星野 源の楽曲、尊敬するポイントは？ 離婚伝説の別府 純に音楽のルーツを聞く

離婚伝説の別府 純（Gt）が、自身の音楽のルーツや1stアルバム『離婚伝説』への想いについて語った。

別府が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『SAPPORO BEER OTOAJITO』（ナビゲーター：クリス・ペプラー）。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談義を繰り広げる番組だ。オンエアは4月13日（土）。

この番組では、ゲストがビールに合う“おみや”を紹介する。別府は「スルメイカ」を持参し、ビールとともに楽しんだ。

初めてギターを持ったのは小学生のとき

別府は埼玉県越谷市出身。初めて買った楽器は、リサイクルショップに売っていたギターだった。

別府：自分のギターを初めて買ったのは中学校2年生ぐらいでした。自分でリサイクルショップに行って、ゴミ同然のたぶん2000円ぐらいで買える、お小遣いの範囲内で買えるのを買ってきて弾いていました。

クリス：2000円で買えるギターがあったの？

別府：リサイクルショップでもジャンク品みたいな。でも初めて買ったギターだから、どこが壊れているのかもわからなくて弾いていました。

クリス：アンプは一緒に買ったの？

別府：アンプがないとでかい音が出ないと知らなくて。エレキギターを弾き始めてからちょっとしてからアンプというものが必要だと気づきました。それもまたリサイクルショップで買ってという感じで、ようやく大きな音を出せました。

クリス：そうするとクリーントーンというか、エフェクターも？

別府：またそこの問題があって。ギタリストは大体「誰かに教わった」「友だちの中で弾けるやつがいて」みたいな感じが多いんですけど、楽譜の見方を教えてくれる人もいないし、エフェクターというものがなんなのかも教えてもらえなくて、かなり遠回りしたほうなのでは、と思っています。

クリス：普通だったら学校でギターがブームになって何人かがやるようになり、お互いに情報交換したりできるけど、それがなかったと。でも遠回りしたおかげでの効能みたいなのはありましたか？

別府：早回りできるなら早回りしたほうがいいです（笑）。

クリス：自分のギターを買って本格的にのめり込んで弾いた曲の中で、覚えている曲はありますか？

別府：Red Hot Chili Peppersがなぜか中学校の友だち周りではやり出して。『Give It Away』という曲で、巻き舌の感じがたぶん中学生には面白く聴こえたんでしょうね。このギターが弾きたくてエレキギターを買ったという感じです。

クリス：『Give It Away』を聴いてやりたかったと。

別府：バンドを意識して聴き始めたのがRed Hot Chili Peppersです。それまでは大きく「音楽」みたいな感じだったんですけど、バンドはレッチリが最初です。

クリス：そうすると、John Frusciante（Red Hot Chili Peppersのギタリスト）ですか？

別府：僕はFruscianteですね。

クリス：最初にいいなと思ったのがFruscianteだったんだ。Fruscianteならエフェクターかけなくても乾いた音だから。当然エフェクターはかませているんだけど、ほかの人たちにくらべたらクリーンに近いよね。その2000円のギターのほうが逆にFruscianteの音が出そうな感じがします。

別府：それっぽいかもしれないです。

クリス：あの人はわざと「かっこよくない音」にするよね。

別府：劣化した音になっていますよね。

The Beatlesの話「ちなみに誰派ですか？」

Red Hot Chili Peppersに加えてRadioheadの楽曲も聴くようになり、ギタリストのJonny Greenwoodにも影響を受けたという別府は、そこから分岐するような形でさまざまな音楽に触れていったそうだ。

別府：Red Hot Chili Peppersが好きになって、結局その人たちが好きだった音楽をさかのぼっていくじゃないですか。それでThe Beatlesに出会って「この人たちに憧れてやっている人が、この世界にはいっぱいいるんだ」と気づいて、すごく尊敬というか、僕の中でも大事なグループになりました。

クリス：The Beatlesだと、どのへんのアルバムが好きですか？

別府：初期のロックンロールより後期のほうが好きで。ベタですけど『Abbey Road』ですかね。

クリス：じゃあホワイトアルバム（『The Beatles』）以降みたいな。ちなみに誰派ですか？

別府：これはめちゃくちゃ難しいですよね。僕はJohn Lennon派なんですよね～。アンセムみたいな曲も書いてくれるPaul McCartneyも大好きなんですけど、Johnがやっぱり好きかな。

クリス：Paulは万人受けするけど、Johnはちょっとへそ曲がりな感じがあるしね。

別府：でも一番好きな曲は『Something』なんです（笑）。

クリス：俺もそう！　John派なんだけど「なにが好きなのか」と言うとGeorge Harrisonの曲で『Something』と『While My Guitar Gently Weeps』の2曲。Georgeが一番モータウンなのかな。

