
TENDREと田中シェンがお届けする、J-WAVEの番組『KDDI LINKSCAPE』(毎週土曜16:00 - 16:54)。人、街、そして、音楽やカルチャーがつながることを楽しむ番組だ。オンエアのほか、ポッドキャストでも配信している。
今回はTENDREと田中シェンに、番組のことや好きな街についてなど、たっぷり話を聞いた。(J-WAVE NEWS編集部)
TENDRE:『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』の代演などを経験させてもらった上でのお話だったので、自分で言うのもおこがましいですが、「満を持して」という言葉が脳裏に浮かびました。いざ自分自身が何ができるかを考えたとき、やはりラジオを通して音遊びや音楽を楽しむことにフォーカスできたらと。その上で、ラジオを作るおもしろさや、いろんな感覚をリスナーの皆さんと共有したいと思っています。
田中シェン(以下、田中):すごい! しっかりとしたお答え!
TENDRE:インタビューは慣れていますから(笑)。
──シェンさんはいかがですか?
田中:素直に驚きました。いつも家にいる間はラジオをつけっぱなしにすることが多いですし、幼少期の夢が一つ叶ったような気持ちです。音楽に詳しいわけではないんですけど、素直な自分のままで楽しめることがあると思い、ワクワクしながらTENDREさんとご一緒しています!
──シェンさんの素直さや楽しんでいる様子は、オンエアを聴いていても感じます!
田中:友人にも「そのまんまじゃん!」と言われることがあります(笑)。
──TENDREさんは、以前Xのポストで「J-WAVEでレギュラー番組、やりたいなあ。ラジオでメインナビゲート、やりたいなあ。」と投稿されていましたね。まさに満を持してのメインナビゲートですが、なぜラジオで番組をやりたかったのでしょうか。
TENDRE:ラジオはライブをやっている感覚に近いものがあると思っているんです。リスナーのみなさんと、何をテーマにして意思疎通をとるかということが大事ですよね。とくにラジオの生放送は、そういった部分を強く感じます。一方、収録だと、音楽のレコーディングに近い感覚があります。自分が伝えたいことを言語化できたときの喜び、人と共有できたことの高揚感をシェンさんとも共有できることもすごく楽しいですし、彼女の陽気さにすごく助けられている部分があります。
──ある種、ラジオは、ミュージシャン・TENDREと地続きの場所にあるものなんですね。
TENDRE:そうですね。TENDREとして7年ほど活動する中で、「自分の声に人が興味を持ってくれるんだな」という体感があって。歌に限らず、自分自身の声のポテンシャルをもっと引き出していきたいなと思いますし、ラジオをきっかけに自分自身の声により親しみを持てるようになりました。
──シェンさんは、ラジオの魅力はどんなところだと思いますか?
田中:“ながら聴き”できることです。実際、料理など家事をしながら流していることも多くて。ラジオって、自分で選択しなくても、新しい音楽や情報に出会えるから、「こういう音楽があるんだ! 聴いてみよう!」と思わせてくれる情報ツールとしても優れている。ながら聴きをしていると、自分が必要だと思う情報だけ残ってくれるんです。そういう意味で、自分の生活の一部になっているのがラジオだと思います。
TENDRE:声っておもしろいもので、人柄が全て伝わるじゃないですか。第一声を聴いたときから、シェンさんの底抜けの明るさはもちろん、いろんなことに常にアンテナを張っていて、ご自身の角度で質問をする姿を見ていると、多角的に物事を捉えているんだなと感じたことが印象に残っています。
田中:私は最初、ツッコミづらい人かなと思っていたんです。なぜかと言うと、アーティスト写真が厳格な感じだから(笑)。
TENDRE:それはよく言われる(笑)。
田中:扉を閉ざす人なんじゃないかと想像していたんですが、実際はめちゃくちゃ優しい人で! 何を言っても拾ってくれるし、広げてくれる。印象的なのは、歌っている声と喋っている声が一緒なことです。サービス精神も豊富ですし、オシャレですし、“頼れるお兄さん”みたいなイメージです。私は背後霊としてついていっている感じ(笑)。
TENDRE:(笑)。世代はもともと近かったですし、番組ではゲストの方をお迎えすることもありますけど、僕もシェンさんもバイブスを大切にしていろんな人とお話することができるから、僕も頼れるお姉さんだと思っていますよ。
田中:この猛獣の扱い方をわかってきた感じじゃないですか? 好き勝手いろんなところに行く犬のリードをちゃんと持ってくれている、という。
TENDRE:そうそう、大型犬が……なんてことは全く思っていなくて(笑)。ラジオはいろんな人たちと出会うきっかけになる中で、シェンさんが自分にない引き出しをたくさん持っているからこそ突っ込んでいける部分もあって、いつも助けられています。いい意味で、お互いをおもしろがれている感覚があるので、その関係を楽しめているなと。
田中:いいこと言うね〜!
