ライブは今後どうなる? ミュージシャンがすべきことは…音楽ライター・三宅正一が考える

9月にセカンドアルバムのリリースを控えるTENDREが7月13日~16日、『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』でナビゲーターを務めた。普段のナビゲーター・別所哲也の代演となる。7月14日(火)は、J-WAVEナビゲーター・nicoとのコンビでお届け。ここでは、音楽ライターで、レーベル「Q2 Records」主宰の三宅正一さんを招いてのトークをお届けしよう。ミュージシャンにインタビューをする上で、三宅さんが心がけていることとは。登場したコーナーは、あらゆるものの本質に迫る「MORNING INSIGHT」。


■「人間的セッション」が行われるライブハウスで出会った

三宅さんはカルチャー誌「SWITCH(スイッチ)」「EYESCREAM(アイスクリーム)」の編集を経て2004年に独立。フリーライターとして活動し、2017年には主宰レーベルQ2 Recordsも始動。

そんな三宅さんは、TENDREことを本名の「河原太朗」からとって「太朗ちゃん」と呼んでいる。ふたりの出会いは5年以上前、下北沢のライブハウス「Garage」だった。

TENDRE:「Garage」というのは、とにかくかっこいい、大人しか集まらないすごく変な場所で、地下イベントと呼ばれるようなこともいろいろとやっていたんです。そのなかに僕が「シャーサン」と呼んでいる三宅さんも遊びに来ていて、いろいろなイベントで交流していきました。音楽ライターでレーベルをやっている方ってなかなかいらっしゃらないじゃないですか。だけど三宅さんの場合、それをすごく自然にやっていて、自然に応援したくなる。日々、三宅さんはするどい角度から音楽について言葉を綴っているわけですけど、その言葉を見ていたからこそ「こういうことを伝えたいんだな」と、ミュージシャン側にすごく伝わってきます。本当にかっこいい人だなと思って、今日は呼びたくなってしまいました。

三宅:いやいや、ありがとうございます。こんなに褒められるの初めてですよ(笑)。
nico:そうなんですか(笑)。
TENDRE:今日は褒めますよ。
三宅:(笑)。
nico:TENDREさんにとって、大きな味方、頼りになる存在なんですね。

三宅さんは、TENDREにどんな印象を抱いているのだろうか。

三宅:それこそ太朗ちゃんがおっしゃったように、「Garage」はセッションができないとなかなか楽しめないみたいなところがあって(笑)。太朗ちゃんも最初はセッションをしているイメージがあったんですよね。
TENDRE:音楽的セッションというよりは、人間的セッションみたいな。
三宅:確かに、会話上のセッションみたいになっちゃうんですよね。なにもラップができない人とかでも、いきなりフリースタイルをやらざるを得ないみたいな状況になったりすることも多々ありました。


■限られた時間で、人間性や作品性を向き合うインタビュー

数々のミュージシャンへのインタビューを実施してきた三宅さん。話を引き出すため、どんなこだわりがあるのか。

三宅:僕は自分では批評家ではないと思っているんです。なので、なるべくその人といかに限られた時間のなかでその人の人間性や作品性に向き合えるかということに重きを置いている気がします。だからその上で、疑問に思ったことはなるべく残さずに訊くこととかは意識しています。あとはあまり緊張させないことというか(笑)。
nico:相手を構えさせないようにするということですね。
三宅:そうですね、それは大事にしているかもしれないです。
nico:緊張をさせないために、どのようなことをされるんですか? ツンツンしてみるみたいな?
三宅:ツンツンもありですね、それやってみようかな。
nico・TENDRE:(笑)。
nico:なにかリラックスさせる方法があったりするんですか?
三宅:たとえば音楽作品のリリースのインタビューだったら、頭の2~3分はまったく関係のない話をするとか、そういうことで僕自身もほぐれるところがあるし、インタビューってどうしても構えちゃうので、そこで緊張感がほどけるみたいなところはあるのかな? とは思いますね。あとは、本当はお酒を飲ましちゃいたいんですけどねえ。
nico:話が早いという(笑)、いろいろと出てくると。
三宅:そうですね。飲める人は飲んでほしいなと常々思っています。


