J-WAVE×DAZNがコラボレーションしたスポーツトーク番組『BE TRUE』を展開中だ。各競技でトップレベルの実績を残したアスリートおよび元アスリートをゲストに招き、フォルクスワーゲンでドライブしながらの車内トークを通じて、その生き方や成功の秘訣を紐解く。DAZN、YouTubeやストリーミングサービスであるDAZN OTT(オーバー・ザ・トップ)をはじめ、ポッドキャストコンテンツとしてApple Podcast、Spotify、Amazon Music、radiko、YouTubeなどで楽しめる。
第5回のゲストは、サッカー日本代表で英プレミアリーグ、クリスタル・パレス所属の鎌田大地。独ブンデスリーガ・フランクフルト時代の同僚・長谷部誠との秘話や、自身が思う適正ポジション、ビッグクラブへの移籍願望などについて語った。聞き手は、元日本代表の稲本潤一が務めた。
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「2年半後には海外に出る」。2015年、京都の東山高校卒業後にJリーグ・サガン鳥栖へ入団し、プロサッカー選手となったときからそう心に決めていたという鎌田は、当初の目標通り、2017年にフランクフルトへ完全移籍を果たす。
同クラブには、元日本代表キャプテン長谷部誠が2014年より在籍していた。稲本が「(海外で)最初に入ったクラブで日本人がいるって力強いよな」と言うと、鎌田は「良いところもあれば、悪いところもありました」といい、「ドイツで良いプレーをしても、全部『長谷部がアドバイスしたおかげだ』みたいな感じになっていたので(笑)」と、偉大過ぎる先輩の功罪を冗談交じりに振り返る。なお鎌田によれば、「ハセさんはハセさんで僕のことを絶対に褒めてくれなかった」という。長谷部が若き日の鎌田をあえて褒めなかった理由を聞いた稲本は「監督みたいやな(笑)」と笑っていた。
かくいう稲本も2007年~2009年にフランクフルトでプレーしていた。そのため稲本が「どの辺に住んでた? 川沿い?」と尋ねると、鎌田が「いや、僕はみんなが住んでるようなところじゃなくて、動物園の裏に住んでました」と返すなど、フランクフルト居住経験者同士ならではのローカルトークで盛り上がる場面もあった。
こうして幸先よく欧州挑戦の切符を掴んだ鎌田だが、21歳の若者にブンデスの舞台はそう甘くなかった。鎌田は、フランクフルト入団1年目にして「全然力及ばずで。世界ってこんな感じなんだ」と、チームメイトとの実力差を痛感したといい、「試合に出れる気もしなかったし、ベンチに入れたらいいなくらいで。フランクフルトで自分が将来出ているイメージすらつかなかったです」と回顧する。
転機となったのは2018年夏、ベルギーリーグ・シント=トロイデンへのレンタル移籍だった。ここで鎌田は、現アーセナル(英プレミアリーグ)の冨安健洋とともにレギュラーの一角として躍動し、自信を取り戻す。この活躍により2019年夏、フランクフルト復帰の機運が高まるも、当の本人は「フランクフルトには戻るつもりはなかった」という。その理由とは?
しかし当時のフランクフルトの監督から「君を外に出すことはあり得ない。絶対に残ってくれ」「ベルギーから帰ってきて、オーラが変わった」などと口説かれたこともあって、古巣への復帰を決意。以降、主力として定着し、2021-2022シーズンにはヨーロッパリーグでチーム内得点王となる5得点を挙げて優勝に大きく貢献した。
その後、鎌田は2023年にイタリア・セリエA、ラツィオへの移籍を経て、今期からクリスタル・パレスに加入。フランクフルトでは、最終年となった2022-2023シーズンに公式戦16ゴール7アシストを記録するなど、前線に飛び出して決定機に絡むシャドーストライカーとしての才能を開花させた。だが、イングランドでは「前をやりたいという感じじゃない」とし、守備からリズムを作る、いわゆる「6番」のポジションを志向していると明かす。そう語る背景には、欧州トップレベルで活躍するために鳥栖時代から考えていたという、冷静かつクレバーな自己分析に基づく明確なプレービジョンがあった。
とはいえ、その磨き上げた得点力を封印するのは惜しい。稲本は「6番の1個前でチャンスメイクする人が今の日本にはあまりいない。インテンシティが高い上下運動や、ハードワークする人が出てきてないからさ」と説き、「中田英寿タイプかなと思ってんけど?」と分析する。偉大なレジェンドの系譜に当たると指摘された鎌田だが、その反応はいかに?
