King Gnu・新井和輝と羊文学・塩塚モエカが、J-WAVEで対談。新井が塩塚に、生活のこだわりや、表現の変化を聞いた。
対談をお届けしたのは、J-WAVEで11月14日(火)に放送された『SPARK』。注目のアーティストが曜日ごとにナビゲーターを務める番組で、火曜ナビゲーターはKing Gnuの新井和輝が担当。
羊文学は12月6日(水)にニューアルバム『12 hugs (like butterflies)』をリリースする。また、12月2日(土)には、「J-WAVE presents INSPIRE TOKYO 2023 WINTER MUSICLICK LIVE」に出演する。同イベントはKREVAとの対バンで、コラボ演奏も披露。
・「J-WAVE presents INSPIRE TOKYO 2023 WINTER MUSICLICK LIVE」公式ページ
https://www.j-wave.co.jp/special/inspire2023winter/live/
新井:俺らが、Srv.Vinci.というバンドをやっていたときに対バンしていたよね。覚えている?
塩塚:めっちゃ覚えています。
新井:やっぱりそうだ。俺たち対バンをしていたんですよ。
塩塚:何年前なんだろう。
新井:俺がSrv.Vinci.に加入したのが2015年から2016年ぐらいなのね。下北のライブハウスにしょっちゅう出ていた時代があったの。そのときに下北のBASEMENTBARだったと思うんだけど。
塩塚:私もBASEMENTBARにめっちゃ出ていて。
新井:あの時期だよね。なんのイベントだっけ? 「Beat Happening!」?
塩塚:そうです(笑)。
新井:そうだ(笑)。
塩塚:やばい、これ、誰もわからない話かもしれないけど。
新井:検索したら2016年1月28日、羊文学とSrv.Vinci.。数少ないですよ、あのときの俺らを知っているというか、(その場に)いあわせた人は。そう考えると、けっこう長いね。それこそ今回、『呪術廻戦』で、僕らはオープニングを、羊文学はエンディングをやっていて。この2組が7年前に対バンしていたとか、けっこうすごいよね。
塩塚:確かに。
新井:機材費を毎回払っていたからね。集客が足りないと、イベントに対してお金払うじゃん。
塩塚:めっちゃ払っていました。私は1人もお客さんがいなくて1万円とか払ったときもあった(笑)。
新井:俺もすごく褒めてもらって「じゃあ今日はノルマの5人に1人足らなくて4人だったから3200円徴収します」と言われて、バンドで800円ずつ割って払ってました(笑)。
塩塚:切ないですよね。「なにしているんだろう」みたいな気持ちに。
新井:あのときの俺らの感じとか覚えている? けっこうあのときの俺ら、嫌だったよね。
塩塚:話しかけづらいのは……(笑)。楽屋がこのラジオのブースぐらいしかないんですよね。
新井:なかったね。
塩塚:みんなタバコとか吸っているから「いづらいな」みたいな(笑)。そのときはあまりお話していないですよね。
新井:あのときは俺らの気質も当時、尖っていたから。
塩塚:私たちも、なんか尖っていました。「負けねえし」みたいな感じで(笑)。
新井:「対バンを聴いたら負けだ」じゃないけど、そういう感覚もあった時代だから。
塩塚:ライブハウスの楽屋って最初、絶対にお互いにあいさつとかしなくないですか?
新井:なんかヌルッとしているよね(笑)。
塩塚:音楽で語り合うまでは言葉を交わさないみたいな(笑)。
新井:あれ、なんなんだろうね。
塩塚:変なプライドがみんなありますよね。
新井:めちゃくちゃあったな。
塩塚:私はそのノリで社会人になってみたら、けっこう怒られました(笑)。
新井:(笑)。
塩塚:「俺らの曲を聴くまでは心は許さねえ」みたいなノリでいくと「挨拶しなさい」って(笑)。
新井:俺はチェックシャツをすごく持っていて。
塩塚:イメージあります。
新井:このあいだ、数えたんですよ。俺、何枚持っているんだろうなと思って、65枚だったのね。
塩塚:えー!
新井:(笑)。クローゼットいっぱいになっちゃって。柔らかいシャツが多いから、全部シワがついちゃうの。着るたびにアイロンをかけないといけない状態になっちゃって。そういうこだわりがありまして、モエカちゃん的にはあるのかなということで。ずっと悩んでいたけどありそうですか?
塩塚:なにもないんですよね。驚くほどなにもなくて。音楽の趣味とかもないし。
新井:趣味ないの?
塩塚:ないんです。
新井:休日はなにをしているの? 休日がないのか。
塩塚:あるんですけど、映画を観に行きます。それも、めっちゃポップなのを観に行くときも、超アングラなのを観に行くときもあって。「これじゃなきゃダメ」というのは「風呂の換気扇を絶対に回して」とかかな(笑)。
新井:(笑)。
塩塚:お風呂の換気扇止める人いません?
