBOSSの、THA BLUE HERBの最大の魅力だと思います。
あっこゴリラ:うんうん。
DOTAMA:もちろんそれにとどまらず、変容していくO.N.Oさんのビートもです。そんなO.N.OさんとBOSSさん、その2つが組み合わさることで生まれる楽曲たちが最大の魅力であり、その地元で根を張って活動するアーティストやインディペンデントのミュージシャンに熱烈に支持されていると思います。
ここからは、THA BLUE HERBのリリックに注目していきたい。
DOTAMA:まず紹介したいのは、アカペラの曲『孤憤』です。散々ビートの話してきたんですけど(笑)。この曲は、路上でセッションしながら歌っています。今はインターネットが普及しているのでピンとこない人も多いかもしれないですが、当時のHIPHOPは東京優勢、地方劣勢みたいのがあって。そういう劣勢だった当時の地方シーンのフラストレーションを攻撃的に、そしてリリシズムたっぷりに表現している曲です。
【THA BLUE HERB『孤憤』を聴く】
あっこゴリラ:かっこいい~!!
DOTAMA:ヤバいですよね。
あっこゴリラ:ヤバい! これはビギナーのみんなもわかるんじゃない? HIPHOPは路上のアートとも言いますからね。
DOTAMA:ラップのかっこ良さもさることながら、リリックがとにかく攻撃的で、「対東京」の憤りみたいなものをラップしているBOSSのかっこ良さがしびれます!
あっこゴリラ:続いての曲は?
DOTAMA:3rd album『LIFE STORY』収録されている『SUPA STUPID』です。直訳すると「大馬鹿野郎」。これは、昔を回想している曲なんですけど、この『LIFE STORY』がリリースされたのは2007年で、1stを出してから約10年くらい経っていて、ある程度知名度も広がって、全国ツアーもやってるからこそ振り返る歌詞になっています。
あっこゴリラ:なるほど~。
DOTAMA:音楽で生計を立てるという、大博打に打ち勝ったラッパーとしての矜持、誇り。そして当時の「CISCO」のディストリヒビューターさんが 北海道まで来て話し合って、流通を任せると手を握り合うエピソードを歌っています。
【THA BLUE HERB『SUPA STUPID』を聴く】
DOTAMA:ざっくり言うとBOSSの歌詞の傾向は、ディスるキツいメッセージの楽曲とたぎる情熱系の楽曲の2種類。最初に僕が好きだと言ったメインラインの曲は情熱系の曲で、この曲もそうなんですけど、なんていうか夢物語ばかりを歌うわけじゃなくて、これだけストイックに音作りをしていて、ちゃんと仕事の締め切りのことなどを曲の中に入れてくるBOSSのメッセージ性が僕は大好きです!
あっこゴリラ:確かに、ラッパーってパブリックイメージでいろんなこと思われがちなんですけど、“こんなストイックな鬼いる? ”って思いますよね。あはははは。
引き続き、DOTAMAがTHA BLUE HERBについて教えてくれた。
あっこゴリラ:THA BLUE HERBは攻撃的な歌詞も多いですが、語りかけるような優しさも感じますよね。
DOTAMA:そうですね。あとは、やっぱりこの声ですよね。BOSSは今でもレコーディングするときはスタジオ入る前に何百回も練習するそうなんです。
あっこゴリラ:ええ~!
DOTAMA:世界で自分が自分の曲を一番歌えるような人間にならないと歌う意味はないっていう哲学の持ち主で。だからレコーディングスタジオに入って歌うときが自分が一番報われる瞬間だって言っています。
あっこゴリラ:そうなんだ~! ストイック!
DOTAMA:それがこの声に出てて、歌い込んでるからものすごくしゃがれてるんですよね(笑)。かっこいい!
あっこゴリラ:BOSSのフロウって、真似しようと思ってもできることじゃないですもんね。
DOTAMA:できないんですけど、かっこいいからぶっちゃけて言うと、僕、真似したことあります(笑)。憧れて、一時期真似たことがあるんですけど、“いやいや、これはよくない。オリジナリティを追及しないと”って思って。
あっこゴリラ:あはははは! それがHIPHOPですからね。
最後にもう一曲、THA BLUE HERBの曲を紹介してもらった。
あっこゴリラ:最後に選んだ曲は?
DOTAMA:2019年に発表されたアルバム『THA BLUE HERB』の収録曲『REQUIEM』です。この曲は、日本の歴史を盛り込んだ作品になっています。
あっこゴリラ:へえ~!
