湘南乃風のメンバーでレゲエアーティストのHAN-KUNが、レゲエとの出会いやジャマイカでのレコーディングの裏側、ニューアルバム『VOICE MAGICIAN VI ~THE SIXTH SENSE~』について語った。
HAN-KUNが登場したのは、7月12日(土)放送のJ-WAVE『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談義を繰り広げる番組だ。
この番組では、ゲストがビールに合う“おみや”を紹介する。HAN-KUNは崎陽軒の『筍煮』を持参し、ビールとともに楽しんだ。
クリス:湘南乃風のなかでもレゲエカルチャーの影響がいちばん大きいと言われていますが、ジャマイカもガンガン行かれてるんですよね?
HAN-KUN:コロナがあってパンデミック後は行けてないんですけど、毎年1回は行けるようにして、現地の音楽を常に感じながらっていうところはありました。
クリス:初めて行ったのはいつですか?
HAN-KUN:1999、2000年あたりだと思います。首都・キングストンに行って。
クリス:キングストンの魅力は?
HAN-KUN:レゲエが生まれた国の中心部で、特にスタジオがいちばん集まっていて。僕はいつも、ボブ・マーリーのスタジオの「タフ・ゴング・スタジオ」ってところで作業をさせてもらっていたので、そこに通うにあたってキングストンは間違いない。当時は毎日のように野外で朝までイベントをやっていたので、現地の風を感じながら、どういうふうな流れで曲が流行って、どういう人がどういうタイミングでメッセージを感じて踊ってるのかとか、そういう本質の部分を見るのはすごく大切な場所でしたし、時間だったと思います。
HAN-KUNは、キングストンでの音楽制作の特徴について「スタッフが時間どおりに来ないこと」だと語る。
クリス:やっぱり来ないんだ(笑)。
HAN-KUN:でも関係性が深くなると、その時間は狭まってきてるのかなって気がしますけど。10年、20年一緒にやっていると。
クリス:距離があると、時間にもムラがあると。その文化は独特ですよね。作業工程はどうですか?
HAN-KUN:レコーディングはスタジオに入って、たとえばバンドマンとのセッションだったら、全員集まって1回「こういう曲をやりたい」って打ち合わせをしたら、特にリハーサルとかもなく思い思いのまま弾いて、サウンドチェックしたらそのままレコーディングで。僕たちの文化的にもリズムトラックから作ることが多いから、リズムを作ってもらうことが主なので、それがワンテイクで終わっちゃう。それがすごいなって。ミスも特にないし、むしろライブ感を収録できるのがいちばんの魅力なのかなって思います。
HAN-KUN:中学2年生くらいだったと思うんですけど、学校の行事でキャンプか何かに行ったんです。その夜に、先生たちが出し物をしたあと「実は今日、踊りたい子たちがいる」ってことで出てきたのが俺以外の地元のツレで。めちゃくちゃ踊り出して、それがすげえかっこよくて。それで混ぜてもらったのがきっかけで、ダンスをやるようになりました。
クリス:どんな曲で踊ってたんですか?
HAN-KUN:当時、いちばん印象に残っているのはHeavy D & The Boyzの『Now That We Found Love』ですね。この曲で一生懸命踊ってた気がしますね。
クリス:当時は、こういう曲を聴いてたんですか。
HAN-KUN:そうですね。友だちが持って来てくれる曲で踊っていましたね。音楽も教えてもらいながら。
クリス:当時、HAN-KUNが得意としていたスタイルは?
