鍵盤奏者の伊澤一葉が、ピアノを始めるきっかけや東京事変に加入した際の裏話、4月にリリースしたソロ名義のサウンドトラックアルバム『rerere』などについて語った。
伊澤が登場したのは、5月17日(土)放送のJ-WAVE『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談義を繰り広げる番組だ。
この番組では、ゲストがビールに合う“おみや”を紹介する。伊澤は、成城石井の「ほたてチーズ アヒージョ風味」を持参し、ビールとともに楽しんだ。
伊澤は1976年、岡山県生まれ。東京事変、the HIATUSの鍵盤奏者として活動するほか、自身のバンド「あっぱ」では、ボーカルも担当。これまでにプロデュース、編曲、楽曲提供を行ったアーティストには、大橋トリオ、LiSA、木村カエラ、土岐麻子、吉澤嘉代子などがいる。
クリス:小さいころから音楽が好きだったんですか?
伊澤:そうですね。母親の影響で物心ついたころからピアノを習わされていたこともあり、当時はカセットテープをテレビの前に置いて録音するみたいなことをしていて、主題歌を録音して何度も聴く感じの子どもではありましたね。
クリス:ピアノは教育の一環として?
伊澤:母親が音大に行きたかったけど行けなかったみたいな。それをおいおい聞くんですけど。
クリス:ピアノは楽しかったですか。
伊澤:楽しいという記憶はあまりなくて。4歳くらいから始めて、ピアノの先生のところに行く車の助手席に座って、毎週のように泣きながら行ってました。すごく先生が怖かったので。それで小学6年生くらいでやめたんです。そこからギターを始めたんですけど、それからまた自然とピアノへの興味も戻っていった感じですね。高校生くらいのころでした。独学でそれぞれやり出して、進学校に行ってたんですけど、母親と今後について話したときに「バンドでもやって成功するんじゃ」って感じで調子に乗っていて。そのときに音大を提案されて、もう1回ちゃんと先生について習うことになりました。
クリス:当然、クラシックを弾かれたんですよね?
伊澤:いや、打楽器の先生だったんです。なぜ、その先生にピアノを習っていたのかはわからないんですけど、マリンバの先生で。曲もいわゆる『バイエル』とかじゃなくて、民族音楽とかジャズっぽい音楽とか。
クリス:面白いですね。いまとなってみるといい経験というか。
伊澤:たぶん影響はあったと思います。
一方、初めてバンドを組んだのは中学3年のころだそう。
クリス:それはギターで?
伊澤:はい。
クリス:どんな曲をやっていたんですか。
伊澤:バンドブームだったので、BOØWYとかユニコーンとか、コピーしてましたね。
クリス:布袋寅泰さんとはライブなどで一緒にお仕事をされていますよね。
伊澤:(布袋との初めてのステージは)死ぬほど緊張しました。いまでも信じられない感じはありますね。初めて買ったCDもBOØWYの『SINGLES』を近所の電気屋さんで買った記憶がありますね。12歳だったと思います。
クリス:自身の音楽人生のなかでBOØWYの存在って大きいですか。
伊澤:それは大きいですね。小学5年くらいのときに、よく遊んでいたクラスの女子に「伊澤、これ聴きなよ」って言われてBOØWYのカセットテープを渡されて、衝撃的でしたね。
伊澤:東京に出てきたときに、このアルバムを聴いて完全にノックアウトされた感じですね。そのときに内向的なことを考え出したんです。普通、思春期ってもうちょっと早めに自分と向き合ったりするのが普通みたいな感じですけど、僕は遅くて、東京に出てきてから自分と向き合うみたいな時間が増えて。そういう自分とすごくリンクしたんですかね。
クリス:当時のマインドが同期してたというか。
伊澤:そうですね。世界観が読み解かれてるみたいな。大学に行かなくなったのもこのころで、いまの自分からしたらかなりターニングポイントだったと思います。
音楽大学をやめた伊澤は、自分の世界観を追求しながら活動を続けたという。
伊澤:売れようとか、これで当ててやろうとかは1ミリもなくて。当時、組んでたバンドで自分の世界観を作ってみたいみたいなところだけにフォーカスして生活していました。
クリス:東京事変の鍵盤をやるようになったのはどんな経緯からですか?
