『VIVANT』アリ役・山中 崇、俳優業を志すきっかけとなった“役”とは?「数少ないモテ期だったんじゃないか」

俳優の山中 崇が、役者を志したきっかけや仕事への不安、『VIVANT』の海外撮影、カレーへの情熱について語った。

山中が登場したのは、8月28日(金)放送のJ-WAVE『BEFORE DAWN』(ナビゲーター:燃え殻)。作家・エッセイストの燃え殻による深夜のトークラジオプログラムだ。

この日の放送は9月4日(金)28時ごろまで、radikoのタイムフリー機能で楽しめる。

俳優人生の始まりは「キジムナーF」

山中と燃え殻は、映像ディレクター・長部洋平が演出した浅草での舞台をきっかけに知り合い、その後、食事を重ねるなかで親交を深めていったという。

燃え殻:今日は俳優になるまでを訊いてみたいんですけど、演劇に興味を持ったきっかけは何だったんですか?

山中:そもそもは、高校のときに嫌々やらされた劇があったんです。僕が通っていた高校は修学旅行のことを「ホームルーム合宿」と呼んでいて、行き先は沖縄だったんですね。僕はその実行委員をやっていて。合宿のスタンスとしては、「戦争の悲劇や悲しみを学びに行く」というもので。沖縄へ行く前に「委員会でみんなにやれることはないか」という話を先生がしていて、「文化祭で劇をやろう」となったんです。そうしたら、「私、脚本を書きます」と言った同級生の子がいて、その本の登場人物がものすごく多かったんです。僕は人前に出て何かをするのがまったく好きじゃなくて、人の後ろに隠れて生きていたいという感じだったので、絶対に裏方をやろうと思っていたんです。でも、その子が登場人物を書いたばっかりに……。

燃え殻:群像劇のような。

山中:そうです。それで先生に「ひとりひと役やりなさい」と言われて。それでやったのが「キジムナーF」という役なんですけど。キジムナーがAからHぐらいまでいるんですよ。「嫌だな」と思いながらも「やります」と言って、稽古をして。本番の前日に、みんながいろいろ準備しているのを遠くからぼんやり見ていたら、「みんなでひとつのことをやるって、実はすごく面白いことなんじゃないか」と思ってしまったんですよ。

本番の会場は体育館。普段は声が小さかった山中だが、小学校から中学1年生まで7年間続けた剣道の経験もあり、出そうと思えば大きな声を出すことができたという。

山中:たまたま僕の声が後ろまで届いたんですよ、きっと。たぶん、それだけの理由なんですけど、ちょっと先生に褒められたりして。「あれ?」と思って。昼休みに隣のクラスの女の子が遊びに来て、やたら目が合うな、みたいな。勘違いかもしれないんですけど、本当に(笑)。

燃え殻:キジムナーFが、やっぱり光っていたんですね。

山中:光っていたんだと思います。本当に数少ない僕のモテ期が、そこだったんじゃないかと今振り返って思うんですけど(笑)。

燃え殻:それで、自分の人生がガタンと、かなり変わったんですね。

山中:変わったと思います。人前に出て何かをするのが得意じゃなかったし、親族の集まりでもしゃべらないから「あれ、崇はどこに行った?」みたいな。だから、大学を卒業するときに(役者でやっていきたいと言ったら)、親族もみんな「なんでお前が?」と反対しました。

“就職活動の鬼”の話に「そのとおりだ」と納得

大学卒業を前に、役者の道へ進むか、就職するかで迷っていた山中。進路を決めるきっかけは合同説明会での経験だったと話す。

山中:みんな普通に就職するような学校だったので、演劇サークルのみんなも当たり前のように就職活動をしていたんです。「これは僕もやらなきゃいけないんじゃないか」と思って、いちおうスーツを着て、ビッグサイトとかである合同説明会へ行きました。先輩から「“就職活動の鬼”といわれる人の講演があるから、それは絶対に聞いたほうがいい」と聞いて、その人の話を聞きに行ったんです。でも、いつまで経ってもいらっしゃらなくて。5分ぐらい遅れてやって来たら、タンクトップ姿なんですよ。「まず初めに。君たちは本当に就職したいのか?」と話し出して。「まず初めに、遅れてすみませんじゃないかな」と思ったんですけど(笑)。

