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THE BAWDIES・ROY「こんな音楽がこの世にあったんだ」 すりきれるほど聴いたレコードは?

THE BAWDIES・ROY「こんな音楽がこの世にあったんだ」 すりきれるほど聴いたレコードは?

11月3日は「レコードの日」だった。前日である11月2日(月)、J-WAVEで放送中の番組『STEP ONE』のワンコーナー「MUSIC+1」(ナビゲーター:サッシャ、増井なぎさ)では、大のレコードマニアであるTHE BAWDIESのボーカルROYがゲストに招き、「初めて買った1枚」「すりきれるほど聴いた1枚」など、レコード愛をたっぷり伺った。

大のレコードマニア! 所蔵数は4ケタ

ROYは大のレコードマニアで、8年ほど前からTwitterでアナログレコードを紹介している。ステイホーム期間中においては、この活動に特別な思いもあったそう。



ROY:コロナ禍でみんなが家に閉じこもってしまって、生で音楽が聴けないということがありました。なので「音楽で刺激をもうちょっと伝えられないかな?」と思って7インチのシングルのコレクションを紹介しています。
サッシャ:すごいな。何枚持っているんですか?
ROY:僕はシングル盤のコレクターで、5000枚から6000枚のあいだぐらいだと思います。
サッシャ:じゃあ全然まだいけるね。
ROY:ほぼ毎日買ってますので。
サッシャ:ネットショッピングで?
ROY:基本的にはそうですね。仕事に行く時間が少なくなって逆にレコードを買う時間が増えちゃって、これはマズイです。
サッシャ:曲を買う原資のために曲をいっぱい作らないと(笑)。

ブラック・ミュージックにハマるきっかけとなった「最初の1枚」

この日はROYがテーマに沿って持参をしたレコードを1枚ずつ紹介。1つ目のテーマは「初めて買った1枚」で、思い出を振り返った。

サッシャ:「1枚目」ってあるの?
ROY:あります、覚えてます。僕はレコードにハマったのは高校生の終わりだったんです。もとはザ・ビートルズやザ・ローリング・ストーンズといったブリティッシュビート、それからアメリカでガレージと呼ばれる音楽を聴いていって、彼らのルーツが知りたくなってR&Bにたどりついたんです。メンバーみんなでレコード屋さんに行って探そうとなったんですけど、なにを聴けばいいかわからない。そのとき、曲はストーンズの『(I Can't Get No) Satisfaction』なんですけど、アーティストがオーティス・レディングって書いてあるレコードをみつけて、「なんだこれは?」と。
サッシャ:オーティス・レディングは知ってたの?
ROY:ほとんど知らなかったので「どういうことだろう?」と思って試聴させてもらったら、ぶっ飛びました。「ソウルシンガーが歌ったロックの楽曲がこんなに変わるのか」と。それで初めて買ったのがこの1枚なんです。

番組では『(I Can't Get No) Satisfaction』のオーティス・レディングによるカバーをオンエアした。

増井:これですね。
サッシャ:お馴染みのリフですが……うわ、ホーンセクションが入ってる。
ROY:そうなんです。もともとストーンズのファズの効いたギターリフが、あれはソウル・ミュージックとかのホーンをイメージしてギターで置きかえたっていう。
サッシャ:そうなんだ!
ROY:なので逆にホーンに戻したという。
サッシャ:このイメージだったってこと?
ROY:そう。だから「こっちが原曲」みたいなことでやっているんだと思うんです。オーティスが当日レコーディングするときも、プロモーションの一環で当時はやっていた楽曲をカバーするというのがあったので、その影響でこのストーンズの曲を取り上げているんです。たぶん練習もしていきていないし、歌詞もその場でなんとなく伝えられたばかりだからなのか、アドリブっぽいんですよね。
サッシャ:歌詞カードがちゃんとあるわけじゃないんだ。
ROY:そうなんです(笑)。オーティスのいいところはアドリブというかこの熱量。これを最初に買ったんですが、本当に安い盤で500円くらいだったと思うんです。ブラック・ミュージックに僕がハマっていくきっかけというか、シャウトを聴いてこの炸裂感みたいなことでのめり込んでいきました。
サッシャ:ROYくんの原点を感じます。