伊澤:それから6、7年くらい経ったころ、バンドも解散してひとりでライブをやってたときに、東京事変の鍵盤の前任のヒイズミマサユ機(H ZETT M)くんが大学の同期だったんですよ。彼が「面白いやつがいるから」ってことで、(椎名)林檎ちゃんを僕のソロライブに連れてきてくれて。当時は東京事変が始まる前だったと思うんですけど、それから1年後くらいに林檎ちゃんから直接電話をもらって、「東京事変に入りませんか?」みたいな話をしていただきました。
クリス:東京事変に入ってみて、どんな感じでしたか?
伊澤:アンダーグラウンドというか、まったく日の目を見ない年月がかなり長かったので、ずっとびっくりしてました(笑)。
伊澤:ジャズに触れ出して初めてピンときたのがこのアルバムでした。
クリス:ジャズは勉強されたんですか?
伊澤:ジャズピアニストの南 博さんに2カ月くらい習いに行っていたことがあるんですけど、よくわからなくてやめちゃって。
クリス:じゃあ、ジャズは我流で?
伊澤:まだこのときは音大に通っていて、ジャズ喫茶でジャズ研のみんなが毎週セッションしてたから、それを観に行って、次第に自分もそこに参加するようになったり。そういう時期にいろいろ勧められたなかで、このアルバムがいちばん印象的でした。
クリス:このアルバムのピアノはソニー・クラークですが、彼にも影響を受けたりしましたか?
伊澤:初めてジャズピアノをコピーしたのも、この『Candy』って曲でしたね。難しくてすごく時間がかかって。
クリス:でも、それがプラスになってるんじゃないですか。
伊澤:はい。短い期間でしたけど、自分の作曲とかにかなり影響があったと思います。
伊澤:このアルバムは、2021年と今年に手がけた舞台音楽を抜粋したコンセプトアルバムです。収録曲はいずれも、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんの戯曲を河原雅彦さんが演出した「KERA CROSS」シリーズの2作品から選ばれています。
クリス:こういったサントラは以前も作られていたんですか。
伊澤:初めてです。
クリス:サントラと他の作品だとどう違いますか?
伊澤:(サントラは)やっぱり物語があって、それに対して自分が鏡を映すみたいな感じで作っていくので、わりと自分には向いてるなって思ってやっています。
クリス:この曲たちはどういうふうに構築していったんですか。
伊澤:脚本を何回も読んで、稽古場に行ってそこにいる人たちの呼吸を感じながら、あと河原さんの演出がすごく面白いのでそれに影響を受けながら作っていくって感じですね。
クリス:タイトル『rerere』はどんな意味を込められていますか。
伊澤:本当は『rerere』ではなくて、リスタートとかリピートとかリバースとか、そっちのほうがよかったかなって思ったんですけど、でも『rerere』で登録しちゃったんです。ケラさんが書く脚本も時間軸が逆転していたりとか、ものの作りがそういった感じなので。自分も映画の『パルプ・フィクション』とか『インセプション』とか、時間の回想とか好きで、それを逆さまにしたり反転させたりっていう感覚自体が好きなんですよね。そういうものがこのアルバムには詰まってるのかなって思います。
伊澤は、6月から九州を巡るソロツアー「鏡とレール」を開催。また、同月に伊澤が参加するグループ・KATSINA SESSIONの10周年ツアー「Nine Inch Nails」もスタートする。そのほか、最新情報は公式サイトまで。
番組の公式サイトには、過去ゲストのトーク内容をアーカイブ。オンエアで扱った音楽の情報も掲載している。
・過去ゲストのアーカイブページ
https://www.j-wave.co.jp/original/otoajito/archives.html
『SAPPORO BEER OTOAJITO』では、毎週さまざまなゲストを迎えてお酒を飲みながら音楽トークを繰り広げる。放送は毎週土曜18時から。
伊澤が登場したのは、5月17日(土)放送のJ-WAVE『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談義を繰り広げる番組だ。
この番組では、ゲストがビールに合う“おみや”を紹介する。伊澤は、成城石井の「ほたてチーズ アヒージョ風味」を持参し、ビールとともに楽しんだ。
衝撃的なBOØWYとの出会い
2025年5月24日まで再生可能
クリス:小さいころから音楽が好きだったんですか?
