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この建物は…? 「人身売買の契約書に自らサインする子ども」その理由

この建物は…? 「人身売買の契約書に自らサインする子ども」その理由

J-WAVEで放送中の番組『ENEOS FOR OUR EARTH -ONE BY ONE-』(ナビゲーター:堀田 茜)。11月6日(金)のオンエアでは、持続可能な開発目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」の目標4「質の高い教育をみんなに」について、笑下村塾取締役で芸人としても活動する、たかまつななに話を聞いた。

SDGsを楽しく学ぶ!

お嬢様芸人としての活動するたかまつ。18歳選挙権が導入されたことを機に、若者と政治の距離を縮めるため「笑下村塾」を設立。芸能活動をしながら、「笑える」政治教育やSDGs教育に取り組み、著書『お笑い芸人と学ぶ13歳からのSDGs』(くもん出版)を出版した。

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堀田:たかまつさんは会社をやられているんですね。
たかまつ:「笑下村塾」では、全国の学校へ出張授業に行って「楽しく学ぶ」をコンセプトにお笑い芸人が授業をしています。SDGsは最近一気に機運が高まってきたので、企業さんの研修や学校も多くなってきました。
堀田:そんな芸人さんはなかなかいないですよね。
たかまつ:スケジュール帳に書かれているのは、SDGsの企業研修が多いです(笑)。今はオンラインの研修がどんどん入っています。

『お笑い芸人と学ぶ13歳からのSDGs』では、若い世代にもわかりやすくSDGsについて解説している。たかまつは、同書以外にもSDGsについて楽しく学べる教材を作成したそうだ。

たかまつ:「SDGsババ抜きカードゲーム」という、ババ抜きを通してSDGsを楽しく学んでいただく教材を作りました。カードで販売しているので、私たちが出張授業に行かなくても学校の先生方に使っていただけます。楽しく学んでいただきたいという思いでやっています。あとは私以外にもいろいろな事務所の芸人さんとコラボをさせてもらって、現在は20組ぐらい出張授業ができる芸人さんがいるので、同時に3カ所回ることもできます。芸人さんと、世界でいま起こっていることの写真を見て「写真で一言」みたいな大喜利をしていただくこともあります。
堀田:おもしろそう!

教育が受けられない子どもの人数は…

たかまつが、目標4「質の高い教育をみんなに」の重要性を以下のように説いた。

たかまつ:SDGsには17の目標があり、その中になぜ教育が入っているのかというと、教育が受けられない人がたくさんいるという現状があるからなんです。世界で教育を受けられない子どもたちはどのくらいいると思いますか?
堀田:数千万人とか?
たかまつ:正解は3億300万人なんです。世界の子どもの5人に1人が学校に行けていない。
堀田:働かないといけない環境の子もいるわけですよね。
たかまつ:児童労働をせざるを得ない子もいます。日本でも奨学金を利用している人がたくさんいますよね。大学生の半分ぐらいが奨学金を利用しているので、日本は問題ないということではないのです。
堀田:こういった一見難しそうな内容を大喜利などで教えてくれるんですね。

人身売買の契約書に自らサイン、その理由とは?

