J-WAVEで放送中の番組『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー「MORNING INSIGHT」。4月8日(水)のオンエアでは、精神科医でミュージシャンの星野概念が電話出演。新型コロナウイルスの問題や、新生活のスタートなど不安になりやすい今、気分をラクにする方法とは?
■「相手のことをわかろうとする」のが大事
いとうせいこうの主治医として知られる星野は、精神科医でありながら、数々の雑誌に連載を持ち、さらにミュージシャンとしても活動している。2018年には、いとうせいこうとの対談本『ラブという薬』(リトルモア)を刊行した。ふだんの診療の様子を対談という形でまとめた一冊で、「こういうときはこうすればいい」といったようなHOW TO 的な要素はないのだという。
星野:教えみたいなものは何もないな、って我ながら思うんですけど(笑)。
別所:タイトルは「ラブという薬」ということで、やっぱりそこには愛というか……。きっと人間って話すことが大事なんでしょうね。
星野:そうですね。話を聞こうとすること、向き合っている相手のことをわかろうとすることを、なるべく諦めないことが僕は日々大事だと思っていて……。電話とかオンラインで(顔を見ていなくても)向き合うということだと思います。
別所:本当にそうですね、思いやる気持ちだったり、相手の話を聞いてあげる時間って大事。しかも目と目を合わせて話すって、なかなかしているようでしていないことってありますもんね。
「相手と向き合うこと」「話を聞くこと」が大切だと語る星野。そのきっかけを作ったのは小学校のクラスメイトだったと言う。
星野:小学校のとき仲間外れにされている女性がいたんです。僕はその女性がなぜ仲間外れにされているか(理由が)わからなくて。6年生で林間学校で肝試しのペアを組むとき、みんなが「◯◯と組む」と決めていくなか、僕はその波に乗り遅れたのもあって、その女性とペアになったんですね。それで実際、2人で肝試しを回ってみたら、静かないい時間だったみたいなことがあって。たぶん他の人にはわからない、小さいけど大切な時間ってあるよなって子どもながらにそのとき気づいたような気がするんですね。だからそれが今の仕事に繋がっているかって言ったらよくわからないんですけど、自分の考えている信念みたいなものには繋がりはあるのかなって思ったりしています。
「話を聞く」という信念は、自身の抱える患者のみでなく、トークショーに参加した多数にも向けられる。
別所:先ほどご紹介させていただいた『ラブという薬』を出されたあと、青山ブックセンターでいとうせいこうさんと一緒に開催した「人生相談トークショー」、これ8時間も続いたって本当ですか!?
星野:毎回2時間くらいだったんですけど、悩み相談に答えるっていうよりも、悩み相談に僕らもただ悩むみたいな(笑)、答えが全然出ないんです。だから2時間で扱える質問が2つとか3つだったりするんですけど、一度できるだけ長くやってみようって言ったら8時間くらい続いて。でもその中にモグモグタイムって言ってお菓子を食べる時間とか、あとは(お笑いコンビの)松本ハウスさんの、ハウス加賀谷さんが統合失調症の当事者であられるんですけど、その松本ハウスさんをお呼びして話を聞く時間を作ったりとかして。そうしているうちにあっという間に8時間過ぎました。
■気持ちの切り替えには「声を出す」のもオススメ
新生活がスタートした4月。新型コロナウイルスの影響もあり、例年に増して不安を感じている人も多い。リスナーからは、「私はすぐ不安になったりしんどくなったりするんです」という相談が届いた。
「SNSとの付き合い方も難しいなと感じています。もう少し心穏やかに、小さいことを気にせず生きていくにはどうすればいいでしょうか」
星野:不安になりますよね。今はたくさんの情報が流れてくるじゃないですか。SNSでもテレビでも、いろんな方向からいろんな情報が流れてくる。それを処理するのは難しい部分もあると思います。流れてくる情報とか、SNSで見るいろんな人のいろんな考えは、その人たちの意見であって自分の考えと同じではないし、それと同じにならなくてもいいと思うんですよ。なので1回立ち止まって、自分はどう構えるのかを考えられたらいいと思うんですが。言うのは簡単で、なかなか難しいんですよね。
別所:その情報を見たくない、聞きたくないと思っても、例えばスマホで速報が飛んでくるとか、情報は360度に存在します。そんななか、どうやって息苦しくなく生きていくか。他のリスナーさんからも、「気持ちの切り替え方法を教えてください」という相談がありました。自粛生活のなかで疲労が溜まり、追い込まれたような気持ちになってしまうっていうことなんですけど、何か前向きになるヒントをください。
星野:今、全世界的に急に環境が変わっている状況だと思うんですよ。営業できなくなった人がいたり、パフォーマンス(表現活動)をできなくなった人がいたり。ご家族みんな不安だし、自分も不安だしという状況に急に環境変化が起こって。環境変化が起こると、人って余裕がなくなるんですよね。僕はそこの環境に適応するのには数ヶ月くらいかかるものだと思っています。
別所:気持ちの切り替え方法は何かありますか?
