J-WAVEで放送中の番組『JAM THE WORLD』(ナビゲーター:グローバー)のワンコーナー「UP CLOSE」。7月23日(月)のオンエアでは、月曜日のニュース・スーパーバイザー、津田大介が登場。インターネット業界の現状・未来について、ニコニコ動画を提供する株式会社ドワンゴの創業者でカドカワ株式会社代表取締役社長、川上量生さんと語りました。
■ネット社会の問題はなぜ起こる?
インターネットが広く一般的に使われるようになって20年あまり。川上さんがニコニコ動画をスタートさせてからは12年が経ちました。SNSの利用者も増え続け、今やネットは私たちの生活に欠かせないインフラのひとつです。それゆえに、一方でインターネット上では様々な問題が起こり、社会に対して影響力も大きくなっています。川上さんはこの12年での大きな変化をどう見ているのでしょうか?
川上:「インターネット社会」が何かは人によって違いますが、僕にとってはTwitterです。それで言うと、津田さんの元気がなくなったというのが最大の変化ですね(笑)
津田:元気なくなりましたね(笑)。かつてはインターネットに本当に夢を見ていたし、ニコ動が出てきて、そしてニコニコ生放送が出てきて、ライブメディアが誰でも発信できるようになって、すっごい夢みたいな社会が来るって思ってましたけど、甘かったですね。
川上:でも、夢みたいな社会は来てるんじゃないですか? 僕はけっこうポジティブに思ってますけどね。
津田:ポジティブに捉えている理由は、どういったものなのでしょうか。
川上:津田さんが現在のインターネット社会で問題視しているのは、ヘイトスピーチやフェイクニュースなどですよね。恣意的に言論を変えようとしている人たちに満ち溢れている。
津田:そうですね。2012年に『ウェブで政治を動かす! 』を本を出して、「ウェブで政治を動かせるワケねーだろw」とかずっと言われていたんですが、動いちゃったんですよね。トランプ大統領のような人が出てきて。
川上:動かしちゃダメだったんですよ! 僕は当時から批判してましたから(笑)。
津田:僕も、予想は当たったけれど、まさかこんな悪い形だとは……と思っています。
川上:僕は、それがそんなに悪いことでもないと思っていて、というか、人間社会って日本の歴史を振り返ってみてもあまり変わっていない。今のネットの人たちが頭が悪いかと言うと、むしろかなり頭がいいのではと考えています。レベルが高い。では、なぜこんなことになるのかと言うと、今の社会が複雑すぎるんですよ。
津田:それはまったく同意します。
川上:今のネット社会を生みだした最大の原因は、「人間の能力を超えた」ことにある。能力を超えたときに人間がどういう行動をとるかと言うと、極めて視野の狭い正論にしがみつき始めるという。
津田:しかも、何か正論を言ったときに、それを賛同する声も可視化され、すぐ大きなうねりになっていく。この現象も、川上さんが仰った状態を加速させているのでしょう。
川上:昔は若者の理想論を「何を言ってるんだ」と一喝する、現実主義の年長者がいましたよね。あれが今はなくなった。現実をどうしたらいいか、誰もわからないから。そして、理想を言う人だけが残った。それが今だと思います。
■ブロッキング対策の是非
インターネットはどうあるべきか。今年の春には、音楽や出版物などを違法コピーしアップロードする「海賊版サイト」の横行が話題になりました。この問題に緊急対策として、事実上の政府主導による、悪質な3つの海賊版サイトへのブロッキング、いわゆるアクセスの遮断が実施されました。これによって、カドカワを含め他の出版社では、電子書籍の売上にどのような影響があったのでしょうか?
川上:検討会議の中で、講談社さんが電子コミックの売り上げグラフを公開されました。それによると、やはり顕著な効果が出てます。8月以降の伸び率は急激に下がってマイナスになって、それが3月以降、回復していった。急激にと言うよりは、ちょっと回復したっていうのが実際のところです。
まだ完全に戻ったとはいえないものの、効果があったようです。
津田:今回のブロッキング反対派の人には、「立法措置で実態を把握してやっていくのが筋でしょ」と言う筋論の話も多いじゃないですか。
川上:それは正しいんじゃないですか? だって法治国家なんだから。
しかし政治には、正しくても打つ手がないことがある……と川上さん。今回のブロッキングもそのひとつで、「本来なら何年かけても、正しくてもできなかったこと」と言います。
川上:それが「漫画村」をきっかけに、政府がある大英断をした。そのことによって、“正しいんだけどできない”ことのひとつが今できるかもしれない。っていうところまで来てるんだと思うんですね。そのことは日本にとってラッキーだったとしか言いようがないと思っています。
最後に、インターネットをこの先、よりよく使えるツールにしてくためには、どういう存在として捉えれば良いのかをお聞きしました。
川上:この先どうなるかっていったら、AIです。おそらく人間なんて、大して頭は良くない。AI様に全部やってもらうっていうことを、どこかで人間は諦める必要があって。そういうことじゃないですかね。
AIが主導する人間社会。映画のような世界が、近い将来、現実になっているかもしれません。
【この記事の放送回をradikoで聴く】
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【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld
■ネット社会の問題はなぜ起こる?