たかまつがネパールへ行ったときの写真をもとに、堀田が大喜利にトライした。

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たかまつ:白くてきれいなヨーロッパふうのお城みたいな建物です。これは一体なんのための建物だと思いますか? ちょっと特殊な建物です。
堀田:ボケないといけないんですよね?
たかまつ:そういうことですね(笑)。
堀田:ラジオでボケるのはハードルが高い! なんだろう……。たかまつさんの寝室一棟貸し!
たかまつ:もうちょっと大きいですね。
堀田:あはは(笑)。
たかまつ:これは衝撃なんですけど、人身売買された子をかくまうシェルターなんです。
堀田:ええ!
たかまつ:世界ではまだ人身売買というものがあります。ここは私が取材をさせてもらった場所で、私が話を聞いた子は「サーカスを観に行こうよ」と言われて「楽しそう、行く行く!」と行ったら「ここにサインをして」と契約書にサインをするように言われたそうなんです。文字が読めないからよくわからないけど、自分の名前はかろうじて書けるからサインをしたら、それが人身売買の契約書だった。お金がないから親が自分の子どもを売っているんですね。
堀田:うわあ……。
たかまつ:泣く泣く「自分の子どもをひとり売るか」と売ってしまっているので、その子には戻る場所がないんですね。
堀田:おうちに戻ったところで……。
たかまつ:「なんで戻ってきたの?」と言われる。国際的NGOがこういう子たちを救ってシェルターにかくまっているんです。だからひっそりとこの子たちは過ごしています。建物内にはミシンがいっぱい置いてあり、ミシンで仕事を覚えて社会復帰できるようにするという生活を送っています。
堀田:こんなにかわいらしい建物がそういった場所だとは思わなかったです。ボケようとして自分で一生懸命考えることで、内容がすごく印象に残ります。
たかまつ:楽しく笑ったあとに「え?」って、その衝撃やギャップがありますよね。こういうふうに、勉強ができなくて文字が読めないと人身売買の契約書にサインをしてしまうかもしれないですし、選挙のときに新聞を読めなくて誰に投票していいかわからなかったり、「お金持ちを優遇します」みたいな政策をしているところに投票してしまったり、そういう可能性があるわけじゃないですか。
堀田:そもそも文字が読めないと、そうですよね。
たかまつ:あと、「地雷」や「危険」の文字が読めなくて地雷を踏んでしまうこともあるんです。
堀田:そうか。読めないと「危険だ」と認識することすらできないから。
たかまつ:ビンが2本並んでいて、「危険」と「飲めます」と書いてあったときに、文字が読めないと間違って飲んでしまう。
堀田:教育はそういうことにもつながるんですね。
たかまつ:日本で「勉強」というと、お医者さんになったり専門職に就いたりというイメージがありますが、そうじゃなくて、生活するのに困るということです。
堀田:そういった意味でも学校に行って最低限の知識を学ぶことが大事ですね。
たかまつ:人身売買の契約書に自らサインをしてしまうなんて恐ろしいですよね。私も取材に行くまでは想像がつかなかったですね。

SDGsの目標はすべてつながっている

教育の重要性を改めて知った堀田は、「どういう人たちが教育を受けることが難しい状況にあるのだろう」と、たかまつに疑問を投げかける。

たかまつ:途上国の方はなかなか難しいですよね。親の仕事を手伝ったりしないといけない環境がありますし、そもそも学校が近くになかったり、学校に行くまで時間がかかったりということもあります。日本も中学生の約1割が不登校傾向にあるというデータを日本財団が出しまして、これは衝撃的な数字でした。1割は多いですよね。
堀田:思ったより多いですね。
たかまつ:あと、若者の死因で一番多いのは自殺だということ。メンタルヘルスが学校の場でも危ぶまれているということが言えるんだと思います。
堀田:調べてみると衝撃的な事実が意外と身近にあったりするんですね。
たかまつ:いま話をしているのは目標4「質の高い教育をみんなに」ですが、メンタルヘルスの問題などはSDGsの目標8「働きがいも経済成長も」という項目にもつながります。
堀田:なるほど。
たかまつ:貧しいから学校に行けないというのは目標1「貧困をなくそう」にもつながってくる。そういうふうにSDGsは目標4だけを高めれば世界がよくなるというものではないんです。目標4を高めるには目標1も高めないといけない、と全部連携しているイメージです。
堀田:たくさんの目標の中でひとつだけをよくしていこうとしても意味がない。横並びで全部を一緒に高めていかないといけないんだなと改めて思いました。
たかまつ:SDGsができた背景には、以前に「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:MDGs)」というものがあって、それは途上国だけの課題だったんです。でもSDGsは「先進国にも課題がある」「日本にも課題があるよね」という点が大きな特徴です。
堀田:知ることが第一歩ですね。自分で調べて興味を持つ。そこから周りに発信することが目標達成につながる第一歩なのかなと思いました。

『ENEOS FOR OUR EARTH -ONE BY ONE-』では、私たちの地球の未来を守るために、いまできることを一緒に考える。オンエアは毎週金曜の22時から。

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2020年11月13日28時59分まで

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番組情報
ENEOS FOR OUR EARTH -ONE BY ONE-
毎週金曜
22:00-22:30