星野:うーん、切り替えるというか、自粛自粛と言われているけれども、「自粛」って実は曖昧な言葉というか。自分にとっての自粛生活と、その自粛生活のなかで許してあげられるような「はみだし」はどういうものなんだろう、というふうに考えてみるのはひとつの方法じゃないかと思います。
別所:そうですね。僕なんかけっこう「ふぁー!」と声出しながら背のびしちゃったり、大声でお風呂場で歌ったりね(笑)。そういうのがけっこういい感じだったり。あとね、ワンワン泣くような感動できる映画を観ちゃうとかね。
星野:そうですね、家のなかでどれだけ大きい声を出せるかっていう問題はあると思うんですけど、声を出すのはいいと思います。車のなかで歌うとか、そういうのもあると思います。
別所:ありがとうございます。(リスナーの皆さんも)気晴らしにいろんなことができる環境をつくっていってくださいね。
『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』のワンコーナー「MORNING INSIGHT」では、あらゆる世界の本質にインサイトしていく。放送は月曜~木曜の6時30分頃から。お楽しみに!
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年4月15日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』
放送日時:月・火・水・木曜 6時-9時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/tmr
■「相手のことをわかろうとする」のが大事
いとうせいこうの主治医として知られる星野は、精神科医でありながら、数々の雑誌に連載を持ち、さらにミュージシャンとしても活動している。2018年には、いとうせいこうとの対談本『ラブという薬』(リトルモア)を刊行した。ふだんの診療の様子を対談という形でまとめた一冊で、「こういうときはこうすればいい」といったようなHOW TO 的な要素はないのだという。
星野:教えみたいなものは何もないな、って我ながら思うんですけど(笑)。
別所:タイトルは「ラブという薬」ということで、やっぱりそこには愛というか……。きっと人間って話すことが大事なんでしょうね。
星野:そうですね。話を聞こうとすること、向き合っている相手のことをわかろうとすることを、なるべく諦めないことが僕は日々大事だと思っていて……。電話とかオンラインで(顔を見ていなくても)向き合うということだと思います。
別所:本当にそうですね、思いやる気持ちだったり、相手の話を聞いてあげる時間って大事。しかも目と目を合わせて話すって、なかなかしているようでしていないことってありますもんね。
「相手と向き合うこと」「話を聞くこと」が大切だと語る星野。そのきっかけを作ったのは小学校のクラスメイトだったと言う。
星野:小学校のとき仲間外れにされている女性がいたんです。僕はその女性がなぜ仲間外れにされているか(理由が)わからなくて。6年生で林間学校で肝試しのペアを組むとき、みんなが「◯◯と組む」と決めていくなか、僕はその波に乗り遅れたのもあって、その女性とペアになったんですね。それで実際、2人で肝試しを回ってみたら、静かないい時間だったみたいなことがあって。たぶん他の人にはわからない、小さいけど大切な時間ってあるよなって子どもながらにそのとき気づいたような気がするんですね。だからそれが今の仕事に繋がっているかって言ったらよくわからないんですけど、自分の考えている信念みたいなものには繋がりはあるのかなって思ったりしています。
「話を聞く」という信念は、自身の抱える患者のみでなく、トークショーに参加した多数にも向けられる。
別所:先ほどご紹介させていただいた『ラブという薬』を出されたあと、青山ブックセンターでいとうせいこうさんと一緒に開催した「人生相談トークショー」、これ8時間も続いたって本当ですか!?