新井:季節によらない?
塩塚:絶対に回してます。
新井:冬は蒸気が逃げていっちゃうから寒くない?
塩塚:入っているときは消します。終わってから消す人とかは許せないと思って。友だちの家とかに行って「え? 換気扇つけないの?」とか言っちゃう(笑)。換気扇にすごく注目しちゃうかも。「止まっているな。換気扇つけないとカビるよ」みたいな。
塩塚は部屋の整理整頓にこだわりがあり、多忙から散らかってしまうと、ものづくりにも影響が出るのだという。
塩塚:だから休みは掃除しています。掃除で終わる。
新井:それは潔癖ということではないのかな、どうなんだろうね。散らかっていることに対して、物事が整っていないと嫌ということだものね。
塩塚:頭のなかがゴチャゴチャしているから、視界もゴチャゴチャしていると息が詰まってくる。
新井:全部そろっていないといけないってこと?
塩塚:ペットボトルとか3本あるのも、一直線に並べておきたいタイプ(笑)。楽屋とかもそうですね。ライブ前とかも、帰ってきたらきれいじゃないと嫌と思って。人のはやらないんですけど、自分のはすごくピシッとしたりする。
新井:自分のエリアってできるものね。
新井:特に羊文学として20年にデビューして、そこからの作品群というのが個人的にけっこう好きなんです。それこそほかのアニメのタイアップとかが好きで。バンド的にデビューしてからはどんな感じだったの? 作品の感じや作り方も変わったりしたんですか?
塩塚:タイアップがあるというのは大きかったです。
新井:そうなんだ。
塩塚:それまでは自分のなかでよければいいというか。自分の曲に対してもちろんアレンジとかはみんなでやるんですけど、曲の原案に対して、誰かから意見をされるということがまったくなかったんです。なので、「もうちょっと聴きやすく」とか「ポップスで」みたいな考えが、自分のなかになかったから。作るスキルもないし、「作ろう」と思って聴いたことがない。だけどやっぱり、ちゃんと曲としての強度というか1曲としての強さみたいなものを追求し始めたのは、いろいろな人から意見をもらったりとかして。そのときは「うるさいよ」みたいな感じになるんですけど、できてみると、強い曲になったなって。
新井:ちょっとシューゲイザーだったりとか、言ってしまえばアングラというかそういうサウンド感が根底にあって、そういうバンドっていわゆるオーバーグラウンドのそういうものに耐えられないことって多いじゃないですか。
塩塚:うんうん。
新井:羊文学はそこに対する強度があるんだなと思うというか、ちゃんとポップにして打ち返していて。でも、バンドのカラーが変わるとか、そういうものではないというか。ちゃんと羊文学として、ポップを得ていっている。そういう感覚は外で聴いていると(あります)。中のことはまったくわからないけど、作品をたどって聴いていると、そういうニュアンスを感じる。それこそ歌の部分なんだけど、歌唱に対する説得力みたいなものも、それこそ2020年ぐらいからどんどん(増してきた)。シンプルに歌がうまくなっているという、言い方はあれなんだけど、説得力が出ているというか自信がついたのかな、とか。わからないんだけど。そういうものが、まず1段2段上がっている感じがするんだよね。
塩塚:さっきも部屋を片付けないと気が済まないという話をしたんですが、歌でも「こう歌いたい」みたいなのがあったんです。全然自分がレコーディングのときにそれに届いていないみたいな気持ちがあって。そうしたら、ちょっとピッチがズレても気になっちゃって。2020年より前くらいまでは、一言ずつ全部切ったりとか、切りまくっていたんです。
新井:そうなんだ。
塩塚:ロックバンドなのにそのラフさみたいなのが許せなかったんですけど、2020年くらいから「まいっか」みたいになってきて(笑)。自分の歌がちょっとずつスキルアップしたというのもあるけど、わりとプリプロはそのままだったりとか。直しても自分で直さない、お任せして、ザックリ直したやつを気になるところがあれば言うぐらいの感じに変えたら、もっと表現が豊かになった感じがあるんです。
新井:流れているというかフローしているというか、それこそ『more than words』とかも流れがすごく大事な曲だよね。
羊文学の最新情報は、公式サイトまで。
J-WAVE『SPARK』では、月曜から木曜まで日替わりのアーティストがナビゲーターを務める。放送は月曜~木曜の24時00分から。
対談をお届けしたのは、J-WAVEで11月14日(火)に放送された『SPARK』。注目のアーティストが曜日ごとにナビゲーターを務める番組で、火曜ナビゲーターはKing Gnuの新井和輝が担当。
羊文学は12月6日(水)にニューアルバム『12 hugs (like butterflies)』をリリースする。また、12月2日(土)には、「J-WAVE presents INSPIRE TOKYO 2023 WINTER MUSICLICK LIVE」に出演する。同イベントはKREVAとの対バンで、コラボ演奏も披露。
・「J-WAVE presents INSPIRE TOKYO 2023 WINTER MUSICLICK LIVE」公式ページ
https://www.j-wave.co.jp/special/inspire2023winter/live/
「音楽で語り合うまでは…」ライブハウスの楽屋事情
新井と塩塚はまず、ブレイクする前のライブハウス時代の話で盛り上がった。自腹でライブを開催したこともあったのだとか。新井:俺らが、Srv.Vinci.というバンドをやっていたときに対バンしていたよね。覚えている?
