J-WAVEで放送中の番組『SPARK』。(月曜ナビゲーター:水野良樹)。10月7日(月)のオンエアでは、水野が同番組のナビゲーターを務めて半年であることを記念して、「いきものがかりのミュージックシェア祭り」を実施。リスナーがいきものがかりの楽曲にまつわるエピソードを寄せ、水野がそれぞれ制作秘話や曲への想いをコメントした。
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2019年10月14日28時59分まで)
■「自分たちのことをテーマにしない」いきものがかりに珍しい一曲
ミュージックシェア祭りの1曲目は、17歳の女性リスナーから寄せられた『アイデンティティ』。ファンクラブツアーで聴いてひとめぼれしたのだという。どんな想いが込められた曲かは知らなかったものの、演奏を聴いて自然と涙が出たそうだ。
水野:僕らは去年の終わりごろに「集牧」ということで、2年間くらいの休養期間を終えました。その後、春のファンクラブツアーで初披露した曲です。そこから新たに踏み出すということが、この曲にはすごく強く入っていますね。
いきものがかりは、今まで自分たち自身のことは歌のなかでは語らない、テーマにしないということを大事にしてきた。しかしこの曲では、吉岡聖恵(Vo.)が自分の背中を押せるような想いを込めたそうだ。
水野:今30代半ばの女性である吉岡が歌うことによって、同じように一歩踏み出そうとしている、同じような世代の人たちに響いたらいいのにな、なんてことを想いながら書きました。
■水野の心情がダイレクトに反映されたレアな楽曲
『なくもんか』をシェアした男性リスナーは、「学生時代から社会人になった今も寄り添ってくれている、人生のパートナーと言ってもいいくらい大切な曲」とコメントを寄せた。同名映画の主題歌に起用された一曲だ。水野はコメントに対し「作った者として、これ以上の喜びはないです」と返答しつつ、制作当時は多忙なあまりプチスランプになっていたと明かした。メンバーからは「いいんじゃない?」という反応が得られたが、水野は納得がいかず、締切を一週間延長。それでも間に合わず、ひとりきり練習スタジオにこもって、徹夜で仕上げたそうだ。
水野:「なくもんか」ってまさに自分の気持ちですよね。「もう無理だ」みたいな(笑)。自分の感情を吐露した感じが当時は珍しかったです。「これいい曲じゃん」と言われても、自分はもう絞り出してるから、いい曲かどうかもわからなくなっていた状態のときの曲ですね。それが逆にたまたま、映画にも合って、今、がんばろうとしている人の深いところにつながるようになった曲なのかもしれないですね。
■水野の重圧を救ったメンバーの楽曲
『キミがいる』をきっかけに好きな男性とライブに行くことになった女性リスナーからのメッセージも届いた。同曲は、ドラマ『ホタルノヒカリ2』の主題歌だ。
水野は2010年リリースの『ありがとう』頃までシングルの全楽曲を制作しており、当時、プレッシャーを感じていたという。
水野:今だから言えるけど、このドラマの主題歌の話をいただいたとき、実は僕も作ったんですよ。作者名を伏せて提出したら、吉岡が作った『キミがいる』が選ばれたんです。自分にないものを彼女が出してくれて、それが「いきものがかりらしいな」という思えるもので。このとき『キミがいる』を選んでくれてなかったら、けっこう(自分がプレッシャーで)つぶれてたんじゃないかなって。今でも好きと言ってくださる方がいるし、「吉岡サンキュー」って感じだったし、存在自体が大きかった曲ですね。
■大切な人との別れに悲しいことに立ち向かう歌
『笑顔』をシェアしたリスナーは、父が亡くなったときのエピソードを添えた。
「仲が良かった両親。父が亡くなって泣き崩れる母を見て、その悲しみは誰も救えず、娘も孫も何の役にも立たないんだと無力感を覚えるとともに、長年連れ添った夫婦の絆や、そんな相手を失う怖さも感じました。いつもの陽気な母に戻ってほしいと願いつつ帰路についていたとき、イヤホンから『笑顔』が流れ泣いてしまいました。今でも曲を聴くと涙が出ます。母の残りの人生、父の思い出とともに笑顔で過ごしてほしいと思います」
楽曲がどんなときに、どんなふうに聴かれるか、ミュージシャンにコントロールすることはできない。救うこともあれば、傷つけてしまうこともある。「曲を書くのはそういうことなんだと思っているんですけど、こういうエピソードを聞くと、書いてよかったなと思います」と、水野はかみしめるように話した。
水野が曲をつくるにおいて、「死」は大きなテーマだ。誰もが迎える死に対して、どう立ち向かい、どう言葉を紡いでいくのかをテーマとして考える時期が長かったという。
