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Pink Floydの「号泣したライブ」 “メタル・ゴッド”伊藤政則とクリス・ペプラーが明かす

Pink Floydの「号泣したライブ」 “メタル・ゴッド”伊藤政則とクリス・ペプラーが明かす

J-WAVEで放送中の番組『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。クリス・ペプラーが音楽を聴く隠れ家=「オトアジト」に毎週ゲストを迎え、大人な音楽談義を繰り広げるという番組だ。

8月17日(土)のオンエアでは、音楽評論家の伊藤政則が登場。衝撃を受けた思い出のバンドについて語った。


■原風景となったPink Floydのライブ

"メタル・ゴッド"こと、ハードロックやヘヴィメタルを日本に紹介した第一人者としても知られる伊藤だが、ブリティッシュ・ロックやヨーロッパのプログレッシブ・ロックを中心に幅広い音楽を好むと言う。実は、自身のコレクションではハードロックが一番少ないそうだ。

岩手県に生まれた伊藤がロックに目覚めたのは1969年、高校1年の頃だった。高校3年になり自分でレコードを買い始めると、Led Zeppelin、Pink Floyd、Emerson, Lake & Palmerなど、当時のロックの先端のアーティストを聴いていたと言う。

そして1971年、Pink Floydが伝説のフェス「箱根アフロディーテ」で来日した。当時、ラジオでPink Floydが来日する事を知った伊藤は、「大変な事だ。なんとかして行かないといけない」と思ったそうだ。

伊藤:高校3年生でしたけど、当時は東北新幹線がないから東京に行くのに時間が掛かるんです。しかも、親父がうるさいから、3日くらい企画を練って「大学受験が間もなくあるから、東京の大学を受験するうえで、予備校に行ってどの程度の連中がいるのか確かめたほうがいいんじゃないか」と。でも信じないんですよ、勉強しないんだもん(笑)。結果的に行くことになったんだけど、とにかく僕の目標はPink Floydを観に行くことでしたから。

そうして、なんとかPink Floydを箱根で観た伊藤。「ロックってすごいな」と圧倒され、自分の原風景としてそのときのライブが残っているという。「『伊藤さんにとってロックは何ですか?』とよく訊かれるけど、あの71年の夏の箱根の景色かな」と言うほど、衝撃的だったようだ。

前日まで大雨に見舞われていて当日は晴れたというPink Floydのライブ。気温差によって芦ノ湖で発生した霧が丘を登り頂上に向かうのだが、ステージは丘の頂上にあったそうだ。Pink Floydが『Careful With That Axe, Eugene』を演奏しているときに、下から霧が上がってくるという自然の演出があったことも興奮気味に振り返った。


■伊藤もクリスも号泣したPink Floydのライブ

伊藤は、そんな衝撃的なライブの後日談も明かした。伊藤が本来の目的を果たして岩手に帰ると、そのイベントを特集した週刊誌に伊藤が写り込んでいるのが父親にバレて、「伊藤家が分断するんじゃないかというくらい、エラいことになった」そうだ。

「早く東京に行こう」と決意した伊藤は、東京での住まいを探す事を口実に、1972年3月に再来日したPink Floydの東京体育館でのライブを再び鑑賞。このライブはクリスも観たそうだが、クリスにとってもPink Floydは特別なバンドだそうだ。

クリス:僕は15歳の頃だったんです。そして、1988年に国立代々木競技場の第一体育館でもライブを観て、号泣しましたね。15歳と30歳で観て、20代の前半とかに辛い時期があったので、『Comfortably Numb』が最後にあって、ミラーボールが割れた瞬間、滝の如く号泣しました。
伊藤:素晴らしいコンサートだったね。個人的な事だけど、88年の2月に母が亡くなって、お葬式が終わって。でも、Pink Floydだけは観ないといけないから、それで代々木に行ったの。花みたいなものがパーっと開いていく演出で、僕も号泣。なんか変な言い方だけど、母の胎内から僕が出てきてさ、それで今日の自分に繋がる、みたいな感情になってしまって。素晴らしい演出だったね。

クリスが「僕はDavid Gilmour派」と言うと、伊藤も「Pink Floydのファンで『Roger WatersじゃなくてDavid Gilmour』と言うと蔑まれることもあるけど、僕もDavid Gilmour派」と話した。ふたりは熱い握手を交わして意気投合していた。

【番組情報】
番組名:『SAPPORO BEER OTOAJITO』
放送日時:毎週土曜 18時-18時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/otoajito/

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