J-WAVEで放送中の番組『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。9月15日(土)のオンエアでは、六本木ヒルズライブラリー アカデミーヒルズで行われた公開収録の模様をお届けしました。ゲストに俳優の安藤政信さんをお招きし、デビュー映画『キッズ・リターン』の制作秘話や、最新作『きらきら眼鏡』の魅力などを伺いました。
■音楽への目覚めは『夜のヒットスタジオ』
映画を中心に大活躍の安藤さん。芝居以外の時間は、ずっと音楽を聴いているとか。どんなふうに出会ったのか、幼少期のことから伺いました。
クリス:安藤さんは神奈川出身で、神奈川のどちらですか?
安藤:川崎です。
クリス:どんなお子さんだったんですか?
安藤:いつもフラフラしてて、学校行ってもあんまり、勉強するっていうよりは外の景色を見てたりとか、ボーっとしてました。
クリス:妄想少年でした?
安藤:そうですね。団体行動がすごく苦手で、みんなと一緒に行動するっていうよりは、ひとりだけずっと考えたり、景色を見てたりしました。みんなと一緒にいるんけど、ずっとひとりで音楽を聴いてるとか。
クリス:役者さんってそういう人が多いですよね。ひとり遊びが好きだったり、イマジネーションっていうか、自分の空想というか、そういう世界に入っていく。
安藤:そうですね。ずっとそういうふうにいましたね。
クリス:なるほど。最初に買った音源は?
安藤:カセットテープでしたね。僕は小学校、たぶん、3年生か4年生ぐらいのときに、『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ)を観ていて、たまに外タレ(外国人タレント)が来て歌うみたいなことがあったじゃないですか。それで初めて洋楽に触れたのが、トンプソン・ツインズ(Thompson Twins)です。今まで聴いたことのない音に惹かれました。あと、3人のビジュアルもなんか面白かったんですよ。それを聴いたのが初めてですね。そこから、中学校のときからヘビメタとかHip-Hopとかに入っていきました。
クリス:男の子ってみんなそこを通りますよね。
安藤:そうですね。
クリス:ヘビメタはどんなのを聴いてたんですか?
安藤:ヘビメタは、初めに聴いたのはメタリカ (Metallica)です。レンタルビデオに音楽コーナーとかがあったんですけど、その音楽コーナーで借りたのが、メタリカのクリフ・バートン (Cliff Burton)が、すごく前に出したPVというか、ドキュメンタリーだったんですけど、「すげえかっこいいわ!」って。
クリス:クリフ・バートンって、ベーシストでしたよね。すごいベースですよね。じゃあ、どちらかというとアグレッシブなサウンドがお好きだったんですね。
安藤:そうですね。高校のときはニルヴァーナ(Nirvana)とか、セックス・ピストルズ(Sex Pistols)とかも聴いてました。「なんかすげえ!」、「ホントかっこいいな!」って。
クリス:高校ぐらいになると、ちょっとはっちゃけたいっていうか……。
安藤:そうですね。「暴れたい!」みたいな曲を聴いてました。「机蹴りてえ!」「ガラス割りてえ!」みたいな感じでした(笑)。
クリス:Hip-Hopはどんなのを聴いてたんですか?
安藤:高1ぐらいのときに、山下公園でローライダーがすごく流行ってて、ちょうどスヌープ(Snoop Dogg)とかが出てきたぐらいのときだったんで、そこらへんを聴いてましたね。
■北野武監督『キッズ・リターン』の撮影
そんなミュージックライフを経て、スカウトで芸能界入りした安藤さん。
安藤:19歳ぐらいで、川崎でスカウトされました。学校の帰りで、学ランだったんですけど、なんかずっと電車から見てる人がいるなって思ってたんです。
クリス:ストーキングされたわけですね?
安藤:はい(笑)。地元だったんで、「ウソだろ?」って思ったんですよね。そしたら、スターダストプロモーションっていう名刺で、僕は当時知らなかったんですけど、裏見たらすっごく売れてる人がいっぱいいて、言われるままに電話番号とか書かされて、「事務所に来てくれ」って言われました。それで、流れるがまま契約書っぽいものを「はいはい」って書いて……。
クリス:ちゃんとしたいい事務所でよかったですよね。
安藤:そうですね。それで、1カ月後に『キッズ・リターン』だったんです。
クリス:それもすごいですね。北野監督ってどちらかというと、すごく芝居慣れした人よりも鮮度の高い、あまり慣れてない人をあえて使う監督のようですね。
安藤:本当に慣れてなかったんで、「セリフを言ってくれ」って言われたときに、みんなすごく真剣な表情なのを見て笑っちゃって(笑)。おかしくないのに笑ったり、怒る場面じゃないのにめっちゃ怒って……というのが、見ていて笑ってしまったんです。だから全然、芝居ができなかった。
クリス:ちょっと俯瞰で見ちゃうと……。
安藤:ずっと俯瞰でしか見られなかったんです。『キッズ・リターン』の本番中も笑っちゃったりとかしてるんですよ。その場面も映っちゃってるんです。
クリス:それはちゃんと役どころに合った笑いだったんですか?
