原田郁子が、ニューアルバム 『いま』のこと、コロナ禍で変化した生活や意識を語った。
原田が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談議を繰り広げる番組だ。オンエアは7月14日(金)。
この番組では、ゲストがビールに合う“おみや”を紹介する。原田は亀田製菓の「亀田の柿の種」を持参し、ビールとともに楽しんだ。
原田:ちょっと空いてしまいました。
クリス:15年って長いですね。クラムボンが忙しかった?
原田:それももちろんありますね。クラムボンがメジャーレーベルを離れて自分たちでやるようになってっていう時間もこの中に入っているので。それを一生懸命やってて、合間ではソロのライブをしたり、いろんな方と共演したりしてましたけど、ここまで空いてるとは正直思わなくて。
クリス:『いま』というタイトルですけど、これは原田郁子の『いま』っていうことなんですか。
原田:そうですね。谷川俊太郎さんと『いまここ』という曲を共作させていただいて、そこからタイトルを付けました。
原田:パンデミックがあってから、例えば東京とか日本とか、コロナっていうわからないことが世界的に広がっていたときに、いろんなことを分けて情報として伝えられて。東京では感染者が何人とか、日本では何人みたいになっていて。確かにそうなんだけど、ずっとそこには違和感もあったというか。本当にそうかなって。それで谷川さんに一緒に曲を作らせていただけないでしょうかって手紙を書いて、この詩を見たときに、一人ひとりに今があってここがあるっていう風に言ってくれているような気がしたんですよ。
クリス:なるほど。
原田:同じ東京とか日本に住んではいるけど、そこには一人ひとり違う今があるし、ここがあるよねって。そういう言葉の力をすごく感じて、この詩を歌にしなくてはと思って。2021年に久しぶりに谷川さんとトークショーをさせていただいて、そこでいろんなお話をしたんですけど、詩は言葉の意味からなかなか離れることができない、でも歌とか音楽ってそうじゃないからいいよね、昔から羨ましく思っているっておっしゃられて。そのことがすごく残って。私は私で小さいときに谷川さんの本から言葉の面白さとかリズムとかそういうことを教わったと思ったので、何か一緒に、意味とは違う響きとか、そういうところでご一緒できないかなってことを思いました。
原田:この時間がなかったことにはならなくて、急に外に出ていいって言われたけどどうしようって戸惑ってるところがあります。順応性ってすごいなって思って。あんなに嫌だと感じて窮屈に思っていたけど、受け入れざるを得ないっていうことでしたよね。
クリス:コロナ禍が終わったっていう感覚はありますか。
原田:ないです。いつまたああなったらどうしようって。祈るみたいな。このまま続いてくれって。だったらっていう風に切り替えていって、これまでできなかったことを時間かけてやろうと思っています。
クリス:例えばどんなことですか?
原田:ごはんでもそうなんですけど、わざわざ何時間もタケノコを湯がくとか、そういうことすらできてなかったなとか。何時間もかけて、カレーでもいいんですけど、鍋ごと作るとか、そういうことを楽しもうって。
クリス:それはあるかもしれない。
原田:だったら、みたいになって、自分の部屋でパソコンで声を録ったりピアノを録ったりっていうことが始まったんですけど、想像以上に面白くて、めちゃくちゃ楽しいって思って。
クリス:へえ。
原田:宅録1年生なんですけど、その時間をこの時期にもらえたのかなっていう風に思います。
クリス:内省的になっていて、ヒットメーカーたちのすごくピュアで正直な曲がたくさん出たかなって。あまり加工されていないというか。小手先じゃない真摯な音楽が僕は多かったような気がする。そうありつつも逆に若いアーティスト、Adoだったり米津玄師だったり、怒りとかフラストレーションみたいな部分もね。そういう意味では正直な、肩肘張ってないというか肩から力が抜けた感じがした。世界中の音楽が頑張っていて、これやらないといけないしヒットを飛ばさないといけないし、ライブもここでやらないといけないし……そんなことを思ってたらポンっと底が抜けてみんな自然体になれたのかなって。
原田:それぞれが自分の呼吸法を思い出すみたいね。何かに合わせて一生懸命に息継ぎしてたけど。そういう時間をもらえたっていうのは二度とないかもしれないですね。二度とあってほしくないですけどね。
クリス:人類の歴史の中では頻繁に起こるんじゃないかなって言われてるけど、どうなんだろう。
原田:命に関わることだったってことがすごく大きいですよね。そんなことに世界中で向き合うことは自分の人生では初めてでしたね。
クリス:この時期に再発見したミュージシャンとかいましたか。
原田:自分で宅録をやるようになって、それであらためてレイ・ハラカミさんとか細野晴臣さんの1人でアンビエントのアルバムを作っていた音源とかを聴くと、脳内のその人たちの景色がそのまま音になっているみたいな。でもこれを1曲仕上げるためにどれだけの時間とエネルギーを使ってたのかなとか(考えるようになりました)。
原田は7月21日(金)23時からのオンエアでも、引き続きゲストに登場する。
番組の公式サイトに過去ゲストのトーク内容をアーカイブ。オンエアで扱った音楽の情報も掲載している。
・過去ゲストのアーカイブページ
https://www.j-wave.co.jp/original/otoajito/archives.html
原田が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談議を繰り広げる番組だ。オンエアは7月14日(金)。
この番組では、ゲストがビールに合う“おみや”を紹介する。原田は亀田製菓の「亀田の柿の種」を持参し、ビールとともに楽しんだ。
「この詩を歌にしなくては」谷川俊太郎との共作
原田は6月に2008年以来、実に15年ぶりのソロアルバム『いま』をリリースした。原田:ちょっと空いてしまいました。
クリス:15年って長いですね。クラムボンが忙しかった?
