J-WAVEで放送中の番組『GOOD NEIGHBORS』（ナビゲーター：クリス智子）。7月25日（水）のオンエアでは、歴史学者で東京大学教授の本郷和人さんが登場。最新著書『東大教授がおしえる やばい日本史』について訊きました。
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まずは本郷さんの肩書きにある、東京大学史料編纂所教授の“史料編纂所”について伺いました。
本郷：江戸時代からずっと続いているような歴史の研究所です。日本の歴史をとにかく編纂し、毎日何が起こったか細大漏らさず活字にしていく仕事です。やっていかないと空白の部分が多すぎるんです。僕は鎌倉時代を専門にしていて、鎌倉時代をやっていく担当なんですけど、終わるまであと800年かかる計算になっています（笑）。
■西郷さんの銅像は全く似ていない？
そんな本郷さんが監修された『東大教授がおしえる やばい日本史』は、歴史上の有名人のすごい一面や教科書で習ってきたことを、さらに面白おかしく読みやすくした、また「やばい一面」も載っているという仕立ての本です。
クリス：例えば西郷さんといえば犬で、銅像もありますけど、「あの犬の秘密は？」というのがこの本にでてきます。
本郷：あれ、薩摩犬なんですね。西郷さんがあまりにも運動しないので「このままだと死んじゃうよ」ということで、犬でも飼って散歩しなさいと。上野の西郷さんの像ですけど、別に散歩しているわけじゃないんですよ。「兎狩り」です。犬はうさぎを狩るための犬なんですね。性別はメス、名前は「つん」。あの像を建てるときに、つんの4代目の孫を連れてきて写実的に仕上げているんです。あれは本当に似ているらしいです。
クリス：西郷さんのほうも似ているんですか？
本郷：いえ、奥さんが除幕式で「うちの主人はこんな顔していない」って言ってます。
クリス：なんでそんなことになっちゃったんですか（笑）？
本郷：色々な説があるんですが、似ていないというのはひとつの考え方です。犬は似ています。
■お札の聖徳太子は違う人？
クリス：聖徳太子はどうですか？
本郷：クリスさんは聖徳太子って1万円札のイメージあります？ その頃は海外でした？
クリス：そのころは日本にいましたけど、1万円を持たせてもらってないかもしれないですね（笑）。
本郷：あのお札の聖徳太子は、聖徳太子じゃないと言われています。誰だかわからないんで諸説あるんですけど、聖徳太子ではないことは、だいたい一致しています。
クリス：写真がこの人じゃなかったとか、「おやおや？」というのがありますけど、それってどういうことなんですか？
本郷：この時代の人間にこの格好はありえないということなんです。例えば僕らも羽織袴を着ていたらヘンでしょ？ そうすると、「この人はこの時代の人ではない」ということになるんです。
クリス：聖徳太子が、実はこの辺がやばい人だったというのは？
本郷：彼は隋という国に手紙を書くわけですよ。そのときに「日本と隋は友だちだね」と手紙を書くんですけど、どう考えても国力がもう日本は隋の何10分の1で、隋のほうがすごくデカイんです。それで隋の皇帝が怒っちゃって、「バカかお前は」と返事を書いて、小野妹子に渡したんです。そうすると小野妹子はそれを持って帰れないじゃないですか。だから「返事みせて」って言われたときに「すいません、なくしました」って。
クリス：小野妹子がいい人に聞こえますね（笑）。
本郷：小野妹子は大変だったんですよ、間に挟まれて。
クリス：「上から目線で隋の皇帝をキレさせるやばい聖徳太子」っていうことになってますけどね。
本郷：嫁と姑との間でウロウロしている夫が小野妹子ですね。嫁が聖徳太子でしょうね。
クリス：伊達政宗もカッコいいじゃないですか。『独眼竜政宗』なんて大河ドラマでもありましたけど、「スペインと組んで江戸幕府を倒そうとした独眼竜」。
本郷：あれは嘘です。
クリス：え!?
本郷：はい、嘘です。それから伊達政宗は、他の人たちに比べると若かったんですよ。だけど若いだけなんですね。
クリス：あまり頭脳がついてきてないというか？
本郷：頭はすごくよくて、セルフプロデュースは上手かったんです。演出力は高かったんですけど、武将にとって一番大事なのは戦に強いことで、伊達政宗の生涯をみてみると、戦にほとんど勝ってないんですね。
クリス：強いイメージがありますけどね。
本郷：「俺は強いんだ、強いんだ」って言っていると周りが誤解して「あの人強いんだよね」って話になっちゃって、僕らは今でも騙されているんですね。
クリス：（笑）。伊達政宗が何がやばいかというのは「謝り方が秀逸」という。
本郷：そうなんです。豊臣秀吉を何回も怒らせるんですけど、その都度色々な謝り方をしてます。ただ「すいません」じゃなくて、死装束を着てみたり、金の十字架を背負って歩いてみたり、どう考えても一歩間違えるとただの危ない人ですよ。
クリス：（笑）。
本郷：権力者ってそうだと思うんですけど、「笑わせたら勝ち」なんですよ。権力者も笑っちゃったら「お前死刑」って言えないじゃないですか。とにかく笑わせようと頑張ったんですね。
クリス：そこは頭がいいですよね。
他にも楽しい話がたくさん飛び出しました。もっと詳しく知りたい方は、ぜひ『東大教授がおしえる やばい日本史』を手にとってみて下さい！
さて、次週の『GOOD NEIGHBORS』は夏旅に注目。ゲストは、レキシ・池田貴史さん、写真家・野川かさねさん、バイオリニスト・葉加瀬太郎さん、ブックディレクター・幅 允孝さんらが登場します。お楽しみに！
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【番組情報】
番組名：『GOOD NEIGHBORS』
放送日時：月・火・水・木曜 13時－16時30分