塩塚:めっちゃ覚えています。
新井:やっぱりそうだ。俺たち対バンをしていたんですよ。
塩塚:何年前なんだろう。
新井:俺がSrv.Vinci.に加入したのが2015年から2016年ぐらいなのね。下北のライブハウスにしょっちゅう出ていた時代があったの。そのときに下北のBASEMENTBARだったと思うんだけど。
塩塚:私もBASEMENTBARにめっちゃ出ていて。
新井:あの時期だよね。なんのイベントだっけ? 「Beat Happening!」?
塩塚:そうです(笑)。
新井:そうだ(笑)。
塩塚:やばい、これ、誰もわからない話かもしれないけど。
新井:検索したら2016年1月28日、羊文学とSrv.Vinci.。数少ないですよ、あのときの俺らを知っているというか、(その場に)いあわせた人は。そう考えると、けっこう長いね。それこそ今回、『呪術廻戦』で、僕らはオープニングを、羊文学はエンディングをやっていて。この2組が7年前に対バンしていたとか、けっこうすごいよね。
塩塚:確かに。
新井:機材費を毎回払っていたからね。集客が足りないと、イベントに対してお金払うじゃん。
塩塚:めっちゃ払っていました。私は1人もお客さんがいなくて1万円とか払ったときもあった(笑)。
新井:俺もすごく褒めてもらって「じゃあ今日はノルマの5人に1人足らなくて4人だったから3200円徴収します」と言われて、バンドで800円ずつ割って払ってました(笑)。
塩塚:切ないですよね。「なにしているんだろう」みたいな気持ちに。
新井:あのときの俺らの感じとか覚えている? けっこうあのときの俺ら、嫌だったよね。
塩塚:話しかけづらいのは……(笑)。楽屋がこのラジオのブースぐらいしかないんですよね。
新井:なかったね。
塩塚:みんなタバコとか吸っているから「いづらいな」みたいな(笑)。そのときはあまりお話していないですよね。
新井:あのときは俺らの気質も当時、尖っていたから。
塩塚:私たちも、なんか尖っていました。「負けねえし」みたいな感じで(笑)。
新井:「対バンを聴いたら負けだ」じゃないけど、そういう感覚もあった時代だから。
塩塚:ライブハウスの楽屋って最初、絶対にお互いにあいさつとかしなくないですか?
新井:なんかヌルッとしているよね(笑)。
塩塚:音楽で語り合うまでは言葉を交わさないみたいな(笑)。
新井:あれ、なんなんだろうね。
塩塚:変なプライドがみんなありますよね。
新井:めちゃくちゃあったな。
塩塚:私はそのノリで社会人になってみたら、けっこう怒られました(笑)。
新井:(笑)。
塩塚:「俺らの曲を聴くまでは心は許さねえ」みたいなノリでいくと「挨拶しなさい」って(笑)。
整理整頓にこだわり
番組では「周りの人にはなかなか理解されない、あなただけのこだわり」を「リトル和輝」として紹介。新井はチェックシャツの収集にこだわりがあるのだという。新井:俺はチェックシャツをすごく持っていて。
塩塚:イメージあります。
新井:このあいだ、数えたんですよ。俺、何枚持っているんだろうなと思って、65枚だったのね。
塩塚:えー!
新井:(笑)。クローゼットいっぱいになっちゃって。柔らかいシャツが多いから、全部シワがついちゃうの。着るたびにアイロンをかけないといけない状態になっちゃって。そういうこだわりがありまして、モエカちゃん的にはあるのかなということで。ずっと悩んでいたけどありそうですか?
塩塚:なにもないんですよね。驚くほどなにもなくて。音楽の趣味とかもないし。
新井:趣味ないの?
