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SKY-HI「なめられるくらいがちょうどいい」  BE:FIRSTなど“同志”の才能を伸ばすために

SKY-HI「なめられるくらいがちょうどいい」 BE:FIRSTなど“同志”の才能を伸ばすために

ラッパー・シンガーソングライターとして活躍すると同時に、マネジメント/レーベル会社「BMSG」の代表取締役CEOとしての顔を持つSKY-HI。彼が主催したボーイズグループ発掘オーディション「THE FIRST」は注目を集め、同オーディションから誕生した7人組「BE:FIRST」のプレデビュー曲『Shining One』のミュージックビデオは、公開から1ヶ月で1500万回再生を超えた。

BE:FIRST / Shining One -Music Video-

半年間にも及ぶオーディションを終え、SKY-HI自身は今、何を思うのか。「THE FIRST」を振り返りつつ、BMSGが描く未来や、10月10日(日)に所属アーティストらとともに出演するテクノロジーと音楽の祭典「J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2021 supported by CHINTAI(通称イノフェス)」への意気込みを語ってもらった。

今の日本のシステムでは埋もれていた人を発掘した「THE FIRST」

――多くの人を熱狂させた「THE FIRST」。SKY-HIさんの想定通りに進んだのでしょうか?

SKY-HI:オーディションそのものは、想定通りに進んだかなと思います。募集時に、今の日本のシステム上、こういった方が埋もれているはずだと思ったような方が応募してきてくれましたし、直接お会いしたタイミングでも、きっとこういった形で伸びていくだろうなというのは、ある程度想像できていて、その通りの人に出会えました。机上の空論であったプランが、どんどん現実のものになっていくという感覚がありましたね。

――放送を見ていて、SKY-HIさんご自身が、オーディションメンバーと同じ場で共同生活を送ったのは驚きました。あれはなぜだったんでしょう?

SKY-HI:僕自身、オーディションに応募してくれた段階で、彼らのことを同志だと思っていたのですが、彼ら自身が応募段階から僕を同志だと思ってくれているかと言ったら、そんな訳がないですよね。だから、彼らが胸を張って「僕たちは同志です」と言ってくれるようになるためにも、最低1ヶ月は共同生活をしようと思ったんです。

[THE FIRST 本編] #8-1 / 合宿クリエイティブ審査 (序章)

選ぶ側と選ばれる側の線引きを曖昧にしたかった…その理由は

――番組を見ていて、オーディションメンバーとの距離感が良い意味で近いことも印象的でした。なにか意図していたことはあるのでしょうか?

SKY-HI:選ぶ側と選ばれる側の線引きが曖昧になればいいな、自分の存在が変に絶対的になってほしくないなって思ったんです。本当の意味で自分が伝えたいことを理解してもらうためには、メンバーに「言うことを聞かなきゃ」ではなくて「しゃべっていることを聞きたいな」と思わせる必要があるって。

――なぜでしょう?

SKY-HI:応募をスタートさせた時点では『スッキリ』(日本テレビ系列)で放送されることが決まっていなかったということもあり、応募してくれる方たちが自分に対して強くリスペクトしてくれている人の集まりであることを感じていました。ただそれは同時に、畏怖とかにも繋がりやすいなと思ったんですよね。だから、彼らの才能を伸ばしていくためにも聞きやすい関係性であること、そのための人間的な距離の近さが必要だと判断したんです。

――なるほど。

SKY-HI:「聞けない」というのは危険なことですからね。今回の場合、立場、年齢、キャリア、そういったもので、自分が上の人間だと見られることはしょうがない。でも、なめられるくらいがちょうどいいって思っていました。……まあ、本当になめられたら困るとは思うので、リスペクトされる存在でもいなきゃとは思うんですけど(笑)。たまにリュウヘイがタメ口でツッコんでくれたりするのは、理想的な関係だなと感じています。

――リスペクトされる存在でいるためには、なにが必要だと考えていますか?