伊澤:そうですね。母親の影響で物心ついたころからピアノを習わされていたこともあり、当時はカセットテープをテレビの前に置いて録音するみたいなことをしていて、主題歌を録音して何度も聴く感じの子どもではありましたね。
クリス:ピアノは教育の一環として?
伊澤:母親が音大に行きたかったけど行けなかったみたいな。それをおいおい聞くんですけど。
クリス:ピアノは楽しかったですか。
伊澤:楽しいという記憶はあまりなくて。4歳くらいから始めて、ピアノの先生のところに行く車の助手席に座って、毎週のように泣きながら行ってました。すごく先生が怖かったので。それで小学6年生くらいでやめたんです。そこからギターを始めたんですけど、それからまた自然とピアノへの興味も戻っていった感じですね。高校生くらいのころでした。独学でそれぞれやり出して、進学校に行ってたんですけど、母親と今後について話したときに「バンドでもやって成功するんじゃ」って感じで調子に乗っていて。そのときに音大を提案されて、もう1回ちゃんと先生について習うことになりました。
クリス:当然、クラシックを弾かれたんですよね?
伊澤:いや、打楽器の先生だったんです。なぜ、その先生にピアノを習っていたのかはわからないんですけど、マリンバの先生で。曲もいわゆる『バイエル』とかじゃなくて、民族音楽とかジャズっぽい音楽とか。
クリス:面白いですね。いまとなってみるといい経験というか。
伊澤:たぶん影響はあったと思います。
一方、初めてバンドを組んだのは中学3年のころだそう。
クリス:それはギターで?
伊澤:はい。
クリス:どんな曲をやっていたんですか。
伊澤:バンドブームだったので、BOØWYとかユニコーンとか、コピーしてましたね。
クリス:布袋寅泰さんとはライブなどで一緒にお仕事をされていますよね。
伊澤:(布袋との初めてのステージは)死ぬほど緊張しました。いまでも信じられない感じはありますね。初めて買ったCDもBOØWYの『SINGLES』を近所の電気屋さんで買った記憶がありますね。12歳だったと思います。
クリス:自身の音楽人生のなかでBOØWYの存在って大きいですか。
伊澤:それは大きいですね。小学5年くらいのときに、よく遊んでいたクラスの女子に「伊澤、これ聴きなよ」って言われてBOØWYのカセットテープを渡されて、衝撃的でしたね。
人生を変えた曲と、東京事変に加入した経緯
「人生を変えた1曲は?」と問われた伊澤は、レディオヘッドが1997年にリリースしたアルバム『OK コンピューター』を挙げた。伊澤:東京に出てきたときに、このアルバムを聴いて完全にノックアウトされた感じですね。そのときに内向的なことを考え出したんです。普通、思春期ってもうちょっと早めに自分と向き合ったりするのが普通みたいな感じですけど、僕は遅くて、東京に出てきてから自分と向き合うみたいな時間が増えて。そういう自分とすごくリンクしたんですかね。
クリス:当時のマインドが同期してたというか。
伊澤:そうですね。世界観が読み解かれてるみたいな。大学に行かなくなったのもこのころで、いまの自分からしたらかなりターニングポイントだったと思います。
音楽大学をやめた伊澤は、自分の世界観を追求しながら活動を続けたという。
伊澤:売れようとか、これで当ててやろうとかは1ミリもなくて。当時、組んでたバンドで自分の世界観を作ってみたいみたいなところだけにフォーカスして生活していました。
クリス:東京事変の鍵盤をやるようになったのはどんな経緯からですか?