燃え殻:鬼、遅れてんじゃねえかって(笑)。

山中:「本当に就職したいの? 今ここにたくさんの企業が集まって、みんな話を聞きに行っていると思うけど、本当にそこに行きたい?」って。「まわりが就職活動をしているから、なんとなく自分もやっているんじゃないか。もし、そういう気持ちで就職活動をしているなら受からないし、受かったとしても辞めちゃうよ」って言ったんです。それで雷に打たれたというか、「そのとおりだ」と思って、それで席を立って帰ったんです。「辞めよう」と思って。

燃え殻:鬼も、そんなことになるとは思わなかったでしょうね(笑)。

山中:ある種、そういう言葉を僕がどこかで求めていたのかもしれないですけど、すごく後押しされた感じはありましたね。

会場を途中で立ち去った山中。そのあと、仲間と芝居を続けていき、小劇場での活動から、少しずつ活躍の場を広げた。燃え殻は「俳優として続けていけるかもしれない」と思えた仕事はあったのかを尋ねた。

山中:「続けていけるんだろうか」という不安は、やっぱり常につきまとっています。「もうこれで大丈夫」みたいなものは逆にないんですよね。

燃え殻:わかります。

山中:不安だし、ある種、水商売で人気商売だったりするので「いつこれがゼロになってしまうんだろうか」という不安は本当にあって。保証ってないじゃないですか。

燃え殻:ないですね。

山中:なので、「もうこれで安心だ」と思った瞬間って実はないんです。ただ、大きな作品に出て「面白かったよ」「よかったよ」と言っていただくことが多い作品はいくつかありますけど、「これでもう大丈夫」というのは正直いまだにないですね。

海外ロケで見た、360度の地平線と人を恐れない猫

続いて話題は、山中がアリ役で出演しているTBS系日曜劇場『VIVANT』第2シーズンについて。

7月スタート!日曜劇場『VIVANT』第2シーズン・ティザー第2弾【TBS】

燃え殻:以前、『VIVANT』の撮影の話を飲みながらしていたときに、山中さんからアゼルバイジャンのお茶をもらって。紅茶とほうじ茶のあいだぐらいの感じで、ちょっと不思議なんですけど、日本人が好きそうな味ですね。

山中:そうなんですよ。アゼルバイジャンは、もともと旧ソ連の一部だったので、ロシアの文化がすごくあって。食もそうなんですけど、サモワールっていうロシアのお茶の飲み方があって、濃いめにお茶を作っておいて、お湯で割るんですね。アゼルチャイというんですけど、あれもそういうふうに飲むのが……。あれ、違う飲み方をしちゃいました?

燃え殻:普通に飲んでた(笑)。

山中:全然、普通に飲んでいただいてかまわないです。濃いめに作って、自分の好みに合わせるというだけなので、燃え殻さんがちょうどおいしいと思っていたなら、それが正解です。

燃え殻が、俳優の仕事は普段なら行かないような国を訪れることもできると話すと、山中は「それは本当にありがたい」と答える。

燃え殻:特に『VIVANT』なんてそうだと思います。

山中:モンゴルへ行ったときも、モンゴルの朝日とか夕日とか、360度の地平線とか。やっぱり見たことのない景色はすごいなと思います。

燃え殻:うらやましい。

山中:アゼルバイジャンは野良猫がめちゃくちゃ多いんですよ。街で猫を飼っているみたいで、野良猫がいっぱいいるんですけど、人に対してまったく警戒心がなくて、寄ってくるんですよ。

燃え殻:人間のことをごはんを食べさせてくれたり、優しくしてくれたりする存在だと思っているんですね。

山中:全然逃げないんです。猫好きの方には、すごくおすすめだと思います。

カレー教室では「すっごく挙手」

山中は、カレーマイスターの資格を持つほどのカレー好きだという。

燃え殻:そもそもカレーにハマったきっかけは?

