GRAPEVINEの田中和将(Vo/Gt)が、最近気になるアーティストや尊敬するアーティスト、5月28日(水)にリリースしたニューアルバム『あのみちから遠くはなれて』について語った。
田中が登場したのは、5月31日(土)放送のJ-WAVE『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談義を繰り広げる番組だ。
この番組では、ゲストがビールに合う“おみや”を紹介する。田中は「枝豆」を持参し、ビールとともに楽しんだ。
クリス:まず、最近お気に入りの楽曲やアーティストは?
田中:タイラー・ザ・クリエイターをよく聴いてます。なぜかと言うと、来日が迫ってるからってのもありますけど。あと、シザとかサマー・ウォーカーとか、わりと女性のソウルシンガーというか、R&B、ヒップホップ系を聴くことが多いですね。
クリス:田中さんはロックのイメージが強いですけど、なぜいまそっちを?
田中:ロックのことなら何でも訊いてくれっていうくらいには知ってるんですけど、昔からブラックミュージックも大好きで。ソウル、ブルース、ファンク、もちろんいろいろ聴いてました。そんななかで、最近は曲を作ったりアレンジしたりするときに、サウンドを作っていくなかで、ロックよりもロック以外のものからアイデアを得ることのほうが多いなって思ってます。刺激を受けるというか。これをロックバンドでやるならどうするんだろう、みたいなことでよく聴いてますね。
クリス:タイラー・ザ・クリエイターの魅力って何でしょうか?
田中:僕、フランク・オーシャンがすごく好きなんですけど、オッド・フューチャーっていうヒップホップ集団のなかで、タイラーがリーダーだったんです。やることがとにかく奇抜で、先を行ってる感じがします。
クリス:奇抜感って感じですかね。
田中:音楽の冒険者って感じですね。
クリス:一方で、サマー・ウォーカーはどのあたりが魅力ですか?
田中:ちょっとロックっぽいですね。ちゃんと生バンドでやりますし、バンドとしても参考になるというか。もちろん、歌とかメロディーもいいですけど、アレンジとかやり口とかはやっぱり見てしまいますね。
クリス:自分のアウトプットに貢献するようなインプットとしても聴いてるって感じですか?
田中:そうですね。職業病かもしれませんが、もちろん楽しんで聴いてるつもりではあるけど、何かしら常にヒントを求めてる感じはありますね。
クリス:田中さんは自分の中に入れる音楽を自分なりに昇華して、違うアウトプットをされているわけですよね。
田中:そもそも僕がロックを聴き始めてギターを始めてから、ビートルズとかローリング・ストーンズとかいったんですけど、あの60年代の白人バンドだったりも、みんな黒人音楽に影響を受けていて。それをやろうと思ってみたら、全然違うものになりましたってことだったわけですよね。あの感じが僕は好きで、何かしらの勘違いであるとか、やろうと思ってもできなかったことが違うかたちになってオリジナリティーが出るんであれば、それがおもしろいと思いますね。
田中:僕ら同期なんですよ、デビューが1997年で。お互い切磋琢磨して、それなりに思い入れがありますし、仲よくもしてもらってましたし。(今後は)ゆっくり見守っていきたいなと思うんですけど、やっぱり同期のバンドが活動休止するって聞くと「ああ、僕らも歳を取ったんだな」と。僕は歳を取ること対してすごくポジティブで、悪くないなって思ってるんです。経験をして知識も増えて、それは楽しいなって思ってるんですけど、TRICERATOPSの休止前のライブに行ったときに、ちょっと「ああ、そうか」って。
クリス:時代の移り変わりというか。
田中:そうですね。
クリス:そういう話を(TRICERATOPSの)メンバーとされました?
