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災害ボランティア不足解消のために…「被災者のエピソード」を伝える重要性

坂町を案内してくださったひろしまNPOセンター増田勇希さんと重松清

災害ボランティア不足解消のために…「被災者のエピソード」を伝える重要性

J-WAVEがいま注目するさまざまなトピックをお届けする日曜夜の番組『J-WAVE SELECTION』。毎月第3日曜は、震災復興プログラム『Hitachi Systems HEART TO HEART』(ナビゲーター:重松 清)をお届けしています。11月18日(日)のオンエアでは、ピースボート災害ボランティアセンターの小林深吾さんを迎え、災害時に「顔が見える情報を発信」することの重要性や、ボランティアに参加したい人への思いを伺いました。


■ピースボート災害ボランティアセンターとは

小林さんは東日本大震災や西日本豪雨の現場にいち早く駆けつけ、被災地と外部の連携を構築して復旧復興を行いました。小林さんが所属するピースボート災害ボランティアセンターは、どんな活動をしているのでしょうか。

小林:母体は国際交流の船旅をやっている団体「ピースボート」です。災害が起こると、どこの場所で支援をするべきかを知るために先見のスタッフを送り出します。西日本豪雨の被災地である岡山県倉敷市真備町の場合では、支援活動をするボランティアを募集して、避難所の支援や家屋の清掃、ボランティアセンターの支援など、被災地のニーズに合わせて活動をおこなっています。
重松:被災地の外から支援に駆けつけるイメージでしょうか?
小林:そうですね。災害後に、その地域外から被災地に入って「どんなことが必要なのか」を現地の人たちと一緒に考えていく流れです。


■被災地のエピソードを伝えることで共感者が増える

この夏の西日本豪雨の被災地の多くでは、ボランティア不足が深刻な問題になりました。それは被災地が広範囲に分散していたことに加えて、岡山県倉敷市真備町など、マスコミで繰り返し報道される地域に支援が偏ってしまったことがあります。この災害で15人が犠牲になった広島県安芸郡坂町小屋浦地区も、ボランティア不足で復旧が遅れてしまった場所のひとつです。

今回、重松は災害発生直後に坂町に入り、坂町災害ボランティアセンターの立ち上げから関わって支援活動をしている広島NPOセンターの増田勇希さんに、「ボランティアを集めるための発信」について訊いてきました。

増田:やはりマスコミの露出の回数が圧倒的かなと思っています。また、交通の便や死者数、倒壊家屋など、目に見える数字の部分で大変さも関係します。最近ではSNSが発達しているのでそこの評判もありますね。SNSは人数など客観的な事実を発信することも大事ですが、一方でエピソードやメッセージを伝えてあげなきゃいけない。このエピソードを伝えると、そこに共感してくれる人が増えます。不特定多数の人の情報よりは、Aさん、Bさんというエピソードを伝えてあげます。
重松:被災地の、このおばあさん、とかですよね。
増田:そのようなコミュニケーションを取ることは、被災者のためでもあり、ボランティア自身のためでもあります。そこで個に接することでリピーターになってくれたり、被災地の個人の方々が気になったりするんですよね。ボランティアがただ作業するだけじゃなくて、コミュニケーションを取って、地域とつながり長い目で支援をお願いしたいと思っています。

この話を受け、重松は、小林さんにこう質問しました。

重松:客観的な事実の発信はもちろん、人の顔が見える発信は、小林さんのようにボランティアを集めていく側の意識としても大事なんでしょうか。
小林:やはり避難所に何人いるなどの情報ももちろん大事ですけど、たとえば、その避難所にいる足の悪いおばあさんが布団じゃなく段ボールベッドだったらもう少し楽に生活ができる、といったような伝え方をすると、「私にできることはあるかな」と考えてくれるかなと思います。

では、ボランティアに行きたいと思っている人たちに向けて、小林さんはどのように接しているのでしょうか。

小林:家屋を清掃するタイミングで力仕事ができる人もいますし、お茶会で被災地のみなさんとお話できるという人もいます。その人のタイミングで、その人のやれる範囲で関わってもらいたいと思います。ボランティアで来た人たちに話を聞くと、何かしたいとは思って来たんだけど、自分が勇気をもらったり、被災地のおじいさん、おばあさんから知恵をもらったりなど、何かを得て帰る人もたくさんいます。その気持ちがまたボランティアの参加につながります。


■自分のコミュニティのことも含めて発信してほしい

小林さんのように、外から支援に入っていく立場からすると、どのような発信が被災地に効果的か伺いました。

小林:災害のフェーズや時期によって大きく変わりますが、個人のストーリーを発信していただくこともいいですし、何か施設を運営しているとか地域でこんな取り組みをしていると行ったことも含めて発信してもらえると、個人よりもう少し支援の規模が大きくなるのかなと思います。個人のことに加えて、自分の関わるコミュニティのことも含めて発信してくれるとうれしいですね。

『Hitachi Systems HEART TO HEART』

ぜひ、ピースボート災害ボランティアセンターの取り組みをホームページでご覧ください。個人でも被災地の力になれることがたくさんあるはずです。

【番組情報】
番組名:『Hitachi Systems HEART TO HEART』
放送日時:毎月第3日曜 22時-22時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/special/hearttoheart/

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