TENDRE:両親がジャズをやっていることもあって、その系譜がルーツと言えます。最近は、番組のディレクターさんと「この曲いいですよね」などと音楽の話をする中で教わって初めて知る曲も多くて。J-WAVEは感度の高い人がすごく多くて、古きよき曲からトレンドの曲まで、音楽好きの中で盛り上がっているモノにアンテナを張っている様子が楽しいですし、それを知られるのはナビゲーターの特権だなと思っています。
田中:私はもともと、ラジオからよく聴こえる音楽とか、何かの主題歌とか、ドメジャーな音楽が好きなんです。でも、今はTENDREさんが番組で毎回ピアノを弾きながら解説までしてくれるので、音楽の英才教育を受けている状態です。
TENDRE:シェンさんと接していておもしろさを感じるのは、シェンさん独自の角度で鋭く切り込むことができるところなんです。例えば、先ほどの僕のアー写の話ではないけど、音のみならずビジュアル面などから汲み取れる強さもあるのかなと感じています。
田中:いい男ですね~! ありがとうございます!
──シェンさんはモデル業だけでなく、イラストレーターとしても活動されるからこそ、ビジュアルから受け取る力が大きいのかもしれませんね。ファッションに目覚めたきっかけはなんだったのでしょう?
田中:私は鹿児島で生まれ育ったんですけど、小学生のときに大阪から転校生が来て、その子のファッションに衝撃を受けたんです。「芸能人みたいな人が来た!」と。当時は自分も含めて、みんな親が買ってくれた服や誰かのおさがりを着ていたけど、その子はおしゃれなブランド服を着ていて。「服を着ること、おしゃれをすることは、なりたい自分になることなのか!」と気づいてファッションデザイナーを志すようになり、そこからずっと小中高大、ファッション系のスクールに通ってました。
──そして、ファッションブランドとのコラボレーションで洋服を手がけるなど、現在の活躍に繋がっていくと。当時の衝撃が伝わってきます。クリエイティブなお仕事をしたいという気持ちは幼少期からあったんですね。
田中:そうですね。やってみたいと感じたことは全部やりたいと思うタイプなんです。もし失敗しても、やらずに後悔するよりいいと思うから、チャレンジに対する恐れはなくて。例えば、すごく素敵なキャッチコピーを見たとしたら、この人はどういう背景でこの言葉に辿り着いたんだろう、私も経験値を得たらこういうことができるのかな、と考えたりするんです。体験して学びたいという気持ちがあって、今そういった意味でもTENDREさんから学ぶことがたくさんあります。
TENDRE:共通しているのは、物事を多角的に捉えたいところですね。お互いにハングリー精神があると思うので、そこが話の弾むひとつの理由かなと思います。
田中:信頼、信用が生まれたから、「これを言ったらダメだな」「こういうふうに表現したら誤解されるかな」とか、そういうものがあまりない気がしますね。
TENDRE:いい意味で、遠慮がないので。それがおもしろいですよね。
──本当に、ナイスコンビですね。
田中:ディレクターさんが自由にさせてくれていることも大きいですね。
TENDRE:みんなの遊び場になっていたらいいですよね。音楽だけでなく、ファッションもそうですし、ゲストも幅広いんですよ。いろんな角度からみんなの探究心を探れる感じは、この番組のよさなのかなと思います。
──周りのミュージシャンからの反響はいかがですか?
TENDRE:「がんばってるね!」という感じ(笑)。それこそ、身近なミュージシャンも駆けつけてくれていますけど、僕がラジオをやっていることを友人たちもリスナーとして楽しんでくれている部分があるみたいで。「あの解説、いいパンチラインをかましてたね」みたいな感想をもらえて嬉しく思っています。自分たちが素敵だなと思う人を招いて、どんどん番組を楽しんでもらえたらと思いますね。
田中:おもてなしですね!