田中:もちろん。「(また)対バンしようぜ」って言っておきました。活動休止だから、もしかしたらまたやるかもしれないですし。
クリス:最近、多いですよね。活動休止するアーティストって。
田中:それはそれでいいんじゃないかと思います。そのなかで、僕らはたまたま長くやってるけど、長く続けることもそれはそれでおもしろければいいかって思うようにしてますけどね。
今年で結成32周年を迎えるGRAPEVINE。クリスは、これほど長く活動を続けられた秘訣を田中に尋ねる。
田中:いつも言ってるのは、「友だち同士じゃないから必要以上に干渉し合わないこと」ですね。と言ってたんですけど……。
クリス:友だちになっちゃう?
田中:友だちにはなってないですよ(笑)。
クリス:ドライだな(笑)。
田中:いまでも移動中は口をきかないですからね。ただ、当然、家族より長い時間一緒にいますからね。結局、なんで長続きしてるかって、お互いの才能を信用してるんだと思います。こいつしかできひんことがあるっていうつながりなんじゃないかなって。結成から数えると、もう半分以上、人生を共にしてますからね。
田中:ここ数年でようやく共演の機会が増えてきて。もともとファンだったんですけど、これまでなかなか接点がなくて。ようやく接点が数年前くらいにできて。やっぱりすごいですね。いつまでもパワフルです。
クリス:僕はいつも「恐るべし、田島貴男」って呼んでいて、困ったときは田島さんを出せば大丈夫だろって存在ですね(笑)。
田中:とにかく音楽的にスキがないんですよね。感覚が日本人じゃないというか。そもそも田島さんを知ったのは渋谷系時代からなんですけど、あのころはソウルっぽい人なのかなと思っていて。でも、ジャズはやるわ、ロックにも造詣が深いわで何でも知ってらっしゃって。かつ、チャーミングに僕らみたいな世代にも「最近、どんなの聴いてるの?」って情報を集めていくんです。貪欲で、すごいなって。
クリス:音楽以外で影響を受けた作品や作家っていますか?
田中:昔から本読みで、よく挙げるのが坂口安吾とか、野坂昭如、安部公房、最近だと町田 康先生とかはものすごく大好きで、そこらへんはものすごく影響を受けています。音楽からだけじゃ補えないものがありますからね。音楽も文学も映画とかいろんなカルチャーって、どこかしらで感覚が全部つながっていると思うので、何かひとつを追い続けるだけでもいかんような気もしています。いろんなところで吸収していると思います。
クリス:このアルバムは「アミーチー」ってニックネームがあるみたいですね。それは「あのみち」から来てるんですか?
田中:そうなんですけど、タイトルが長いから単純に。おそらくリスナーのみなさんは好き好きに略すと思うんですけど、いろんな略し方をされるのは嫌だったので、自ら略称を付けました(笑)。
クリス:どんなアルバムになってますか?
田中:前作に続いて、サポートキーボーディストの高野 勲氏にプロデュースをお願いしていて。長年サポートしていただいている方で、ほぼほぼメンバーというか、もはや“中の人”なんですけど、その人のプロデュースって「あえて外目線でやってくれ」って注文しているようなものだと思うんです。今回もいろいろと斬新なアイデアをもらって楽しく作れましたね。
クリス:これまでのアルバムのなかで、どんな存在ですか?
田中:最新作にして全然守りに入ってない作品だと思います。いわゆるGRAPEVINE節みたいなものもあれば、そこに当てはまらないものもたくさん入ってると思いますし、バリエーションに富んでいると思います。
6月からは全国16都市をまわるツアー「GRAPEVINE TOUR 2025」がスタートする。最新情報は公式サイトまで。
番組の公式サイトには、過去ゲストのトーク内容をアーカイブ。オンエアで扱った音楽の情報も掲載している。
・過去ゲストのアーカイブページ
https://www.j-wave.co.jp/original/otoajito/archives.html
『SAPPORO BEER OTOAJITO』では、毎週さまざまなゲストを迎えてお酒を飲みながら音楽トークを繰り広げる。放送は毎週土曜18時から。
田中が登場したのは、5月31日(土)放送のJ-WAVE『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談義を繰り広げる番組だ。
この番組では、ゲストがビールに合う“おみや”を紹介する。田中は「枝豆」を持参し、ビールとともに楽しんだ。
とにかく奇抜で、先を行っている
田中は1974年生まれ、神戸出身で大阪府枚方市育ち。『SAPPORO BEER OTOAJITO』への出演は12年ぶりとなる。クリス:まず、最近お気に入りの楽曲やアーティストは?