星野:毎回2時間くらいだったんですけど、悩み相談に答えるっていうよりも、悩み相談に僕らもただ悩むみたいな(笑)、答えが全然出ないんです。だから2時間で扱える質問が2つとか3つだったりするんですけど、一度できるだけ長くやってみようって言ったら8時間くらい続いて。でもその中にモグモグタイムって言ってお菓子を食べる時間とか、あとは(お笑いコンビの)松本ハウスさんの、ハウス加賀谷さんが統合失調症の当事者であられるんですけど、その松本ハウスさんをお呼びして話を聞く時間を作ったりとかして。そうしているうちにあっという間に8時間過ぎました。
■気持ちの切り替えには「声を出す」のもオススメ
新生活がスタートした4月。新型コロナウイルスの影響もあり、例年に増して不安を感じている人も多い。リスナーからは、「私はすぐ不安になったりしんどくなったりするんです」という相談が届いた。
「SNSとの付き合い方も難しいなと感じています。もう少し心穏やかに、小さいことを気にせず生きていくにはどうすればいいでしょうか」
星野:不安になりますよね。今はたくさんの情報が流れてくるじゃないですか。SNSでもテレビでも、いろんな方向からいろんな情報が流れてくる。それを処理するのは難しい部分もあると思います。流れてくる情報とか、SNSで見るいろんな人のいろんな考えは、その人たちの意見であって自分の考えと同じではないし、それと同じにならなくてもいいと思うんですよ。なので1回立ち止まって、自分はどう構えるのかを考えられたらいいと思うんですが。言うのは簡単で、なかなか難しいんですよね。
別所:その情報を見たくない、聞きたくないと思っても、例えばスマホで速報が飛んでくるとか、情報は360度に存在します。そんななか、どうやって息苦しくなく生きていくか。他のリスナーさんからも、「気持ちの切り替え方法を教えてください」という相談がありました。自粛生活のなかで疲労が溜まり、追い込まれたような気持ちになってしまうっていうことなんですけど、何か前向きになるヒントをください。
星野:今、全世界的に急に環境が変わっている状況だと思うんですよ。営業できなくなった人がいたり、パフォーマンス(表現活動)をできなくなった人がいたり。ご家族みんな不安だし、自分も不安だしという状況に急に環境変化が起こって。環境変化が起こると、人って余裕がなくなるんですよね。僕はそこの環境に適応するのには数ヶ月くらいかかるものだと思っています。
別所:気持ちの切り替え方法は何かありますか?
星野:うーん、切り替えるというか、自粛自粛と言われているけれども、「自粛」って実は曖昧な言葉というか。自分にとっての自粛生活と、その自粛生活のなかで許してあげられるような「はみだし」はどういうものなんだろう、というふうに考えてみるのはひとつの方法じゃないかと思います。
別所:そうですね。僕なんかけっこう「ふぁー!」と声出しながら背のびしちゃったり、大声でお風呂場で歌ったりね(笑)。そういうのがけっこういい感じだったり。あとね、ワンワン泣くような感動できる映画を観ちゃうとかね。
星野:そうですね、家のなかでどれだけ大きい声を出せるかっていう問題はあると思うんですけど、声を出すのはいいと思います。車のなかで歌うとか、そういうのもあると思います。
別所:ありがとうございます。(リスナーの皆さんも)気晴らしにいろんなことができる環境をつくっていってくださいね。
『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』のワンコーナー「MORNING INSIGHT」では、あらゆる世界の本質にインサイトしていく。放送は月曜~木曜の6時30分頃から。お楽しみに!
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年4月15日28時59分まで)
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【番組情報】
番組名:『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』
放送日時:月・火・水・木曜 6時-9時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/tmr