J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』。8月8日(木)の「SONAR'S ROOM」のコーナーでは、milet が"海や水をテーマにした曲"を紹介した。
【『SONAR MUSIC』の「SONAR'S ROOM」】(22:30-45頃オンエア)
■Avanae『Underwater ft. Mia』
Avanaeはフランス人のDJで、プロデューサーである。
milet:清々しいエレクトロポップは、Mia のとろけるような、かすれた歌声にぴったり。歌声も非常にみずみずしい処理が施されていて、爽やかなトラックに溶け込むというより、じわっと広がっていく感じで、なじんでいていいですよね。サビの歌詞はおおざっぱなノリだけど、この軽さがときには大事なんだよなって。水に飛び込む前は、深さや冷たさが怖いって思うけど、飛び込んだら意外と大丈夫だったりするんだよね。「何かあったらあとから考えればいいよ」という軽さと勢いが、この曲の好きなところです。
■milet『Waterfall』
「Waterfall」は滝のことで、曲を作るときに頭の中で水が流れていたとmilet。
milet:ポイントは2種類のサビです。1番の 仄暗い滝をイメージしたサビと、2番目以降の 強く高いところから一気に落ちていく滝をイメージした作品で、メロディが違うところがあります。実は最初に作っていたときは、1番のサビで統一していたけど、「私の中で滝はふたつあるな」と思って、それが大きな音を立てて落ちる滝だったんです。滝は私の感情的な部分の話。誰にも見えない濁った水面下で息をしている私と、暴れたくて壊れそうな私みたいな、滝のような感情を入れました。私は滝でもあるし、滝壺のまわりをスイスイ泳いでいたり、ときには滝をのぼっていく魚でもあります。そんな歌です。
■モーリス・ラヴェル『夜のガスパール』より『オンディーヌ』
milet によると「ラヴェル には『水の戯れ』や『洋上の小舟』など、水のイメージがある」という。
milet:私も大好きなシャルル・ボードレールにも大きな影響を与えたといわれているフランスの詩人ルイ・ベルトランの詩集のなかの3篇をイメージした、3曲のピアノの独奏曲からなる組曲です。"オンディーヌ"という水の精が人間の男性に恋をして、「結婚してこの湖の王になってくれ」って頼むんだけど、男性は断ります。オンディーヌは悔しくて泣くけど、次第に大声で笑い出して激しい雨の中に消えていくお話です。ラヴェルの水の描き方が非常に繊細で素敵。水の規則的な動きも、不規則的な動きも入り混じりつつ、つかみどころのなさが音になっていると思います。そんなところが、人間の子どものような不安定な部分とか、妖精の神秘的なところとか、いろいろなイメージが混ざっていることがわかります。水面で走ったり飛んだり跳ねたり、遊んだり泣いたり、疲れたら水の流れに身を任せて流されていくような、余裕と優雅さと無邪気さが彼の描く水から感じられます。今聴いてもファンタジーの世界に吸い込まれていく気がします。
■クロード・ドビュッシー 交響曲『海』より第1楽章『海上の夜明けから真昼まで』
『オンディーヌ』とは対照的なこの曲。milet 曰く「どこまでも広がっている海の荘厳さや死への恐怖すら感じられるような深い交響曲」。
milet:特に第1楽章は神々しさがあって、聴いていると、夜明け前の一番深い夜の闇の中から少しずつ太陽が昇る海の真ん中のイメージが頭に浮かびます。海の波がいったりきたりを繰り返すように、交響曲の構成も同じ主題が繰り返し用いられていて、さらに聴こえ方が変わっていくので、ドラマ性を生んでいると思います。交響曲『海』の初版のオーケストラスコアの表紙に葛飾北斎の「富嶽三十六景」のひとつ「神奈川沖浪裏」が使われていたそうです。富士山が奥に見えて手前に激しい波にのまれる3艘の舟が描かれた、世界的に有名な作品です。確かに、北斎の作品と曲のイメージがリンクするところがあります。老いだったり、朽ちていくことの恐ろしさみたいな、海の怖さまでイメージが浮かびます。聴いていて、最近の暑い日々に少しだけ涼しさが入ったような気がします。
【この記事の放送回をradikoで聴く】
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【番組情報】
番組名:『SONAR MUSIC』