田中:タイラー・ザ・クリエイターをよく聴いてます。なぜかと言うと、来日が迫ってるからってのもありますけど。あと、シザとかサマー・ウォーカーとか、わりと女性のソウルシンガーというか、R&B、ヒップホップ系を聴くことが多いですね。
クリス:田中さんはロックのイメージが強いですけど、なぜいまそっちを?
田中:ロックのことなら何でも訊いてくれっていうくらいには知ってるんですけど、昔からブラックミュージックも大好きで。ソウル、ブルース、ファンク、もちろんいろいろ聴いてました。そんななかで、最近は曲を作ったりアレンジしたりするときに、サウンドを作っていくなかで、ロックよりもロック以外のものからアイデアを得ることのほうが多いなって思ってます。刺激を受けるというか。これをロックバンドでやるならどうするんだろう、みたいなことでよく聴いてますね。
クリス:タイラー・ザ・クリエイターの魅力って何でしょうか?
田中:僕、フランク・オーシャンがすごく好きなんですけど、オッド・フューチャーっていうヒップホップ集団のなかで、タイラーがリーダーだったんです。やることがとにかく奇抜で、先を行ってる感じがします。
クリス:奇抜感って感じですかね。
田中:音楽の冒険者って感じですね。
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田中:ちょっとロックっぽいですね。ちゃんと生バンドでやりますし、バンドとしても参考になるというか。もちろん、歌とかメロディーもいいですけど、アレンジとかやり口とかはやっぱり見てしまいますね。
Summer Walker - Spend It (Official Music Video)
田中:そうですね。職業病かもしれませんが、もちろん楽しんで聴いてるつもりではあるけど、何かしら常にヒントを求めてる感じはありますね。
クリス:田中さんは自分の中に入れる音楽を自分なりに昇華して、違うアウトプットをされているわけですよね。
田中:そもそも僕がロックを聴き始めてギターを始めてから、ビートルズとかローリング・ストーンズとかいったんですけど、あの60年代の白人バンドだったりも、みんな黒人音楽に影響を受けていて。それをやろうと思ってみたら、全然違うものになりましたってことだったわけですよね。あの感じが僕は好きで、何かしらの勘違いであるとか、やろうと思ってもできなかったことが違うかたちになってオリジナリティーが出るんであれば、それがおもしろいと思いますね。
バンドを長く続けるコツは「必要以上に干渉し合わない」
最近、ライブで印象に残ったアーティストとして、田中は1月に活動休止期間に入ったTRICERATOPSを挙げた。田中:僕ら同期なんですよ、デビューが1997年で。お互い切磋琢磨して、それなりに思い入れがありますし、仲よくもしてもらってましたし。(今後は)ゆっくり見守っていきたいなと思うんですけど、やっぱり同期のバンドが活動休止するって聞くと「ああ、僕らも歳を取ったんだな」と。僕は歳を取ること対してすごくポジティブで、悪くないなって思ってるんです。経験をして知識も増えて、それは楽しいなって思ってるんですけど、TRICERATOPSの休止前のライブに行ったときに、ちょっと「ああ、そうか」って。
クリス:時代の移り変わりというか。
田中:そうですね。
クリス:そういう話を(TRICERATOPSの)メンバーとされました?
田中:もちろん。「(また)対バンしようぜ」って言っておきました。活動休止だから、もしかしたらまたやるかもしれないですし。
クリス:最近、多いですよね。活動休止するアーティストって。
田中:それはそれでいいんじゃないかと思います。そのなかで、僕らはたまたま長くやってるけど、長く続けることもそれはそれでおもしろければいいかって思うようにしてますけどね。
今年で結成32周年を迎えるGRAPEVINE。クリスは、これほど長く活動を続けられた秘訣を田中に尋ねる。
田中:いつも言ってるのは、「友だち同士じゃないから必要以上に干渉し合わないこと」ですね。と言ってたんですけど……。
クリス:友だちになっちゃう?