DOTAMA:これも大作で6分くらいある楽曲になっています。太平洋戦争のことを歌っているんですが、僕らのおじちゃん、おばあちゃん世代がどんな思いで戦時中戦っていたかを歌詞にしていて、サビに込められているメッセージがものすごく胸にきました。やっぱりHIPHOPって、3~40年くらいのカルチャーで、音楽ジャンルでいうと比較的若いジャンルだと思うんです。
あっこゴリラ:そうですね。
DOTAMA:だから何十年も前の僕らの先祖の苦難を歌にしたっていうのは、THA BLUE HERBのBOSSのリリックならではの表現でできることなのかなと思います。深い曲です。
【THA BLUE HERB『REQUIEM』を聴く】
J-WAVE『SONAR MUSIC』は月~木の22:00-24:00にオンエア。
2020年12月10日(木)のオンエアでは、ラッパーのDOTAMAがゲストに登場。「君は、THA BLUE HERBを知っているか!?」をテーマにお届けした。
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THA BLUE HERBの最大の魅力とは
HIP-HOP業界でカリスマ的な人気を誇るTHA BLUE HEARB。ラッパー・ILL-BOSSTINO、トラックメイカー・O.N.O、ライブDJ・DJ DYEの3人からなる一個小隊。1997年札幌で結成。以後も札幌を拠点に自ら運営するレーベルからリリースを重ねてきた。番組では、そんなTHA BLUE HERBを特集。解説してくれるのは、『フリースタイルダンジョン』ではモンスターとして活躍するなど、MCバトルの世界では誰もが知る存在、ラッパーのDOTAMA。
【THA BLUE HERB『知恵の輪(THIRD HALLUCINATION CHAOS)』を聴く】
あっこゴリラ:DOTAMAさんがTHA BLUE HERBと出会ったのは?
DOTAMA:19年前、DJ KRUSHさんの2000年リリースのMIXCDに収録されていた『知恵の輪』を初めて聴いたとき、“キラキラしてて、なんてかっこいいんだ! ”と衝撃を受けて、当時高校生だったんですけど、それがきっかけでのめり込みました。
あっこゴリラ:そんなカリスマ的な存在でもあるTHA BLUE HERBが、東京で知られるきっかけになったのは?
DOTAMA:先ほどのDJ KRUSHさんのMIXCD『Code4109』に収録されていた『知恵の輪』がヨーロッパのヒットチャートで知られるようになって、逆輸入という形で日本でもじわじわ浸透していきます。そして、1998年に1st album『STILLING,STILL DREAMING』をリリースし、広く知られるようになります。
あっこゴリラ:なるほど~。
DOTAMA:さらに1999年5月、六本木のクラブ「CORE」での伝説的ライブ「藷演武」で、より多くのHIPHOPヘッズに知られることになります。
あっこゴリラ:そんなTHA BLUE HERBが支持されてるのは、どんなところだと思いますか?
DOTAMA:僕は、THA BLUE HERBのビートもラップもライブも全部好きなんですけど、やっぱり「ローカルシーンで活動するHIPHOPアーティスト」の誇りを歌うBOSSの歌詞が最たる魅力かなと思います。矜持やセルフボースト(自己誇示)、あとリリシズム。つまり豊かな、文学的で表現力溢れる情熱的なメッセージの歌詞。そこがBOSSの、THA BLUE HERBの最大の魅力だと思います。
あっこゴリラ:うんうん。
DOTAMA:もちろんそれにとどまらず、変容していくO.N.Oさんのビートもです。そんなO.N.OさんとBOSSさん、その2つが組み合わさることで生まれる楽曲たちが最大の魅力であり、その地元で根を張って活動するアーティストやインディペンデントのミュージシャンに熱烈に支持されていると思います。
ここからは、THA BLUE HERBのリリックに注目していきたい。
DOTAMA:まず紹介したいのは、アカペラの曲『孤憤』です。散々ビートの話してきたんですけど(笑)。この曲は、路上でセッションしながら歌っています。今はインターネットが普及しているのでピンとこない人も多いかもしれないですが、当時のHIPHOPは東京優勢、地方劣勢みたいのがあって。そういう劣勢だった当時の地方シーンのフラストレーションを攻撃的に、そしてリリシズムたっぷりに表現している曲です。
【THA BLUE HERB『孤憤』を聴く】
あっこゴリラ:かっこいい~!!