オフィシャルサイト：https://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/
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まずは本郷さんの肩書きにある、東京大学史料編纂所教授の“史料編纂所”について伺いました。
本郷：江戸時代からずっと続いているような歴史の研究所です。日本の歴史をとにかく編纂し、毎日何が起こったか細大漏らさず活字にしていく仕事です。やっていかないと空白の部分が多すぎるんです。僕は鎌倉時代を専門にしていて、鎌倉時代をやっていく担当なんですけど、終わるまであと800年かかる計算になっています（笑）。
■西郷さんの銅像は全く似ていない？
そんな本郷さんが監修された『東大教授がおしえる やばい日本史』は、歴史上の有名人のすごい一面や教科書で習ってきたことを、さらに面白おかしく読みやすくした、また「やばい一面」も載っているという仕立ての本です。
クリス：例えば西郷さんといえば犬で、銅像もありますけど、「あの犬の秘密は？」というのがこの本にでてきます。
本郷：あれ、薩摩犬なんですね。西郷さんがあまりにも運動しないので「このままだと死んじゃうよ」ということで、犬でも飼って散歩しなさいと。上野の西郷さんの像ですけど、別に散歩しているわけじゃないんですよ。「兎狩り」です。犬はうさぎを狩るための犬なんですね。性別はメス、名前は「つん」。あの像を建てるときに、つんの4代目の孫を連れてきて写実的に仕上げているんです。あれは本当に似ているらしいです。
クリス：西郷さんのほうも似ているんですか？
本郷：いえ、奥さんが除幕式で「うちの主人はこんな顔していない」って言ってます。
クリス：なんでそんなことになっちゃったんですか（笑）？
本郷：色々な説があるんですが、似ていないというのはひとつの考え方です。犬は似ています。
■お札の聖徳太子は違う人？
クリス：聖徳太子はどうですか？
本郷：クリスさんは聖徳太子って1万円札のイメージあります？ その頃は海外でした？
クリス：そのころは日本にいましたけど、1万円を持たせてもらってないかもしれないですね（笑）。
本郷：あのお札の聖徳太子は、聖徳太子じゃないと言われています。誰だかわからないんで諸説あるんですけど、聖徳太子ではないことは、だいたい一致しています。
クリス：写真がこの人じゃなかったとか、「おやおや？」というのがありますけど、それってどういうことなんですか？
本郷：この時代の人間にこの格好はありえないということなんです。例えば僕らも羽織袴を着ていたらヘンでしょ？ そうすると、「この人はこの時代の人ではない」ということになるんです。
クリス：聖徳太子が、実はこの辺がやばい人だったというのは？
本郷：彼は隋という国に手紙を書くわけですよ。そのときに「日本と隋は友だちだね」と手紙を書くんですけど、どう考えても国力がもう日本は隋の何10分の1で、隋のほうがすごくデカイんです。それで隋の皇帝が怒っちゃって、「バカかお前は」と返事を書いて、小野妹子に渡したんです。そうすると小野妹子はそれを持って帰れないじゃないですか。だから「返事みせて」って言われたときに「すいません、なくしました」って。
クリス：小野妹子がいい人に聞こえますね（笑）。
本郷：小野妹子は大変だったんですよ、間に挟まれて。
クリス：「上から目線で隋の皇帝をキレさせるやばい聖徳太子」っていうことになってますけどね。
本郷：嫁と姑との間でウロウロしている夫が小野妹子ですね。嫁が聖徳太子でしょうね。
クリス：伊達政宗もカッコいいじゃないですか。『独眼竜政宗』なんて大河ドラマでもありましたけど、「スペインと組んで江戸幕府を倒そうとした独眼竜」。
本郷：あれは嘘です。
クリス：え!?
本郷：はい、嘘です。それから伊達政宗は、他の人たちに比べると若かったんですよ。だけど若いだけなんですね。
クリス：あまり頭脳がついてきてないというか？
本郷：頭はすごくよくて、セルフプロデュースは上手かったんです。演出力は高かったんですけど、武将にとって一番大事なのは戦に強いことで、伊達政宗の生涯をみてみると、戦にほとんど勝ってないんですね。
クリス：強いイメージがありますけどね。
本郷：「俺は強いんだ、強いんだ」って言っていると周りが誤解して「あの人強いんだよね」って話になっちゃって、僕らは今でも騙されているんですね。
クリス：（笑）。伊達政宗が何がやばいかというのは「謝り方が秀逸」という。
本郷：そうなんです。豊臣秀吉を何回も怒らせるんですけど、その都度色々な謝り方をしてます。ただ「すいません」じゃなくて、死装束を着てみたり、金の十字架を背負って歩いてみたり、どう考えても一歩間違えるとただの危ない人ですよ。
クリス：（笑）。
本郷：権力者ってそうだと思うんですけど、「笑わせたら勝ち」なんですよ。権力者も笑っちゃったら「お前死刑」って言えないじゃないですか。とにかく笑わせようと頑張ったんですね。
クリス：そこは頭がいいですよね。
他にも楽しい話がたくさん飛び出しました。もっと詳しく知りたい方は、ぜひ『東大教授がおしえる やばい日本史』を手にとってみて下さい！
さて、次週の『GOOD NEIGHBORS』は夏旅に注目。ゲストは、レキシ・池田貴史さん、写真家・野川かさねさん、バイオリニスト・葉加瀬太郎さん、ブックディレクター・幅 允孝さんらが登場します。お楽しみに！
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【番組情報】
番組名：『GOOD NEIGHBORS』
放送日時：月・火・水・木曜 13時－16時30分
オフィシャルサイト：https://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/