J-WAVEで、音楽を題材にしたマンガを特集した。ゲストに、マンガに詳しいOKAMOTO’Sのオカモトショウ(Vo)がそれぞれの作品に合った曲をセレクトした。
この内容を扱ったのは、J-WAVEで4月10日(水)に放送された『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)だ。
【SONAR MUSICは番組公式LINEでも情報発信中】
「マンガ大賞」の選考委員も務めているというオカモトショウは、17歳の高校時代から多数のマンガ週刊誌を読み続けてきたそうで、テーマに沿って厳選した作品を紹介した。
まず「音の表現がすごい」マンガ作品として、石塚真一の『BLUE GIANT』をピックアップ。ジャズミュージシャンをテーマにした作品で、2023年には映画化もされた。
オカモトショウ:石塚さんはほかに『岳』という山登りのマンガも描いています。本当にすごいマンガ家さんだと思います。ジャズの話で最近、映画にもなったからね。
あっこゴリラ:2回観に行きました。
オカモトショウ:俺まだ映画観てないのよ。サントラだけ聴いた(笑)。泣いちゃうから観られないというか。
あっこゴリラ:大号泣、もうやばかった。
オカモトショウ:ジャズって本当にいろいろな人に誤解されている音楽だと思っていて。本当にすばらしい、人間がいまを生きる即興演奏だから、その場でしか生まれない音というものをお互いにやり合う音楽なんです。それを絵や言葉で伝えることができているマンガというのは、奇跡としか言えないというか。マンガを読んでいると本当に涙が出てきちゃう。
オカモトショウは同作を読むと作者から「ジャズを本当に好きで描いている」というのが伝わってくるのだと熱弁を振るった。
オカモトショウ:俺が地味に泣けてしまうのは、(この作品は)高校生がサクソフォンを買ってもらってジャズをやって、どんどん頑張っていきながら世界を目指していくというマンガなんだけど。主人公の宮本 大がサクソフォンを吹いたときに、お客さんが音にやられちゃうの。「聴いたことない感じだけど、すごいかも、ジャズ」となるお客さんの声に泣けちゃって。これは本当にジャズが好きな人が描いているから「こう思うよね」とか「こう感動しちゃうよね」みたいな言葉がこんなバリエーションで書かれているというのに「わかる!」って、こっちがなってしまう、すばらしいマンガだと思います。
番組ではオカモトショウが『BLUE GIANT』に合う曲としてセレクトしたIllinois Jacquetの『Mutton Leg』をオンエアした。
あっこゴリラ:熱いね。沸騰している感じだね。
オカモトショウ:ジャズを演奏しているバンドの人数で言うと(このバンドは)『BLUE GIANT』で出てくるバンドの人数よりも多くて、トロンボーンとかトランペットもいるんです。よくマンガのなかに「ソロがもう一段上がった、このまま駆け上がるのか」とか「バババババババ」と書いてあるところが出てくるけれど、この曲は2分ちょっとなものの「ここからまた一段上がるんだ、え? まだいくんだ」というソロをやっていく。BPMが速い熱い曲という意味では、俺はこの曲なんです。
オカモトショウ:ロバート・ジョンソンは「ある日、十字路で自分の魂を悪魔に売ったから、こんなにすごいブルースができているんだ」なんて言われていた人です。たぶん、27歳で亡くなった最初のミュージシャンなんじゃないかな。
あっこゴリラ:27クラブ(27歳で死亡した有名ミュージシャンやアーティスト、俳優の一覧)の最初と言われていますよね。
オカモトショウ:情報も少なくてミステリアスで、死に方も不思議だったりする。そんなロバート・ジョンソンのことをドキュメンタリーとして追いかけたマンガです。
あっこゴリラ:これ読みたい! 絵もかっこいい。
オカモトショウ:これはめちゃめちゃかっこいいです。『アゴなしゲンとオレ物語』は同じ絵なんですけど、ギャグマンガでもっとギャグに振り切っていて。ギャグマンガを描いていた人だからシリアスなブルースマンの話も若干面白おかしく描いてくれています。
あっこゴリラ:いいですね。
オカモトショウ:締めるところは締めて、緩めるところは緩めるという意味でも、マンガとしてもいいです。
あっこゴリラ:これは絶対に読もう。この本を読んでショウくんが頭のなかに流れた曲はロバジョンですか?