『笑顔』のリリースは2013年。水野は30代に入り、周囲の死や、東日本大震災を経験し、「死についての考えが甘かった」と実感した。
水野:自分の人生が終わったら、そこで物語がストップすると思ってしまっていたんですよね。でも、そんなことはない。残される人のほうが多いし、「歌」って残される人のものなんですよね。自分も残る側の人間。そういうことを書いていかなきゃいけないなと思った頃だったんです。当時は、それがどういうことはわかっていなかったけれど、家庭を持ったりして、自分の人生が変わっていくことを意識していた時期。悲しいことが訪れるんだっていう前提で、それにどう立ち向かうかのメッセージを歌の中に落とし込めないか考えて作ったのが『笑顔』だったと思うんです。
そんな作り手の気持ちは、「不思議なもので、意外と伝わる」と水野。
水野:本当に悲しいことがあったり、大切な人が悲しい思いをしたり......といったリスナーのみなさんに曲が繋がったとき、僕がどういう気持ちで書いたかという深い熱量がぜんぜん違う形で届いて、熱だけがその人の中で破裂して、その人のための熱になる。そうして、歌は役目を果たしていく、という......不思議だよね。
大切な人を亡くす悲しみも、その人を励ましてあげたいという気持ちも、本人にしかわからない。その上で、水野は曲を作る意味を語った。
水野:その人の悲しみを曲でやわらげられたら最高だよね。それを願っているけど、直接言うことはできないから、曲にするんです。そこに熱がこもっていると、少しだけ叶う瞬間がある。そうすると、曲を作る意味が、もっと深い話をすれば、生きている意味があると思います。このメッセージに、「嬉しい」「幸せ」の一言で返すこともできるけれど、それ以上に自分に力を与えてくれるし、これからもがんばりますという気持ちになります。
水野の曲作りに対する熱い想いがうかがいしれるオンエアとなった。その他、『じょいふる』の制作秘話も語られた。ぜひradikoで聴いてみてほしい。
水野良樹の『SPARK』は毎週月曜の24時から。お楽しみに!
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2019年10月14日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『SPARK』
放送日時:月・火・水・木曜 24時-25時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/spark/
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2019年10月14日28時59分まで)
■「自分たちのことをテーマにしない」いきものがかりに珍しい一曲
ミュージックシェア祭りの1曲目は、17歳の女性リスナーから寄せられた『アイデンティティ』。ファンクラブツアーで聴いてひとめぼれしたのだという。どんな想いが込められた曲かは知らなかったものの、演奏を聴いて自然と涙が出たそうだ。
水野:僕らは去年の終わりごろに「集牧」ということで、2年間くらいの休養期間を終えました。その後、春のファンクラブツアーで初披露した曲です。そこから新たに踏み出すということが、この曲にはすごく強く入っていますね。
いきものがかりは、今まで自分たち自身のことは歌のなかでは語らない、テーマにしないということを大事にしてきた。しかしこの曲では、吉岡聖恵(Vo.)が自分の背中を押せるような想いを込めたそうだ。
水野:今30代半ばの女性である吉岡が歌うことによって、同じように一歩踏み出そうとしている、同じような世代の人たちに響いたらいいのにな、なんてことを想いながら書きました。
■水野の心情がダイレクトに反映されたレアな楽曲
『なくもんか』をシェアした男性リスナーは、「学生時代から社会人になった今も寄り添ってくれている、人生のパートナーと言ってもいいくらい大切な曲」とコメントを寄せた。同名映画の主題歌に起用された一曲だ。水野はコメントに対し「作った者として、これ以上の喜びはないです」と返答しつつ、制作当時は多忙なあまりプチスランプになっていたと明かした。メンバーからは「いいんじゃない?」という反応が得られたが、水野は納得がいかず、締切を一週間延長。それでも間に合わず、ひとりきり練習スタジオにこもって、徹夜で仕上げたそうだ。
水野:「なくもんか」ってまさに自分の気持ちですよね。「もう無理だ」みたいな(笑)。自分の感情を吐露した感じが当時は珍しかったです。「これいい曲じゃん」と言われても、自分はもう絞り出してるから、いい曲かどうかもわからなくなっていた状態のときの曲ですね。それが逆にたまたま、映画にも合って、今、がんばろうとしている人の深いところにつながるようになった曲なのかもしれないですね。
