俳優・歌手の井上芳雄が亀田誠治とJ-WAVEで対談。自身の人生に影響を与えた楽曲たちをセレクトした。
井上が登場したのは、5月11日(日)放送のJ-WAVE『DEFENDER BLAZE A TRAIL』(ナビゲーター:亀田誠治)。毎回、音楽を愛するゲストを迎え、その人生に寄り添ってきた音楽の話を伺うプログラムだ。
井上:この曲は、ジャズピアニストの小曽根真さんに教えていただきました。小曽根さんとは舞台をご一緒させていただいたりとか、一緒にコンサートで歌わせてもらったりしたときがあって。そのときにプライベートで悲しいお別れがあって、その話を小曽根さんにしたらこの曲をボロンって弾いてくださったんです。知らなかったんだけど「一緒に歌ってみよう」って言われて。「そういうときは泣きたかったら泣いたらいいんだよ」っていうことを言っていただいて、すごく救われたというか。そのあとに自分でも歌うようになったんですけど、決して悲しいことを歌ってるわけではないんですよ。あなたのこういうところを何個も思い出すよって素敵な歌で。そうやって思い出すことで慰められ、歌とともに癒やされるっていうのを体験させてもらった曲です。
井上:ナット・キング・コールの深い歌声もたまらないっていう。
亀田:たしかに。
井上:優しい静かな曲ではあるんですけど、歌声は基本的にブライトというか、発音とか発声が明るいじゃないですか。それにも励まされるし、ジャズをたくさん歌われていると思うんですけど、思いのほかシンプルに歌われていて、よけい感じるものがあると思いますね。
https://www.youtube.com/watch?v=ZazKGMXc7iM
井上:僕は子どももいるのでJ-POPも聴きます。Mrs. GREEN APPLEの大森元貴さんの歌唱力は異次元というか、同じ日本人としては誇らしいけど、同じ歌手としては自信喪失みたいな感じなんですけど(笑)。ご自身で曲も作られていて、それもすごいと思います。この曲は、NHKの番組として18歳のいろんな声を聞いて、それをもとに大森さんが作った曲だと知ってから聴いたら、これこそ号泣もので。僕は18歳からだいぶ遠ざかったけど、長男が19歳くらいで、自分も18歳のときはこんな気持ちがあったし、いま、彼がそうなんじゃないかなって思うと、よけいに泣けてきちゃって沁みましたね。
亀田:お子さんと音楽の話ってされるんですか?
井上:します。「いま、何聴いてるの?」とか。長男はドイツにいて、バレエダンサーをやってるんですけど、バレエ留学をしていて。だから会う機会は少なくなったんですけど、メールとかで「どうしてる?」とか「この曲、いいよ」とかやり取りをしていて。この曲も「感動して泣いちゃったから聴いてみて」みたいな。この前、長男が帰国して「聴いてみてどうだった?」って言ったら「海外だからこの曲のYouTubeが観れなかった」って言われました(笑)。この動画を観ると、1,000人くらいの18歳の方が一緒に歌っていて、その人たちの表情がたまらないんですよ。涙してたり笑顔だったり。それ見てもまた泣けてきちゃいましたね。
3曲目に、ミュージカル『サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ』から、バーブラ・ストライサンドの『Putting It Together』を選曲した。
https://www.youtube.com/watch?v=YZRZj5HWSr0
井上:僕はバーブラ・ストライサンドが大好きで。彼女はブロードウェイ・ミュージカルからスターになって、映画でスターになって。まさに一夜明けたらスターになってたっていうのが彼女らしいんですけど。僕はミュージカルを通して知りました。ご自身の曲にも名曲がありますし、すばらしい歌唱力で。
バーブラ・ストライサンドは『The Broadway Album』というミュージカルの曲を集めたアルバムを出しているが、それが井上にとっては衝撃的な1枚だったという。
井上:いろんなミュージカル俳優が自分のアルバムとしてミュージカルのカバーアルバムを出すんですけど、そのままのミュージカルのアレンジで歌うことが多いんですよ。劇中のまま。でも、バーブラはこのとき全部のミュージカルの曲をまったく違うアレンジで歌っていて。それが1曲1曲おしゃれだったり、衝撃的だったり、感動的だったりして。「こんなミュージカルのアルバムを作れるんだ」ってびっくりしました。この曲はミュージカル作曲家のスティーヴン・ソンドハイムの難しそうな曲なんですけど、それを軽快なポップスに歌えたっていうのも驚きでした。
井上:オペラの曲のようなんですけど、僕は1曲の独立したイタリア楽曲として知りました。ミュージカルをやりたいと志して、「じゃあ、どうしたらいいのか」ってなったときに「声楽を始めたほうがいい」って言われて。初めて声楽を始めようとして先生についたときに、「これをまずは歌ってごらん」って言われたのがこの1曲でした。クラシックな声楽はイタリアの曲から始めるのが多いんだと思うんですけど、そのなかの1曲で、美しい曲だなと思って。いまでもたまに口ずさむくらい好きな曲で、自分のクラシックの原点でもあるし。でも難しいんです、最初からロングトーンで始まって。
亀田:(発声を)習い始めたのは、いくつくらいだったんですか?