安藤:いや、全然、シリアスなシーン。僕が肘打ちをして、コーチから怒られるっていうシーンでした。コーチがすごい剣幕で僕のことを怒ってるんですけど、まだ(芝居を)やりたてじゃないですか。人が真剣に怒ってるって笑っちゃいけないんですけど、笑っちゃって(笑)。
クリス:でも監督はあえて使ったわけですもんね。
安藤:監督は1回テストで、1回本番しか撮らないんで、失敗でも全然OKなんですよ。
クリス:失敗でも全然OKなんですか(笑)?
安藤:失敗しまくりでも全然OKです。武さんのメソッドやスタンダードが、役者のスタンダードだと思ってたから、次の作品で「役者ってこんな大変なんだ!?」って(笑)。すごく楽だと思ってたんです。「押す」とか「押さない」とか、当時はわからなかった。タイムスケジュールってあるじゃないですか。武さんはめちゃくちゃ早いんですよ、1回しかやらないから。「役者ってこんな楽なんだ!」みたいな(笑)。セリフも少ないし、「めちゃくちゃ間違えました!」、「OK、OK!」って。でも次の作品では、「間違えました!」ってなっても全然OKじゃないんですよ。僕のときに、怒らない監督が怒ったんですよ(笑)。
クリス:普段は怒らない監督なのに?
安藤:普段は怒らない監督だったんですけど、二十数回目で、めちゃくちゃブチ切れて、「てめえ何回やってんだ、この野郎!」とか言われて、「すいません」みたいな……。
クリス:そのときの気持ちはどうでした?
安藤:さすがに笑えなかったですね(笑)。みんなの雰囲気がヤバかったので。僕、すごく生意気だったので、事前に「セリフ足していいですか?」って自分から言っていた台詞を本番で忘れちゃって。ベテランの役者がセリフ間違えたかのようにみつめちゃったんです、「この人なんでセリフ言わねーのかなー?」って。そうしたら、本番中なのに「言わないの?」「なにがですか?」「おまえ、台詞足したろ?」というやりとりをして、「あー、忘れてました、すいません」って(笑)。そんな感じでずっとやってたんです。
クリス:すごいね。よく続きましたね。北野監督は、キャスティングした段階で自分の責任で、「俺がキャスティングしたから、どうぞ」っていう感じなんですか?
安藤:自分の考えてることに役者をはめていくっていうか。だから、一切芝居をさせない。僕が合ってたのは、それが初めての経験だったからです。ずっと役者をやってる人たちが武さんの現場に行ったときは、すごく苦労されてるってわかったんです。感情を入れないでセリフを言うっていうのは、武さんの演出なんだけど、感情をやっぱり入れてキチッと心の動きを芝居にぶつけるっていうのが役者でもあるじゃないですか。だから役者の人たちが来ていると、すごく苦労してました。それを見てるのがまたおかしくて大爆笑みたいな感じでした(笑)。
■安藤政信の“役作り”
安藤さんは、『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』をはじめ、さまざまな作品の撮影現場で “役作り”を行っていると言います。
クリス:撮影の合間に音楽をずっと聴いてるって言ってたんですけども、今聴いている音楽って何ですか?
安藤:すごくシリアスな作品に入ったときは、ポーティスヘッド(Portishead)とか、ブリストル系の音楽が好きです。トリッキー(Tricky)とかマッシヴ(Massive Attack)とか、ずっとそういうトリップ・ホップとかを聴いてます。体はここにいるんだけど、頭はどこかにいっちゃってるみたいな感じを、ずっと想像してます。
クリス:音楽を役作りのツールとして使ってるんですか?