山中:当時やっていたNHKの朝ドラで、大阪に長く滞在していた時期があったんですね。そのときにスタッフの方が「このあたりって、カレーの激戦区なんですよ」って言っていたんです。おすすめされた店が何軒かあったんですけど、けっこう行列で。「関西の人は行列が嫌い」って話を聞いたことがあったので、「行列しているということは、めちゃくちゃおいしいんじゃないか」と思って、並んで食べたんです。そうしたら、やっぱりすごくおいしくて。スパイスって漢方と一緒じゃないですか。ターメリックはウコンだし、草木がもとのスパイスは種や葉っぱだったりするので、体にいいはずだなと思ったんです。体によくて、しかもおいしいなら一石二鳥じゃないかと思って。

燃え殻:たしかに。

山中:それから好きになったんですよね。その少し前に体調を崩して、食べ物にも注意しようと思っていた時期だったので、タイミングが合って。それから大阪でカレーを食べ歩くようになったんです。お店の方と仲よくなると「あそこのカレー屋さんもおいしいよ」と教えてくれて、どんどん広がっていったのがきっかけですね。

燃え殻:それでカレーマイスターまで。カレーマイスターって、どういう資格なんですか?

山中:授業が1日あるんです。1時間目は「日本におけるカレーの歴史」、2時間目は「このスパイスは何でできていますか」というのを教科書で習って。昼は渋谷のカレー屋が書かれた地図を渡されて、「グループで好きなところへ食べに行ってください」と言われて、食べて戻ってきて感想を話したりして、そのあと筆記テストがあります。その日の授業が終わったら、家でスパイスをブレンドしたオリジナルカレーを作って、そのレシピを提出して、1週間後ぐらいに合否判定が出るんです。

燃え殻:今は自分でもカレーを作ってるんですか?

山中:作ります。カレー教室とかにも行ってます。美味しいと思ったお店でカレー教室をたまにやってくれたりするので、そこに応募して、20人くらいの方たちと参加して。

燃え殻:まわりの方は、びっくりするんじゃないですか?

山中:いや、全然(笑)。僕がすっごく挙手をして、「そのタイミングで入れるんですか?」「そのスパイスは焦げすぎないんですか?」「何分ぐらいですか?」とか、すごく前のめりに聞いています。

最後に燃え殻は、山中にこれから挑戦したい仕事や表現を尋ねた。

山中:僕、初の試みをやるんです。自分でプロデュース……プロデュースと言うとちょっとかっこよすぎますけど、自分で考えたカレーを提供するんです。限定15食とか20食みたいな。(編注:イベントはすでに終了)

燃え殻:お店で?

山中:知り合いのお店で、ランチ時にやります。今日も、ここへ来るまで家でずっとそれ用の玉ねぎを炒めていて(笑)。

燃え殻:山中さんのInstagramなどでは発表するんですか?

山中:さらっと。あまり大々的にやるのも、まだちょっと怖いので。手探りで「お手柔らかに」という感じです。

燃え殻:じゃあ、将来カレー店をやることもあるんですかね。カレーを食べさせてください。

山中:ぜひぜひ。今度は作って持っていきます。

山中 崇の最新情報は公式サイトまで。

小説家・燃え殻による、東京の真夜中に綴るトークラジオ『BEFORE DAWN』の放送は毎週金曜の26時から。Spotifyなどのポッドキャストでも配信中。

radikoで聴く
2026年9月4日28時59分まで

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番組情報
BEFORE DAWN
毎週金曜
26:00-27:00

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