伊澤:それから6、7年くらい経ったころ、バンドも解散してひとりでライブをやってたときに、東京事変の鍵盤の前任のヒイズミマサユ機(H ZETT M)くんが大学の同期だったんですよ。彼が「面白いやつがいるから」ってことで、(椎名)林檎ちゃんを僕のソロライブに連れてきてくれて。当時は東京事変が始まる前だったと思うんですけど、それから1年後くらいに林檎ちゃんから直接電話をもらって、「東京事変に入りませんか?」みたいな話をしていただきました。
クリス:東京事変に入ってみて、どんな感じでしたか?
伊澤:アンダーグラウンドというか、まったく日の目を見ない年月がかなり長かったので、ずっとびっくりしてました(笑)。
初めてコピーしたジャズピアノ
伊澤は、影響を受けたアルバムとしてリー・モーガンの『Candy』をセレクトした。伊澤:ジャズに触れ出して初めてピンときたのがこのアルバムでした。
クリス:ジャズは勉強されたんですか?
伊澤:ジャズピアニストの南 博さんに2カ月くらい習いに行っていたことがあるんですけど、よくわからなくてやめちゃって。
クリス:じゃあ、ジャズは我流で?
伊澤:まだこのときは音大に通っていて、ジャズ喫茶でジャズ研のみんなが毎週セッションしてたから、それを観に行って、次第に自分もそこに参加するようになったり。そういう時期にいろいろ勧められたなかで、このアルバムがいちばん印象的でした。
クリス:このアルバムのピアノはソニー・クラークですが、彼にも影響を受けたりしましたか?
伊澤:初めてジャズピアノをコピーしたのも、この『Candy』って曲でしたね。難しくてすごく時間がかかって。
クリス:でも、それがプラスになってるんじゃないですか。
伊澤:はい。短い期間でしたけど、自分の作曲とかにかなり影響があったと思います。
『Candy』(Rudy Van Gelder Edition / 2007 / Digital Remaster)
初のサントラ盤 その制作方法は?
伊澤は4月にソロ名義のサウンドトラックアルバム『rerere』をリリースした。伊澤:このアルバムは、2021年と今年に手がけた舞台音楽を抜粋したコンセプトアルバムです。収録曲はいずれも、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんの戯曲を河原雅彦さんが演出した「KERA CROSS」シリーズの2作品から選ばれています。
クリス:こういったサントラは以前も作られていたんですか。
伊澤:初めてです。
クリス:サントラと他の作品だとどう違いますか?
伊澤:(サントラは)やっぱり物語があって、それに対して自分が鏡を映すみたいな感じで作っていくので、わりと自分には向いてるなって思ってやっています。
クリス:この曲たちはどういうふうに構築していったんですか。
伊澤:脚本を何回も読んで、稽古場に行ってそこにいる人たちの呼吸を感じながら、あと河原さんの演出がすごく面白いのでそれに影響を受けながら作っていくって感じですね。
クリス:タイトル『rerere』はどんな意味を込められていますか。
伊澤:本当は『rerere』ではなくて、リスタートとかリピートとかリバースとか、そっちのほうがよかったかなって思ったんですけど、でも『rerere』で登録しちゃったんです。ケラさんが書く脚本も時間軸が逆転していたりとか、ものの作りがそういった感じなので。自分も映画の『パルプ・フィクション』とか『インセプション』とか、時間の回想とか好きで、それを逆さまにしたり反転させたりっていう感覚自体が好きなんですよね。そういうものがこのアルバムには詰まってるのかなって思います。
伊澤は、6月から九州を巡るソロツアー「鏡とレール」を開催。また、同月に伊澤が参加するグループ・KATSINA SESSIONの10周年ツアー「Nine Inch Nails」もスタートする。そのほか、最新情報は公式サイトまで。
番組の公式サイトには、過去ゲストのトーク内容をアーカイブ。オンエアで扱った音楽の情報も掲載している。
・過去ゲストのアーカイブページ
https://www.j-wave.co.jp/original/otoajito/archives.html
『SAPPORO BEER OTOAJITO』では、毎週さまざまなゲストを迎えてお酒を飲みながら音楽トークを繰り広げる。放送は毎週土曜18時から。
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2025年5月24日28時59分まで
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番組情報
- SAPPORO BEER OTOAJITO
-
毎週土曜18:00-18:54