原田:それももちろんありますね。クラムボンがメジャーレーベルを離れて自分たちでやるようになってっていう時間もこの中に入っているので。それを一生懸命やってて、合間ではソロのライブをしたり、いろんな方と共演したりしてましたけど、ここまで空いてるとは正直思わなくて。
クリス:『いま』というタイトルですけど、これは原田郁子の『いま』っていうことなんですか。
原田:そうですね。谷川俊太郎さんと『いまここ』という曲を共作させていただいて、そこからタイトルを付けました。
原田:パンデミックがあってから、例えば東京とか日本とか、コロナっていうわからないことが世界的に広がっていたときに、いろんなことを分けて情報として伝えられて。東京では感染者が何人とか、日本では何人みたいになっていて。確かにそうなんだけど、ずっとそこには違和感もあったというか。本当にそうかなって。それで谷川さんに一緒に曲を作らせていただけないでしょうかって手紙を書いて、この詩を見たときに、一人ひとりに今があってここがあるっていう風に言ってくれているような気がしたんですよ。
クリス:なるほど。
原田:同じ東京とか日本に住んではいるけど、そこには一人ひとり違う今があるし、ここがあるよねって。そういう言葉の力をすごく感じて、この詩を歌にしなくてはと思って。2021年に久しぶりに谷川さんとトークショーをさせていただいて、そこでいろんなお話をしたんですけど、詩は言葉の意味からなかなか離れることができない、でも歌とか音楽ってそうじゃないからいいよね、昔から羨ましく思っているっておっしゃられて。そのことがすごく残って。私は私で小さいときに谷川さんの本から言葉の面白さとかリズムとかそういうことを教わったと思ったので、何か一緒に、意味とは違う響きとか、そういうところでご一緒できないかなってことを思いました。
これまでできなかったことを、時間をかけてやりたい
続いてコロナ禍の話題に。原田は「もとに戻るってことは生物的にはないんだな」と感じたという。原田:この時間がなかったことにはならなくて、急に外に出ていいって言われたけどどうしようって戸惑ってるところがあります。順応性ってすごいなって思って。あんなに嫌だと感じて窮屈に思っていたけど、受け入れざるを得ないっていうことでしたよね。
クリス:コロナ禍が終わったっていう感覚はありますか。
原田:ないです。いつまたああなったらどうしようって。祈るみたいな。このまま続いてくれって。だったらっていう風に切り替えていって、これまでできなかったことを時間かけてやろうと思っています。
クリス:例えばどんなことですか?
原田:ごはんでもそうなんですけど、わざわざ何時間もタケノコを湯がくとか、そういうことすらできてなかったなとか。何時間もかけて、カレーでもいいんですけど、鍋ごと作るとか、そういうことを楽しもうって。
クリス:それはあるかもしれない。
原田:だったら、みたいになって、自分の部屋でパソコンで声を録ったりピアノを録ったりっていうことが始まったんですけど、想像以上に面白くて、めちゃくちゃ楽しいって思って。
クリス:へえ。
原田:宅録1年生なんですけど、その時間をこの時期にもらえたのかなっていう風に思います。
自分の呼吸法を思い出す時間だったかもしれない
コロナ禍についての話は続き、クリスは「この時期の音楽は面白かった」と表現する。クリス:内省的になっていて、ヒットメーカーたちのすごくピュアで正直な曲がたくさん出たかなって。あまり加工されていないというか。小手先じゃない真摯な音楽が僕は多かったような気がする。そうありつつも逆に若いアーティスト、Adoだったり米津玄師だったり、怒りとかフラストレーションみたいな部分もね。そういう意味では正直な、肩肘張ってないというか肩から力が抜けた感じがした。世界中の音楽が頑張っていて、これやらないといけないしヒットを飛ばさないといけないし、ライブもここでやらないといけないし……そんなことを思ってたらポンっと底が抜けてみんな自然体になれたのかなって。
原田:それぞれが自分の呼吸法を思い出すみたいね。何かに合わせて一生懸命に息継ぎしてたけど。そういう時間をもらえたっていうのは二度とないかもしれないですね。二度とあってほしくないですけどね。
クリス:人類の歴史の中では頻繁に起こるんじゃないかなって言われてるけど、どうなんだろう。
原田:命に関わることだったってことがすごく大きいですよね。そんなことに世界中で向き合うことは自分の人生では初めてでしたね。
クリス:この時期に再発見したミュージシャンとかいましたか。
原田:自分で宅録をやるようになって、それであらためてレイ・ハラカミさんとか細野晴臣さんの1人でアンビエントのアルバムを作っていた音源とかを聴くと、脳内のその人たちの景色がそのまま音になっているみたいな。でもこれを1曲仕上げるためにどれだけの時間とエネルギーを使ってたのかなとか(考えるようになりました)。
原田は7月21日(金)23時からのオンエアでも、引き続きゲストに登場する。
番組の公式サイトに過去ゲストのトーク内容をアーカイブ。オンエアで扱った音楽の情報も掲載している。
・過去ゲストのアーカイブページ
https://www.j-wave.co.jp/original/otoajito/archives.html
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2023年7月21日28時59分まで
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番組情報
- SAPPORO BEER OTOAJITO
-
毎週金曜23:00-23:30
-
クリス・ペプラー