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これ本物? 世界が注目する驚愕の金魚アート誕生秘話

これ本物? 世界が注目する驚愕の金魚アート誕生秘話

J-WAVE土曜朝8時からの番組「RADIO DONUTS」(ナビゲーター:渡辺祐・浦浜アリサ)のワンコーナー「TOKYO GAS LIFE IS A GIFT」。5月14日のオンエアでは、金魚絵師の深堀隆介さんにお話をお伺いしました。

深堀さんは、様々な器の中にまるで本当に泳いでいるかのような立体的な金魚を、オリジナルの技法で創り出す美術作家。現在、西武渋谷店で開催中の初の回顧展「金魚養画場~鱗の向こう側~」は大きな話題となっており、さまざまなメディアでも取り上げられているので、ご存じの方も多いと思います。

深堀さんが“金魚”を作り始めたきっかけは、2000年頃、スランプに陥っていた時でした。部屋で飼っていた金魚の不思議な魅力に気づき、そこから金魚作品を作りだしたそうです。それから15年。現在では、その本物のようなクオリティの高さと美しさに世界でも注目されるほど。この経緯を深堀さんは、金魚に救われたという意味で、「金魚救い」と呼んでいるそうです。うまいですね(笑)。

深堀さんの作品は、アクリルの樹脂に一層一層、金魚の絵を重ねて、立体感を生み出しているのですが、これは深堀さんオリジナルの技法。そこには並々ならぬ試行錯誤がありました。

「(樹脂の)中に描いたらどうなるんだろう? やってみなきゃわからないな。で、金魚をツルツルの(樹脂の)上に描いていくんですが、全然描けないんですよ、最初。試行錯誤を重ねてようやく金魚を一匹描いて、で、樹脂を流し込んだんです」(深堀さん、以下同)

この時、どうせ絵の具は樹脂に溶けてしまうだろうと思ったそうなのですが、一晩置いて翌朝見てみると、そこには綺麗に金魚の絵が溶けずに残っていました。それを見た深堀さんは「これは、僕が知る限りでは誰もやってないぞ! こんなアート見たことない!」と思ったそうです。

お酒の升や、タンスの引き出し、ひっくり返した傘など様々な“器”に金魚を描いている深堀さんですが、その“器”はなんでもいいわけではないと話します。「よく『これに金魚を描いて』と持ってこられるんですけど、そこに金魚が見えないわけです。僕は全部、自分が手に取った器の中に、金魚が見えたものしか描かない」と深堀さん。升の木目、缶だったら錆びの位置などが金魚の配置にものすごく重要なのだそうです。器一つにもこだわりがあるのですね。

さらに、深堀さんの描く金魚が生きているように見えることにも秘密がありました。

「(金魚たちの)次の行動が、全部ちゃんと計画的に頭の中に入っています。次この子たちはこっちに行くな、この子はこっちに行くな…その一歩手前を描いているんです。ストップモーションでも、なんだか動いているように見えるのは、考えながら描いているからなんです」

金魚に救われた日から15年。深堀さんはなぜ、ひたすら金魚のみを描き続けるのでしょうか?

「“自分探し”なんです。金魚を見てれば、我々はどう生きるべきかというのを示唆してくれるというか、教えてくれるんです」

たとえば、金魚が生きているだけで水槽の水は汚れ、やがて病原菌が発生し、金魚は死んでしまいます。そうならないように人間が水換えをするから、金魚は生き続けて子孫を繁栄できる。「金魚が生まれて1,500年っていうのは、“水換えの歴史”とも言えるわけなんです」と深堀さんは話します。そして、これは地球に置き換えても同じだと深堀さん。

「こんな限られた空間でこれだけ人間が生きている。人間は水も汚すし、空気も汚す。神様は水換えをしてくれないから、自分たちでこの地球を守らなきゃいけないということに気づかされるんです」

深堀さんの作品で一番最初に目を奪われるのは、やはりその驚きの技術ですが、その奥には深堀さんの伝えたいメッセージとアートの本質があったのですね。

深堀さん初の回顧展「金魚養画場~鱗の向こう側~」は5月29 日まで西武渋谷店で開催しています。日本が世界に誇る驚愕の金魚アート、ぜひその目で確かめてください。

【関連サイト】
「RADIO DONUTS」オフィシャルサイト
https://www.j-wave.co.jp/original/radiodonuts/

「カプセルホテル」「エロい」東京で見たい建築ベスト3(2016年4月7日)
https://www.j-wave.co.jp/blog/news/2016/04/3-17.html

母子アート集団「アーブル美術館」のスゴい結成秘話(2016年4月7日)
https://www.j-wave.co.jp/blog/news/2016/05/post-1520.html

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