■水野の重圧を救ったメンバーの楽曲
『キミがいる』をきっかけに好きな男性とライブに行くことになった女性リスナーからのメッセージも届いた。同曲は、ドラマ『ホタルノヒカリ2』の主題歌だ。
水野は2010年リリースの『ありがとう』頃までシングルの全楽曲を制作しており、当時、プレッシャーを感じていたという。
水野:今だから言えるけど、このドラマの主題歌の話をいただいたとき、実は僕も作ったんですよ。作者名を伏せて提出したら、吉岡が作った『キミがいる』が選ばれたんです。自分にないものを彼女が出してくれて、それが「いきものがかりらしいな」という思えるもので。このとき『キミがいる』を選んでくれてなかったら、けっこう(自分がプレッシャーで)つぶれてたんじゃないかなって。今でも好きと言ってくださる方がいるし、「吉岡サンキュー」って感じだったし、存在自体が大きかった曲ですね。
■大切な人との別れに悲しいことに立ち向かう歌
『笑顔』をシェアしたリスナーは、父が亡くなったときのエピソードを添えた。
「仲が良かった両親。父が亡くなって泣き崩れる母を見て、その悲しみは誰も救えず、娘も孫も何の役にも立たないんだと無力感を覚えるとともに、長年連れ添った夫婦の絆や、そんな相手を失う怖さも感じました。いつもの陽気な母に戻ってほしいと願いつつ帰路についていたとき、イヤホンから『笑顔』が流れ泣いてしまいました。今でも曲を聴くと涙が出ます。母の残りの人生、父の思い出とともに笑顔で過ごしてほしいと思います」
楽曲がどんなときに、どんなふうに聴かれるか、ミュージシャンにコントロールすることはできない。救うこともあれば、傷つけてしまうこともある。「曲を書くのはそういうことなんだと思っているんですけど、こういうエピソードを聞くと、書いてよかったなと思います」と、水野はかみしめるように話した。
水野が曲をつくるにおいて、「死」は大きなテーマだ。誰もが迎える死に対して、どう立ち向かい、どう言葉を紡いでいくのかをテーマとして考える時期が長かったという。
『笑顔』のリリースは2013年。水野は30代に入り、周囲の死や、東日本大震災を経験し、「死についての考えが甘かった」と実感した。
水野:自分の人生が終わったら、そこで物語がストップすると思ってしまっていたんですよね。でも、そんなことはない。残される人のほうが多いし、「歌」って残される人のものなんですよね。自分も残る側の人間。そういうことを書いていかなきゃいけないなと思った頃だったんです。当時は、それがどういうことはわかっていなかったけれど、家庭を持ったりして、自分の人生が変わっていくことを意識していた時期。悲しいことが訪れるんだっていう前提で、それにどう立ち向かうかのメッセージを歌の中に落とし込めないか考えて作ったのが『笑顔』だったと思うんです。
そんな作り手の気持ちは、「不思議なもので、意外と伝わる」と水野。
水野:本当に悲しいことがあったり、大切な人が悲しい思いをしたり......といったリスナーのみなさんに曲が繋がったとき、僕がどういう気持ちで書いたかという深い熱量がぜんぜん違う形で届いて、熱だけがその人の中で破裂して、その人のための熱になる。そうして、歌は役目を果たしていく、という......不思議だよね。
大切な人を亡くす悲しみも、その人を励ましてあげたいという気持ちも、本人にしかわからない。その上で、水野は曲を作る意味を語った。
水野:その人の悲しみを曲でやわらげられたら最高だよね。それを願っているけど、直接言うことはできないから、曲にするんです。そこに熱がこもっていると、少しだけ叶う瞬間がある。そうすると、曲を作る意味が、もっと深い話をすれば、生きている意味があると思います。このメッセージに、「嬉しい」「幸せ」の一言で返すこともできるけれど、それ以上に自分に力を与えてくれるし、これからもがんばりますという気持ちになります。
水野の曲作りに対する熱い想いがうかがいしれるオンエアとなった。その他、『じょいふる』の制作秘話も語られた。ぜひradikoで聴いてみてほしい。
水野良樹の『SPARK』は毎週月曜の24時から。お楽しみに!
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2019年10月14日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『SPARK』
放送日時:月・火・水・木曜 24時-25時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/spark/
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