音楽、映画、エンタメ「ここだけの話」
今バズる楽曲、音作りのポイントは? 1億回再生を超えるimaseが分析、これからの展望も語る

今バズる楽曲、音作りのポイントは? 1億回再生を超えるimaseが分析、これからの展望も語る

J-POP史上初、楽曲「NIGHT DANCER」が韓国配信サイト「Melon」総合チャート TOP20入りを果たし、アジアを筆頭にグローバルヒットを続けるimase。TikTokのショート動画投稿から始まり、わずか1年足らずでメジャーデビュー。次々とバズを生み出し、立て続けに大型タイアップも獲得、さらには自身初となるツアーも即日完売するなど“今の時代”のリスナーを強く惹きつけてやまない。

国内外の音楽シーンで目覚ましい活躍を続けるimaseがいま思うこととは? さらに、10月に開催されるテクノロジーと音楽の祭典「J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2023」への意気込みも語ってもらった。聞き手は、J-WAVEナビゲーターの藤田琢己。

今の時代的に、1億回は不可能な数字ではない

――韓国/アジアを筆頭に「NIGHT DANCER」が世界中で話題ですね。ミュージックビデオも1億回再生を突破するなど、飛ぶ鳥を落とす勢いです。今の心境はいかがですか?

この盛り上がりはすごくうれしいです。1億回と聞くと、正直数字的にはよくわからない部分もあります(笑)。そこまで多くの回数ミュージックビデオを観たり、楽曲を聴いていただけることに感謝しつつも、周りにも1億回再生を達成する方々がいるので、今の時代に1億回は不可能な数字ではないのかな、とも思っています。大勢の方々に支持していただけることに感謝しながら、今後も1億回再生を超えられるような楽曲を作っていけるように頑張ります。

【imase】NIGHT DANCER(MV)

「今、受け入れられやすいサウンド」は?

――韓国ではチャートにランクインもしていますが、実際に「NIGHT DANCER」を制作するにあたり、自身の音楽が日本を超えて世界に響いていくというイメージを明確に持たれていたのでしょうか?

世界に楽曲を届けたいという想いはずっとありました。もともと洋楽を聴くのが好きだったこともあり、海外の皆さんにも聴いていただくことは意識していました。「NIGHT DANCER」と同じ年にリリースした「逃避行」という楽曲が中国チャートに入ったと聞いたときは、海を越えて聴いていただけていることを実感できてとてもうれしかったです。

――国内向けと海外向けのプレゼンテーションにおいて、あえて見せ方を変えていくという意識はあったのでしょうか?

国内だとキャッチーで歌謡曲っぽいメロディー、もしくは今だとボカロっぽいメロディーが受け入れられやすいのではないかなと思っていて。最近は変わりつつありますが、日本では音数が多くドラムの音もあまり大きくない楽曲が広く受け入れられている印象です。一方で海外は、NewJeansなど、トラック数が少ないわりにドラムなどの個々の音がとても太くて厚く、音数が少ないものがトレンドになっていると思います。「NIGHT DANCER」は、トラックにおいては音数を少なくし個々の音を太くするなど国外のトレンドを意識した一方で、メロディーには歌謡曲っぽさを残しています。メロディーの雰囲気や歌詞の置き方はJ-POPの要素がありつつも、トラックには海外のトレンドを取り入れる。これが自分の強みなのかなと思っています。

――国内向けと国外向けの意識を、違和感なくミックスできるのがimaseさん独自のフィルターなんでしょうね。「NIGHT DANCER」では邦楽と洋楽をうまくブレンドする最適解が見いだせたということでしょうか?

僕の中ではもっとできることがあると思っています。「NIGHT DANCER」のヒットは必然的というよりも偶然の自然発生的な部分が大きかったと思っていて。それこそ、ダンスチャレンジのおかげで大きく広まっていったのかなと。国内外に向けた楽曲づくりは意識しつつも、毎回ヒットを狙えるわけではないので、深く考えず、焦らずにいようと思っています。自然なメロディーからかけ離れてあざとい楽曲になってしまわないよう、自分が大切にしたいものを守りながらラフに構えようと思います。

松任谷由実、松田聖子…音楽ルーツを聞く

──リスナーとしては、どんな音楽を聴いてこられましたか?

ずっとニッチな音楽を深掘りしていたわけではなく、ヒットチャートに入っている楽曲もたくさん聴いてきました。幼い頃は、車でよく松任谷由美さんや松田聖子さんなどの歌謡曲を聴いていました。他の方の話を聞くと、幼少期に聴いていた楽曲に影響を受けている方が多いですが、僕も歌謡曲から影響を受けていると思います。

学生時代もジャンルを問わず様々な楽曲を聴いていましたが、音楽を作り始めたころからは洋楽のポップスや韓国のR&Bアーティストの楽曲を好んで聴くようになりました。

――そこから実際に楽曲制作に至ったきっかけは?

TikTokを見たことがきっかけです。昔から歌うことは好きでしたが、「ショート尺だったら自分でも作れるのでは?」という興味本位で制作を始めました。

初の映画主題歌は「本当に!?」と驚き

――7月には新曲「ユートピア」がリリースされました。世界中で愛される鳥山明先生原作の映画『SAND LAND』の主題歌ということで、「NIGHT DANCER」とは別のところで話題となっていますね。主題歌のお話を聞いたとき、いかがでしたか?