■独立をすることによって起きた「出会い」の変化

雑誌の編集を経て独立し、16年間活動をしてきた三宅さん。音楽ライターとしての仕事のフィールドやスタイルに変化はあったのだろうか。

三宅:独立をしてから本当に、仕事に限らず、太郎ちゃんみたいな人にいろいろな場所で会えるようになりました。最初にライブハウスだったりお酒を飲むところで知り合って、のちに「インタビューをするのは初めてだね」みたいなことはよくあります。それはやっぱりフリーになってから増えたかもしれない。
nico:友だちから、顔見知りから入っていく形が多いということですね。
三宅:多くなりました。ここ5年とかは特に多いですね。
nico:ご自身が主宰するレーベル、Q2 Recordsを立ち上げたのは、どのような理由があるんでしょうか。
三宅:マネージメントを担当している踊Foot Worksというグループがいるんです。彼らと出会って「一緒に新しいことをやろう」ということで、レーベル立ち上げたんです。Q2 Recordsというのはビクターさんのなかにあったんですが、今年から踊Foot Worksだけは体制が変わって新しく別の自主レーベルをみんなで作って、そこから作品をリリースしようとしています。Q2 Recordsは開店休業状態ではあるんですが、踊Foot Worksとは新しくレーベルを立ち上げて、そこから発信していきたいと思っています。


■模索する音楽業界、今は「正解がない」 今後のビジョンは

コロナ禍で、音楽業界にいる三宅さんの仕事には、どんな影響が出たのか。ライターとして、インタビューは一時期リモートが多かったものの、最近は対面で行うことも増えてきたという。東京での感染者が増加しているため、しっかりと距離をとっておこなうなど、万全の体制をとっているそうだ。

ミュージシャンから届く声はさまざま。「気分が晴れない状態が続いている」という人もあれば、この機会をインプットに使っているケースもあるという。三宅さんは「誰が正解とかではない。その人の状態は誰にも非難されるべきではない」とし、一人ひとりと向き合っていくしかないと述べた。

音楽業界やライブエンターテインメントは、ウィズコロナ時代のあり方を模索している。三宅さんはどんなビジョンを描いているのか。

三宅:難しいなあ……。過渡期だから正解はない、誰がやろうとしていることも間違いではないと思います。規模を縮小してライブをするのもいいと思うし、配信もいいと思うし、もう少し我慢してみるのも手もある。

新型コロナウイルスのワクチンが開発されるのがいつになるのかはわからない。それまでの期間で、自分たちの状況と向き合いながら新しいアイデアを出したり、これから発達する5Gといったテクノロジーを用いることを検討したりと、「日々の生活を維持しながらやれることと向き合っていくしかないのかな」と話した。

メディアとして、ラジオにも可能性を感じているという。個人的にも「めちゃくちゃラジオが好き」だといい、インターネットでラジオが聞けるサービス「radiko」の普及で身近に感じられるようになったそうだ。

三宅:改めて、ラジオはこんなに情報をバイアスなく耳に入れて咀嚼できる媒体なんだという魅力を感じていますね。
TENDRE:それは思うかも。ラジオのほうが人となりが伝わるというか。
三宅:そうなのよ。性善説をちょっと信じられるというか。財布が落ちていてもラジオをよく聴いている人は届けるんじゃないかみたいな(笑)。
TENDRE:(笑)。それはあるかもね。
三宅:僕は今年の頭に財布を落として交番に届けてもらったんですけど、きっとラジオリスナーだと思う(笑)。
nico・TENDRE:(爆笑)。

三宅さんは今後、ライター/レーベル業をどう展開していくのか。

三宅:ライターとしては、一つひとつの仕事と丁寧に向き合って、新しい人と出会っていきたい。踊Foot Worksは楽曲制作中で、すごくいい曲ができている手応えがある。どのタイミングでリリースするか、ライブ表現をどう行うかも模索しながら、本当にいいと思える音楽を届けていきたいと思っています。

三宅さんの最新情報は公式Twitterまで。

『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』のワンコーナー「MORNING INSIGHT」では、あらゆる世界の本質にインサイトしていく。放送は月曜~木曜の8時35分頃から。

【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年7月21日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

【番組情報】
番組名:『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』
放送日時:月・火・水・木曜 6時-9時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/tmr

関連記事