塩塚:ないんです。
新井:休日はなにをしているの? 休日がないのか。
塩塚:あるんですけど、映画を観に行きます。それも、めっちゃポップなのを観に行くときも、超アングラなのを観に行くときもあって。「これじゃなきゃダメ」というのは「風呂の換気扇を絶対に回して」とかかな(笑)。
新井:(笑)。
塩塚:お風呂の換気扇止める人いません?
新井:季節によらない?
塩塚:絶対に回してます。
新井:冬は蒸気が逃げていっちゃうから寒くない?
塩塚:入っているときは消します。終わってから消す人とかは許せないと思って。友だちの家とかに行って「え? 換気扇つけないの?」とか言っちゃう(笑)。換気扇にすごく注目しちゃうかも。「止まっているな。換気扇つけないとカビるよ」みたいな。
塩塚は部屋の整理整頓にこだわりがあり、多忙から散らかってしまうと、ものづくりにも影響が出るのだという。
塩塚:だから休みは掃除しています。掃除で終わる。
新井:それは潔癖ということではないのかな、どうなんだろうね。散らかっていることに対して、物事が整っていないと嫌ということだものね。
塩塚:頭のなかがゴチャゴチャしているから、視界もゴチャゴチャしていると息が詰まってくる。
新井:全部そろっていないといけないってこと?
塩塚:ペットボトルとか3本あるのも、一直線に並べておきたいタイプ(笑)。楽屋とかもそうですね。ライブ前とかも、帰ってきたらきれいじゃないと嫌と思って。人のはやらないんですけど、自分のはすごくピシッとしたりする。
新井:自分のエリアってできるものね。
作品作りの変化
2020年にメジャーデビューした羊文学は、この3年間で作品作りに変化が起きていったという。新井:特に羊文学として20年にデビューして、そこからの作品群というのが個人的にけっこう好きなんです。それこそほかのアニメのタイアップとかが好きで。バンド的にデビューしてからはどんな感じだったの? 作品の感じや作り方も変わったりしたんですか?
塩塚:タイアップがあるというのは大きかったです。
新井:そうなんだ。
塩塚:それまでは自分のなかでよければいいというか。自分の曲に対してもちろんアレンジとかはみんなでやるんですけど、曲の原案に対して、誰かから意見をされるということがまったくなかったんです。なので、「もうちょっと聴きやすく」とか「ポップスで」みたいな考えが、自分のなかになかったから。作るスキルもないし、「作ろう」と思って聴いたことがない。だけどやっぱり、ちゃんと曲としての強度というか1曲としての強さみたいなものを追求し始めたのは、いろいろな人から意見をもらったりとかして。そのときは「うるさいよ」みたいな感じになるんですけど、できてみると、強い曲になったなって。
新井:ちょっとシューゲイザーだったりとか、言ってしまえばアングラというかそういうサウンド感が根底にあって、そういうバンドっていわゆるオーバーグラウンドのそういうものに耐えられないことって多いじゃないですか。
塩塚:うんうん。
新井:羊文学はそこに対する強度があるんだなと思うというか、ちゃんとポップにして打ち返していて。でも、バンドのカラーが変わるとか、そういうものではないというか。ちゃんと羊文学として、ポップを得ていっている。そういう感覚は外で聴いていると(あります)。中のことはまったくわからないけど、作品をたどって聴いていると、そういうニュアンスを感じる。それこそ歌の部分なんだけど、歌唱に対する説得力みたいなものも、それこそ2020年ぐらいからどんどん(増してきた)。シンプルに歌がうまくなっているという、言い方はあれなんだけど、説得力が出ているというか自信がついたのかな、とか。わからないんだけど。そういうものが、まず1段2段上がっている感じがするんだよね。
塩塚:さっきも部屋を片付けないと気が済まないという話をしたんですが、歌でも「こう歌いたい」みたいなのがあったんです。全然自分がレコーディングのときにそれに届いていないみたいな気持ちがあって。そうしたら、ちょっとピッチがズレても気になっちゃって。2020年より前くらいまでは、一言ずつ全部切ったりとか、切りまくっていたんです。
新井:そうなんだ。
塩塚:ロックバンドなのにそのラフさみたいなのが許せなかったんですけど、2020年くらいから「まいっか」みたいになってきて(笑)。自分の歌がちょっとずつスキルアップしたというのもあるけど、わりとプリプロはそのままだったりとか。直しても自分で直さない、お任せして、ザックリ直したやつを気になるところがあれば言うぐらいの感じに変えたら、もっと表現が豊かになった感じがあるんです。
新井:流れているというかフローしているというか、それこそ『more than words』とかも流れがすごく大事な曲だよね。
羊文学の最新情報は、公式サイトまで。
J-WAVE『SPARK』では、月曜から木曜まで日替わりのアーティストがナビゲーターを務める。放送は月曜~木曜の24時00分から。
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2023年11月21日28時59分まで
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