安藤:そうですね。音のリズムと感情のリズムがシンクロするのが音楽だなと思っています。役者ときちっと話して芝居とその空間を作り出すっていうのも大事なんですけど、音楽で感情をのせていくとか、想像を膨らましていくっていうのもすごく大事です。両方なんですよね。聴きすぎて誰ともしゃべらずに本番だけだと、ひとり芝居になっちゃうし、そこのバランスが難しいです。
クリス:面白いですね。ブリストル・ダブ系を聴く。ポーティスヘッドとかマッシブ・アタックとか、あのあたりはちょっとダークな、雨がしとしと降ってる暗い感じ。「明日、世の中が終わるんじゃない?」ぐらいの天気ですもんね。
安藤:あとは、すごく感情的になるシーンとかは、椎名林檎さんをずっと聴いてます。
■最新作『きらきら眼鏡』の役どころ
現在、公開中の映画『きらきら眼鏡』に出演している安藤さん。
安藤:ちょうど自分の年齢。働き盛りで子どもができて、でも余命宣告をされて、残りの人生をどうやって生きるかっていう役です。
クリス:じゃあ、『コード・ブルー』のお医者さんとは真逆ですよね?
安藤:『コード・ブルー』から2週間後ぐらいに撮影が始まった。『コード・ブルー』では4カ月ぐらい医療に携わって、患者さんの死とか関係する家族とか、それを見て「悲しい」と思っても、一人ひとりに接してられないという医者をずっとやっていたんで、ちょうど繋がって、いろいろわかったっていうか……。
クリス:じゃあ役作りには、『コード・ブルー』でやられていた役柄がすごくいい感じに動いたっていうことなんですかね?
安藤:そうですね。この年齢になると、生まれてくる人だったり、この世からいなくなっていく人っていうのを、僕なりにずっと見てきているじゃないですか。だから、この年齢だからできた役っていうのはありますね。
クリス:映画やシリーズが終わったら、パッとその役柄を一掃する、消去するのかと思いきや、今回の『きらきら眼鏡』に関しては、以前にやってた役がうまい具合にバトンタッチしたんですね。
安藤:本当にそうです。すごく大事なフレーズがあって、「自分が命のリレーを繋いでいるよね」っていう、まさにそういう言葉があるんです。役でもそうなんですけど、本当に繋がってる。『キッズ・リターン』から20年間やってきて、『コード・ブルー』もそうなんですけど、無駄なことがないなって思います。
音楽と映画に関する興味深い話が聞けるオンエアとなりました。みなさんも、安藤さんの熱演を、ぜひ劇場でご覧ください。
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【番組情報】
番組名:『SAPPORO BEER OTOAJITO』
放送日時:毎週土曜18時-18時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/otoajito/
■音楽への目覚めは『夜のヒットスタジオ』
映画を中心に大活躍の安藤さん。芝居以外の時間は、ずっと音楽を聴いているとか。どんなふうに出会ったのか、幼少期のことから伺いました。
クリス:安藤さんは神奈川出身で、神奈川のどちらですか?
安藤:川崎です。
クリス:どんなお子さんだったんですか?
安藤:いつもフラフラしてて、学校行ってもあんまり、勉強するっていうよりは外の景色を見てたりとか、ボーっとしてました。
クリス:妄想少年でした?
安藤:そうですね。団体行動がすごく苦手で、みんなと一緒に行動するっていうよりは、ひとりだけずっと考えたり、景色を見てたりしました。みんなと一緒にいるんけど、ずっとひとりで音楽を聴いてるとか。
クリス:役者さんってそういう人が多いですよね。ひとり遊びが好きだったり、イマジネーションっていうか、自分の空想というか、そういう世界に入っていく。
安藤:そうですね。ずっとそういうふうにいましたね。
クリス:なるほど。最初に買った音源は?
安藤:カセットテープでしたね。僕は小学校、たぶん、3年生か4年生ぐらいのときに、『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ)を観ていて、たまに外タレ(外国人タレント)が来て歌うみたいなことがあったじゃないですか。それで初めて洋楽に触れたのが、トンプソン・ツインズ(Thompson Twins)です。今まで聴いたことのない音に惹かれました。あと、3人のビジュアルもなんか面白かったんですよ。それを聴いたのが初めてですね。そこから、中学校のときからヘビメタとかHip-Hopとかに入っていきました。
クリス:男の子ってみんなそこを通りますよね。
安藤:そうですね。
クリス:ヘビメタはどんなのを聴いてたんですか?