映画主題歌を担当するのは初めてだったので、お話をいただいた時はとても驚きました。僕で大丈夫なのかな、と。僕自身『ドラゴンボール』が好きだったので、鳥山明先生の作品ということにプレッシャーを感じながらも、気合いを入れて制作に取り組みました。

僕は曲を作る際、まずサビを作り、サビのフレーズからAメロBメロと広げていくことが多いんです。ただ今回は初めから原作が存在していて、どのようなものを作ってほしいかというオーダーもあったので、これまでとはまた少し違った作品ができたと思っています。映画があって、そこに「ユートピア」がのっていると、また違った聴こえ方がします。映画とマッチした楽曲を作ることができてよかったです。

【imase】ユートピア(MV)

――今回の主題歌起用を経て、ご自身の制作の幅も広がっていったんですね。『SAND LAND』のストーリーを踏まえて、どのような解釈を楽曲に込めたのだったのでしょうか?

今回お話をいただいたときに、『SAND LAND』のストーリーや世界観に寄せすぎないでほしいというオーダーをいただきました。それを念頭に置いた上で『SAND LAND』を読み、僕なりに解釈してみました。対立していた魔物と人間が最後は手を取り合って仲良くなる。最初は対立していても、最終的には自分の周りにいる人は大切で、自分自身のことも大切にしないといけないよね、という想いを歌詞に反映してみました。

【原作:鳥山明】映画『SAND LAND(サンドランド)』90秒予告

ライブでは、自分の音楽をより深く共有していけたら

――海外でのヒットに加え、映画主題歌初起用とimaseさんご自身の活動の幅がますます広がっていて、10月には自身初のツアーも控えています。クリエイターとしてのimaseさんと、ライブパフォーマーとしてのimaseさんがいらっしゃると思いますが、ご自身の中でも見せ方の違いや心構えなどはあるのでしょうか?

そうですね。ネット出身で、部屋の中で楽曲を制作してきたので、楽曲自体は打ち込み中心のものになっています。ですが、僕のライブはバンド編成なので、サブスクでの楽曲の楽しみ方とライブでの楽曲の楽しみ方は違ってくると思っています。ライブで意識していることは、サブスクで聴くものとは違った楽曲の側面を見せるということです。特に、アレンジをすることで違う聞こえ方やノリ方、楽しみ方を引き出せるようにしています。また、今までネット上でしか交流できなかったリスナーの皆さんと実際にお会いできるので、コールアンドレスポンスもうまく取り入れながら、来てくださった皆さんと一緒に僕の音楽をより楽しめたら良いなと思っています。

――ライブならではのimaseさんの魅力、実際に会場で拝見するのが楽しみです。10月のツアーはすでに全日SOLD OUTしていますが、同じく10月に開催される「J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2023」の2日目(10/14・土)に出演されますね。どんなステージになりそうでしょうか?

テクノロジーと音楽のフェスということで、照明や映像など、今まで僕がやったことのないステージになることを期待しています。初めての環境で、僕の新しい一面を見せることができたらうれしいです。また、今まで僕のライブを観たことがない方々が僕のことを知ってくれる最高の機会になると思うので、とてもワクワクしています。
230925_imase_3.jpg
――imaseさんにとっても、ライブがご自身のファンを知る良い機会ということですね。夏のフェスを経て、秋のツアーやイノフェスを経験した頃には、ご自身の音楽活動において新しい発見がありそうですね。

そうですね。僕はライブに行った経験があまり多くないので、自分のライブでお客さんの反応を見たり、イノフェスのように他の出演アーティストの皆さんのステージを見たりすることで、学びや気づきを得ています。ライブを重ねるごとに、どんな楽曲がライブに向いているのかいないのかがわかってきて。制作する上でも、ライブで盛り上がりつつ、サブスクでもしっかり聴いてもらえる楽曲のバランスを大事にしようと思っています。

特にこの夏はさまざまなフェスに出演させていただきましたが、お客さんが自分の想像とは違う反応を見せてくれることが多々あって。「このサビでそういうノリ方をするんだ!」と、皆さんの反応を素直に楽しんでいます。パフォーマーとしてもお客さんとしても、ライブを経験することでインプットを増やしていきたいですし、今後の制作活動の糧になると思っています。
230925_imase_2.jpg

今後はバリエーションを増やしていきたい

――今後チャレンジしたいことはありますか?

まだ制作したことのないジャンルの楽曲がたくさんあるので、さまざまなジャンルを経験してバリエーションを増やしていきたいです。ライブをやっていると、「このピースが足りないな」と感じることがあるので、ロックやバラードなどセットリストを通して緩急をつけられるような楽曲を制作しながら、僕の良さを多くの方に伝えられるように頑張ります。

――最後に、改めてイノフェスへの意気込みをお願いします。

素晴らしい映像や照明などテクノロジーを駆使したライブになるので、これまで僕が経験したことのないステージになると思います。実際にどうなるのかわからない部分もあり、ワクワクと期待でいっぱいです。来てくださる方にとっても初めての経験になると思うので、一緒にライブを楽しめたらいいなと思っています!


「J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2023」は、10月13日(金)、14日(土)、15日(日)に開催。現在チケット発売中。imaseは、10月14日(土)に出演する。14日(土)はほかにも、Aile The Shota、花譜、理芽、MIKU BREAK、宅見将典などが出演。詳細は公式サイト( https://www.j-wave.co.jp/iwf2023/ )まで。

(取材:藤田琢己)

この記事の続きを読むには、
以下から登録/ログインをしてください。

  • 新規登録簡単30
  • J-meアカウントでログイン
  • メールアドレスでログイン