オカモトショウ:違うんです。このマンガのなかにも出てくる師匠と言われるサン・ハウスという(人の曲)。ロバジョンの音源はいいんだけど伝わりづらい部分もあって、マンガを読んでぜひ聴いてもらったらいいけど、それよりも迫力があるかなと思うものを選びました。
番組ではオカモトショウがセレクトした、サン・ハウス『Death Letter Blues』をオンエアした。
オカモトショウ:メンバーそれぞれがヒーローなんです。コユキ、竜介、千葉、平、桜井というキャラクターがいて、「この人だけ見ていればいいや」という画じゃないんです。バンドの理想像として『BECK』で描いているのが「みんなの名前を覚えたくなるな」ということ。俺たちが好きなバンドもまさにそうだし、一人ひとり「あ、きっとこのベースはレッチリ(Red Hot Chili Peppers)の感じなんだろうな」「このラップの感じはRage Against the Machineかな」「この歌の感じはOasisかな」とか、音楽を好きで聴いている人が、このマンガを読むと連想されるようなものがある。俺たちはもちろん『BECK』を読んでバンドを組んだというわけではないのだけど、バンドを始めたときに『BECK』があってよかったなみたいな、そんなマンガです。
あっこゴリラ:いいね。全員ヒーローみたいな話があったけど、これって音楽マンガに限らず『SLAM DUNK』や『ワンピース』もそうだけど、モブこそ超かっこいいみたいな。「こいつ一番やべえじゃん」みたいにさせるマンガ大好き(笑)。
番組ではオカモトショウがセレクトしたRed Hot Chili Peppers『By The Way』をオンエアした。
オカモトショウ:女の子がある日思い立って、いろいろな悶々とした気持ちを抱えて旅に出ます。その先で出会った女の人に言われて「旅であなたはこの神聖な島に行きなさい」と言われて行ったら、そこで初めて世界が歌でできていることを知り、自分が目覚め……。そこから「持って帰ってはいけないよ」と言われたものを持って帰ってしまったせいで……というあらすじですが、これだけ聞いても「なんの話だろう」と思います。
あっこゴリラ:すごく読みたい。
オカモトショウ:古代ギリシア語で「アトム」と呼ばれるもの(原子)、もののすべてを作るもとになっているアトム(原子)の動きを説明するときに使う言葉が(現在使われる)「リズム」の原語になりました。だからものにはすべてリズムがあって、そのリズムがお互いに影響し合って世界が歌を歌っている、というある種哲学に近いですよね。それがこの作品が歌にフォーカスしていると挙げた理由です。そんな素敵な世界のとらえ方があるのだと。あと俺たちはミュージシャンだから「音楽ってなんなんだろう? なんで俺はこんなに心を惹かれるんだろう」ということの1個の答えのような気がするぐらいです。
あっこゴリラ:これはやばい。
オカモトショウ:「なんの話だろう」思いつつだと思いますが、読んでみたら伝わるものもあると思いますのでぜひ読んでもらいたいです
番組ではオカモトショウがセレクトしたThe Beatlesの『Tomorrow Never Knows』をオンエアした。
オカモトショウ:「こんなマンガあっていいんですか?」みたいな。これはちょっとしたカルト的人気を誇っているマンガで、アンダーグラウンド界のどメジャー作品ではあります。マンガ好きからしたら知っている人多いとは思いますが、だいぶサイケデリックなマンガになっています。「どういう話ですか?」「どういう主人公がどういう気持ちで?」というのをぶっちぎって、絵と「そこでそうやって話つなげちゃうんだ」みたいなこととか、そういう表現としてのアート性があるマンガだと思います。ぜひ心を空っぽにして読んでもらえたら楽しめるのかなと。
あっこゴリラ:1ページだけ見ているんですが、これはすごいよ。だいぶ“飛んで”らっしゃいます。
オカモトショウ:かっこいいです。「俺はいま、すごくかっこいいものを読んでいる気がする」と、その人のとんでもない表現を読んでいる気がする。これは完結していないので、してほしい。どうにか誰かがこの続きを描いてくれるようにぜひ(作者に)伝えてほしいなと思っているマンガです。
オカモトショウは『ウルトラヘヴン』に合う曲としてChemical brothersの『Feels like I am dreaming』をセレクトした。
OKAMOTO'Sの最新情報は、公式サイトまで。