安藤:ヘビメタは、初めに聴いたのはメタリカ (Metallica)です。レンタルビデオに音楽コーナーとかがあったんですけど、その音楽コーナーで借りたのが、メタリカのクリフ・バートン (Cliff Burton)が、すごく前に出したPVというか、ドキュメンタリーだったんですけど、「すげえかっこいいわ!」って。
クリス:クリフ・バートンって、ベーシストでしたよね。すごいベースですよね。じゃあ、どちらかというとアグレッシブなサウンドがお好きだったんですね。
安藤:そうですね。高校のときはニルヴァーナ(Nirvana)とか、セックス・ピストルズ(Sex Pistols)とかも聴いてました。「なんかすげえ!」、「ホントかっこいいな!」って。
クリス:高校ぐらいになると、ちょっとはっちゃけたいっていうか……。
安藤:そうですね。「暴れたい!」みたいな曲を聴いてました。「机蹴りてえ!」「ガラス割りてえ!」みたいな感じでした(笑)。
クリス:Hip-Hopはどんなのを聴いてたんですか?
安藤:高1ぐらいのときに、山下公園でローライダーがすごく流行ってて、ちょうどスヌープ(Snoop Dogg)とかが出てきたぐらいのときだったんで、そこらへんを聴いてましたね。
■北野武監督『キッズ・リターン』の撮影
そんなミュージックライフを経て、スカウトで芸能界入りした安藤さん。
安藤:19歳ぐらいで、川崎でスカウトされました。学校の帰りで、学ランだったんですけど、なんかずっと電車から見てる人がいるなって思ってたんです。
クリス:ストーキングされたわけですね?
安藤:はい(笑)。地元だったんで、「ウソだろ?」って思ったんですよね。そしたら、スターダストプロモーションっていう名刺で、僕は当時知らなかったんですけど、裏見たらすっごく売れてる人がいっぱいいて、言われるままに電話番号とか書かされて、「事務所に来てくれ」って言われました。それで、流れるがまま契約書っぽいものを「はいはい」って書いて……。
クリス:ちゃんとしたいい事務所でよかったですよね。
安藤:そうですね。それで、1カ月後に『キッズ・リターン』だったんです。
クリス:それもすごいですね。北野監督ってどちらかというと、すごく芝居慣れした人よりも鮮度の高い、あまり慣れてない人をあえて使う監督のようですね。
安藤:本当に慣れてなかったんで、「セリフを言ってくれ」って言われたときに、みんなすごく真剣な表情なのを見て笑っちゃって(笑)。おかしくないのに笑ったり、怒る場面じゃないのにめっちゃ怒って……というのが、見ていて笑ってしまったんです。だから全然、芝居ができなかった。
クリス:ちょっと俯瞰で見ちゃうと……。
安藤:ずっと俯瞰でしか見られなかったんです。『キッズ・リターン』の本番中も笑っちゃったりとかしてるんですよ。その場面も映っちゃってるんです。
クリス:それはちゃんと役どころに合った笑いだったんですか?
安藤:いや、全然、シリアスなシーン。僕が肘打ちをして、コーチから怒られるっていうシーンでした。コーチがすごい剣幕で僕のことを怒ってるんですけど、まだ(芝居を)やりたてじゃないですか。人が真剣に怒ってるって笑っちゃいけないんですけど、笑っちゃって(笑)。
クリス:でも監督はあえて使ったわけですもんね。
安藤:監督は1回テストで、1回本番しか撮らないんで、失敗でも全然OKなんですよ。
クリス:失敗でも全然OKなんですか(笑)?
安藤:失敗しまくりでも全然OKです。武さんのメソッドやスタンダードが、役者のスタンダードだと思ってたから、次の作品で「役者ってこんな大変なんだ!?」って(笑)。すごく楽だと思ってたんです。「押す」とか「押さない」とか、当時はわからなかった。タイムスケジュールってあるじゃないですか。武さんはめちゃくちゃ早いんですよ、1回しかやらないから。「役者ってこんな楽なんだ!」みたいな(笑)。セリフも少ないし、「めちゃくちゃ間違えました!」、「OK、OK!」って。でも次の作品では、「間違えました!」ってなっても全然OKじゃないんですよ。僕のときに、怒らない監督が怒ったんですよ(笑)。
クリス:普段は怒らない監督なのに?
安藤:普段は怒らない監督だったんですけど、二十数回目で、めちゃくちゃブチ切れて、「てめえ何回やってんだ、この野郎!」とか言われて、「すいません」みたいな……。
クリス:そのときの気持ちはどうでした?
