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ゲーム、ゴスロリ、コスプレも…起業家・ハヤカワ五味が明かす、“好き”をビジネスに発展させた半生

ゲーム、ゴスロリ、コスプレも…起業家・ハヤカワ五味が明かす、“好き”をビジネスに発展させた半生

起業家のハヤカワ五味さんが、東京の神保町で過ごした子ども時代の思い出やビジネスに目覚めたきっかけ、さらには、大好きなRPGから学んだチームビルディングの極意ついて語った。

ハヤカワさんは1995年生まれの28歳。大学時代に立ち上げたバストが小さい女性向けのランジェリーブランド「feast(フィースト)」をはじめ、あらゆる人が自分らしく生きられるような社会の実現に向けて、様々な事業に取り組んでいる若手実業家だ。

ハヤカワさんが登場したのは、俳優の小澤征悦がナビゲーターを務めるJ-WAVEの番組『BMW FREUDE FOR LIFE』(毎週土曜 11:00-11:30)。同番組は、新しい時代を切り開き駆け抜けていく人物を毎回ゲストに招き、BMWでの車中インタビューを通して、これまでの軌跡や今後の展望に迫るプログラムだ。

・ポッドキャストはこちら
https://www.j-wave.co.jp/podcasts/
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「ハヤカワ五味」名前の由来とは?

ハヤカワさんを乗せて東京都心を走り出した「BMW iX3 M Sport」。まずは、一度聞いたら忘れられないその名前の由来について語ってもらった。

ハヤカワ:「ハヤカワ五味」は、いわゆるペンネームです。私は神保町出身で、出版社や本屋が多い環境で育ってきたんですけど、出版社に漫画を持ち込みするときに決めたペンネームが「ハヤカワツバサ」でした。以来、ずっと「ハヤカワ」を名乗っているので、人生の半分以上「ハヤカワ」です。「五味」に関しては、当時2ちゃんみたいなところで叩かれたりしたときに「ゴミを量産するな」と言われて、「じゃあ名前にもゴミを入れて対抗してやるよ」という気持ちで付けたものです。その結果できた「ハヤカワ五味」という名前を、高校生ぐらいから使っています。このペンネームを決める上で影響を受けたのは、古屋兎丸(ふるや・うさまる)先生という漫画家さんです。その方がペンネームを画数が良い名前に変えたら、めちゃくちゃ売れたという話をしていたので、「ハヤカワ五味」も、縁起の良い画数になるよう調整してカタカナと漢字を組み合わせています。

インターネットの書き込まれたネガティブなコメントをあえて自らの名前に取り入れ、その後の活躍によって批判を跳ね返してきたハヤカワさんだが、幼少期はどんな子どもだったのだろうか?

ハヤカワ:小さい頃は、とにかくモノを作ることが好きな子でした。たとえば、小説書いたり、絵を書いたり、図画工作をしたり。最初は漫画家になりたいと思い、出版社へ漫画の持ち込みをしていたのですが、小学校の卒業文集には、ゲームのキャラクターデザイナーになりたいと書いていました。というわけで、当時はゲームもよくやっていたんですけど、中でも、「ドラクエ」や「ポケモン」などのRPGに熱中し、大きな影響を受けた気がします。そのせいもあって、自分のビジネスの考え方やキャリアの積み方は、RPG的発想から来ているものが多いんですよ。比喩を使うときに「RPGで言うと……」みたいな言い方をしてしまうこととかありますしね(笑)。

コスプレとの出会いが転機に

「BMW iX3 M Sport」は、ハヤカワさんが育った神田・神保町エリアへ。同エリア近辺で開催されたあるイベントとの出会いが、10代の少女をビジネスの世界へ駆り立てる遠因になったようだ。
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ハヤカワ:私はコスプレが趣味なのですが、神保町のほど近くにあった後楽園ゆうえんち(現:東京ドームシティ)で開催されていたコスプレのイベントをたまたま目撃したことがきっかけで興味を持ちました。実際にコスプレを始めたのは、13歳の終わりから14歳にかけての中学1~2年生のとき。私の場合、アニメ、漫画、ゲームなど、同じ作品を好きな者同士で知り合えることがコスプレをやる最大の動機でした。当時は、ボーカロイドの初音ミクや、アニメ「マクロスフロンティア」のキャラクター、ランカ・リーなどに扮していましたね。どちらかと言うと、自分がめちゃくちゃやりたいというよりは、「これだったらコストをかけずにやれる」という金銭的な理由でコスプレする対象を選んでいました。私の家は、高校卒業までバイト禁止かつお年玉制。だから、基本的に買いたいものはお年玉の範囲で何とかするしかなかったんです。当然ながら、コスプレの衣装やウィッグを買うにしても、イベントへ行くにしても全てお金がかかる。そこで「お年玉を増やすしかない」と考え始めたのが、ビジネス的な気持ちの芽生えでしたね。

ロリィタファッションの魅力とは?