HAN-KUN:教えてもらって始めたのがヒップホップで、そのままハウスに行った感じですね。
クリス:ハウスからレゲエの流れって面白いですね。
HAN-KUN:ダンスを始めたころのツレの彼女が(車の)免許を取ったっていうからドライブに行こうってなって。134号線の湘南の海岸線を走っているときに曲が流れてきて、その曲に素直に反応しちゃって。「何の曲なの?」って訊いたら、「レゲエだよ」って言われて、それが初めての衝撃で。ジャマイカのアーティストの曲の次に日本人のレゲエアーティストの曲を流してくれたんです。そのアーティストのメッセージがすごく刺さっちゃって。なんで、いまの俺のことをこんなに知ってるんだろうって、話しかけられてるような気持ちになって。それが大きなきっかけでレゲエをすごく聴くようになりました。
HAN-KUN:当時、レコードの裏にリズムが入っていたので、それを使って日本人アーティストの歌を覚えて、カラオケ代わりにして友だちと遊んでいたんです。そういう流れもあって、自宅でレコードをひっくり返して誰に聴かせるでもなく歌詞を書いたりし始めて。それをどこからか先輩が聞きつけて「若手のアーティストのテープを作ってるんだけど、お前、歌詞書いてるんだろ?」って提案されたんです。それで先輩の家のスタジオで何もわからないまま歌詞もできあがってないけど、なんとなくかたちになって。気付いたらテープにして出してもらいました。そのリリースパーティーを地元でやるからって呼ばれて、ステージに出してもらったんですけど、それが最初のレコーディングとステージでした。
クリス:レゲエに日本語をのせるって難しかったですか?
HAN-KUN:右も左もわからないぶん、難しさもわからないまま飛び込めたのでそこはよかったですね。あとから徐々に難しさを感じ始めてきたかなって。
クリス:自分のなかでは日本語とレゲエって反りは合う?
HAN-KUN:聴いているものに近づけようとすると、そこに届かない部分をやればやるほど感じるというか。言葉のリズムとか発音の部分だと思うんですけど。でも、逆に合わないことが個性として、違いがあっていいのかなって気はします。
クリス:ルーツはジャマイカだから別物というか。
HAN-KUN:そういうことだと思います。別物として自覚と誇りを持ってやり続けられたほうが、本国に対するリスペクトになる気がします。そことの葛藤もあるし、現地のものを現地のまま再現したい人たちとの考え方の違いもたくさん生まれるかもしれないけど、たぶん日本にレゲエが根付いていくことにはすごく必要なプロセスだと思います。
HAN-KUN:いま(ソロ活動)16周年なんですけど、15周年の最終章として、(VOICE MAGICIANシリーズの)6枚目として出させていただきました。そういった意味で周年なんで、自分のなかで原点回帰をすごくテーマにして。あと、自分がステージに出たときには、テーマが炎の曲が1曲目になることが多かったりするんです。炎が燃え上がるような会場にしたいっていう思いがあったので、大きなコンセプトとして炎を掲げました。あとは自分のステージでのお客さんとのやり取りって、自分が考えてきたことじゃなくて、アドリブだったりフリースタイルだったり、その場で会ったお客さんと話したりとか。だから、第六感っていう部分は自分のなかでの直感っていう意味で。なので、今回は「THE SIXTH SENSE」って名前を付けました。
今作には、SKY-HIやケツメイシ・RYOJIとのコラボ曲も収録されている。
クリス:(最近)伝えたいメッセージって変わりました?
HAN-KUN:コロナ禍があって、そのあと出した曲とは大きく変わった気がするし、実際にまた人前で歌えるようになったことでメッセージ感とか伝えたいことが戻ってきたというか。その時間を超えてきたから、さらに伝えられるときに伝えたいなっていう想いがあったので。直接的に伝えるのが自分のスタイルなんですけど、何かに包むような言葉使いじゃなく、より真っすぐ伝えたい。2回、3回噛みしめて伝わる歌よりは、1回聴いて届く歌を歌いたいと感じました。
番組では、アルバム収録曲『夏のメロディー』をオンエアした。
HAN-KUNは8月15日(金)に、このアルバムの記念ライブ「HAN-KUN LIVE 2025 ~THE SIXTH SENSE~」を東京・Zepp Shinjukuで開催する。そのほか、最新情報は公式サイトまで。
番組の公式サイトには、過去ゲストのトーク内容をアーカイブ。オンエアで扱った音楽の情報も掲載している。
・過去ゲストのアーカイブページ https://www.jwave.co.jp/original/otoajito/archives.html
『SAPPORO BEER OTOAJITO』では、毎週さまざまなゲストを迎えてお酒を飲みながら音楽トークを繰り広げる。放送は毎週土曜18時から。
HAN-KUNが登場したのは、7月12日(土)放送のJ-WAVE『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談義を繰り広げる番組だ。
この番組では、ゲストがビールに合う“おみや”を紹介する。HAN-KUNは崎陽軒の『筍煮』を持参し、ビールとともに楽しんだ。
ジャマイカでのレコーディングの魅力は「ライブ感」
HAN-KUNは神奈川県鎌倉市出身。湘南乃風として2003年にデビュー。その後、2008年にソロデビューを果たし、現在まで活動を続けている。クリス:湘南乃風のなかでもレゲエカルチャーの影響がいちばん大きいと言われていますが、ジャマイカもガンガン行かれてるんですよね?