鎌田が子どもの頃から抱く夢は、「欧州チャンピオンズリーグ(CL)優勝」だという。しかしクリスタル・パレスは、2023-2024シーズンがプレミアリーグ20チーム中10位、2022-2023シーズンが11位と、リーグ中位を定位置とする中堅クラブだ。今季2024-2025シーズンにおけるプレミアリーグのCL出場枠は上位4チームに与えられており、マンチェスター・シティ、リバプール、アーセナル、チェルシーなど強豪を押しのけて出場権を獲得し、CLで勝ち進むことは至難の業と言わざるを得ない。
フランクフルト、ラツィオ時代にCLの舞台を経験している鎌田は、クリスタル・パレス移籍により「今回で(CL優勝の夢からは)少しずれてしまった」とするも、「プレミアで良い成績を残せればどこにでもいけるだろうし。僕が目標としているのは次のワールドカップまで、しっかりとクリスタル・パレスでいい成績を残し、もう一個大きいチームへ行くか、まだプレーしたことのないスペインリーグでやってみること。そのために、プレミアリーグで自分がどれだけできるかが大事になってくると思います」と、2年後に控えた2026年W杯をマイルストーンとし、ちょうど2年契約を締結している現チームで自己研鑽して、さらなる高みを目指す意思を示した。稲本が「プレーしてみたいチームはある?」とストレートな質問をぶつけると、鎌田は「いやもう僕ら世代は完全に……」と、何度も移籍が噂されたあのメガクラブへの憧れを口にした。
2年後に鎌田は30歳。プレイヤーとして欧州のトップレベルで活躍できる時間は限られている。稲本が「ヨーロッパであと何年やりたい?それか、ヨーロッパで終えたい? 長谷部みたいに」と問うと、鎌田は「この感じが続くんだったら、サウジとかに行って、ちゃんとお金を稼いで終わりたい。日本へ行けるんだったら、1年、家族や友だちにプレーしている姿を見せたいというのがあります」と、キャリアの最晩年を規格外の年俸が支払われることで知られるサウジアラビアリーグか、自身の原点であるJリーグでプレーしたいと語った。
続けて「ヨーロッパは良いレベルでやれるのであれば残りたいと思いますけど、そんなに長くやりたい欲は僕はあんまりないです」と述べ、「サウジはそれこそ毎年のように1年契約をしていたので、フリーになったタイミングで散々(オファーが)あったんですけど、この年齢でお金に走るのは僕は違うと思うので」と、幾度となくサウジアラビアリーグからのお誘いがあったことを示唆した。
これまで描いてきた現役選手としてのキャリアプランと同様、引退後のやりたいことも明確だ。鎌田は「サッカー辞めてから監督をやりたいというのも一つある」「ヨーロッパみたいな感じでサッカービジネスをしたくて」とセカンドキャリアの展望を語りつつも、「まぁ、誰かがやり始めたらたぶんやらなくなると思いますけど(笑)。何かやるにしても一番最初にやらないと意味がないじゃないですか」と、最後までらしさ溢れる飄々とした“鎌田節”を披露していた。
このほか番組では、「ヨーロッパに来てからはじめて自分の実力以外のことで苦しんだ」というラツィオ時代の話や、移籍に合わせてさまざまな国に同行する家族との生活事情、大事にしている“自分らしさ”などについても語った。また、YouTubeでは、鎌田と稲本がフル電動SUV「フォルクスワーゲン ID.4 Lite」でドライブする模様も見ることができる。
(構成=小島浩平)
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第5回のゲストは、サッカー日本代表で英プレミアリーグ、クリスタル・パレス所属の鎌田大地。独ブンデスリーガ・フランクフルト時代の同僚・長谷部誠との秘話や、自身が思う適正ポジション、ビッグクラブへの移籍願望などについて語った。聞き手は、元日本代表の稲本潤一が務めた。