TENDRE: J-WAVEは、ナビゲーターと一緒になって楽しんでくれるラジオ局だから、この番組が、そういう人たちとのプレイパークにできたらいいなと思いますね。
田中:そうですね〜。
TENDRE:いろんな角度から音楽の幅広さを伝えて、「こんな曲があるんだ」という出会いにも繋がったらいいなと感じているので、偏らないように、ディレクターさんと相談しながら決めています。テーマ選びは、個人的な感覚としては旅に近いなと思っています。大きいスポットにも行ってみたいけれど、細い路地の古くからある店もおもしろそうだよね、というようなフットワークの軽さをコーナーで表現していきたい。自分もリスナーの一人として一緒に探していくのがベストなのかなと。
──このコーナーを続けることで、また一つミュージシャンとしての知識も蓄積されていくのかなと思いました。
TENDRE:本当にそう思います。好きな曲の好きなポイントを改めて噛み締めながら解説する部分もあるんですけど、ラジオのおもしろさは即興性やひらめきだと思うので、そこを交えながら、みんなで楽しみ方を見つけていきたいです。
──すごく贅沢な空間にシェンさんはいらっしゃいますよね。
田中:本当に! 特等席でいい音で聴かせていただいています。TENDREさんの歌声が乗ると、いつも聴いている曲でも、また違って聴こえるんです。素直に解釈できるというか……アカデミックにありがとうって感じです!
TENDRE:「アカデミックにありがとう」って、ちょっとパンチラインですね(笑)。僕も、シェンさんのリスナーさんからフィードバックをいただいて、「なるほど」と気づくことが多いコーナーです。
田中:私は羽根木です。あとは、最近行った代々木上原。大山の交差点を過ぎたところにワインバーができたんですよ。偶然見つけて入ったんですけど、音楽が爆音で! そこがめちゃくちゃよかったです。店主のお姉さんがご自身のことを「スーパーポジティブ」とおっしゃっていたんですけど、その通りの方で。しかも好きなミュージシャンを聞いたらTENDREさんでした。連れて行かなきゃ! って(笑)。
TENDRE:そうなんだ! ぜひぜひ行きましょう。
──TENDREさんはいかがですか?
TENDRE:僕は、爺ちゃん婆ちゃんが住んでいた熱海がすごく好きで。熱海って一時期はシャッター街と言われていたんですけど、最近は移住してきた若い方がおしゃれな珈琲屋さんや、尖った古着屋を開いたりもしていて。新しい施設やホテル、きれいに整備されている場所も多いんですけど、1本路地を入るとローカルで、そのバランスがおもしろい。もともと哀愁がある街ですけど、そこをみんなでおもしろくしようとしている感じがすごくいいなと思いますね。たまにひとり旅行で行ったりしています。
──いいですね。
TENDRE:好きな街ってみんなそれぞれなんですよね。ゲストの方もみんな異なりますし、行ったことない場所も多々ある中で、「そんな感じなんだ!」という発見がたくさんあります。そういう意味でも、いい番組だなと。
田中:いい番組ですよね! 手前味噌ですけど(笑)。
TENDRE:ゲストのみなさんとよく喋るんですけど、本当にいいバイブスを持っている方が毎回来てくださって、「今度、飲み行きましょうよ!」じゃないですけど、番組から派生して自分達の出会いにも繋がっているので、それをきっかけにリアルで街を知れたらおもしろそうだなと思います。
田中:オフ会ね! ゲストとその街でオフ会しましょうよ!
TENDRE:いいですね! アフタートークをポッドキャストにも載せてもおもしろそうですね!
田中:たしかに!
──今後、番組で呼びたいゲストややりたいことはありますか?
田中:ゲッターズ飯田さんは早急にお願いしたいです! 占いで暴いてほしいです、全てを!