HAN-KUN:コロナがあってパンデミック後は行けてないんですけど、毎年1回は行けるようにして、現地の音楽を常に感じながらっていうところはありました。
クリス:初めて行ったのはいつですか?
HAN-KUN:1999、2000年あたりだと思います。首都・キングストンに行って。
クリス:キングストンの魅力は?
HAN-KUN:レゲエが生まれた国の中心部で、特にスタジオがいちばん集まっていて。僕はいつも、ボブ・マーリーのスタジオの「タフ・ゴング・スタジオ」ってところで作業をさせてもらっていたので、そこに通うにあたってキングストンは間違いない。当時は毎日のように野外で朝までイベントをやっていたので、現地の風を感じながら、どういうふうな流れで曲が流行って、どういう人がどういうタイミングでメッセージを感じて踊ってるのかとか、そういう本質の部分を見るのはすごく大切な場所でしたし、時間だったと思います。
HAN-KUNは、キングストンでの音楽制作の特徴について「スタッフが時間どおりに来ないこと」だと語る。
クリス:やっぱり来ないんだ(笑)。
HAN-KUN:でも関係性が深くなると、その時間は狭まってきてるのかなって気がしますけど。10年、20年一緒にやっていると。
クリス:距離があると、時間にもムラがあると。その文化は独特ですよね。作業工程はどうですか?
HAN-KUN:レコーディングはスタジオに入って、たとえばバンドマンとのセッションだったら、全員集まって1回「こういう曲をやりたい」って打ち合わせをしたら、特にリハーサルとかもなく思い思いのまま弾いて、サウンドチェックしたらそのままレコーディングで。僕たちの文化的にもリズムトラックから作ることが多いから、リズムを作ってもらうことが主なので、それがワンテイクで終わっちゃう。それがすごいなって。ミスも特にないし、むしろライブ感を収録できるのがいちばんの魅力なのかなって思います。
「なんで、いまの俺のことをこんなに知ってるんだろう」って
そんなHAN-KUNも、レゲエにのめり込む前はストリートダンスに夢中だったという。HAN-KUN:中学2年生くらいだったと思うんですけど、学校の行事でキャンプか何かに行ったんです。その夜に、先生たちが出し物をしたあと「実は今日、踊りたい子たちがいる」ってことで出てきたのが俺以外の地元のツレで。めちゃくちゃ踊り出して、それがすげえかっこよくて。それで混ぜてもらったのがきっかけで、ダンスをやるようになりました。
クリス:どんな曲で踊ってたんですか?
HAN-KUN:当時、いちばん印象に残っているのはHeavy D & The Boyzの『Now That We Found Love』ですね。この曲で一生懸命踊ってた気がしますね。
Heavy D & The Boyz - Now That We Found Love (Official Music Video) ft. Aaron Hall
HAN-KUN:そうですね。友だちが持って来てくれる曲で踊っていましたね。音楽も教えてもらいながら。
クリス:当時、HAN-KUNが得意としていたスタイルは?
HAN-KUN:教えてもらって始めたのがヒップホップで、そのままハウスに行った感じですね。
クリス:ハウスからレゲエの流れって面白いですね。
HAN-KUN:ダンスを始めたころのツレの彼女が(車の)免許を取ったっていうからドライブに行こうってなって。134号線の湘南の海岸線を走っているときに曲が流れてきて、その曲に素直に反応しちゃって。「何の曲なの?」って訊いたら、「レゲエだよ」って言われて、それが初めての衝撃で。ジャマイカのアーティストの曲の次に日本人のレゲエアーティストの曲を流してくれたんです。そのアーティストのメッセージがすごく刺さっちゃって。なんで、いまの俺のことをこんなに知ってるんだろうって、話しかけられてるような気持ちになって。それが大きなきっかけでレゲエをすごく聴くようになりました。
日本語とレゲエの反りは合う?
