藤原しおりが「チーフ」としてナビゲートする、ラジオを「ラボ」に見立てたJ-WAVEの番組『HITACHI BUTSURYU TOMOLAB. ~TOMORROW LABORATORY』がスタートした。
「SDGs」「環境問題」などの社会問題を「私たちそれぞれの身近にある困りごと」にかみ砕き、未来を明るくするヒントを研究。知識やアイデア、行動力を持って人生を切り拓いてきた有識者をラボの仲間「フェロー」として迎えて、解決へのアクションへと結ぶ“ハブ”を目指す番組だ。毎週土曜20:00-20:54オンエア。
初回となる4月3日(土)の「ラボ」にフェローとして登場したのは、ジャーナリストの堀 潤。初回は「肩書き」をテーマにトークを展開した。
堀:藤原さんの肩書きは?
藤原:最近は“ゆっくり暮らしを楽しむ人”って感じです。
堀:いいですね。
藤原:もちろんInstagramやYouTubeで発信したり、コラムやエッセイを書いたりもします。だけど私はエッセイストもコラムニストもYouTuberも、どれもしっくりこない自分がいるから、いろいろやってる全てを含んだ“暮らしを楽しむ人”みたいになっています。
堀:そのニュアンスに共感します。僕がしてきたいろいろな活動をさんざん伝えても、けっきょく「元NHKアナウンサー」って肩書きになっていることがあって、おいおいって(笑)。すごく型にはめられがちなテーマではありますよね。
藤原:伝えたい肩書きは「全てを含んでただ生きている」って感じなんですけど、その反面でわかりにくいだろうなって思っているわけです。だから「元ブルゾンちえみ」と言ってもらっていいですよ。そのほうが早いし聞いている人が納得するんで、一応それを言います。
堀は、「ある意味で肩書きはレッテルだ」と表現。「この人はこんな人でしょ?」と、その人のイメージのなかに押し込められてしまうと指摘し、自身がアメリカ・ロサンゼルスへ留学した際のエピソードを語った。
堀:シリコンバレーの取材をしているときに、日本から来た人は、最初のあいさつで必ず名刺を渡して「大手企業の〇〇の〇〇です」とか言ってるんだけど、シリコンバレーの若い起業家が「そうじゃなくて、あなたが今どんな研究をしていて、どんなことに関心があるのか話してほしい」って言ったんです。よくよく聞いてみたら、たしかに最初のあいさつが「僕は人工知能にすごく興味があって」とか「僕はダイバーシティに取り組んでるんだけど」って話から始まって、最終的に「ちなみに何やってるの?」となり「僕は〇〇の会社でエンジニアをやってます」となる。全然優先順位が違うんです。
その経験から堀はファシリテーターをする際に、自己紹介タイムをやめると宣言し、その代わりに「みなさんが感じている課題やいちばん知ってほしいテーマを説明してください」と参加者になげかけるそうだ。
堀:参加者は困惑しながらも、「私は食に関心があって、こう思ってます」、「ちなみに何をやってるの?」、「今はSDGsを担当しています」と話しだします。だからアプローチやニュアンスを変えるだけでも全然違うのかなと思うようになりました。
藤原:私は、その場面用の肩書きを用意します。だから相手がパーソナルな部分を知りたがっている場面なら「普段は読書をしていて、こういう映画が好きな30歳の女です」とパーソナルな自己紹介や肩書きを言います。「暮らしを楽しむ人」もそういう場なら通用すると思うんです。逆にパーソナルはいらなくて「あなたがこの場所でどんな技術を提供できるのかを知りたい」という場ではスキル的なことを言う。だから、ひとつ「肩書きは何ですか?」って訊かれたときに、どの肩書きを伝えればいいのか迷ってしまいます。
堀:(藤原)しおりさんはきっと自分のやりたいことをいろいろと形にできる力があるから、何枚ものカードを自分の懐から選んで出せる。でも、「自分のイシューでどうぞ」って言われて困惑した人が「〇〇会社の部長の〇〇です」って言っちゃう。だから普段のライフスタイルが肩書き選びに直結するのかなと感じました。
藤原:そうしたSNSでの会話が楽しまれていて、相手が男性であろうが女性であろうが、年齢も関係なしに関われるコミュニケーションを普段からしているからこそ、その人が何をしているのかという大きな枠組みはいらないと思います。