別府：確かにそうかもしれないです。

クリス：ちなみにレッチリだとどのアルバムが一番好きですか？

別府：出会ったときに出ていた『Stadium Arcadium』と答えています。

クリス：それは自分が出会ったからということだよね。

別府：その衝撃は超えられないです。

尊敬するアーティストは星野 源

別府は番組の事前アンケートに「尊敬するアーティストは星野 源」と回答。その理由を明かした。

別府：僕がやりたいことをもうやってくれているというか。音楽はグローバルになりましたが、僕はどちらかというと土着的であるものかなと思っていて。日本人は日本の音楽をやっていったほうが、音楽にとってすごく多様的になれるんじゃないかなと思います。その中で、自分の影響を受けてきた音楽を、J-POPというものに、日本の音楽に落とし込むのが一番うまいと思って、すごく尊敬しています。

クリス：彼のJ-POPはいろいろな影響を受けていると聞きます。独特なシャッフルビートみたいな、彼の好きなスタイルがなんとなく見えてきます。でもその土台の上にJ-POPというか日本の音楽のエッセンスをうまく乗せていって、オリジナリティあふれる作風というか、スタイルを彼は持っていますよね。彼の楽曲で好きなのはあります？

別府：『不思議』という曲は一番好きです。

クリス：本人には会ったことはあるの？

別府：一度もないんです。出身地も隣の隣の街ぐらいで、そういう話もしたいんですが、なかなか会えないですね。でも音楽を頑張って自然に会えたらなと思います。

また先日、Zepp Shinjukuで君島大空のライブを観て、内容のすごさに「悔しい」とまで思ったという別府。ライブを見るときに注目する点を語る。

別府：笑顔になってしまう、なにか溢れるものがあったらすごくうれしいなと思うので、大切なのは熱量が伝わってくるか、こないかですかね。

クリス：君島くんのZeppライブは熱量を感じた？

別府：はい。

クリス：聞く話によると、別府くんはあるバンドのライブを観て就活をやめたとか。それは本当ですか？

別府：本当です。“どついたるねん”というバンドがいまして。変なバンドなんですけど（笑）。ふざけているようなバンドで、そういう一面があるのは知っていたんですけど、「本気で本心でふざけているんだ、この人たち」というのが伝わってきて。電気グルーヴが昔やっていた人生というバンドみたいな感じで。この人たちは真剣に楽しんでいるんだと思ったときに「僕もやりたいな」と思って就活をやめました。

配信時代だけど、物として残したい

離婚伝説の1stアルバム『離婚伝説』が3月20日にリリースされた。1枚目のアルバムにグループ名をつけた理由などを語った。

別府：このアルバムに関しては、大まかなテーマはないんです。本当に写真をいっぱいまとめたアルバム、「僕たちの2年間のアルバムです」みたいな感じになっているので、離婚伝説の『離婚伝説』というものになっています。

クリス：最近は配信やサブスクで聴くので、アルバムよりも1曲という聴き方をされますよね。アルバムとして音楽を聴く楽しみやこだわりはありますか？

別府：僕はぎりぎりアルバム世代で、TSUTAYAでアルバムを借りて聴いたりしていました。まあ音楽は時代によって変わりゆくものなので、僕自体「アルバムって本当に必要なのかな」と実は思っていますね。でもやっぱりCDにして出すとか、物にして出すのはすごく大事だと思っていて。もし音楽配信が急に止まってしまい、もう一生この世からなくなっちゃうと思ったらすごく怖くて。なにか物にして残したいなという。50年後、100年後、たまたま誰かがどこかで聴けるようにしたいというのはあります。

クリス：配信だと終わっちゃったら「どこにあるの？」みたいな感じだけどね。

別府：急に『北斗の拳』みたいな世界になっちゃったら、配信はもう聴けないので。『マッドマックス』もラジカセを持ったりしているじゃないですか（笑）。CDがあったら聴けるかもしれないので、やっぱり出すべきだなと。

クリス：音源があればそれを再生する技術は生まれるだろうけど、音源がなければね。

離婚伝説は1stアルバムを引っ提げて東京、愛知、大阪をまわるワンマンツアー「渚のランデブー」を開催する。東京は7月12日（金）、恵比寿LIQUIDROOMでおこなわれる。さらに追加公演として7月30日（火）恵比寿LIQUIDROOMも決定。

クリス：「渚のランデブー」ってこれもまた昭和な感じですが、そういう雰囲気を醸し出したかったんでしょうか。

別府：それもありますけど、そうやってちょっとでも興味を引くことを僕たちはずっと考えています。「昭和っぽくない？」というフックになるような。

クリス：ずばり、離婚伝説のライブの見どころはなんでしょう？

別府：ボーカルの松田のスター性じゃないですか。

クリス：自分は？

別府：俺は名脇役でいいので（笑）。

離婚伝説の最新情報は、公式サイトをチェック。

番組の公式サイトに過去ゲストのトーク内容をアーカイブ。オンエアで扱った音楽の情報も掲載している。

・過去ゲストのアーカイブページ
https://www.j-wave.co.jp/original/otoajito/archives.html

『SAPPORO BEER OTOAJITO』では、毎週さまざまなゲストを迎えてお酒を飲みながら音楽トークを繰り広げる。放送は毎週土曜18時から。