その後、HAN-KUNはダンスをやりながらも、レゲエに傾倒していった。HAN-KUN:当時、レコードの裏にリズムが入っていたので、それを使って日本人アーティストの歌を覚えて、カラオケ代わりにして友だちと遊んでいたんです。そういう流れもあって、自宅でレコードをひっくり返して誰に聴かせるでもなく歌詞を書いたりし始めて。それをどこからか先輩が聞きつけて「若手のアーティストのテープを作ってるんだけど、お前、歌詞書いてるんだろ?」って提案されたんです。それで先輩の家のスタジオで何もわからないまま歌詞もできあがってないけど、なんとなくかたちになって。気付いたらテープにして出してもらいました。そのリリースパーティーを地元でやるからって呼ばれて、ステージに出してもらったんですけど、それが最初のレコーディングとステージでした。
クリス:レゲエに日本語をのせるって難しかったですか?
HAN-KUN:右も左もわからないぶん、難しさもわからないまま飛び込めたのでそこはよかったですね。あとから徐々に難しさを感じ始めてきたかなって。
クリス:自分のなかでは日本語とレゲエって反りは合う?
HAN-KUN:聴いているものに近づけようとすると、そこに届かない部分をやればやるほど感じるというか。言葉のリズムとか発音の部分だと思うんですけど。でも、逆に合わないことが個性として、違いがあっていいのかなって気はします。
クリス:ルーツはジャマイカだから別物というか。
HAN-KUN:そういうことだと思います。別物として自覚と誇りを持ってやり続けられたほうが、本国に対するリスペクトになる気がします。そことの葛藤もあるし、現地のものを現地のまま再現したい人たちとの考え方の違いもたくさん生まれるかもしれないけど、たぶん日本にレゲエが根付いていくことにはすごく必要なプロセスだと思います。
真っすぐに伝えるのが自分のスタイル
HAN-KUNは7月23日(水)に約5年ぶりとなるオリジナルアルバム『VOICE MAGICIAN VI ~THE SIXTH SENSE~』をリリースした。HAN-KUN:いま(ソロ活動)16周年なんですけど、15周年の最終章として、(VOICE MAGICIANシリーズの)6枚目として出させていただきました。そういった意味で周年なんで、自分のなかで原点回帰をすごくテーマにして。あと、自分がステージに出たときには、テーマが炎の曲が1曲目になることが多かったりするんです。炎が燃え上がるような会場にしたいっていう思いがあったので、大きなコンセプトとして炎を掲げました。あとは自分のステージでのお客さんとのやり取りって、自分が考えてきたことじゃなくて、アドリブだったりフリースタイルだったり、その場で会ったお客さんと話したりとか。だから、第六感っていう部分は自分のなかでの直感っていう意味で。なので、今回は「THE SIXTH SENSE」って名前を付けました。
今作には、SKY-HIやケツメイシ・RYOJIとのコラボ曲も収録されている。
HAN-KUN「HEAD SHOT feat. SKY-HI」Music Video
HAN-KUN:コロナ禍があって、そのあと出した曲とは大きく変わった気がするし、実際にまた人前で歌えるようになったことでメッセージ感とか伝えたいことが戻ってきたというか。その時間を超えてきたから、さらに伝えられるときに伝えたいなっていう想いがあったので。直接的に伝えるのが自分のスタイルなんですけど、何かに包むような言葉使いじゃなく、より真っすぐ伝えたい。2回、3回噛みしめて伝わる歌よりは、1回聴いて届く歌を歌いたいと感じました。
番組では、アルバム収録曲『夏のメロディー』をオンエアした。
HAN-KUN「夏のメロディー」Music Video
番組の公式サイトには、過去ゲストのトーク内容をアーカイブ。オンエアで扱った音楽の情報も掲載している。
・過去ゲストのアーカイブページ https://www.jwave.co.jp/original/otoajito/archives.html
『SAPPORO BEER OTOAJITO』では、毎週さまざまなゲストを迎えてお酒を飲みながら音楽トークを繰り広げる。放送は毎週土曜18時から。
番組情報
- SAPPORO BEER OTOAJITO
-
毎週土曜18:00-18:54