DOTAMA:ヤバいですよね。
あっこゴリラ:ヤバい! これはビギナーのみんなもわかるんじゃない? HIPHOPは路上のアートとも言いますからね。
DOTAMA:ラップのかっこ良さもさることながら、リリックがとにかく攻撃的で、「対東京」の憤りみたいなものをラップしているBOSSのかっこ良さがしびれます!
昔を回想している楽曲『SUPA STUPID』を解説
引き続き、THA BLUE HERBのリリックに注目していきたい。あっこゴリラ:続いての曲は?
DOTAMA:3rd album『LIFE STORY』収録されている『SUPA STUPID』です。直訳すると「大馬鹿野郎」。これは、昔を回想している曲なんですけど、この『LIFE STORY』がリリースされたのは2007年で、1stを出してから約10年くらい経っていて、ある程度知名度も広がって、全国ツアーもやってるからこそ振り返る歌詞になっています。
あっこゴリラ:なるほど~。
DOTAMA:音楽で生計を立てるという、大博打に打ち勝ったラッパーとしての矜持、誇り。そして当時の「CISCO」のディストリヒビューターさんが 北海道まで来て話し合って、流通を任せると手を握り合うエピソードを歌っています。
【THA BLUE HERB『SUPA STUPID』を聴く】
DOTAMA:ざっくり言うとBOSSの歌詞の傾向は、ディスるキツいメッセージの楽曲とたぎる情熱系の楽曲の2種類。最初に僕が好きだと言ったメインラインの曲は情熱系の曲で、この曲もそうなんですけど、なんていうか夢物語ばかりを歌うわけじゃなくて、これだけストイックに音作りをしていて、ちゃんと仕事の締め切りのことなどを曲の中に入れてくるBOSSのメッセージ性が僕は大好きです!
あっこゴリラ:確かに、ラッパーってパブリックイメージでいろんなこと思われがちなんですけど、“こんなストイックな鬼いる? ”って思いますよね。あはははは。
レコーディング前は何百回も練習する
【THA BLUE HERB『STRONGER THAN PRIDE』を聴く】引き続き、DOTAMAがTHA BLUE HERBについて教えてくれた。
あっこゴリラ:THA BLUE HERBは攻撃的な歌詞も多いですが、語りかけるような優しさも感じますよね。
DOTAMA:そうですね。あとは、やっぱりこの声ですよね。BOSSは今でもレコーディングするときはスタジオ入る前に何百回も練習するそうなんです。
あっこゴリラ:ええ~!
DOTAMA:世界で自分が自分の曲を一番歌えるような人間にならないと歌う意味はないっていう哲学の持ち主で。だからレコーディングスタジオに入って歌うときが自分が一番報われる瞬間だって言っています。
あっこゴリラ:そうなんだ~! ストイック!
DOTAMA:それがこの声に出てて、歌い込んでるからものすごくしゃがれてるんですよね(笑)。かっこいい!
あっこゴリラ:BOSSのフロウって、真似しようと思ってもできることじゃないですもんね。
DOTAMA:できないんですけど、かっこいいからぶっちゃけて言うと、僕、真似したことあります(笑)。憧れて、一時期真似たことがあるんですけど、“いやいや、これはよくない。オリジナリティを追及しないと”って思って。
あっこゴリラ:あはははは! それがHIPHOPですからね。
最後にもう一曲、THA BLUE HERBの曲を紹介してもらった。
あっこゴリラ:最後に選んだ曲は?
DOTAMA:2019年に発表されたアルバム『THA BLUE HERB』の収録曲『REQUIEM』です。この曲は、日本の歴史を盛り込んだ作品になっています。
あっこゴリラ:へえ~!
DOTAMA:これも大作で6分くらいある楽曲になっています。太平洋戦争のことを歌っているんですが、僕らのおじちゃん、おばあちゃん世代がどんな思いで戦時中戦っていたかを歌詞にしていて、サビに込められているメッセージがものすごく胸にきました。やっぱりHIPHOPって、3~40年くらいのカルチャーで、音楽ジャンルでいうと比較的若いジャンルだと思うんです。
あっこゴリラ:そうですね。
DOTAMA:だから何十年も前の僕らの先祖の苦難を歌にしたっていうのは、THA BLUE HERBのBOSSのリリックならではの表現でできることなのかなと思います。深い曲です。
【THA BLUE HERB『REQUIEM』を聴く】
J-WAVE『SONAR MUSIC』は月~木の22:00-24:00にオンエア。
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