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miletが選ぶ、最高なカバーソング! デヴィッド・ボウイが「独特の美しさに驚いた」のは?

miletが選ぶ、最高なカバーソング! デヴィッド・ボウイが「独特の美しさに驚いた」のは?

J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』のワンコーナー「SONAR'S ROOM」。毎週木曜日はmiletが影響を受けたカルチャーや音楽について語る。9月26日(木)は、「好きなカバーソング」を4曲を紹介した。

【この記事の放送回をradikoで聴く】(2019年10月3日28時59分まで)

・Frank Ocean『Moon River』

1961年に公開された映画『ティファニーで朝食を』で、主演のオードリー・ヘプバーンが歌っている曲だ。

milet:「何故いきなりこの曲をFrank Oceanが?」と思ったけど、バレンタインのファンへのプレゼントとしてアップロードしたみたいです。できる人はやることが違うよね(笑)。このアレンジも秀逸で、ビートがなくてドラムレスで、声とベースだけでできあがっているけど、優しさに溢れるカバーだと思います。声がたくさん重なっている曲って、声の処理の仕方とかがすごく気になっちゃうけど、それぞれの声が引き立つように上手にミックスアレンジされています。そういう点も含めて、現代のよさが引き立っています。カバーって、原曲をどのくらいベースにするかとか、どれくらい雰囲気を保ったままいくか、とかが大きなテーマだと思うけど、原曲へのリスペクトが音にも存分に出ていて、本当に最高のカバーです。

・Seu Jorge『Life on Mars?』

『Life on Mars?』は、デヴィッド・ボウイの曲。

milet:Seu Jorgeは、ブラジルの歌手、ギタリスト、俳優であり、ブラジルでは知らない人はいないほどの有名人です。原曲のようにドラマチックで派手になっていく感じとは違って、一音一音ゆっくりと耳に流しこんでくれるようなカバーです。『ライフ・アクアティック』というコメディ映画で、デヴィッド・ボウイの曲をポルトガル語で弾き語っていたのがSeu Jorge。彼がデヴィッド・ボウイの曲をカバーしたアルバムが出ていて、その中の1曲です。こうしてギター1本で違う言語で歌っても心に染みる曲は、やっぱりいい曲なんだなって実感させられます。デヴィッド・ボウイも、カバーアルバムに「独特の美しさに驚いた」みたいなコメントをしていました。原曲者を唸らせる素晴らしいカバーだと思います。

・Lily Allen『Womanizer』

『Womanizer』は、ブリトニー・スピアーズの大ヒット曲だ。

milet:Lily Allenは私の永遠の歌姫です。私がLily Allenを知ったきっかけは、このカバーでした。YouTubeで歌っている動画を観て「これいい! 誰?」と思ったのがLily Allenでした。原曲のエレクトロでアメリカンポップスという王道のサウンドと、このアコースティックを基調としたアレンジが全然違います。雰囲気も全く違うけど、どちらも楽しいですよね。このカバーの楽しみ方のひとつが英語の発音。ブリトニー・スピアーズのアメリカンな英語の発音とLily Allenのロンドンの発音が違っていて、同じ英語でも発音が違うだけで全然違う印象になります。ブリトニーの原曲はすごく濃いメイクで、歌って輝くポップスターの曲という感じです。"Womanizer"は"女たらし"という意味で、イケイケの男がイケイケの女をたくさんはべらかしていく印象だけど、Lily Allenの『Womanizer』はお酒を飲みまくって、半分やさぐれて、ロンドンの路地裏の小さなバーの角で歌っている雰囲気。全然イケイケじゃなくて、誰にでも手を出す男のことを歌っている感じがします(笑)。もはや別の曲。歌詞の聴こえ方も違っちゃうというのがカバーが面白いところです。

・美空ひばり『蘇州夜曲』

原曲は、李香蘭(山口淑子)が主演した1940年の映画『支那の夜』の劇中歌だ。

milet:映画としては国際問題にもなったりしましたが、歌がいいことは確か。李香蘭さんの音源は映画の中でしか見つからなくて、映画公開後には渡辺はま子さんと霧島 昇さんが歌ってレコードが発売されて、そのあともたくさんの歌手がカバーしました。むしろ、李香蘭さんの原曲のほうを聴いたことがない人のほうが多いかもしれません。ずっと前に映画を観て、印象的な旋律と李香蘭さんの高い歌声が印象に残っています。その感じが中国っぽくてよかったけどね。美空ひばりさんが落ち着いた声で歌うと、蘇州というよりも、ちょっと前の東京の夜のような雰囲気があります。美空ひばりさん特有の、特徴的な声の翻りとかは真似したくなるよね。あとは、鼻濁音の色気。"色気は鼻濁音にあり"と思います。李香蘭さんの幼い少女のような歌声もいいけど、アダルトな色気もたまりません。やっぱり、経験してきたものや、見てきたものが違うと、歌詞のひとつをとっても伝え方が変わるんですよね。それがすごく顕著に出ていると思います。私は"お姉さんの歌声"が大好き。このあとで李香蘭を聴くと、あどけない感じや儚さが心に沁みます。また原曲に戻れるからカバーっていいんですよ。カバーをたくさん聴くと、原曲がもっと好きになると思います。私もカバーしてみようかな。

miletが紹介した4曲を、radikoでぜひチェックしてみてほしい。

J-WAVE『SONAR MUSIC』のワンコーナー「SONAR'S ROOM」では、月曜から木曜まで日替わりのアーティストが、今の自分たちの音楽に影響を与えたカルチャーについて語っている。放送は月曜~木曜の22時30分頃から。お楽しみに!

【この記事の放送回をradikoで聴く】
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

【番組情報】
番組名:『SONAR MUSIC』
放送日時:月・火・水・木曜 21時-24時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/

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