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たなかみさきの稀有な点は? 『あ~ん スケベスケベスケベ!!』手がけたブックデザイナー・佐藤亜沙美が語る

たなかみさきの稀有な点は? 『あ~ん スケベスケベスケベ!!』手がけたブックデザイナー・佐藤亜沙美が語る

イラストレーター・たなかみさきが、最新イラスト集『あ~ん スケベスケベスケベ!!』(パルコ)を上梓した。レトロでキュートなたなかのイラストが満載。男女問わず楽しめる、隠さなくてもいい“エロ本”だ。

『あ~ん スケベスケベスケベ!!』(パルコ)

ピンクで透明な袋に入った装丁もインパクトが大きい。電子書籍が盛んな今の時代に、紙の本を手にとる喜びを感じさせてくれる。手がけたのは、人気ブックデザイナー・佐藤亜沙美だ。

佐藤は祖父江慎が率いる「コズフィッシュ」を経て、2014年に独立。2016年から2019年カルチャー誌『Quick Japan』の、2019年から文芸誌『文藝』アートディレクターに就任。最近では、『静かに、ねぇ、静かに』(著・本谷有希子)、『出会い系サイトで70人の人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』(著・花田菜々子)などの話題書を手がけている。

たなかがJ-WAVEでナビゲーターを務める番組『MIDNIGHT CHIME』(毎週月曜 26時-26時30分)では、2月10日と17日に佐藤がゲストに登場。ここでは10日のオンエア内容を紹介しよう。佐藤がたなかを“稀有”だと感じる、ブックデザイナーならではの視点とは。


■本に救われて、ブックデザイナーの道へ

自分の視野を広げてくれる本の世界。読書を通じて「救われた」と感じる人も少なくないだろう。佐藤も本に対して“恩”があり、ブックデザイナーへの道を歩む原動力となった。

佐藤:学生時代って暗黒じゃないですか(笑)。
たなか:はい。深く納得します、漆黒です。
佐藤:そこを突破できた一筋の光みたいな感じで、(本で)かなり助かったという感じがあったので、鶴の恩返し的に。
たなか:本が好きなんですね。
佐藤:そうですね。若いときって「半径3メートル」みたいな視界の狭さじゃないですか。なんですけど、そこからドーン!って世界を広げてくれたみたいなイメージがあります。
たなか:本一冊で世界が広がる感覚はすごいですよね。
佐藤:「こんな駄目人間でもオーケー」みたいな感じが。
たなか:肯定をしてくれるというか。
佐藤:ネガティブならネガティブなほどいい、と思って読んでいました。
たなか:すごくわかります。
佐藤:そこから美術や漫画に触れるようになって、自分でも「こっち側に行きたい」と始めたんです。
たなか:そのとき「物語を描こう」ではなくて、本の表紙や中身をデザインするほうに行ったんですね。
佐藤:不思議なんですけど、そちらのほうが得意だと思ったんですよね。
たなか:おもしろい。そうだったんですね。

デザインという仕事は、相手の要求と自分のこだわりとの間で、どこかに折り合いをつける必要がある。佐藤は、「おまかせ」というオーダーであれば積極的に提案していくという。作家と並走するイメージで仕事をすることも、もちろんある。

佐藤:今回は、たなかさんの気合を最初のメールで感じて。なるほど、今回はこういう「いくぞ!」っていう感じなんだなと。そうすると、たなかさんに寄り添った作り方というか。並走しながら、「紙を変えたら面白いんじゃないか?」と提案したり、(作家の希望に)肉付けするようなアイデアを出させていただくみたいな感じになります。

やる気を指摘されたたなかは、「もう、ゴリゴリでしたね」と肯定し、佐藤を笑わせた。

『あ~ん スケベスケベスケベ!!』(パルコ)


■たなかが影響を受けた蛍光色

たなかと佐藤は、最初に出した書籍『ずっと一緒にいられない』でもタッグを組んでいる。その本を作る過程で佐藤から受けたアドバイスによって、作風に変化が現れたという。

たなか:私の絵は、蛍光色を使うとすごく紙の中で活きる、と提案してくださったんです。それまでは淡い色を使うことが多かったんですけど、手描きのイラストにもビビットな色を使うようになったりとか、すごく影響を受けています。『あ~ん スケベスケベスケベ!!』は、佐藤さんのデザインありきで土台を考えていたフシがありますね。佐藤さんの蛍光色遣いに影響を受けました。
佐藤:SNSでたなかさんの作品を見る機会が多かったので、やっぱり彩度がすごく大事かなと感じたんです。


■たなかがイラストレーターとして稀有だと思う点は?

モニターと紙では、絵の見え方が異なる。佐藤によると、絵を印刷する際に「原画に忠実に」というシビアな要望を出すイラストレーターも多いのだとか。

佐藤:その点、たなかさんはすごくフレシキブル。インクが混ざるとちょっと原画よりも(雰囲気が)軽くなったりするんですが、そこも「かわいい、オッケー」みたいな感じで。印刷は印刷として見てくださるというのが、稀有(けう)な作家さんだなという風に思います。『あ~ん スケベスケベスケベ!!』を見ていただいたときも、「どうかな?」とドキドキしていたんですけど「あ、いいでーす」みたいな(笑)。
たなか:そうですね(笑)。決断もけっこう早いかも。
佐藤:本当に決断が早いですよね。
たなか:軽さだったり重さだったり、私は「印刷ならではのかわいさ」だと思っています。

たなかの個展が、3月12日(木)から3月23日まで、渋谷パルコ地下1階「GALLERY X」にて開催される。印刷物と原画の色合いの違いも、楽しみ方のひとつとなりそうだ。

2月17日(月)のオンエアでも2人がトークを繰り広げる。放送は深夜26時から。

【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年2月17日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

【番組情報】
番組名:『MIDNIGHT CHIME』
放送日時:毎週月曜 26時-26時30分
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/chime/
オフィシャルInstagram:https://www.instagram.com/midnight813_/

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