放送日時:月・火・水・木曜 21時-24時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/
【『SONAR MUSIC』の「SONAR'S ROOM」】(22:30-45頃オンエア)
■Avanae『Underwater ft. Mia』
Avanaeはフランス人のDJで、プロデューサーである。
milet:清々しいエレクトロポップは、Mia のとろけるような、かすれた歌声にぴったり。歌声も非常にみずみずしい処理が施されていて、爽やかなトラックに溶け込むというより、じわっと広がっていく感じで、なじんでいていいですよね。サビの歌詞はおおざっぱなノリだけど、この軽さがときには大事なんだよなって。水に飛び込む前は、深さや冷たさが怖いって思うけど、飛び込んだら意外と大丈夫だったりするんだよね。「何かあったらあとから考えればいいよ」という軽さと勢いが、この曲の好きなところです。
■milet『Waterfall』
「Waterfall」は滝のことで、曲を作るときに頭の中で水が流れていたとmilet。
milet:ポイントは2種類のサビです。1番の 仄暗い滝をイメージしたサビと、2番目以降の 強く高いところから一気に落ちていく滝をイメージした作品で、メロディが違うところがあります。実は最初に作っていたときは、1番のサビで統一していたけど、「私の中で滝はふたつあるな」と思って、それが大きな音を立てて落ちる滝だったんです。滝は私の感情的な部分の話。誰にも見えない濁った水面下で息をしている私と、暴れたくて壊れそうな私みたいな、滝のような感情を入れました。私は滝でもあるし、滝壺のまわりをスイスイ泳いでいたり、ときには滝をのぼっていく魚でもあります。そんな歌です。
■モーリス・ラヴェル『夜のガスパール』より『オンディーヌ』
milet によると「ラヴェル には『水の戯れ』や『洋上の小舟』など、水のイメージがある」という。
milet:私も大好きなシャルル・ボードレールにも大きな影響を与えたといわれているフランスの詩人ルイ・ベルトランの詩集のなかの3篇をイメージした、3曲のピアノの独奏曲からなる組曲です。"オンディーヌ"という水の精が人間の男性に恋をして、「結婚してこの湖の王になってくれ」って頼むんだけど、男性は断ります。オンディーヌは悔しくて泣くけど、次第に大声で笑い出して激しい雨の中に消えていくお話です。ラヴェルの水の描き方が非常に繊細で素敵。水の規則的な動きも、不規則的な動きも入り混じりつつ、つかみどころのなさが音になっていると思います。そんなところが、人間の子どものような不安定な部分とか、妖精の神秘的なところとか、いろいろなイメージが混ざっていることがわかります。水面で走ったり飛んだり跳ねたり、遊んだり泣いたり、疲れたら水の流れに身を任せて流されていくような、余裕と優雅さと無邪気さが彼の描く水から感じられます。今聴いてもファンタジーの世界に吸い込まれていく気がします。
■クロード・ドビュッシー 交響曲『海』より第1楽章『海上の夜明けから真昼まで』
『オンディーヌ』とは対照的なこの曲。milet 曰く「どこまでも広がっている海の荘厳さや死への恐怖すら感じられるような深い交響曲」。
milet:特に第1楽章は神々しさがあって、聴いていると、夜明け前の一番深い夜の闇の中から少しずつ太陽が昇る海の真ん中のイメージが頭に浮かびます。海の波がいったりきたりを繰り返すように、交響曲の構成も同じ主題が繰り返し用いられていて、さらに聴こえ方が変わっていくので、ドラマ性を生んでいると思います。交響曲『海』の初版のオーケストラスコアの表紙に葛飾北斎の「富嶽三十六景」のひとつ「神奈川沖浪裏」が使われていたそうです。富士山が奥に見えて手前に激しい波にのまれる3艘の舟が描かれた、世界的に有名な作品です。確かに、北斎の作品と曲のイメージがリンクするところがあります。老いだったり、朽ちていくことの恐ろしさみたいな、海の怖さまでイメージが浮かびます。聴いていて、最近の暑い日々に少しだけ涼しさが入ったような気がします。
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【番組情報】
番組名:『SONAR MUSIC』
放送日時:月・火・水・木曜 21時-24時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/
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