堀:今、僕はすごく大きなヒントをもらいました。今の日本社会を覆っている閉塞感って「ここまで年齢を積み上げてきたのに」「こんな肩書きがあるのに」「こんな実績があるのに」「なんで評価されないんだ」「もっとそのよさを知るべきだ」という圧力があるなかで、「違います、パーソナルなものが今は受け入れられるんです」と。たとえばYouTuberの子たちとかInstagrammerとか、TikTokをしている子とか、僕たちからすると名前とか知らないけど、「すごくおもしろいパフォーマンスしてるな」って。アーティストの子も顔を出さないし、アーティスト名だけで、実際にその人がどんな人かわからないけど、「そこに込められたメッセージってすごくいいよね」って拡散されたりしている。
堀は、若者が肩書きや積み重ねてきた経歴ではなく、目の前のいいものや素敵なもの、違和感やザワザワするものに共感していると続け、「そういう変化に僕みたいな40歳以上の大人たちももっと気づくべき」と藤原の話を聞いて実感したと話す。
藤原:SNSだと、前に構えるものがないですからね。「この人は社長だから」とか「〇〇だから」っていう目線がない状態で見るクセが、もしかしたら若者たちについてるのかもしれないですよね。
堀:絶対そのほうがいい。「〇〇なのになんで反応しないんだ」っていう大人を見たら、「言っていることはわかるけど、じゃあ何に興味があるのかをまずはシェアしましょう」みたいなコミュニケーションが取れたらいいですよね。
このニュースについて、堀はこう解説する。
堀:「マスター・オブ・コイン」って一見、突拍子もないように思うけど、「新しい概念や新しい仕事を提案する側に俺たちはまわってるんだ」っていうメッセージなんですよ。今語られている肩書きって古すぎて、既存の仕事の上で成り立っている肩書きばかりじゃないですか。でもこれからは人工知能やロボットが(さらに台頭して)、今まであった職業がなくなって新しい職業を生み出さなきゃいけないってときに、「僕はこういう仕事をします」とか「私はこういう世界を開拓してます」っていう旗を立てるときに肩書きが有効なんだと思う。だから僕が提案したいのは、新しい職業、新しい世界や価値を切り開くために、みなさんがぜひ自分自身のオリジナルな肩書きで勝負してくださいと。その肩書きを作ったところにコミュニティが生まれて産業が生まれるから。
藤原:なるほどね~。
堀:だから自由でいいのよ。今まで縛られていたと思う。社会では部長は部長だし、エンジニアはエンジニアってイメージがあったかもしれないけど、「全然違う。僕の肩書き見て」「それは何? めちゃくちゃ共感するからその肩書き使っていい?」「いいよ」って広がっていくから。
堀の話を聞いた藤原は、これまで肩書きに対してモヤモヤしていたものが晴れた様子。
藤原:今まで何を言っても私がしっくりこなかったの。「タレント」とか。でも私はテレビに出ているわけじゃないし。それで「ポートフォリオ・ワーカー」って新しい肩書き見つけたんです。でもけっきょくそれを読み解くと「いろいろやっている人」みたいなことらしいんですよ。ただ私はそれが言えるほどワークしていないし、カッコつけすぎてると思った。でも「そっか、肩書きを作っちゃえばいいんだ」「作って相手に質問させてもいいんだ」って腑に落ちた。
堀:全然いいと思います。
藤原:ちょっと視野が開けました。世の中にある肩書きでいちばん近いものを探す作業が苦しかった。
堀:だって既存の肩書きに当てはまらないんだもん。
藤原:私に限らず世の人たちが「それ何?」って訊き返されて上等ってことですよね。
堀:そうですね。
藤原:今いろんな年齢の方が「この型にはまってください」ってことに苦しんでいると思うんです。もちろん肩書きがあるほうが柔軟に進む場もたくさんあると思うので、一概に否定はしたくないけど、苦しんでいる人が多いのもたしかだと思う。
堀:それはこれまでに積み重ねてきた、誰かが作ってきた肩書きのなかに当てはめなきゃいけないという、まさに圧力だったと思います。肩書きに罪はないけど、肩書きに縛られないで自分で肩書きを作ってみたらって。100人いたら100人の肩書きがある社会のほうがおもしろくないですか。そういうのをダイバーシティと言うんですよね。
