詩人の最果タヒさんが登場した、J-WAVEで放送中の番組『GOOD NEIGHBORS』(ナビゲーター:クリス智子)。3月14日(木)のオンエアです。
横浜美術館で開催中の最果さんの個展「New Artist Picks 氷になる直前の、氷点下の水は、 蝶になる直前の、さなぎの中は、 詩になる直前の、横浜美術館は。 ―― 最果タヒ 詩の展示」について伺いました。
■600の言葉が「ぶらさがっている」個展
美術館で詩を展示するという最果さんにとって初の試み。依頼がきた際に考えたのは「その場に行かないと見えない詩」だったそうです。
最果:本で読むほうが言葉って落ち着くので。持ち歩けるし、どこでもいつでも読めるのが本のよさだけど、わざわざ展示に来てもらってその場所で読むなら、そこに行く意味がなければと思ったんです。モビールで言葉をぶら下げて、入れ替わり立ち替わり裏と表で言葉が入れ替わるんです、するとその人がその場にいないと見えない詩がたくさんできていく。「その人にしか見えない詩」があると、その場所に行く意味があるのかなと思うし、どの言葉が目につくかは人によって全然違うので、私が一方的に詩を届けるより読み手が言葉の群れから詩を見つけて完成させてるような感覚になるんです。
クリス:言葉は場所が替わったりするんですか?
最果:場所も入れ替わるし、3枚くらい連続でつながっているやつも、1つずつクルクルと裏表入れ替わるので、それでも全然変わっていきます。
クリス:自分のまとまらない頭の中のような感じになるのかなと思いました。
最果:2つの言葉を同時に見ながらピントが合ったり合わなかったりもあると思うので、それはすごい不思議だと思います。
モビールで吊るしている言葉は全部でどのくらいの数なのでしょうか。
最果:紙は300枚くらいです。モビールが60数個あって、そこに何枚かつけているんですけど、300枚裏表で600個の言葉があって、長い言葉も短い言葉もあるんです。3部作の詩集『死んでしまう系のぼくらに』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』『愛の縫い目はここ』の文章と、新作の詩を15本から20本入れていたり、それが混ざり合っています。既存の作品を知っている人は「これ知ってる」と思うんですけど、上下の言葉変わっていくので違う見え方をするかもしれないです。
■詩に不意打ちをされる
今回のタイトルの「氷になる直前の、氷点下の水は、 蝶になる直前の、さなぎの中は、 詩になる直前の、横浜美術館は。」という部分には、「読む人が来てやっと詩になる」という意味が込められているそうで、「ブツ切りの言葉がモビールでうっすらつながっているイメージ」でもあります。新作の詩も個展のイメージを反映するものになりました。
最果:いろいろなところに言葉が点在する場所になるので、いろいろな視点の言葉が混ざっています。ひとつの詩を分けたりもしていますけど、その詩のなかでも視点がクルクル変わる、私と僕とあなたと、さまざまな一人称でできている詩が多かったです。
今回は、横浜美術館のメインギャラリーのほか、図書室やカフェなど様々な場所で様々な展示を行っています。携帯電話で最果さんが文字を打っているのを見るような感覚の展示は、実際に自身がスマートフォンで詩を書いているときの様子を録画したもので、本棚の本の背表紙に突如詩があらわれる展示については「急に自分の日常に詩が不意打ちでやってくる場所を作りたかった」と意図を話しました。
クリス:「詩が日常に溶け込んだらいいな」という感覚なんですか?
最果:本で詩を読むのも素敵なんですけど、読み慣れていないうちは「読まなきゃ」と緊張してしまう。読み解こうとすると、1行目が分からないと次に行けなかったりします。
クリス:そうですね。
最果:街の中に詩が書いてあるとそれを詩だと思わずに読みはじめられるし、それがいつの間にか読み終って、読み終わったあとで「なんだか好きだったな」とか「わからないけど気になるな」というふうに言葉を見ることができるかなと思って。詩に不意打ちをされるみたいな感じで、それは素敵な出会い方じゃないかなと思います。
最果タヒさんの個展は横浜美術館で3月24日(日)まで開催中です。観覧料は無料なので、ぜひ足を運んでみてください。
番組では、最果さんが大好きだという浅井健一さんが作詞を手がけた、BLANKEY JET CITYの『いちご水』を流しました。
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【番組情報】
番組名:『GOOD NEIGHBORS』
放送日時:月・火・水・木曜 13時-16時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/
横浜美術館で開催中の最果さんの個展「New Artist Picks 氷になる直前の、氷点下の水は、 蝶になる直前の、さなぎの中は、 詩になる直前の、横浜美術館は。 ―― 最果タヒ 詩の展示」について伺いました。
■600の言葉が「ぶらさがっている」個展
横浜美術館での詩の展示、10日ほどで、通算5000人の方に来場いただいたそうです。うわあ〜!ありがとうございます。足を運んでくれたそのひとが、その時、そこにいることで生まれる詩。5000篇。
— 最果タヒ(Tahi Saihate) (@tt_ss) 2019年3月5日
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あなたの「読む」が作品となる、詩の展示。3/24までの開催です。
(写真は山城功也さん撮影) pic.twitter.com/nj4IxZe02w
美術館で詩を展示するという最果さんにとって初の試み。依頼がきた際に考えたのは「その場に行かないと見えない詩」だったそうです。
最果:本で読むほうが言葉って落ち着くので。持ち歩けるし、どこでもいつでも読めるのが本のよさだけど、わざわざ展示に来てもらってその場所で読むなら、そこに行く意味がなければと思ったんです。モビールで言葉をぶら下げて、入れ替わり立ち替わり裏と表で言葉が入れ替わるんです、するとその人がその場にいないと見えない詩がたくさんできていく。「その人にしか見えない詩」があると、その場所に行く意味があるのかなと思うし、どの言葉が目につくかは人によって全然違うので、私が一方的に詩を届けるより読み手が言葉の群れから詩を見つけて完成させてるような感覚になるんです。
クリス:言葉は場所が替わったりするんですか?