TENDRE:勢いよく言ったね(笑)。世代を超えたいろんなミュージシャンにお会いしたいなと思いますし、ゲッターズさんもそうですけど、普通に活動をしていたら出会えない人に会いたいですね。
田中:マツコ・デラックスさんとかね。
TENDRE:アツいですね。ズバズバ言ってくれる人を迎えるのはおもしろそうだな。「J-WAVEでこの人の声が聞けるんだ」という間口を作れる番組にしていけたらと。
田中:リスナーとしての願望は、aikoさんがゲストのとき『カブトムシ』をTENDREさんがハモったんですよね。ああいう瞬間ってすごくいいなと思う。TENDREさんの声×ゲストさんのコラボレーションをまた聴きたいです。音楽以外でも、もし作家さんが来たら、その作家さんの1文を使って絵を描いたり、音楽を作ってみたりするのもおもしろそうだなと思います。
TENDRE:いろんなコラボレーションをしやすい番組だから、セッション精神を大事にしていきたいですね。
(取材・文:笹谷淳介)
・NGなしで有名な朝日奈央さんが最近見つけた"最高の趣味"
・LINEの通知が400件超!? R1グランプリチャンピオン友田オレさんの歌ネタにつながった音楽的ルーツ
・"得体の知れない者になる"。完璧主義者・木村カエラさんのインスピレーションの源。
・iriはTENDREより先にTENDREの母とつながっていた?
・生まれた時からメガネが生えてる(!?)ハシヤスメ・アツコさんの"メガネでつなげる未来"
・aiko初めての一人暮らしは7畳の部屋にアップライトのピアノとベッド…浮気されたベッドをやすりがけして赤に塗る!?
・国境を超えて共感を生む!SIRUPさんと仲間の"音での会話"
・好奇心がとまらない大東駿介さんの思う人間の絶望に向き合う滑稽さ
・街からうまれた3人組Omoinotakeの藤井怜央さんが語る原点の街
・ハッピーウイルス・村上佳菜子さんの氷愛あふれるゴーラー生活
・"人間力"は人に届く。ハナコ・秋山寛貴さんがコントをたくさんの人に届けるために行なっていること
・エモが散らかっている街が生んだAile The Shotaが語る"あの頃のJ-POP"
今回はTENDREと田中シェンに、番組のことや好きな街についてなど、たっぷり話を聞いた。(J-WAVE NEWS編集部)
ふたりが思うラジオの魅力
──おふたりがナビゲートする番組『KDDI LINKSCAPE』が、この4月にスタートしました。最初にラジオのオファーがあったとき、どう思われましたか?TENDRE:『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』の代演などを経験させてもらった上でのお話だったので、自分で言うのもおこがましいですが、「満を持して」という言葉が脳裏に浮かびました。いざ自分自身が何ができるかを考えたとき、やはりラジオを通して音遊びや音楽を楽しむことにフォーカスできたらと。その上で、ラジオを作るおもしろさや、いろんな感覚をリスナーの皆さんと共有したいと思っています。
田中シェン(以下、田中):すごい! しっかりとしたお答え!
TENDRE:インタビューは慣れていますから(笑)。
──シェンさんはいかがですか?
田中:素直に驚きました。いつも家にいる間はラジオをつけっぱなしにすることが多いですし、幼少期の夢が一つ叶ったような気持ちです。音楽に詳しいわけではないんですけど、素直な自分のままで楽しめることがあると思い、ワクワクしながらTENDREさんとご一緒しています!
──シェンさんの素直さや楽しんでいる様子は、オンエアを聴いていても感じます!
田中:友人にも「そのまんまじゃん!」と言われることがあります(笑)。
──TENDREさんは、以前Xのポストで「J-WAVEでレギュラー番組、やりたいなあ。ラジオでメインナビゲート、やりたいなあ。」と投稿されていましたね。まさに満を持してのメインナビゲートですが、なぜラジオで番組をやりたかったのでしょうか。
TENDRE:ラジオはライブをやっている感覚に近いものがあると思っているんです。リスナーのみなさんと、何をテーマにして意思疎通をとるかということが大事ですよね。とくにラジオの生放送は、そういった部分を強く感じます。一方、収録だと、音楽のレコーディングに近い感覚があります。自分が伝えたいことを言語化できたときの喜び、人と共有できたことの高揚感をシェンさんとも共有できることもすごく楽しいですし、彼女の陽気さにすごく助けられている部分があります。
──ある種、ラジオは、ミュージシャン・TENDREと地続きの場所にあるものなんですね。
TENDRE:そうですね。TENDREとして7年ほど活動する中で、「自分の声に人が興味を持ってくれるんだな」という体感があって。歌に限らず、自分自身の声のポテンシャルをもっと引き出していきたいなと思いますし、ラジオをきっかけに自分自身の声により親しみを持てるようになりました。
──シェンさんは、ラジオの魅力はどんなところだと思いますか?