「もう一生手に入らないかもしれない」お金よりも大切な1枚

続いては「レコードが好きになったきっかけの1枚」について尋ねると、ROYは驚きの値段のレコードを紹介した。

サッシャ:レコードを集めるきっかけになった1枚?
ROY:そうなんです。お宝のレコードを何枚か持ってきたんですが、そのなかの1つです。これはマイク・ペディシンというアーティストの『Burnt Toast & Black Coffee』という曲です。これはR&Bに興味が湧いてきたときに最初に買った、いろいろなアーティストの楽曲が入ったコンピレーションアルバムがあるんですが、その1曲目に入っていた楽曲なんです。なにがなんだかわからなくて「R&B」というコンピだったので「これがR&Bなのか」という気持ちで聴いて、特にかっこいい楽曲だったので印象に残っていました。「ぜひ7インチで手に入れたい」と思って調べると、これはジャンルとしてはジャンプとかジャイヴといったR&Bの1つなんです。クラブでソウル・ミュージックをかけて踊るという文化が60年代後半から70年代にかけてあって、その文化のなかですごく有名な楽曲になってしまった。有名なDJがかけて、そのマニアたちがこぞって手に入れようとしてレア盤になっていたんです。それこそ1枚10万円とか。
増井:わあ……。
サッシャ:いくらで買ったの?
ROY:12、ぐらいです(笑)。でも僕にとっては「思い出」。バイト代を全部つぎ込んででも絶対に手に入れたかったんです。届いたときのうれしさはいまだに覚えてます。手が震えるというか、まあ金額もデカいので(笑)。
サッシャ:バイトで貯めた10万は相当だよ。
ROY:今はそれこそサブスクや配信があって、ボタン1つで音楽は簡単に手に入ると思いますが、一方でボタンひとつで捨てることも可能なんです。でもこうやって自分で苦労をして手に入れて、実際にモノを手に取った喜びを感じたものをゴミ箱に捨てられるかと言ったら、絶対に捨てられない。それは金額うんぬんではなくて、探していたときの気持ちやヒストリーもありますから。だから手に入れ方1つによって、同じ曲かもしれないけど、愛し方が変わってくる。音楽を発信する側の僕らとしても、こうやって愛していただけたらうれしいなという気持がありますね。
サッシャ:火事になって財布とこのレコードがあったらどっちを持っていく?
ROY:レコードです。
サッシャ:そうですよね(笑)。
ROY:お金は頑張ればまた稼げますが、このレコードはこれしかないんです。もう一生手に入らないかもしれないですから。

THE BAWDIESの原点となる1枚

続いては「すりきれるほど聴いた1枚」。オンエアをしたのはザ・ソニックス『Cinderella』。ROYによると、THE BAWDIESにとって重要な楽曲なのだそう。

ROY:これは僕らの原点。THE BAWDIESというバンドを組むきっかけになったのがソニックスという60年代のガレージバンドだったんです。レコード屋さんに入ったときに流れていた楽曲があって、それを聴いたときに、それこそガレージやロックンロールをまったく知らない僕たちは「なんだこの音楽は!?」と新鮮に感じたんです。40年以上前の昔の音楽だけど、古臭くなく新鮮に感じた。その1曲を僕はシングル盤で買いたいということで買って、これはバンドをやっていろいろな楽曲を作っていますけど、必ず原点に帰るときがあるんです。
サッシャ:「THE BAWDIESとはなんだろう?」と思ったときに聴いてもう1回スタートに戻るみたいな。
ROY:そうです。その1枚ということで。
サッシャ:何回聴いてる?
ROY:これは何百回と聴いてますね。あとこれはLP盤もモノとステレオ盤と両方持っているんですが、やっぱりシングルが一番ドンッという音圧がすごいんです。

THE BAWDIESとソニックスは2012年に一緒にツアーを行った。その際、サインを書こうかと言ってくれたが、ROYは断ったという。

サッシャ:どういうことですか!?
ROY:「このオリジナル盤には触らないでほしい」と。
サッシャ:だってソニック本人でしょ?
ROY:いくら本人でも「このオリジナル盤は僕ので、あなたたちのではない」と。
サッシャ:どこにサインをしてもらったの?
ROY:サイン色紙に。
サッシャ:(笑)。ソニックもびっくりしたろうな。恐らく初めてだろうね「レコードにサインをしようか」と言って断った人。
ROY:このオリジナル盤は本人たちも持ってないって言ってました。
サッシャ:そんなことあるの?
ROY:友だちにあげたりして、自分では保管してないと。
サッシャ:「くれ」って言われなかったの?
ROY:サインもさせないやつがくれるわけないですから、そこまで踏み込んでこなかったです。
サッシャ:(笑)。このサウンドを聴いてなかったら、THE BAWDIESはこのサウンドになってなかった?
ROY:というか、バンドを組んでないです。
サッシャ:えー! そこまで。
ROY:これを聴いて「こんな音楽がこの世にあったんだ」と。これを知らない若者がいっぱいいるから「このシングルを世界中の若者に配ろう」と思ったんですが、それは無理じゃないですか。じゃあこれを伝えられるバンドに僕らが……僕らがソニックスになろうと。
増井:それが始まりなんですね。
ROY:そうです。でも調べたら(ソニックスは)まだ活動していたんですよね。
サッシャ:やめてなかったんだね(笑)。
ROY:当時はその情報もなかったので「もういないだろう」と思って。だから「俺らがなろう」ということでバンドを組んだんです。
サッシャ:それで共演が実現したわけだから感動だね。

THE BAWDIESも11月3日に7inch(シングル盤レコード)『SKIPPIN' STONES / LET'S GO BACK』をリリースした。その他の最新情報は、公式サイトまたは、Twitterまで。

J-WAVE『STEP ONE』のワンコーナー「MUSIC+1」では、ゲストとして毎回話題のミュージシャンが登場する。放送は月曜~木曜の12時5分ごろから。

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