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フランクフルトにおける、長谷部 誠の存在感
「2年半後には海外に出る」。2015年、京都の東山高校卒業後にJリーグ・サガン鳥栖へ入団し、プロサッカー選手となったときからそう心に決めていたという鎌田は、当初の目標通り、2017年にフランクフルトへ完全移籍を果たす。
同クラブには、元日本代表キャプテン長谷部誠が2014年より在籍していた。稲本が「(海外で)最初に入ったクラブで日本人がいるって力強いよな」と言うと、鎌田は「良いところもあれば、悪いところもありました」といい、「ドイツで良いプレーをしても、全部『長谷部がアドバイスしたおかげだ』みたいな感じになっていたので(笑)」と、偉大過ぎる先輩の功罪を冗談交じりに振り返る。なお鎌田によれば、「ハセさんはハセさんで僕のことを絶対に褒めてくれなかった」という。長谷部が若き日の鎌田をあえて褒めなかった理由を聞いた稲本は「監督みたいやな(笑)」と笑っていた。
かくいう稲本も2007年~2009年にフランクフルトでプレーしていた。そのため稲本が「どの辺に住んでた? 川沿い?」と尋ねると、鎌田が「いや、僕はみんなが住んでるようなところじゃなくて、動物園の裏に住んでました」と返すなど、フランクフルト居住経験者同士ならではのローカルトークで盛り上がる場面もあった。
「力及ばず」から「残ってくれ」と言われるまで
こうして幸先よく欧州挑戦の切符を掴んだ鎌田だが、21歳の若者にブンデスの舞台はそう甘くなかった。鎌田は、フランクフルト入団1年目にして「全然力及ばずで。世界ってこんな感じなんだ」と、チームメイトとの実力差を痛感したといい、「試合に出れる気もしなかったし、ベンチに入れたらいいなくらいで。フランクフルトで自分が将来出ているイメージすらつかなかったです」と回顧する。
転機となったのは2018年夏、ベルギーリーグ・シント=トロイデンへのレンタル移籍だった。ここで鎌田は、現アーセナル(英プレミアリーグ)の冨安健洋とともにレギュラーの一角として躍動し、自信を取り戻す。この活躍により2019年夏、フランクフルト復帰の機運が高まるも、当の本人は「フランクフルトには戻るつもりはなかった」という。その理由とは?
しかし当時のフランクフルトの監督から「君を外に出すことはあり得ない。絶対に残ってくれ」「ベルギーから帰ってきて、オーラが変わった」などと口説かれたこともあって、古巣への復帰を決意。以降、主力として定着し、2021-2022シーズンにはヨーロッパリーグでチーム内得点王となる5得点を挙げて優勝に大きく貢献した。
その後、鎌田は2023年にイタリア・セリエA、ラツィオへの移籍を経て、今期からクリスタル・パレスに加入。フランクフルトでは、最終年となった2022-2023シーズンに公式戦16ゴール7アシストを記録するなど、前線に飛び出して決定機に絡むシャドーストライカーとしての才能を開花させた。だが、イングランドでは「前をやりたいという感じじゃない」とし、守備からリズムを作る、いわゆる「6番」のポジションを志向していると明かす。そう語る背景には、欧州トップレベルで活躍するために鳥栖時代から考えていたという、冷静かつクレバーな自己分析に基づく明確なプレービジョンがあった。
とはいえ、その磨き上げた得点力を封印するのは惜しい。稲本は「6番の1個前でチャンスメイクする人が今の日本にはあまりいない。インテンシティが高い上下運動や、ハードワークする人が出てきてないからさ」と説き、「中田英寿タイプかなと思ってんけど?」と分析する。偉大なレジェンドの系譜に当たると指摘された鎌田だが、その反応はいかに?