井上:中学生くらいですかね。当時、「僕がミュージカルをやりたい」って言ったら、音楽の先生が「明日から学校が始まる30分前に音楽室に来なさい」って言ってくれて。先生とふたりで、発声の基礎から無償でやってくれたんですよ。
亀田:すごく情熱的。
井上:公立の中学校なんですけど。発声をやったり、この曲を歌ってみようってことで歌ってみたり。それで始めて、高校くらいから大学受験のための個人の先生についたりはしたんですけど。
亀田:毎年、日比谷ブロードウェイというすばらしいユニットで出演していただいていますよね。
番組では、桜井和寿が「日比谷音楽祭」のために書き下ろした日比谷ブロードウェイの『雨が止んだら』をオンエアした。
亀田:初披露は2023年の「日比谷音楽祭」でしたよね。
井上:この年に突然、この曲を桜井さんが僕たちにくださって。ミュージカルをイメージして、しかも当時の世の中の状況も(踏まえて)。
亀田:コロナ禍からやっと動き出せるかなってときでしたよね。
井上:本当に、雨が止んだかなっていうようなころでしたけど、なぜ僕たちに歌わせてくれるんだろうってうれしい驚きでした。結果、「日比谷音楽祭」の当日、桜井さんもサプライズで一緒に歌ってくださって、そのあとミュージカルのみんなで歌ったりもしてたんですけど。せっかくこんな素敵な曲を作っていただけたのだから、みんなで歌って形にしたいってことで、亀田さんにもお願いしまして、ようやく形になりますね。
日比谷ブロードウェイの『雨が止んだら』は5月28日(水)にCDシングルとしてリリースされる。
亀田:初めて野音のステージで演奏してからいろんなところで(井上)芳雄さんも歌ってくださって、少しずつ歌う仲間が増えていって、日比谷ブロードウェイは豪華すぎるメンバーで。ありがとうございます。
井上:「日比谷音楽祭」に日比谷ブロードウェイがずっと出させてもらえたからこそ生まれた曲、集まったメンバーだし、それでできた1曲なので、まさかそんなプレゼントをもらえるとは思ってなくて。亀田さんが全力で続けてこられた音楽祭は、いろんな素敵な結果を出されてきたとは思いますが、そのひとつとして今回、花が咲いたのかなって思います。
亀田:今年の「日比谷音楽祭」も楽しいコラボやりましょうね。
井上:毎年楽しみなので! 今年もどんな方が出演なさるのか、僕たちもドキドキしています。
現在、井上芳雄は東京・明治座で上演中のミュージカル『二都物語』に出演している。そのほか最新情報は、公式サイトまで。
『DEFENDER BLAZE A TRAIL』では、音楽を愛するゲストを迎え、人生に寄り添ってきた音楽、困難を乗り越えるときに出会った音楽について語り合う。オンエアは毎週日曜21時から。
井上が登場したのは、5月11日(日)放送のJ-WAVE『DEFENDER BLAZE A TRAIL』(ナビゲーター:亀田誠治)。毎回、音楽を愛するゲストを迎え、その人生に寄り添ってきた音楽の話を伺うプログラムだ。
歌とともに慰められ、癒やされる1曲
井上は“ミュージカル界のプリンス”と呼ばれ、ミュージカルはもちろん、ドラマやテレビ番組など幅広く活躍している。番組では、ゲストの人生に寄り添ってきた音楽を聴きながら、そこにどのようなエピソードがあるのか、話を訊いていく。まず、井上は1曲目にナット・キング・コールの『A Thousand Thoughts Of You』をセレクトした。井上:この曲は、ジャズピアニストの小曽根真さんに教えていただきました。小曽根さんとは舞台をご一緒させていただいたりとか、一緒にコンサートで歌わせてもらったりしたときがあって。そのときにプライベートで悲しいお別れがあって、その話を小曽根さんにしたらこの曲をボロンって弾いてくださったんです。知らなかったんだけど「一緒に歌ってみよう」って言われて。「そういうときは泣きたかったら泣いたらいいんだよ」っていうことを言っていただいて、すごく救われたというか。そのあとに自分でも歌うようになったんですけど、決して悲しいことを歌ってるわけではないんですよ。あなたのこういうところを何個も思い出すよって素敵な歌で。そうやって思い出すことで慰められ、歌とともに癒やされるっていうのを体験させてもらった曲です。