堀は「今、いろいろんなところでダイバーシティの旗を振るけど、ダイバーシティの旗を振れば振るほど、『こうあるべきだ』ってことが膨らみ、それに当てはまらないと排除されてしまう」と指摘する。
藤原:自由があり過ぎても逆に困る部分もありますよね。
堀:僕らの生きる社会で考える「自由」って「俺は服を着てなくても街を歩いていいぞ!」っていうものじゃなくて、誰かの幸せも尊重するし、僕の幸せも尊重しようと。でも放っておいたらぶつかっちゃうからお互いにちょっと調整してみるみたいな。そういうコミュニケーションだと思うんですよね。だから、肩書きから解放されるって、「あなたが思っている〇〇っていうイメージと、僕が持っている〇〇っていうイメージを一度すり合わせてみますか」って。それで「全然違ったね」ってなるかもしれない。それを楽しむコミュニケーションがあるといいのかなって思います。
藤原:堀さんとお話をしてみてスッキリする部分もあったし、「人からこう見られるためにはこの肩書きじゃないといけないのかな」とか「人から見られてこの肩書きがないと私ってダメなのかな」とか、まわりに価値を置いたから苦しくなっていたけど、自分が「こう見られたい」「自分がいちばん落ち着く肩書きを作っていいんだ」って気づきました。
J-WAVE『HITACHI BUTSURYU TOMOLAB. ~TOMORROW LABORATORY』は毎週土曜20:00-20:54オンエア。
「SDGs」「環境問題」などの社会問題を「私たちそれぞれの身近にある困りごと」にかみ砕き、未来を明るくするヒントを研究。知識やアイデア、行動力を持って人生を切り拓いてきた有識者をラボの仲間「フェロー」として迎えて、解決へのアクションへと結ぶ“ハブ”を目指す番組だ。毎週土曜20:00-20:54オンエア。
初回となる4月3日(土)の「ラボ」にフェローとして登場したのは、ジャーナリストの堀 潤。初回は「肩書き」をテーマにトークを展開した。
「勤め先」などの肩書きではなく、自分の関心事を伝える…海外の事例
はじめに藤原が「堀さんの肩書きは?」と質問すると、堀は「ジャーナリストであり映画監督であり、NPOの代表であり株式会社の社長ではあるけども、僕は“世界のアンフェアなことに関していつもモヤモヤしている人”と言いたい」と自身の肩書きを表現する。堀:藤原さんの肩書きは?
藤原:最近は“ゆっくり暮らしを楽しむ人”って感じです。
堀:いいですね。
藤原:もちろんInstagramやYouTubeで発信したり、コラムやエッセイを書いたりもします。だけど私はエッセイストもコラムニストもYouTuberも、どれもしっくりこない自分がいるから、いろいろやってる全てを含んだ“暮らしを楽しむ人”みたいになっています。
堀:そのニュアンスに共感します。僕がしてきたいろいろな活動をさんざん伝えても、けっきょく「元NHKアナウンサー」って肩書きになっていることがあって、おいおいって(笑)。すごく型にはめられがちなテーマではありますよね。
藤原:伝えたい肩書きは「全てを含んでただ生きている」って感じなんですけど、その反面でわかりにくいだろうなって思っているわけです。だから「元ブルゾンちえみ」と言ってもらっていいですよ。そのほうが早いし聞いている人が納得するんで、一応それを言います。
堀は、「ある意味で肩書きはレッテルだ」と表現。「この人はこんな人でしょ?」と、その人のイメージのなかに押し込められてしまうと指摘し、自身がアメリカ・ロサンゼルスへ留学した際のエピソードを語った。
堀:シリコンバレーの取材をしているときに、日本から来た人は、最初のあいさつで必ず名刺を渡して「大手企業の〇〇の〇〇です」とか言ってるんだけど、シリコンバレーの若い起業家が「そうじゃなくて、あなたが今どんな研究をしていて、どんなことに関心があるのか話してほしい」って言ったんです。よくよく聞いてみたら、たしかに最初のあいさつが「僕は人工知能にすごく興味があって」とか「僕はダイバーシティに取り組んでるんだけど」って話から始まって、最終的に「ちなみに何やってるの?」となり「僕は〇〇の会社でエンジニアをやってます」となる。全然優先順位が違うんです。