田中:“ながら聴き”できることです。実際、料理など家事をしながら流していることも多くて。ラジオって、自分で選択しなくても、新しい音楽や情報に出会えるから、「こういう音楽があるんだ! 聴いてみよう!」と思わせてくれる情報ツールとしても優れている。ながら聴きをしていると、自分が必要だと思う情報だけ残ってくれるんです。そういう意味で、自分の生活の一部になっているのがラジオだと思います。
お互いをおもしろがれる、いい関係のふたり
──オンエアを聴いていると、すでにおふたりの信頼感と安定感を感じられます。第一印象はどのようなものだったんですか?TENDRE:声っておもしろいもので、人柄が全て伝わるじゃないですか。第一声を聴いたときから、シェンさんの底抜けの明るさはもちろん、いろんなことに常にアンテナを張っていて、ご自身の角度で質問をする姿を見ていると、多角的に物事を捉えているんだなと感じたことが印象に残っています。
田中:私は最初、ツッコミづらい人かなと思っていたんです。なぜかと言うと、アーティスト写真が厳格な感じだから(笑)。
TENDRE:それはよく言われる(笑)。

TENDREのアーティスト写真
田中:扉を閉ざす人なんじゃないかと想像していたんですが、実際はめちゃくちゃ優しい人で! 何を言っても拾ってくれるし、広げてくれる。印象的なのは、歌っている声と喋っている声が一緒なことです。サービス精神も豊富ですし、オシャレですし、“頼れるお兄さん”みたいなイメージです。私は背後霊としてついていっている感じ(笑)。
TENDRE:(笑)。世代はもともと近かったですし、番組ではゲストの方をお迎えすることもありますけど、僕もシェンさんもバイブスを大切にしていろんな人とお話することができるから、僕も頼れるお姉さんだと思っていますよ。
田中:この猛獣の扱い方をわかってきた感じじゃないですか? 好き勝手いろんなところに行く犬のリードをちゃんと持ってくれている、という。
TENDRE:そうそう、大型犬が……なんてことは全く思っていなくて(笑)。ラジオはいろんな人たちと出会うきっかけになる中で、シェンさんが自分にない引き出しをたくさん持っているからこそ突っ込んでいける部分もあって、いつも助けられています。いい意味で、お互いをおもしろがれている感覚があるので、その関係を楽しめているなと。
田中:いいこと言うね〜!
ファッションに目覚めたきっかけは「転校生」
──音楽やカルチャーが鍵になる番組ということで、おふたりのルーツを伺いたいです。TENDRE:両親がジャズをやっていることもあって、その系譜がルーツと言えます。最近は、番組のディレクターさんと「この曲いいですよね」などと音楽の話をする中で教わって初めて知る曲も多くて。J-WAVEは感度の高い人がすごく多くて、古きよき曲からトレンドの曲まで、音楽好きの中で盛り上がっているモノにアンテナを張っている様子が楽しいですし、それを知られるのはナビゲーターの特権だなと思っています。
田中:私はもともと、ラジオからよく聴こえる音楽とか、何かの主題歌とか、ドメジャーな音楽が好きなんです。でも、今はTENDREさんが番組で毎回ピアノを弾きながら解説までしてくれるので、音楽の英才教育を受けている状態です。
TENDRE:シェンさんと接していておもしろさを感じるのは、シェンさん独自の角度で鋭く切り込むことができるところなんです。例えば、先ほどの僕のアー写の話ではないけど、音のみならずビジュアル面などから汲み取れる強さもあるのかなと感じています。
田中:いい男ですね~! ありがとうございます!
──シェンさんはモデル業だけでなく、イラストレーターとしても活動されるからこそ、ビジュアルから受け取る力が大きいのかもしれませんね。ファッションに目覚めたきっかけはなんだったのでしょう?