ナット・キング・コール『A Thousand Thoughts Of You』
亀田:たしかに。
井上:優しい静かな曲ではあるんですけど、歌声は基本的にブライトというか、発音とか発声が明るいじゃないですか。それにも励まされるし、ジャズをたくさん歌われていると思うんですけど、思いのほかシンプルに歌われていて、よけい感じるものがあると思いますね。
自信を喪失するくらいの歌唱力
続いて、井上はMrs. GREEN APPLEの『Darling (~18Fes Version~ / Live)』をセレクトした。Darling (~18Fes Version~ / Live)
亀田:お子さんと音楽の話ってされるんですか?
井上:します。「いま、何聴いてるの?」とか。長男はドイツにいて、バレエダンサーをやってるんですけど、バレエ留学をしていて。だから会う機会は少なくなったんですけど、メールとかで「どうしてる?」とか「この曲、いいよ」とかやり取りをしていて。この曲も「感動して泣いちゃったから聴いてみて」みたいな。この前、長男が帰国して「聴いてみてどうだった?」って言ったら「海外だからこの曲のYouTubeが観れなかった」って言われました(笑)。この動画を観ると、1,000人くらいの18歳の方が一緒に歌っていて、その人たちの表情がたまらないんですよ。涙してたり笑顔だったり。それ見てもまた泣けてきちゃいましたね。
3曲目に、ミュージカル『サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ』から、バーブラ・ストライサンドの『Putting It Together』を選曲した。
Putting It Together
バーブラ・ストライサンドは『The Broadway Album』というミュージカルの曲を集めたアルバムを出しているが、それが井上にとっては衝撃的な1枚だったという。
井上:いろんなミュージカル俳優が自分のアルバムとしてミュージカルのカバーアルバムを出すんですけど、そのままのミュージカルのアレンジで歌うことが多いんですよ。劇中のまま。でも、バーブラはこのとき全部のミュージカルの曲をまったく違うアレンジで歌っていて。それが1曲1曲おしゃれだったり、衝撃的だったり、感動的だったりして。「こんなミュージカルのアルバムを作れるんだ」ってびっくりしました。この曲はミュージカル作曲家のスティーヴン・ソンドハイムの難しそうな曲なんですけど、それを軽快なポップスに歌えたっていうのも驚きでした。
学校が始まる30分前に音楽室に通う日々
井上は4曲目に、キャスリーン・バトルが歌う、歌劇『セルセ』第1幕から、『Ombra mai fu』をセレクトした。井上:オペラの曲のようなんですけど、僕は1曲の独立したイタリア楽曲として知りました。ミュージカルをやりたいと志して、「じゃあ、どうしたらいいのか」ってなったときに「声楽を始めたほうがいい」って言われて。初めて声楽を始めようとして先生についたときに、「これをまずは歌ってごらん」って言われたのがこの1曲でした。クラシックな声楽はイタリアの曲から始めるのが多いんだと思うんですけど、そのなかの1曲で、美しい曲だなと思って。いまでもたまに口ずさむくらい好きな曲で、自分のクラシックの原点でもあるし。でも難しいんです、最初からロングトーンで始まって。
亀田:(発声を)習い始めたのは、いくつくらいだったんですか?
