『君たちはどう生きるか』80年を経て大ヒットの理由

J-WAVEで放送中の番組「STEP ONE」(ナビゲーター:サッシャ・寺岡歩美)のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」。11月7日(火)のオンエアでは、80年前に出版されてベストセラーとなった、吉野源三郎さんの小説『君たちはどう生きるか』に注目。

今年8月に漫画版が発売され、50万部を超える大ヒットとなっています。そこで、漫画版を担当した漫画家の羽賀翔一さんをお迎えしました。

原作の舞台は1937年。主人公は中学生のコペル。コペルが経験したさまざまな出来事について書かれている部分と、叔父さんがコペルのために書いたノートの部分が交互に構成されていて、コペルが成長していくお話です。

羽賀さんも「教養的な部分を得られるだけでなく、物語としても面白く、キャラクターに魅力があってイキイキしている」と、没頭して読んだそうです。

小説が出版された当時は、日中戦争に突き進んでいく中で、検閲が非常に厳しい状況だったようです。吉野さんは一般書籍として発売したいと思っていたものの、検閲が厳しく、児童書というジャンルであれば発売できたので、児童書として出版したという話が残っています。

そもそも漫画版が出版された経緯は、漫画版を企画した編集者の周りにこの本を何度も読んでいる人が何人もいたことから。漫画化にあたり、羽賀さんは試行錯誤したものの、原作に力があるため大きくは変えずに、漫画として読みやすくなるように細かい演出や時系列だけ変えたそうです。

寺岡:好きなエピソードはありますか?
羽賀:コペル君が大きな過ちをしてしまって、その時に、叔父さんがコペル君に「今、君はすごく苦しいと感じている。でも、その苦しみは正しい方向に進もうとしているからこそ、苦しいと感じている。正しい方向にいこうとしているからこそ苦しみがある」という内容の部分があるんです。
寺岡:なるほど。
羽賀:苦しい時はなかなかそこまで引いて見れないと思うから、そういったアドバイスは、今まさに悩んでいる中高生に受け取ってほしいと思いました。

この作品は、宮崎駿監督が次回作のタイトルにすると明らかにしたことでも話題です。

「初めて読んだ時はコペル君側の視点に立って読んだんですけど、この先何年か経った時に読み返すと、叔父さん側の視点から『悩みながらメッセージを送ってるんだ』というような発見もできるんじゃないかと思っていて、そういう読み方ができる点も魅力の一つだと思います」とも語っていた羽賀さん。

実際に、子どもにプレゼントする親もたくさんいるようです。サッシャも寺岡も興味津々でした。皆さんも、どうぞ、手にとってみてください。

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【番組情報】
番組名:「STEP ONE」
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/stepone/

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