その経験から堀はファシリテーターをする際に、自己紹介タイムをやめると宣言し、その代わりに「みなさんが感じている課題やいちばん知ってほしいテーマを説明してください」と参加者になげかけるそうだ。
堀:参加者は困惑しながらも、「私は食に関心があって、こう思ってます」、「ちなみに何をやってるの?」、「今はSDGsを担当しています」と話しだします。だからアプローチやニュアンスを変えるだけでも全然違うのかなと思うようになりました。
藤原:私は、その場面用の肩書きを用意します。だから相手がパーソナルな部分を知りたがっている場面なら「普段は読書をしていて、こういう映画が好きな30歳の女です」とパーソナルな自己紹介や肩書きを言います。「暮らしを楽しむ人」もそういう場なら通用すると思うんです。逆にパーソナルはいらなくて「あなたがこの場所でどんな技術を提供できるのかを知りたい」という場ではスキル的なことを言う。だから、ひとつ「肩書きは何ですか?」って訊かれたときに、どの肩書きを伝えればいいのか迷ってしまいます。
堀:(藤原)しおりさんはきっと自分のやりたいことをいろいろと形にできる力があるから、何枚ものカードを自分の懐から選んで出せる。でも、「自分のイシューでどうぞ」って言われて困惑した人が「〇〇会社の部長の〇〇です」って言っちゃう。だから普段のライフスタイルが肩書き選びに直結するのかなと感じました。
SNSに慣れた若い世代は、肩書きを意識しないクセがあるのでは
SNSの世界では、いちいちコメント欄に「私は〇〇を職業としているものです」などの自己紹介をしないことが多い。その環境に若者たちが慣れていると藤原の考えを述べる。藤原:そうしたSNSでの会話が楽しまれていて、相手が男性であろうが女性であろうが、年齢も関係なしに関われるコミュニケーションを普段からしているからこそ、その人が何をしているのかという大きな枠組みはいらないと思います。
堀:今、僕はすごく大きなヒントをもらいました。今の日本社会を覆っている閉塞感って「ここまで年齢を積み上げてきたのに」「こんな肩書きがあるのに」「こんな実績があるのに」「なんで評価されないんだ」「もっとそのよさを知るべきだ」という圧力があるなかで、「違います、パーソナルなものが今は受け入れられるんです」と。たとえばYouTuberの子たちとかInstagrammerとか、TikTokをしている子とか、僕たちからすると名前とか知らないけど、「すごくおもしろいパフォーマンスしてるな」って。アーティストの子も顔を出さないし、アーティスト名だけで、実際にその人がどんな人かわからないけど、「そこに込められたメッセージってすごくいいよね」って拡散されたりしている。
堀は、若者が肩書きや積み重ねてきた経歴ではなく、目の前のいいものや素敵なもの、違和感やザワザワするものに共感していると続け、「そういう変化に僕みたいな40歳以上の大人たちももっと気づくべき」と藤原の話を聞いて実感したと話す。
藤原:SNSだと、前に構えるものがないですからね。「この人は社長だから」とか「〇〇だから」っていう目線がない状態で見るクセが、もしかしたら若者たちについてるのかもしれないですよね。
堀:絶対そのほうがいい。「〇〇なのになんで反応しないんだ」っていう大人を見たら、「言っていることはわかるけど、じゃあ何に興味があるのかをまずはシェアしましょう」みたいなコミュニケーションが取れたらいいですよね。
肩書きは、自分で作ってもいい
先月、アメリカの電気自動車メーカー・テスラはイーロン・マスクの肩書きをCEO(最高経営責任者)から「テクノキング・オブ・テスラ」に、CFO(最高財務責任者)の肩書きは「マスター・オブ・コイン」に変更し、話題となった。このニュースについて、堀はこう解説する。
堀:「マスター・オブ・コイン」って一見、突拍子もないように思うけど、「新しい概念や新しい仕事を提案する側に俺たちはまわってるんだ」っていうメッセージなんですよ。今語られている肩書きって古すぎて、既存の仕事の上で成り立っている肩書きばかりじゃないですか。でもこれからは人工知能やロボットが(さらに台頭して)、今まであった職業がなくなって新しい職業を生み出さなきゃいけないってときに、「僕はこういう仕事をします」とか「私はこういう世界を開拓してます」っていう旗を立てるときに肩書きが有効なんだと思う。だから僕が提案したいのは、新しい職業、新しい世界や価値を切り開くために、みなさんがぜひ自分自身のオリジナルな肩書きで勝負してくださいと。その肩書きを作ったところにコミュニティが生まれて産業が生まれるから。
