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どうすれば風評被害をなくせるのか? 藤巻亮太が東日本大震災の被災地を取材

どうすれば風評被害をなくせるのか? 藤巻亮太が東日本大震災の被災地を取材

J-WAVEがいま注目するさまざまなトピックをお届けする日曜夜の番組『J-WAVE SELECTION』。毎月第3日曜は、震災復興プログラム『Hitachi Systems HEART TO HEART』(ナビゲーター:藤巻亮太)をお届けしています。7月21日(日)のオンエアではフォトジャーナリストの佐藤 慧さんをお迎えし、風評被害に負けずに奮闘する人々の思いと、私たちがその気持ちに応える方法について考えました。

この記事の放送回をradikoで聴く(2019年7月28日28時59分まで)


■被災者の心の時間をもっと外側の人間が大切に

佐藤さんは、東日本大震災直後の被災地、陸前高田市を歩き、写真と文章で犠牲になった母への想い、人々の心の痛みを綴ったフォトエッセー『Fragments 魂のかけら 東日本大震災の記憶』(かもがわ出版)を執筆、その後も被災地に寄り添い続けています。

フォトジャーナリストとして佐藤さんは、8年の月日が経ったこの震災をどう捉えているのでしょうか。

佐藤:一口に8年と言ってもそれぞれの心の進む時間は全く違うんだな、ということを一番感じます。今は前を向いている方もいれば、震災を数日前のように思う人もいるので、それぞれの心の時間をもっと外側の人間が大切にしないといけないと感じています。


■今の時代だからこそ見つけた「知産知消」という言葉

『Hitachi Systems HEART TO HEART』

今回、藤巻は、いわき市の農家「ファーム白石」の白石長利さんを取材。白石さんは震災後、SNSで畑や作物の情報を積極的に発信。消費者と直接つながり、作物だけでなく生産者の思いも届けています。そんな白石さんに震災後に生まれた福島の農家の変化、そして自身の変化について伺いました。

白石:福島の農家は原発事故で一度は苦しめられた部分もありますが、それがあったからこそ今楽しく優しくできるようになり、そういう思いの強さでは、福島は日本一の農家じゃないかという思いが強いです。震災前は物とお金の薄い関係でしたけど、この場所には昔から「地産地消」という言葉があったので、自分は「知る」という漢字を使った「知産知消」という言葉を使っています。どこで誰が何を作っているのか、食べた人はどんな料理でどんな人とどんな場面で食べたのか、そういったコミュニケーションがインターネットで取れる時代なので。それが自分のなかで一番大きなことです。

震災後、白石さんの野菜に対する思いも変わったと言います。

白石:特に個人名で注文をもらい「○○さんが食べる○○を収穫する」というようになってからは、野菜の発送の仕方も丁寧になりました。やはり食べてくれる方が明確になれば、収穫の時点から違いますね。

白石さんの話を聞いた藤巻は、風評被害に立ち向かう「信頼」という言葉に対しての姿勢を感じたと振り返ります。

藤巻:最初は憤りや悲しみ、怒りが生産者の心の中にあったと思いますが、そこから気持ちを切り替え「自分たちはみんなが信頼して安心して食べられるものを作っているんだ」という、作っているものに対する愛情に目覚め、一生懸命に安心を人に届ける努力をしている。白石さんの場合、震災前は野菜を誰に食べてもらっているか顔が見えなかったけど、震災後はSNSを活用しながら、1人ひとりに向けてどれだけ安心して信頼できる美味しい野菜を作れるかという情熱が生まれてきた。大きな問題として風評被害はあるものの、これを回復するためには1人ひとりの愛情と情熱が大事なんだなと感じました。

佐藤さんは白石さんの話を聞き、こう感想を述べました。

佐藤:農家の方などものすごく大きな壁にぶつかって、実際に離農しなければいけなかった方がいたり、今も将来の見通しが立たない方もいたりするなかで、なんとかこれをプラスに変えていこうとする力の中には、福島の方々だけではなく私たち消費者側が奮い立たされ、気付かされることがたくさんあるような気がします。

そして白石さんの「知産知消」という言葉は非常に大切な言葉だと話を続けます。

佐藤:原発事故があってもなくても、私たちは普段の食べ物がどこから来て、誰が作ったものなのかを、本来は知らなくてはいけません。でも、便利さのおかげでいつの間にかお金を出せば買えてしまうから、そこに対する感謝がなくなっていた。福島の方々は苦労があるなか、白石さんは野菜を届ける先の人々の思いを感じ、その思いで野菜を作り、また消費者側も白石さんがつくった野菜だからとありがたく食する。その感情は福島だけではなく日本全体で一次産業に携わる方と消費者をつなげるために必要なことじゃないかと感じます。


■空っぽのなにかを抱えていけるだけの強さを持つ

『Hitachi Systems HEART TO HEART』

フォトジャーナリストとして震災後の被災地を見続けてきた佐藤さんは、震災からくる風評被害をどのように感じているのでしょうか。

佐藤:今でも福島に取材に行くと、「どうなってるの?」「大丈夫なの?」「もう復興したんでしょ?」という声や、逆に「今でも危ないんでしょ?」など、本当に人によって反応が全く違う。それはつまり人々が情報のアップデートを意識的におこなっていないからではないかと思います。事故が起きたことは知っていて、その後に風評被害が立ち上がったことも知っている。それが今どうなっているかを一般に考える機会は実は少ないのかなと思います。

今、東京のスーパーで福島県産の食品をなかなか探せないと佐藤さんは感じるそうです。

佐藤:それは消費者が何も知らないというよりも、消費者が風評被害で買わないのではないかということを懸念するルーツの問題などもあるかもしれません。それは消費者が声をあげることでしか変わらないのに、まだまだ情報のアップデートが足りないのではないかと感じます。
藤巻:震災前と震災後で、佐藤さんはフォトジャーナリストとしての活動に変化はありましたか?
佐藤:大きく変わったとしか言えないですね。震災は人によってそれぞれ違うと思いますが、それぞれ何かを失ったと思います。その失ったものはどれだけ復興が進もうが取り返すことができないものなんです。本当の復興は失ったものを取り戻すことではなく、失ってしまった空っぽのなにかを抱えていける強さを自分の中に持つ。もしくは社会がそれを支えていく新たな何かを身につけることだと思います。震災以降、カメラを持って現地に行く時、私が探すのは失ってしまった虚無ではなく、その虚無を人々はどう埋めようとしているのか、そこに向かっていく力に注力するようになりました。

今回の番組を終え藤巻は「行政など大きな組織が風評被害をなくそうとする動きもある」としながらも、「1人ひとりの農家や漁師、それを支える人たちの仕事に対する情熱や思いをちゃんと届けていく地道な活動によって、少しずつ風評被害がなくなっていくのではないか。そういう人をひとりでも多く応援したいという気持ちが芽生えた」と感想を述べました。

そして「野菜などを買ったり流通したりする私たちも、『つながっているんだ』という意識を持ちながら、風評被害という言葉が一人歩きしている怖さに飛び込む勇気や行動を個々が起こしていくことが必要ではないか」と話しました。

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【番組情報】
番組名:『Hitachi Systems HEART TO HEART』
放送日時:毎月第3日曜 22時-22時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/special/hearttoheart/

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