田中:私は鹿児島で生まれ育ったんですけど、小学生のときに大阪から転校生が来て、その子のファッションに衝撃を受けたんです。「芸能人みたいな人が来た!」と。当時は自分も含めて、みんな親が買ってくれた服や誰かのおさがりを着ていたけど、その子はおしゃれなブランド服を着ていて。「服を着ること、おしゃれをすることは、なりたい自分になることなのか!」と気づいてファッションデザイナーを志すようになり、そこからずっと小中高大、ファッション系のスクールに通ってました。
──そして、ファッションブランドとのコラボレーションで洋服を手がけるなど、現在の活躍に繋がっていくと。当時の衝撃が伝わってきます。クリエイティブなお仕事をしたいという気持ちは幼少期からあったんですね。
田中:そうですね。やってみたいと感じたことは全部やりたいと思うタイプなんです。もし失敗しても、やらずに後悔するよりいいと思うから、チャレンジに対する恐れはなくて。例えば、すごく素敵なキャッチコピーを見たとしたら、この人はどういう背景でこの言葉に辿り着いたんだろう、私も経験値を得たらこういうことができるのかな、と考えたりするんです。体験して学びたいという気持ちがあって、今そういった意味でもTENDREさんから学ぶことがたくさんあります。
TENDRE:共通しているのは、物事を多角的に捉えたいところですね。お互いにハングリー精神があると思うので、そこが話の弾むひとつの理由かなと思います。
田中:信頼、信用が生まれたから、「これを言ったらダメだな」「こういうふうに表現したら誤解されるかな」とか、そういうものがあまりない気がしますね。
TENDRE:いい意味で、遠慮がないので。それがおもしろいですよね。
──本当に、ナイスコンビですね。
田中:ディレクターさんが自由にさせてくれていることも大きいですね。
TENDRE:みんなの遊び場になっていたらいいですよね。音楽だけでなく、ファッションもそうですし、ゲストも幅広いんですよ。いろんな角度からみんなの探究心を探れる感じは、この番組のよさなのかなと思います。
──周りのミュージシャンからの反響はいかがですか?
TENDRE:「がんばってるね!」という感じ(笑)。それこそ、身近なミュージシャンも駆けつけてくれていますけど、僕がラジオをやっていることを友人たちもリスナーとして楽しんでくれている部分があるみたいで。「あの解説、いいパンチラインをかましてたね」みたいな感想をもらえて嬉しく思っています。自分たちが素敵だなと思う人を招いて、どんどん番組を楽しんでもらえたらと思いますね。
田中:おもてなしですね!
TENDRE: J-WAVEは、ナビゲーターと一緒になって楽しんでくれるラジオ局だから、この番組が、そういう人たちとのプレイパークにできたらいいなと思いますね。
田中:そうですね〜。
音楽との出会いや学びを提供するコーナー「PLAY IT!」
──個人的には「PLAY IT!」での解説と生演奏がとても好きで。こちらのテーマはどのように選定されているのでしょう? 4月は「2000年代ヒット曲と当時のカルチャー」、5月は「レトロJ-POP 」、そして6月は「NY」でした。これからどんなテーマでどんな音楽を掘り下げていくのか気になります。TENDRE:いろんな角度から音楽の幅広さを伝えて、「こんな曲があるんだ」という出会いにも繋がったらいいなと感じているので、偏らないように、ディレクターさんと相談しながら決めています。テーマ選びは、個人的な感覚としては旅に近いなと思っています。大きいスポットにも行ってみたいけれど、細い路地の古くからある店もおもしろそうだよね、というようなフットワークの軽さをコーナーで表現していきたい。自分もリスナーの一人として一緒に探していくのがベストなのかなと。
──このコーナーを続けることで、また一つミュージシャンとしての知識も蓄積されていくのかなと思いました。
TENDRE:本当にそう思います。好きな曲の好きなポイントを改めて噛み締めながら解説する部分もあるんですけど、ラジオのおもしろさは即興性やひらめきだと思うので、そこを交えながら、みんなで楽しみ方を見つけていきたいです。
──すごく贅沢な空間にシェンさんはいらっしゃいますよね。
田中:本当に! 特等席でいい音で聴かせていただいています。TENDREさんの歌声が乗ると、いつも聴いている曲でも、また違って聴こえるんです。素直に解釈できるというか……アカデミックにありがとうって感じです!
TENDRE:「アカデミックにありがとう」って、ちょっとパンチラインですね(笑)。僕も、シェンさんのリスナーさんからフィードバックをいただいて、「なるほど」と気づくことが多いコーナーです。
東京? 地方? ふたりの好きな街
──『KDDI LINKSCAPE』は街もテーマです。おふたりの好きな街は?田中:私は羽根木です。あとは、最近行った代々木上原。大山の交差点を過ぎたところにワインバーができたんですよ。偶然見つけて入ったんですけど、音楽が爆音で! そこがめちゃくちゃよかったです。店主のお姉さんがご自身のことを「スーパーポジティブ」とおっしゃっていたんですけど、その通りの方で。しかも好きなミュージシャンを聞いたらTENDREさんでした。連れて行かなきゃ! って(笑)。
TENDRE:そうなんだ! ぜひぜひ行きましょう。
──TENDREさんはいかがですか?