コスプレとともに、ハヤカワさんを虜にしたのがロリィタファッションだ。その魅力は「自分がかわいいと思った衣装を全力で着られること」なのだという。

ハヤカワ:子どもの頃に、「こんな服が着たい」「このキャラクターの格好可愛いな」と憧れたことって、誰しもある気がするんですよ。それをもっと全力でやれるみたいな感じです。私の場合は「このコスチュームを手に取ってみたい」という気持ちでコスプレを、「この服を作ってみたい」というモチベーションで衣装作りを始めました。ロリィタファッションに関しては、フリルやリボンがたくさん付いた可愛いファッションアイテムを全力で身に付けられるし、それに、1番自分らしい格好だと思って始めたんですよね。

ロリィタファッションを全力で楽しむ中で、直面したのはやはりお金の問題だった。

ハヤカワ:ロリィタ服ってほんとに高いんですよ。たとえば、ワンピース1着で3万円~4万円は当たり前、カチューシャも1万円近く、極めつけは靴下1足で4000円くらいするんです。だから、1足あれば、色々な着回しを楽しめるような靴下やタイツが欲しいと思っていました。そんな発想からスタートして作ったのが、切り取り線のタイツと木目調のストッキングです。切り取り線、ハサミなどのモチーフがそもそも好きだったというのもありますし。木目調に関しては、お人形さんみたいなビジュアルになりたくて作りました。当時、プリントタイツ、プリントストッキングが流行っていたので、その流れに乗って思い付いたんですよね。最初は、自分用に作り始めたんですけど、完成品の写真をブログに掲載すると、たくさんの人から「それ私も欲しい」「それ私の分も作って」と言っていただきました。そこからちょくちょく作り始めたことが拡大の第一歩でしたね。
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下着ブランド展開の背景にある思い

ハヤカワさんが高校時代に制作したデザインタイツは大きな注目を浴び、起業家としての道を歩む大きなきっかけとなった。その後、大学入学してから、ランジェリーブランド「feast」を立ち上げるのだが、同ブランド誕生の背景にあるものとは?

ハヤカワ:あの頃、私のモノづくりにおけるモチベーションは「自分が欲しいものを作りたい」でした。下着に関して全く選択肢がない状況の中、「かわいい下着を選んで着たい」という気持ちから手掛けたのが、胸が小さい方向けのランジェリーブランド「feast」です。当時、私のSNSのフォロワー数はまだ3桁ほどだったんですけど、feastの商品写真などをアップしたところ、一気にバズって2万リツイートくらい伸びて、多くの方に知っていただきました。このときにモノを作って大規模に売るということを初めてやったわけですが、自分の考えた商品が一気に多くの人の手に渡ることがすごく楽しいと感じましたね。今までの10倍、100倍の量をユーザーの方へお届けしている分、フィードバックや感想が数えきれないくらい集まってくる。それが自分のやりがいになっていたんです。

モノづくりの基本は、どういった方がどういったときに必要としてくださるかを考えることだと思います。これまでは「自分が欲しい」という願望から制作していたのですが、年齢を重ねるごとに少しずつ視野が広がり、色々なモノが見えてきました。なので今は、人に欲しがってもらえるもの、人が必要としてくれるものを考えて作れるようになってきた気がします。

RPGから学んだチーム作りの極意

様々なブランドや会社を立ち上げ、事業を成功に導いていくハヤカワさん。現在は、株式会社「ウツワ」の代表取締役、さらには、株式会社「ユーグレナ」に参加し、働く女性の妊娠・出産を考えるブランドのマネージャーとしても活躍。
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あらゆる仕事で最大のパフォーマンスを引き出す上で大切にしていることは何なのか――。その答えは、幼少期から夢中になっていたゲームの世界にあるようだ。

ハヤカワ:チームビルディングにおいて、すごい人ばかりを集めればすごいチームになるかといえば、実はそうでもありません。力がある人だけではうまくバランスが取れず、逆に、力が必要ない場面で脆弱性を露呈することもあるんです。RPGにたとえるわかりやすいんですけど、一番強いのは、各人が全く違うスキルを持っていて、互いに補完し合うチームです。たとえば4人編成のパーティだとして、Aは近距離攻撃、Bは遠方射撃が得意、Cはその補助ができて、Dは回復能力があって……みたいなかたちだとすごくバランスが良い。そういった意味で、組織も、似たような属性の人や特定の分野にだけ強い人たちを集めるのではなく、全体のバランスを見ながら作っていくことが大切だと、RPGから学びました。キャリアの話でいうと、すごく相性の良いスキルとそうではないスキルがあると思っていて。「ドラクエ」の職業システムでは、魔法使いと戦士で魔法戦士になれるといったように、職業Aと職業Bを掛け合わせると、上位職に就くことができるんですね。こうしたことは通常のキャリアにおいてもあり得ます。2つの仕事を学んでさらにすごい職業になる、みたいなことは現実にも結構あることなんですよ。
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様々な特性・個性を持つメンバーを統括しつつ、新たな道を切り拓くハヤカワさんは「ドラゴンクエスト」の職業でいえば、「勇者」に当たるのかもしれない。そんな彼女にとって「未来への挑戦=FORWARDISM」とは?

ハヤカワ:様々なカテゴリーを横断して、当たり前だとされていたことの見直しをしていきたいです。特に今は、ライフステージごとの変化や悩みに一番興味があります。妊娠と出産は、現在会社のブランドで取り組んでますし、社内の別ブランドでは幼児とシニアみたいなものもテーマとして扱っています。他方、結婚式・葬式などの冠婚葬祭は、そもそも今の時代に即したものなのか見直すような動きが、自分の中でのホットトピックですね。

妊娠と出産に関しては、みんなの中に漠然とした不安があると思うんですよ。何となく不安だから怖い、避けたいみたいな気持ちに、課題感があるんです。実態を知ったり、見たりするだけで解決するものなのに自分の選択肢が狭まり、変に後ろ回しにしてタイミングを逃すようなことがないほうがいいと考えています。冠婚葬祭については、もう少しフレキシブルに、今の時代に合わせて変わるか、選択肢が増えることがあってもいいのでは?というのが自分の意見です。

(構成=小島浩平)

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