井上:中学生くらいですかね。当時、「僕がミュージカルをやりたい」って言ったら、音楽の先生が「明日から学校が始まる30分前に音楽室に来なさい」って言ってくれて。先生とふたりで、発声の基礎から無償でやってくれたんですよ。
亀田:すごく情熱的。
井上:公立の中学校なんですけど。発声をやったり、この曲を歌ってみようってことで歌ってみたり。それで始めて、高校くらいから大学受験のための個人の先生についたりはしたんですけど。
「日比谷音楽祭」から生まれた1曲
人生に影響を与えた楽曲を紹介した井上は、亀田が実行委員長を務める「日比谷音楽祭」に今年も出演する。5月31日(土) -6月1日(日)に開催。(※井上が参加するユニット、日比谷ブロードウェイの出演は31日)。亀田:毎年、日比谷ブロードウェイというすばらしいユニットで出演していただいていますよね。
番組では、桜井和寿が「日比谷音楽祭」のために書き下ろした日比谷ブロードウェイの『雨が止んだら』をオンエアした。
亀田:初披露は2023年の「日比谷音楽祭」でしたよね。
井上:この年に突然、この曲を桜井さんが僕たちにくださって。ミュージカルをイメージして、しかも当時の世の中の状況も(踏まえて)。
亀田:コロナ禍からやっと動き出せるかなってときでしたよね。
井上:本当に、雨が止んだかなっていうようなころでしたけど、なぜ僕たちに歌わせてくれるんだろうってうれしい驚きでした。結果、「日比谷音楽祭」の当日、桜井さんもサプライズで一緒に歌ってくださって、そのあとミュージカルのみんなで歌ったりもしてたんですけど。せっかくこんな素敵な曲を作っていただけたのだから、みんなで歌って形にしたいってことで、亀田さんにもお願いしまして、ようやく形になりますね。
日比谷ブロードウェイの『雨が止んだら』は5月28日(水)にCDシングルとしてリリースされる。
亀田:初めて野音のステージで演奏してからいろんなところで(井上)芳雄さんも歌ってくださって、少しずつ歌う仲間が増えていって、日比谷ブロードウェイは豪華すぎるメンバーで。ありがとうございます。
井上:「日比谷音楽祭」に日比谷ブロードウェイがずっと出させてもらえたからこそ生まれた曲、集まったメンバーだし、それでできた1曲なので、まさかそんなプレゼントをもらえるとは思ってなくて。亀田さんが全力で続けてこられた音楽祭は、いろんな素敵な結果を出されてきたとは思いますが、そのひとつとして今回、花が咲いたのかなって思います。
亀田:今年の「日比谷音楽祭」も楽しいコラボやりましょうね。
井上:毎年楽しみなので! 今年もどんな方が出演なさるのか、僕たちもドキドキしています。
現在、井上芳雄は東京・明治座で上演中のミュージカル『二都物語』に出演している。そのほか最新情報は、公式サイトまで。
『DEFENDER BLAZE A TRAIL』では、音楽を愛するゲストを迎え、人生に寄り添ってきた音楽、困難を乗り越えるときに出会った音楽について語り合う。オンエアは毎週日曜21時から。
番組情報
- DEFENDER BLAZE A TRAIL
-
毎週日曜21:00-21:54