TENDRE:僕は、爺ちゃん婆ちゃんが住んでいた熱海がすごく好きで。熱海って一時期はシャッター街と言われていたんですけど、最近は移住してきた若い方がおしゃれな珈琲屋さんや、尖った古着屋を開いたりもしていて。新しい施設やホテル、きれいに整備されている場所も多いんですけど、1本路地を入るとローカルで、そのバランスがおもしろい。もともと哀愁がある街ですけど、そこをみんなでおもしろくしようとしている感じがすごくいいなと思いますね。たまにひとり旅行で行ったりしています。
──いいですね。
TENDRE:好きな街ってみんなそれぞれなんですよね。ゲストの方もみんな異なりますし、行ったことない場所も多々ある中で、「そんな感じなんだ!」という発見がたくさんあります。そういう意味でも、いい番組だなと。
田中:いい番組ですよね! 手前味噌ですけど(笑)。
TENDRE:ゲストのみなさんとよく喋るんですけど、本当にいいバイブスを持っている方が毎回来てくださって、「今度、飲み行きましょうよ!」じゃないですけど、番組から派生して自分達の出会いにも繋がっているので、それをきっかけにリアルで街を知れたらおもしろそうだなと思います。
田中:オフ会ね! ゲストとその街でオフ会しましょうよ!
TENDRE:いいですね! アフタートークをポッドキャストにも載せてもおもしろそうですね!
田中:たしかに!
──今後、番組で呼びたいゲストややりたいことはありますか?
田中:ゲッターズ飯田さんは早急にお願いしたいです! 占いで暴いてほしいです、全てを!
TENDRE:勢いよく言ったね(笑)。世代を超えたいろんなミュージシャンにお会いしたいなと思いますし、ゲッターズさんもそうですけど、普通に活動をしていたら出会えない人に会いたいですね。
田中:マツコ・デラックスさんとかね。
TENDRE:アツいですね。ズバズバ言ってくれる人を迎えるのはおもしろそうだな。「J-WAVEでこの人の声が聞けるんだ」という間口を作れる番組にしていけたらと。
田中:リスナーとしての願望は、aikoさんがゲストのとき『カブトムシ』をTENDREさんがハモったんですよね。ああいう瞬間ってすごくいいなと思う。TENDREさんの声×ゲストさんのコラボレーションをまた聴きたいです。音楽以外でも、もし作家さんが来たら、その作家さんの1文を使って絵を描いたり、音楽を作ってみたりするのもおもしろそうだなと思います。
TENDRE:いろんなコラボレーションをしやすい番組だから、セッション精神を大事にしていきたいですね。
(取材・文:笹谷淳介)
人、街、そして、音楽やカルチャーでつながる
J-WAVE『KDDI LINKSCAPE』は毎週土曜16時からオンエア。ポッドキャストでも配信中だ。あらゆる分野で活躍するゲストが登場し、TENDRE&田中シェンと語り合う。・NGなしで有名な朝日奈央さんが最近見つけた"最高の趣味"
・LINEの通知が400件超!? R1グランプリチャンピオン友田オレさんの歌ネタにつながった音楽的ルーツ
・"得体の知れない者になる"。完璧主義者・木村カエラさんのインスピレーションの源。
・iriはTENDREより先にTENDREの母とつながっていた?
・生まれた時からメガネが生えてる(!?)ハシヤスメ・アツコさんの"メガネでつなげる未来"
・aiko初めての一人暮らしは7畳の部屋にアップライトのピアノとベッド…浮気されたベッドをやすりがけして赤に塗る!?
・国境を超えて共感を生む!SIRUPさんと仲間の"音での会話"
・好奇心がとまらない大東駿介さんの思う人間の絶望に向き合う滑稽さ
・街からうまれた3人組Omoinotakeの藤井怜央さんが語る原点の街
・ハッピーウイルス・村上佳菜子さんの氷愛あふれるゴーラー生活
・"人間力"は人に届く。ハナコ・秋山寛貴さんがコントをたくさんの人に届けるために行なっていること
・エモが散らかっている街が生んだAile The Shotaが語る"あの頃のJ-POP"
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