安藤:さすがに笑えなかったですね(笑)。みんなの雰囲気がヤバかったので。僕、すごく生意気だったので、事前に「セリフ足していいですか?」って自分から言っていた台詞を本番で忘れちゃって。ベテランの役者がセリフ間違えたかのようにみつめちゃったんです、「この人なんでセリフ言わねーのかなー?」って。そうしたら、本番中なのに「言わないの?」「なにがですか?」「おまえ、台詞足したろ?」というやりとりをして、「あー、忘れてました、すいません」って(笑)。そんな感じでずっとやってたんです。
クリス:すごいね。よく続きましたね。北野監督は、キャスティングした段階で自分の責任で、「俺がキャスティングしたから、どうぞ」っていう感じなんですか?
安藤:自分の考えてることに役者をはめていくっていうか。だから、一切芝居をさせない。僕が合ってたのは、それが初めての経験だったからです。ずっと役者をやってる人たちが武さんの現場に行ったときは、すごく苦労されてるってわかったんです。感情を入れないでセリフを言うっていうのは、武さんの演出なんだけど、感情をやっぱり入れてキチッと心の動きを芝居にぶつけるっていうのが役者でもあるじゃないですか。だから役者の人たちが来ていると、すごく苦労してました。それを見てるのがまたおかしくて大爆笑みたいな感じでした(笑)。
■安藤政信の“役作り”
安藤さんは、『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』をはじめ、さまざまな作品の撮影現場で “役作り”を行っていると言います。
クリス:撮影の合間に音楽をずっと聴いてるって言ってたんですけども、今聴いている音楽って何ですか?
安藤:すごくシリアスな作品に入ったときは、ポーティスヘッド(Portishead)とか、ブリストル系の音楽が好きです。トリッキー(Tricky)とかマッシヴ(Massive Attack)とか、ずっとそういうトリップ・ホップとかを聴いてます。体はここにいるんだけど、頭はどこかにいっちゃってるみたいな感じを、ずっと想像してます。
クリス:音楽を役作りのツールとして使ってるんですか?
安藤:そうですね。音のリズムと感情のリズムがシンクロするのが音楽だなと思っています。役者ときちっと話して芝居とその空間を作り出すっていうのも大事なんですけど、音楽で感情をのせていくとか、想像を膨らましていくっていうのもすごく大事です。両方なんですよね。聴きすぎて誰ともしゃべらずに本番だけだと、ひとり芝居になっちゃうし、そこのバランスが難しいです。
クリス:面白いですね。ブリストル・ダブ系を聴く。ポーティスヘッドとかマッシブ・アタックとか、あのあたりはちょっとダークな、雨がしとしと降ってる暗い感じ。「明日、世の中が終わるんじゃない?」ぐらいの天気ですもんね。
安藤:あとは、すごく感情的になるシーンとかは、椎名林檎さんをずっと聴いてます。
■最新作『きらきら眼鏡』の役どころ
現在、公開中の映画『きらきら眼鏡』に出演している安藤さん。
安藤:ちょうど自分の年齢。働き盛りで子どもができて、でも余命宣告をされて、残りの人生をどうやって生きるかっていう役です。
クリス:じゃあ、『コード・ブルー』のお医者さんとは真逆ですよね?
安藤:『コード・ブルー』から2週間後ぐらいに撮影が始まった。『コード・ブルー』では4カ月ぐらい医療に携わって、患者さんの死とか関係する家族とか、それを見て「悲しい」と思っても、一人ひとりに接してられないという医者をずっとやっていたんで、ちょうど繋がって、いろいろわかったっていうか……。
クリス:じゃあ役作りには、『コード・ブルー』でやられていた役柄がすごくいい感じに動いたっていうことなんですかね?
安藤:そうですね。この年齢になると、生まれてくる人だったり、この世からいなくなっていく人っていうのを、僕なりにずっと見てきているじゃないですか。だから、この年齢だからできた役っていうのはありますね。
クリス:映画やシリーズが終わったら、パッとその役柄を一掃する、消去するのかと思いきや、今回の『きらきら眼鏡』に関しては、以前にやってた役がうまい具合にバトンタッチしたんですね。
安藤:本当にそうです。すごく大事なフレーズがあって、「自分が命のリレーを繋いでいるよね」っていう、まさにそういう言葉があるんです。役でもそうなんですけど、本当に繋がってる。『キッズ・リターン』から20年間やってきて、『コード・ブルー』もそうなんですけど、無駄なことがないなって思います。
音楽と映画に関する興味深い話が聞けるオンエアとなりました。みなさんも、安藤さんの熱演を、ぜひ劇場でご覧ください。
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【番組情報】
番組名:『SAPPORO BEER OTOAJITO』
放送日時:毎週土曜18時-18時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/otoajito/
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