最果:場所も入れ替わるし、3枚くらい連続でつながっているやつも、1つずつクルクルと裏表入れ替わるので、それでも全然変わっていきます。
クリス:自分のまとまらない頭の中のような感じになるのかなと思いました。
最果:2つの言葉を同時に見ながらピントが合ったり合わなかったりもあると思うので、それはすごい不思議だと思います。
モビールで吊るしている言葉は全部でどのくらいの数なのでしょうか。
最果:紙は300枚くらいです。モビールが60数個あって、そこに何枚かつけているんですけど、300枚裏表で600個の言葉があって、長い言葉も短い言葉もあるんです。3部作の詩集『死んでしまう系のぼくらに』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』『愛の縫い目はここ』の文章と、新作の詩を15本から20本入れていたり、それが混ざり合っています。既存の作品を知っている人は「これ知ってる」と思うんですけど、上下の言葉変わっていくので違う見え方をするかもしれないです。
本を閉じ、横浜まで足を運び、展示として詩を読むことに、なんらかの意味がなければいけないと思いました。「あなたが今ここにいる」ことでやっと詩が完成するような、そんな場所にしたいと思った。モビールにより言葉は常に入れ替わり、一瞬で詩は姿を変えていく。
— 最果タヒ(Tahi Saihate) (@tt_ss) 2019年3月12日
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横浜美術館 3/24まで pic.twitter.com/I5axuUtpTO
■詩に不意打ちをされる
今回のタイトルの「氷になる直前の、氷点下の水は、 蝶になる直前の、さなぎの中は、 詩になる直前の、横浜美術館は。」という部分には、「読む人が来てやっと詩になる」という意味が込められているそうで、「ブツ切りの言葉がモビールでうっすらつながっているイメージ」でもあります。新作の詩も個展のイメージを反映するものになりました。
最果:いろいろなところに言葉が点在する場所になるので、いろいろな視点の言葉が混ざっています。ひとつの詩を分けたりもしていますけど、その詩のなかでも視点がクルクル変わる、私と僕とあなたと、さまざまな一人称でできている詩が多かったです。
今回は、横浜美術館のメインギャラリーのほか、図書室やカフェなど様々な場所で様々な展示を行っています。携帯電話で最果さんが文字を打っているのを見るような感覚の展示は、実際に自身がスマートフォンで詩を書いているときの様子を録画したもので、本棚の本の背表紙に突如詩があらわれる展示については「急に自分の日常に詩が不意打ちでやってくる場所を作りたかった」と意図を話しました。
クリス:「詩が日常に溶け込んだらいいな」という感覚なんですか?
最果:本で詩を読むのも素敵なんですけど、読み慣れていないうちは「読まなきゃ」と緊張してしまう。読み解こうとすると、1行目が分からないと次に行けなかったりします。
クリス:そうですね。
最果:街の中に詩が書いてあるとそれを詩だと思わずに読みはじめられるし、それがいつの間にか読み終って、読み終わったあとで「なんだか好きだったな」とか「わからないけど気になるな」というふうに言葉を見ることができるかなと思って。詩に不意打ちをされるみたいな感じで、それは素敵な出会い方じゃないかなと思います。
最果タヒさんの個展は横浜美術館で3月24日(日)まで開催中です。観覧料は無料なので、ぜひ足を運んでみてください。
番組では、最果さんが大好きだという浅井健一さんが作詞を手がけた、BLANKEY JET CITYの『いちご水』を流しました。
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【番組情報】
番組名:『GOOD NEIGHBORS』
放送日時:月・火・水・木曜 13時-16時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/
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