音楽、映画、エンタメ「ここだけの話」
カンヌ出品『寝ても覚めても』濱口竜介監督のユニークな演技指導とは?

カンヌ出品『寝ても覚めても』濱口竜介監督のユニークな演技指導とは?

J-WAVEで放送中の番組『ACROSS THE SKY』(ナビゲーター:玄理)のワンコーナー「LEXUS TOKYO TREASURE」。8月19日(日)のオンエアでは、9月に公開される映画『寝ても覚めても』に注目。以前、短編作品『天国はまだ遠い』に出演し交友のある玄理が、監督の濱口竜介さんにお話を伺いました。


■ある作品に衝撃を受け映画監督に

濱口さんは、1978年神奈川県出身。2008年、東京芸術大学大学院映像研究科の修了制作『PASSION』が、国内外の映画祭で高い評価を得ました。「濱口竜介 即興演技ワークショップ in Kobe」をとおして制作された『ハッピーアワー』が第68回ロカルノ国際映画祭のインターナショナル・コンペティション部門で最優秀女優賞を受賞、最新作『寝ても覚めても』は第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品されました。

玄理:濱口監督の撮影の現場は、どの監督とも違う、演技メソッドとも違うものがすごく印象的です。映画との関わり、映画に魅せられたきっかけは何だったのですか?
濱口:10代の頃から好きで、ハリウッド映画を観ていました。あと岩井俊二さんの『リップヴァンウィンクルの花嫁』とか、玄理さんも出てましたよね。そういうちょっとオシャレな映画を観ていて、大学で映画研究会に入ったときに、2000年にアメリカのインディペンデントの監督で有名なジョン・カサヴェテス監督の特集上映で『ハズバンズ』という映画を観て、これが今でも「人生オールタイム・ベスト」に挙げる作品で、とても衝撃を受けまして。(映画は)実人生よりもリアルという気持ちになって、それで「映画をずっと撮っていきたい」と。その頃にはサークルで撮りはじめて、「これは一生やっていきたい」と、グイっと舵を切った感じなんです。


■作品のDVD化は僅か 劇場上映にこだわる理由

玄理:濱口監督といえば自主制作映画というイメージで、ストイックというか、映画館で特集上映でしか観られない。作品のDVD化はまだされていないですよね?
濱口:ほぼしてませんね。最近『ハッピーアワー』がようやく出ましたけど。
玄理:『ハッピーアワー』にしろ、その前の『親密さ』も上映するととても長い、4時間超えの作品でゴーイング・マイ・ウェイな印象がします。自主制作の魅力は何なんでしょうか? また、商業映画をこれまで撮ってこなかった理由があれば教えてください。
濱口:そんなに志高くやっていたというのとは全然違って、単純に商業映画を撮りたいという気持ちはありました。お話がきたら「じゃあやりましょうか」ということもあったんですけど、その原作の許可がとれないとかもあって。そういう状態で「だったら自分で作ればいいかな」ということだったんですよ。フィルムで映画を撮っていた頃は全然個人では撮れないところがありましたが、デジタルビデオになってものすごく小さな体制でも映画が撮りやすい世の中になっているんです。撮らない理由はやる気があるかないかくらいになっていて、やる気はあったので「じゃあ撮るか」と。やる気ひとつで撮れるし、結果的に自分の感覚やOK基準をとおすことができたので、それはよかったなという感じです。


■『寝ても覚めても』は「それぞれの恋愛観がみえる作品」

トーク後半では最新作『寝ても覚めても』について伺いました。

地元大阪から上京し、カフェで働き2年が経つ朝子はある日、コーヒーを届けた会社で亮平と出会います。真っ直ぐに思いを伝える亮平に、戸惑いながらも惹かれていく朝子。ふたりは仲を深めていくが、朝子には亮平に伝えられずにいる秘密がありました。亮平は、朝子がかつて運命的な恋に落ちた恋人・麦に顔がそっくりだったのです……というストーリーです。

玄理:あらすじだけ読んだら「こんなことってあるかなあ、映画っぽいな」と思ったのですが、映画を観終わって、まわりにもすごい顔が似ている男性3人と続けて付き合っている女の子とかいるなと思って。男女ともに自分のことのように考えさせられる作品だなと思いました。
濱口:まだ公開されてないですけど試写の反応をみると、それぞれの恋愛観が感想であぶり出される感じがあるんで「そういう恋愛観の人だったんですね」みたいなことはありますね。


■撮影前にリハーサルを重ねる「濱口流ワークショップ」

玄理:独特の演出方法についても伺いたいのですが、俳優陣の演出として今回も事前にワークショップを重ねて撮影に入ったと聞きました。演出面で心がけていたことや、実際に撮影に入っていかがでしたか?
濱口:ワークショップって単純にリハーサルですよね。クランクインの前にリハーサルをやらせてもらったということなんですけど、ひたすらニュアンスを抜いて本を読んでいく。ニュアンスを抜いた状態で、台詞を覚えてあとは現場にお任せします。脚本とキャラクターと役者さんを馴染ませる作業と、別の面で馴染ませる作業として「こういう人なんですよ」という設定じゃないんですけど、その人がインタビューを受けてしゃべっているような台詞を書いて読んでもらったり、あとは即興でキャラクター同士を演じながらインタビューをしてもらう。こういうことをやっていくと、撮影前にキャラクターと演じている人が仲良くなる感じで、それをしておいたほうが撮影したときに演じるのが楽なんじゃないかと勝手に思ってやっているんですけど、どうですか玄理さん?
玄理:俳優は、台詞覚えは家でやるものという感覚があったので、みんなで頭を寄せ合ってひたすら絶対に感情を込めないで、感情を込めたら「もう1回」みたいに念仏のように台詞を読み合う経験がすごく新しくて、「これで棒演技になったらどうしよう」と思ったんですけど、そういう心配は全く要らなかったです。あと役になってチラッと見せられたカードをもとに役としてお互いにインタビューをする際に、相手には集中しているんですけど、脇で濱口監督が私たちがリハーサルをしているときは見ていて、チラッとみたら普段温厚な濱口監督がめちゃめちゃ鋭い目でみていて、「すごい観察されているな」と。これをとおして自分を見透かされているんだろうなという感覚がすごくあったんですよね(笑)。

商業作品としてはじめて手がけた作品『寝ても覚めても』が第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品された濱口さん。「これがカンヌかと非常にふわふわした気持ちで過ごしました。タキシードを着て『これがレッドカーペットか』『これがスタンディングオベーションというやつか』と観光客みたいな感じなんだけど、その中心に自分がいるヘンな感じ」と、カンヌ滞在の感想を明かしました。

映画『寝ても覚めても』は、9月1日(土)より全国公開されます。また今回の上映にあわせ濱口さんの過去作品を上映する「濱口竜介アーリー・ワークス Ryusuke Hamaguchi Early Works」が開催。キネカ大森で9月22日(土)から10月5日(金)まで、初期作品から短編作品まで上映します。スケジュールは公式サイトをチェックしてください!

この記事の放送回をradikoで聴く
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

【番組情報】
番組名:『ACROSS THE SKY』
放送日時:日曜9時-12時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/acrossthesky/

この記事の続きを読むには、
以下から登録/ログインをしてください。

  • 新規登録簡単30
  • J-meアカウントでログイン
  • メールアドレスでログイン