田中:友だちにはなってないですよ(笑)。
クリス:ドライだな(笑)。
田中:いまでも移動中は口をきかないですからね。ただ、当然、家族より長い時間一緒にいますからね。結局、なんで長続きしてるかって、お互いの才能を信用してるんだと思います。こいつしかできひんことがあるっていうつながりなんじゃないかなって。結成から数えると、もう半分以上、人生を共にしてますからね。
田島貴男はパワフルで音楽的にスキがない
「尊敬しているミュージシャンは?」と訊かれた田中は、田島貴男の名前を挙げた。田中:ここ数年でようやく共演の機会が増えてきて。もともとファンだったんですけど、これまでなかなか接点がなくて。ようやく接点が数年前くらいにできて。やっぱりすごいですね。いつまでもパワフルです。
クリス:僕はいつも「恐るべし、田島貴男」って呼んでいて、困ったときは田島さんを出せば大丈夫だろって存在ですね(笑)。
田中:とにかく音楽的にスキがないんですよね。感覚が日本人じゃないというか。そもそも田島さんを知ったのは渋谷系時代からなんですけど、あのころはソウルっぽい人なのかなと思っていて。でも、ジャズはやるわ、ロックにも造詣が深いわで何でも知ってらっしゃって。かつ、チャーミングに僕らみたいな世代にも「最近、どんなの聴いてるの?」って情報を集めていくんです。貪欲で、すごいなって。
クリス:音楽以外で影響を受けた作品や作家っていますか?
田中:昔から本読みで、よく挙げるのが坂口安吾とか、野坂昭如、安部公房、最近だと町田 康先生とかはものすごく大好きで、そこらへんはものすごく影響を受けています。音楽からだけじゃ補えないものがありますからね。音楽も文学も映画とかいろんなカルチャーって、どこかしらで感覚が全部つながっていると思うので、何かひとつを追い続けるだけでもいかんような気もしています。いろんなところで吸収していると思います。
最新作にして「守りに入ってない」作品
GRAPEVINEは1年8カ月ぶりとなる19枚目となるニューアルバム『あのみちから遠くはなれて』を5月28日(水)にリリースした。クリス:このアルバムは「アミーチー」ってニックネームがあるみたいですね。それは「あのみち」から来てるんですか?
田中:そうなんですけど、タイトルが長いから単純に。おそらくリスナーのみなさんは好き好きに略すと思うんですけど、いろんな略し方をされるのは嫌だったので、自ら略称を付けました(笑)。
クリス:どんなアルバムになってますか?
田中:前作に続いて、サポートキーボーディストの高野 勲氏にプロデュースをお願いしていて。長年サポートしていただいている方で、ほぼほぼメンバーというか、もはや“中の人”なんですけど、その人のプロデュースって「あえて外目線でやってくれ」って注文しているようなものだと思うんです。今回もいろいろと斬新なアイデアをもらって楽しく作れましたね。
クリス:これまでのアルバムのなかで、どんな存在ですか?
田中:最新作にして全然守りに入ってない作品だと思います。いわゆるGRAPEVINE節みたいなものもあれば、そこに当てはまらないものもたくさん入ってると思いますし、バリエーションに富んでいると思います。
6月からは全国16都市をまわるツアー「GRAPEVINE TOUR 2025」がスタートする。最新情報は公式サイトまで。
番組の公式サイトには、過去ゲストのトーク内容をアーカイブ。オンエアで扱った音楽の情報も掲載している。
・過去ゲストのアーカイブページ
https://www.j-wave.co.jp/original/otoajito/archives.html
『SAPPORO BEER OTOAJITO』では、毎週さまざまなゲストを迎えてお酒を飲みながら音楽トークを繰り広げる。放送は毎週土曜18時から。
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2025年6月7日28時59分まで
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番組情報
- SAPPORO BEER OTOAJITO
-
毎週土曜18:00-18:54