SKY-HI:アーティストとしてのライブパフォーマンスやリリースする楽曲で、かっこいいと思われ続けることは必要だなと思っています。そういう意味では「かっこいいものを出し続ける、かっこいいライブをする」ということに対して、これまで以上にプレッシャーがかかっていますね。

Dive To World feat. Takuya Yamanaka (THE ORAL CIGARETTES) -Prod. KM- [Music Video]

上り詰める、だけど蹴落とさない─才能を伸ばす場所に

――将来的にBE:FIRSTやBMSGが、どうなったら成功したと思えるのでしょう?

SKY-HI:成功するかどうかよりも、今回BMSGを立ち上げて「THE FIRST」をやったこと自体に意味があるかなと思います。あくまでも“上り詰める、だけど蹴落とさない”という姿勢なので、世界と喧嘩するという訳ではないですし、どこかに仮想敵がいるわけでもない。ただ、才能はあるけど海外に渡航するという選択肢を持てない子が一定数以上いるのは事実なので、そういう子が諦めるのではなくて、きちんとした育成ノウハウのもと、その子たちの持っている才能を殺さずに伸ばせる場所を作れたことはよかったかなって。商業的な成功という意味では、BMSGで世界中を回ったりできたら最高だなというのは当然ありますけどね。

――今後、BMSGをどのような場所にしていきたいと考えていますか?

SKY-HI:「デビューさせてやる」ではなくて、一緒に同じ方向を目指す同志でありたいなと思います。すごくドライに言ったら、ただ単に利害が一致してるだけ。彼らは自分の才能を持ってして世の中に出たくて、僕たちは彼らの才能に人生をかけてみたいという気持ちに勝手になっているだけなので。幸せな人が1人でも増えたらありがたいですね。

「イノフェス」は、今後につながるステージを目指す

――10月9日(土)、10日(日)に開催される「J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2021 supported by CHINTAI(通称イノフェス)」の2日目には、BMSGがプロデュースするステージ「BMSG Showcase 2021 in INNOFES」が予定されています。どんなステージになりそうでしょうか?

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SKY-HI:BMSG全体でのライブやフェスというのを、そう遠くないうちにやりたいと考えているので、その一部を切り取った形の内容になるかなと思います。今後につながるようなステージにできたら嬉しいですね。

――今回のステージはオンライン配信で視聴可能です。配信だと、生中継でAR映像を楽しむことができます。昨年から、オンラインライブの機会が一気に増えましたが、SKY-HIさんはオンラインライブの醍醐味はなんだと考えていますか?

SKY-HI:見る側としては、家にいながらライブを見られるというのは単純にいいなと、僕自身オンラインライブを体験したときに思いました。一方で、出演する側からしたら、オーディエンスとのコミュニケーションを取ること、盛り上げたらOKというところに逃げられないので、音楽に集中するしかないという点もあります。自分自身のクリエーションやアーティシズムに向き合う必要があるので音楽体験として良いものですよね。

――最後に「BMSG Showcase 2021 in INNOFES」の意気込みを教えてください。

SKY-HI:今後に活きてくるようなものにしたいなというのは、絶対にありますね。あとは、「イノフェス」という場において、パフォーマンスができるということは、テック的な意味でも可能性が広がるので、そういったものがエンターテイメントにどういった影響を与えるかということを知見として得られるのは、すごく助かります。自社興行のフェスとなると、それはもうアティチュードの打ち出しになるので、そこでは絶対にやりきれなかったことを作りたくないので。

だから、その前にこういった機会をいただけて、トライアルできるのはとても嬉しいです。トライアルといえども、トライアンドエラーでエラーしてもいいやっていう気持ちは全くありませんけどね。楽しみにしていただけたらと思います。


「J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2021 supported by CHINTAI」は、10月9日(土)、10日(日)に開催。現在オンラインチケット(2日視聴可/¥1,980税込)が好評発売中。SKY-HIは、10日(日)に出演する。10日(日)はほかにも、小室哲哉、BE:FIRST、Novel Core、けいちゃん、新しい学校のリーダーズなどが出演。詳細は公式サイト(https://www.j-wave.co.jp/iwf2021/)まで。

(取材・文=於ありさ)

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