音楽を愛する全ての人と作り上げる(超)進化型音楽番組『SONAR MUSIC』の放送は毎週月曜日から木曜日の22時から。
この内容を扱ったのは、J-WAVEで4月10日(水)に放送された『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)だ。
【SONAR MUSICは番組公式LINEでも情報発信中】
音の表現がすごい『BLUE GIANT』
再生は2024年4月17日28時ごろまで
まず「音の表現がすごい」マンガ作品として、石塚真一の『BLUE GIANT』をピックアップ。ジャズミュージシャンをテーマにした作品で、2023年には映画化もされた。
オカモトショウ:石塚さんはほかに『岳』という山登りのマンガも描いています。本当にすごいマンガ家さんだと思います。ジャズの話で最近、映画にもなったからね。
あっこゴリラ:2回観に行きました。
オカモトショウ:俺まだ映画観てないのよ。サントラだけ聴いた(笑)。泣いちゃうから観られないというか。
あっこゴリラ:大号泣、もうやばかった。
オカモトショウ:ジャズって本当にいろいろな人に誤解されている音楽だと思っていて。本当にすばらしい、人間がいまを生きる即興演奏だから、その場でしか生まれない音というものをお互いにやり合う音楽なんです。それを絵や言葉で伝えることができているマンガというのは、奇跡としか言えないというか。マンガを読んでいると本当に涙が出てきちゃう。
オカモトショウは同作を読むと作者から「ジャズを本当に好きで描いている」というのが伝わってくるのだと熱弁を振るった。
オカモトショウ:俺が地味に泣けてしまうのは、(この作品は)高校生がサクソフォンを買ってもらってジャズをやって、どんどん頑張っていきながら世界を目指していくというマンガなんだけど。主人公の宮本 大がサクソフォンを吹いたときに、お客さんが音にやられちゃうの。「聴いたことない感じだけど、すごいかも、ジャズ」となるお客さんの声に泣けちゃって。これは本当にジャズが好きな人が描いているから「こう思うよね」とか「こう感動しちゃうよね」みたいな言葉がこんなバリエーションで書かれているというのに「わかる!」って、こっちがなってしまう、すばらしいマンガだと思います。
番組ではオカモトショウが『BLUE GIANT』に合う曲としてセレクトしたIllinois Jacquetの『Mutton Leg』をオンエアした。
あっこゴリラ:熱いね。沸騰している感じだね。
オカモトショウ:ジャズを演奏しているバンドの人数で言うと(このバンドは)『BLUE GIANT』で出てくるバンドの人数よりも多くて、トロンボーンとかトランペットもいるんです。よくマンガのなかに「ソロがもう一段上がった、このまま駆け上がるのか」とか「バババババババ」と書いてあるところが出てくるけれど、この曲は2分ちょっとなものの「ここからまた一段上がるんだ、え? まだいくんだ」というソロをやっていく。BPMが速い熱い曲という意味では、俺はこの曲なんです。
「伝説のブルースミュージシャン」の生涯を描く
続いてオカモトショウが選んだのは、平本アキラによるマンガ『俺と悪魔のブルーズ』だ。『アゴなしゲンとオレ物語』のヒットで知られる作者による作品で、27歳で亡くなった伝説のブルースミュージシャンのロバート・ジョンソンをモチーフにしている。オカモトショウ:ロバート・ジョンソンは「ある日、十字路で自分の魂を悪魔に売ったから、こんなにすごいブルースができているんだ」なんて言われていた人です。たぶん、27歳で亡くなった最初のミュージシャンなんじゃないかな。
あっこゴリラ:27クラブ(27歳で死亡した有名ミュージシャンやアーティスト、俳優の一覧)の最初と言われていますよね。
オカモトショウ:情報も少なくてミステリアスで、死に方も不思議だったりする。そんなロバート・ジョンソンのことをドキュメンタリーとして追いかけたマンガです。
あっこゴリラ:これ読みたい! 絵もかっこいい。
オカモトショウ:これはめちゃめちゃかっこいいです。『アゴなしゲンとオレ物語』は同じ絵なんですけど、ギャグマンガでもっとギャグに振り切っていて。ギャグマンガを描いていた人だからシリアスなブルースマンの話も若干面白おかしく描いてくれています。
あっこゴリラ:いいですね。
オカモトショウ:締めるところは締めて、緩めるところは緩めるという意味でも、マンガとしてもいいです。
あっこゴリラ:これは絶対に読もう。この本を読んでショウくんが頭のなかに流れた曲はロバジョンですか?