藤原:なるほどね~。
堀:だから自由でいいのよ。今まで縛られていたと思う。社会では部長は部長だし、エンジニアはエンジニアってイメージがあったかもしれないけど、「全然違う。僕の肩書き見て」「それは何? めちゃくちゃ共感するからその肩書き使っていい?」「いいよ」って広がっていくから。
堀の話を聞いた藤原は、これまで肩書きに対してモヤモヤしていたものが晴れた様子。
藤原:今まで何を言っても私がしっくりこなかったの。「タレント」とか。でも私はテレビに出ているわけじゃないし。それで「ポートフォリオ・ワーカー」って新しい肩書き見つけたんです。でもけっきょくそれを読み解くと「いろいろやっている人」みたいなことらしいんですよ。ただ私はそれが言えるほどワークしていないし、カッコつけすぎてると思った。でも「そっか、肩書きを作っちゃえばいいんだ」「作って相手に質問させてもいいんだ」って腑に落ちた。
堀:全然いいと思います。
藤原:ちょっと視野が開けました。世の中にある肩書きでいちばん近いものを探す作業が苦しかった。
堀:だって既存の肩書きに当てはまらないんだもん。
藤原:私に限らず世の人たちが「それ何?」って訊き返されて上等ってことですよね。
堀:そうですね。
藤原:今いろんな年齢の方が「この型にはまってください」ってことに苦しんでいると思うんです。もちろん肩書きがあるほうが柔軟に進む場もたくさんあると思うので、一概に否定はしたくないけど、苦しんでいる人が多いのもたしかだと思う。
堀:それはこれまでに積み重ねてきた、誰かが作ってきた肩書きのなかに当てはめなきゃいけないという、まさに圧力だったと思います。肩書きに罪はないけど、肩書きに縛られないで自分で肩書きを作ってみたらって。100人いたら100人の肩書きがある社会のほうがおもしろくないですか。そういうのをダイバーシティと言うんですよね。
堀は「今、いろいろんなところでダイバーシティの旗を振るけど、ダイバーシティの旗を振れば振るほど、『こうあるべきだ』ってことが膨らみ、それに当てはまらないと排除されてしまう」と指摘する。
藤原:自由があり過ぎても逆に困る部分もありますよね。
堀:僕らの生きる社会で考える「自由」って「俺は服を着てなくても街を歩いていいぞ!」っていうものじゃなくて、誰かの幸せも尊重するし、僕の幸せも尊重しようと。でも放っておいたらぶつかっちゃうからお互いにちょっと調整してみるみたいな。そういうコミュニケーションだと思うんですよね。だから、肩書きから解放されるって、「あなたが思っている〇〇っていうイメージと、僕が持っている〇〇っていうイメージを一度すり合わせてみますか」って。それで「全然違ったね」ってなるかもしれない。それを楽しむコミュニケーションがあるといいのかなって思います。
藤原:堀さんとお話をしてみてスッキリする部分もあったし、「人からこう見られるためにはこの肩書きじゃないといけないのかな」とか「人から見られてこの肩書きがないと私ってダメなのかな」とか、まわりに価値を置いたから苦しくなっていたけど、自分が「こう見られたい」「自分がいちばん落ち着く肩書きを作っていいんだ」って気づきました。
J-WAVE『HITACHI BUTSURYU TOMOLAB. ~TOMORROW LABORATORY』は毎週土曜20:00-20:54オンエア。
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2021年4月10日28時59分まで
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番組情報
- HITACHI BUTSURYU TOMOLAB.〜TOMORROW LABORATORY
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毎週土曜20:00-20:54