引退後は「監督をやりたい」
鎌田が子どもの頃から抱く夢は、「欧州チャンピオンズリーグ(CL)優勝」だという。しかしクリスタル・パレスは、2023-2024シーズンがプレミアリーグ20チーム中10位、2022-2023シーズンが11位と、リーグ中位を定位置とする中堅クラブだ。今季2024-2025シーズンにおけるプレミアリーグのCL出場枠は上位4チームに与えられており、マンチェスター・シティ、リバプール、アーセナル、チェルシーなど強豪を押しのけて出場権を獲得し、CLで勝ち進むことは至難の業と言わざるを得ない。
フランクフルト、ラツィオ時代にCLの舞台を経験している鎌田は、クリスタル・パレス移籍により「今回で(CL優勝の夢からは)少しずれてしまった」とするも、「プレミアで良い成績を残せればどこにでもいけるだろうし。僕が目標としているのは次のワールドカップまで、しっかりとクリスタル・パレスでいい成績を残し、もう一個大きいチームへ行くか、まだプレーしたことのないスペインリーグでやってみること。そのために、プレミアリーグで自分がどれだけできるかが大事になってくると思います」と、2年後に控えた2026年W杯をマイルストーンとし、ちょうど2年契約を締結している現チームで自己研鑽して、さらなる高みを目指す意思を示した。稲本が「プレーしてみたいチームはある?」とストレートな質問をぶつけると、鎌田は「いやもう僕ら世代は完全に……」と、何度も移籍が噂されたあのメガクラブへの憧れを口にした。
2年後に鎌田は30歳。プレイヤーとして欧州のトップレベルで活躍できる時間は限られている。稲本が「ヨーロッパであと何年やりたい?それか、ヨーロッパで終えたい? 長谷部みたいに」と問うと、鎌田は「この感じが続くんだったら、サウジとかに行って、ちゃんとお金を稼いで終わりたい。日本へ行けるんだったら、1年、家族や友だちにプレーしている姿を見せたいというのがあります」と、キャリアの最晩年を規格外の年俸が支払われることで知られるサウジアラビアリーグか、自身の原点であるJリーグでプレーしたいと語った。
続けて「ヨーロッパは良いレベルでやれるのであれば残りたいと思いますけど、そんなに長くやりたい欲は僕はあんまりないです」と述べ、「サウジはそれこそ毎年のように1年契約をしていたので、フリーになったタイミングで散々(オファーが)あったんですけど、この年齢でお金に走るのは僕は違うと思うので」と、幾度となくサウジアラビアリーグからのお誘いがあったことを示唆した。
これまで描いてきた現役選手としてのキャリアプランと同様、引退後のやりたいことも明確だ。鎌田は「サッカー辞めてから監督をやりたいというのも一つある」「ヨーロッパみたいな感じでサッカービジネスをしたくて」とセカンドキャリアの展望を語りつつも、「まぁ、誰かがやり始めたらたぶんやらなくなると思いますけど(笑)。何かやるにしても一番最初にやらないと意味がないじゃないですか」と、最後までらしさ溢れる飄々とした“鎌田節”を披露していた。
(構成=小島浩平)
『BE TRUE』について
“自分らしさ”にある成功のカギを解き明かす『BE TRUE』は、各界でトップレベルのアスリートが登場。現在は、吉田沙保里(元レスリング日本代表)×狩野舞子(元バレーボール日本代表)のエピソードも配信中で、映像&音声で楽しめます。【本編を聴く&観る】
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