オカモトショウ:違うんです。このマンガのなかにも出てくる師匠と言われるサン・ハウスという(人の曲)。ロバジョンの音源はいいんだけど伝わりづらい部分もあって、マンガを読んでぜひ聴いてもらったらいいけど、それよりも迫力があるかなと思うものを選びました。
番組ではオカモトショウがセレクトした、サン・ハウス『Death Letter Blues』をオンエアした。
バンドの理想像の青春群像劇『BECK』
3つ目の作品としてオカモトショウはハロルド作石の『BECK』をセレクトした。ひょんなことからバンドを組んだ学生たちが音楽と向き合い、バンドとしての成長を描いた青春群像劇だ。オカモトショウ:メンバーそれぞれがヒーローなんです。コユキ、竜介、千葉、平、桜井というキャラクターがいて、「この人だけ見ていればいいや」という画じゃないんです。バンドの理想像として『BECK』で描いているのが「みんなの名前を覚えたくなるな」ということ。俺たちが好きなバンドもまさにそうだし、一人ひとり「あ、きっとこのベースはレッチリ(Red Hot Chili Peppers)の感じなんだろうな」「このラップの感じはRage Against the Machineかな」「この歌の感じはOasisかな」とか、音楽を好きで聴いている人が、このマンガを読むと連想されるようなものがある。俺たちはもちろん『BECK』を読んでバンドを組んだというわけではないのだけど、バンドを始めたときに『BECK』があってよかったなみたいな、そんなマンガです。
あっこゴリラ:いいね。全員ヒーローみたいな話があったけど、これって音楽マンガに限らず『SLAM DUNK』や『ワンピース』もそうだけど、モブこそ超かっこいいみたいな。「こいつ一番やべえじゃん」みたいにさせるマンガ大好き(笑)。
番組ではオカモトショウがセレクトしたRed Hot Chili Peppers『By The Way』をオンエアした。
音楽への1つの答えだと思えるマンガ
続いてオカモトショウが選んだマンガは五十嵐大介の『魔女』。2巻で完結している短編集で、2巻に収録されている「うたぬすびと」が特に音、歌にフォーカスした話になっているという。オカモトショウ:女の子がある日思い立って、いろいろな悶々とした気持ちを抱えて旅に出ます。その先で出会った女の人に言われて「旅であなたはこの神聖な島に行きなさい」と言われて行ったら、そこで初めて世界が歌でできていることを知り、自分が目覚め……。そこから「持って帰ってはいけないよ」と言われたものを持って帰ってしまったせいで……というあらすじですが、これだけ聞いても「なんの話だろう」と思います。
あっこゴリラ:すごく読みたい。
オカモトショウ:古代ギリシア語で「アトム」と呼ばれるもの(原子)、もののすべてを作るもとになっているアトム(原子)の動きを説明するときに使う言葉が(現在使われる)「リズム」の原語になりました。だからものにはすべてリズムがあって、そのリズムがお互いに影響し合って世界が歌を歌っている、というある種哲学に近いですよね。それがこの作品が歌にフォーカスしていると挙げた理由です。そんな素敵な世界のとらえ方があるのだと。あと俺たちはミュージシャンだから「音楽ってなんなんだろう? なんで俺はこんなに心を惹かれるんだろう」ということの1個の答えのような気がするぐらいです。
あっこゴリラ:これはやばい。
オカモトショウ:「なんの話だろう」思いつつだと思いますが、読んでみたら伝わるものもあると思いますのでぜひ読んでもらいたいです
番組ではオカモトショウがセレクトしたThe Beatlesの『Tomorrow Never Knows』をオンエアした。
アンダーグラウンド界のどメジャー作品
オカモトショウが「マンガを読まない音楽好きな人でも『音楽くらいかっこいいマンガ』として読める」と、最後に選んだのは小池桂一の『ウルトラヘヴン』だった。オカモトショウ:「こんなマンガあっていいんですか?」みたいな。これはちょっとしたカルト的人気を誇っているマンガで、アンダーグラウンド界のどメジャー作品ではあります。マンガ好きからしたら知っている人多いとは思いますが、だいぶサイケデリックなマンガになっています。「どういう話ですか?」「どういう主人公がどういう気持ちで?」というのをぶっちぎって、絵と「そこでそうやって話つなげちゃうんだ」みたいなこととか、そういう表現としてのアート性があるマンガだと思います。ぜひ心を空っぽにして読んでもらえたら楽しめるのかなと。
あっこゴリラ:1ページだけ見ているんですが、これはすごいよ。だいぶ“飛んで”らっしゃいます。
オカモトショウ:かっこいいです。「俺はいま、すごくかっこいいものを読んでいる気がする」と、その人のとんでもない表現を読んでいる気がする。これは完結していないので、してほしい。どうにか誰かがこの続きを描いてくれるようにぜひ(作者に)伝えてほしいなと思っているマンガです。
オカモトショウは『ウルトラヘヴン』に合う曲としてChemical brothersの『Feels like I am dreaming』をセレクトした。
OKAMOTO'Sの最新情報は、公式サイトまで。
音楽を愛する全ての人と作り上げる(超)進化型音楽番組『SONAR MUSIC』の放送は毎週月曜日から木曜日の22時から。
radikoで聴く
2024年4月17日28時59分まで
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
番組情報
- SONAR MUSIC
-
月・火・水・木曜22:00-24:00