インターネットが広く一般的に使われるようになって20年あまり。川上さんがニコニコ動画をスタートさせてからは12年が経ちました。SNSの利用者も増え続け、今やネットは私たちの生活に欠かせないインフラのひとつです。それゆえに、一方でインターネット上では様々な問題が起こり、社会に対して影響力も大きくなっています。川上さんはこの12年での大きな変化をどう見ているのでしょうか?
川上:「インターネット社会」が何かは人によって違いますが、僕にとってはTwitterです。それで言うと、津田さんの元気がなくなったというのが最大の変化ですね(笑)
津田:元気なくなりましたね(笑)。かつてはインターネットに本当に夢を見ていたし、ニコ動が出てきて、そしてニコニコ生放送が出てきて、ライブメディアが誰でも発信できるようになって、すっごい夢みたいな社会が来るって思ってましたけど、甘かったですね。
川上:でも、夢みたいな社会は来てるんじゃないですか? 僕はけっこうポジティブに思ってますけどね。
津田:ポジティブに捉えている理由は、どういったものなのでしょうか。
川上:津田さんが現在のインターネット社会で問題視しているのは、ヘイトスピーチやフェイクニュースなどですよね。恣意的に言論を変えようとしている人たちに満ち溢れている。
津田:そうですね。2012年に『ウェブで政治を動かす! 』を本を出して、「ウェブで政治を動かせるワケねーだろw」とかずっと言われていたんですが、動いちゃったんですよね。トランプ大統領のような人が出てきて。
川上:動かしちゃダメだったんですよ! 僕は当時から批判してましたから(笑)。
津田:僕も、予想は当たったけれど、まさかこんな悪い形だとは……と思っています。
川上:僕は、それがそんなに悪いことでもないと思っていて、というか、人間社会って日本の歴史を振り返ってみてもあまり変わっていない。今のネットの人たちが頭が悪いかと言うと、むしろかなり頭がいいのではと考えています。レベルが高い。では、なぜこんなことになるのかと言うと、今の社会が複雑すぎるんですよ。
津田:それはまったく同意します。
川上:今のネット社会を生みだした最大の原因は、「人間の能力を超えた」ことにある。能力を超えたときに人間がどういう行動をとるかと言うと、極めて視野の狭い正論にしがみつき始めるという。
津田:しかも、何か正論を言ったときに、それを賛同する声も可視化され、すぐ大きなうねりになっていく。この現象も、川上さんが仰った状態を加速させているのでしょう。
川上:昔は若者の理想論を「何を言ってるんだ」と一喝する、現実主義の年長者がいましたよね。あれが今はなくなった。現実をどうしたらいいか、誰もわからないから。そして、理想を言う人だけが残った。それが今だと思います。
■ブロッキング対策の是非
インターネットはどうあるべきか。今年の春には、音楽や出版物などを違法コピーしアップロードする「海賊版サイト」の横行が話題になりました。この問題に緊急対策として、事実上の政府主導による、悪質な3つの海賊版サイトへのブロッキング、いわゆるアクセスの遮断が実施されました。これによって、カドカワを含め他の出版社では、電子書籍の売上にどのような影響があったのでしょうか?
川上:検討会議の中で、講談社さんが電子コミックの売り上げグラフを公開されました。それによると、やはり顕著な効果が出てます。8月以降の伸び率は急激に下がってマイナスになって、それが3月以降、回復していった。急激にと言うよりは、ちょっと回復したっていうのが実際のところです。
まだ完全に戻ったとはいえないものの、効果があったようです。
津田:今回のブロッキング反対派の人には、「立法措置で実態を把握してやっていくのが筋でしょ」と言う筋論の話も多いじゃないですか。
川上:それは正しいんじゃないですか? だって法治国家なんだから。
しかし政治には、正しくても打つ手がないことがある……と川上さん。今回のブロッキングもそのひとつで、「本来なら何年かけても、正しくてもできなかったこと」と言います。
川上:それが「漫画村」をきっかけに、政府がある大英断をした。そのことによって、“正しいんだけどできない”ことのひとつが今できるかもしれない。っていうところまで来てるんだと思うんですね。そのことは日本にとってラッキーだったとしか言いようがないと思っています。
最後に、インターネットをこの先、よりよく使えるツールにしてくためには、どういう存在として捉えれば良いのかをお聞きしました。
川上:この先どうなるかっていったら、AIです。おそらく人間なんて、大して頭は良くない。AI様に全部やってもらうっていうことを、どこかで人間は諦める必要があって。そういうことじゃないですかね。
AIが主導する人間社会。映画のような世界が、近い将来、現実になっているかもしれません。
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【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld
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